最近の海はクラゲとか浜に打ち上がってたりとかで遊ぶのも危険ですよね。皆さんも気をつけてください。
樹海--
紗夜の水着を奪ったバーテックスを追いかけ樹海へとやって来た香澄達。だが、バーテックスの足が速すぎて中々追いつく事が出来ずにいた。
ゆり「はぁ…はぁ…。どんどん逃げていく…。な、何なのアレは…。」
中沙綾「結界にも引っかからない、小型でしょうけど…動きが速すぎて追い付けない…。」
香澄「こんな時、りみりんや有咲がいれば敵の動きを止められるのに…。」
高嶋「何で紗夜ちゃんの水着盗ったの!?返してよーーーーっ!!」
バーテックスが意思を持って奪っていった、と言うよりは偶然にも境界線を横切った拍子に引っかかってしまったのである。
紗夜「もう良いんです、高嶋さん…。向こうにも戦闘の意思は無いようですし。」
高嶋「でも!」
紗夜「この人数で立ち向かうのは危険です。湊さん達と合流して、それからでも…。」
高嶋「そんな事してたら、盗られた水着がどっか行っちゃうか、ボロボロになっちゃう!」
紗夜「良いんです…。元々、それほど海に入りたかった訳でもありませんでしたし、今回は諦め……。」
高嶋「そんなのダメ!私が紗夜ちゃんと遊びたいの!一緒に水着着て、紗夜ちゃんと海水浴したいの!」
紗夜「高嶋さん…。」
それだけ高嶋香澄がこの海水浴に込めた思いは強かった。
香澄「そうだよ!私達の楽しい海水浴をバーテックスなんかに邪魔されたくない!」
紗夜「ですが…。」
中沙綾「紗夜さん、諦めちゃダメです!勇者部5箇条"なるべく水着は諦めない"です!」
ゆり「ちょっと違うけど…良く言ったね!紗夜ちゃんの水着奪還の為に全力を尽くすよ!」
香澄・高嶋・中沙綾「「「おーーっ!」」」
紗夜「……そんな事言われたら、私が諦める訳にはいきませんね。」
高嶋「紗夜ちゃん、絶対に取り返そう。私たちが海で楽しむ為に!」
紗夜「高嶋さんと…海水浴。海で…水着で……一緒に。」
ゆり「んん…?」
紗夜「ええ…、そうです…。誰にも邪魔はさせません。私の水着姿を、高嶋さんが望んでくれるのなら。」
高嶋「おお!紗夜ちゃんが本気になった!」
紗夜「返してもらいます、バーテックス。高嶋さんが選んでくれた……私の初めての水着を!!」
今、ここに水着争奪の決死戦が始まるのだった。
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紗夜「……っく!待ちなさい…!み、水着を返して…!」
必死でバーテックスを捕まえようとする4人だが、獲物が小さい上にすばしっこくて捕まえられないでいた。沙綾が後方から銃撃するも、それすら躱されてしまう。
香澄「このままじゃ逃げられちゃう!」
高嶋「どうしよう、紗夜ちゃん!」
紗夜「くっ……。」
その時だった--
有咲「そこまでだ!」
友希那「はぁーーーーっ!!」
有咲と友希那が援軍に駆けつけ、バーテックスの動きを止めたのだ。
ゆり「2人とも、どうしてここへ?」
友希那「神託をリサが教えてくれたのよ。ゆりさん達が危ないってね。」
有咲「神託ってホント便利だよなー。素早い敵だから、私達とりみで助けに行けって。」
ゆり「ん?りみもいるの?」
だが、ゆりが周りを見回してもりみの姿は無かった。
有咲「あぁ、りみなら…。」
すると遠くの方から微かにりみの声が聞こえてくる。
りみ「はぁ…はぁ…。有咲ちゃん、待って〜〜!!」
ヘトヘトのりみが遅れてやって来た。
りみ「はぁ…はぁ…、有咲ちゃんも友希那さんも…はぁ…はぁ…、速すぎるよぉ……。」
有咲「わりーわりー。」
りみ「はぁ…はぁ…あ、お姉ちゃん!大丈夫だった?怪我してない!?」
ゆり「うんうん、大丈夫だよ。来てくれてありがとね。これなら何とかなるよ。」
そんな事を言いながら、ゆりはりみの頭を撫でる。
友希那「香澄、紗夜、大丈夫だった?」
紗夜「…問題ありません。ですが、敵の動きが速すぎて攻撃が当たりません。」
高嶋「友希那ちゃん!紗夜ちゃんの可愛い水着をバーテックスが泥棒しちゃったの!」
友希那「え…?紗夜の…何?」
紗夜「あああ、それは良いんです!とにかく今は、あの敵を仕留めないと。」
紗夜は顔を赤くして、必死で話を晒した。
りみ「それなら任せてください。名誉挽回で私が敵の動きを止めてみせます!」
友希那「これだけの人数が揃えば、どんな敵でも遅れはとらないわ。行くわよ!」
友希那の一声で、周りの空気が一瞬で引き締まる。これが西暦の風雲児たる所以の1つでもある。ここから勇者達の反撃が始まる。
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りみ「やあーーーーっ!!」
りみはワイヤーを四方八方へ伸ばし、バーテックスの動きを制限させる。
有咲「そこっ!!」
有咲は一瞬の動きを見切ってバーテックスに斬りかかる--
のだが、バーテックスは体を伸縮させ有咲の斬撃をギリギリで躱したのである。
有咲「んな!?」
中沙綾「あれを躱すの!?」
りみ「それなら……これでっ!」
りみはワイヤーで網を作り、バーテックスを取り囲む。
友希那「出し惜しみはしないわ!"義経"!」
紗夜「ええ!"七人御先"!」
初めに友希那が八艘飛びで急速接近し、斬りかかるが、これも躱されてしまう。しかし、友希那の斬撃は囮だった。
友希那「紗夜、今よ!」
紗夜「「「これで決めます!」」」
斬撃を躱し終わって身動きが取れなくなったところを、6人の紗夜達が一斉に大葉刈で斬りかかった。さすがのバーテックスも6連続の斬撃を避けきる事が出来ずに、細切れになって消滅してしまった。後に残ったのは水着が入った袋のみ。
高嶋「やったぁ!これで海水浴に行けるね、紗夜ちゃん!」
紗夜「はい…。」
紗夜は水着の入った袋をギュッと胸に抱き寄せ、樹海を後にするのだった。
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数日後、浜辺--
あこ「海だぁーーーっ!!遊ぶぞぉーー!」
夏希「海だ海だーーー!」
天気は快晴、絶好の海日和である。
小沙綾「まずは自分の荷物を片付けてからね。」
燐子「あこちゃんもね…。先に荷物を片付けちゃおうか…。」
あこ・夏希「「はーーーい。」」
高嶋「私達も早く準備して遊ぼう、紗夜ちゃん!」
紗夜「そうですね、高嶋さん。」
美咲「これが四国の海かぁ。水も温かくて気持ち良さそう。」
りみ「そっか。美咲ちゃんは泳いだ事無いんだよね?」
美咲「無い事は無いけど、遊びでの海水浴は初めてかな。」
蘭「考えてみれば、私もそうだ。」
モカ「長野は海無いもんねー。」
香澄「あれ?薫さんは?」
香澄が辺りを見回すと、既に海に入っている薫の姿を見つけた。
有咲「沖縄の血が疼いたってか…。」
中沙綾「香澄。かき氷食べに行かない?」
香澄「うん、行く行くー!」
みんな思い思いに海水浴を楽しんでいるようだった。だが決して忘れないで欲しい。海に来た本当の目的は侵攻準備中のバーテックスを叩く為なのである。
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その日の夜、浜辺--
夜の浜辺に人影が1人、薫だった。薫は物思いに耽りながら海を眺めていた。そこへ香澄がやって来る。
香澄「海を見てるんですか?」
薫「……おや?」
香澄「ここにいたんですね。何処行っちゃったかと思いましたよ。」
薫「香澄ちゃんか…すまないね。」
香澄「あ、全然気にしないでください。少し心配になっただけですから。」
薫「心配?」
香澄「だって、昼間はずっと1人だったじゃないですか。」
薫「ああ…。」
香澄「あははっ!」
薫「どうしたんだい?」
香澄「ごめんなさい、寡黙でカッコいいなって、つい…。」
薫「そんな事は無いさ。」
香澄「私も一緒に海見てても良いですか?」
薫「もちろんさ。」
香澄は薫の隣に腰掛けた。涼しい浜風が髪を撫でる。
香澄「薫さん、海が好きだって言ってましたっけ。……静かですねぇ。」
薫「ああ。海は良い…私にとって海は力の源で、落ち着ける大切な場所なんだ。だが、バーテックスが現れ故郷の海は穢されてしまった…。だから、静かで美しい四国の海を見て、奴らがまた同じ事をするのだと思うと……心が騒ついて、つい落ち着かなくなってしまう。」
香澄「薫さん…。守りたいんですね。大好きな海を…。」
薫「しかし……あの時は守りきる事が出来なかった…。」
薫が思い出すのはこの世界に来る前の沖縄での戦い--
香澄「大丈夫です…。今はみんながいます。私達、みんなで戦えばきっと。」
薫「……不思議だね。香澄ちゃんに言われると不思議と本当に大丈夫な気がしてくるよ。」
香澄「海の風って気持ちいいですね…。もう少しここにいても良いですか?」
薫「もちろんだよ…。誰かと見る海も……また儚いね。」
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次の日、浜辺--
あこ「えー?今日は待機なんですかー。せっかく海に来たのにー。」
リサ「敵の動きが微妙なんだ。だから取り敢えず戦闘に備えておいて。」
夏希「ちぇー。」
小沙綾「遊びより御役目の方が大事なんだからね。」
その時、タイミング良く樹海化警報が鳴り響く。
ゆり「全員、戦闘準備だよ!」
あこ「サクサク倒して、思いっきり遊ぶぞーー!」
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樹海--
薫「はぁーーーっ!!」
いつにも増して薫は前線で星屑を多く倒していた。
美咲「薫さん…。」
薫「はぁ…はぁ…。次は誰だい…?」
中沙綾「気合いが入り過ぎて、怖いくらいだね。」
香澄「薫さんは大好きな海を守りたいんだよ。だから、この戦いはすっごいやる気なんだ。」
りみ「そうだったんだ。道理で…。」
薫「そこっ!!」
友希那「待って、瀬田さん!前に出すぎよ!」
友希那が薫を制止するが、
薫「どいてくれ!」
友希那「うっ!」
薫は無理やり友希那を退け、バーテックスを攻撃するのだった。
高嶋「友希那ちゃん!」
高嶋の声で薫は我に帰る。
薫「あっ…す、すまない…。」
薫は友希那に手を差し伸べ起こす。
友希那「良いのよ。普段は冷静なあなたがここまで我を忘れるなんて、余程の事なのでしょう?」
薫「それは……。」
友希那「だけど、少し考えて。あなたの後ろには仲間がいる。共闘すれば敵を取り逃がしたりはしないわ。」
高嶋「そうだよ、薫さん。私達にも手伝わせて。同じ勇者なんだから、気持ちは一緒だよ。」
薫「気持ちは…一緒…。」
友希那「1人で突っ込めば隙が生まれてしまう。ここは、チームプレイで確実に当たりましょう。」
薫は一度大きく深呼吸をする。
薫「……友希那の言う通りだ。少し頭に血が昇っていたようだね……。」
有咲「まっ、たまにはそんな事もあるよな。気にしない気にしない。」
ゆり「有咲ちゃんも言うようになったねぇ。」
そして薫の周りにみんなが集まる。
中沙綾「後方支援は任せてください、薫さん。」
あこ「そうだよ!どんなに手強い敵でも安心してあこに任せて!」
薫「…感謝するよ、みんな。……一緒に戦ってくれ。」
友希那「もちろんよ。」
紗夜「……湊さんがチームプレイを説くなんて…。」
友希那「…自分でも不思議に思うわ。」
薫を中心として陣形を組み直した勇者たちは残りのバーテックスの殲滅を再開するのだった。
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大方のバーテックスを殲滅し終えた頃--
蘭「何あれ…!デカイ……!」
燐子「あんなに大きなバーテックスが今まで潜んでいたんですか…。」
出てきたのは"水瓶型"なのだが、今までの"水瓶型"と比べて大きさが2倍以上もあるのである。"水瓶型"は巨大な水球を飛ばしてくる。更に地面に着弾した水球は弾けて大きな波を作り出す。
ゆり「みんな!波に飲まれないように気をつけて!」
薫「どんな奴だろうと…海を穢す物は許さないよ…。」
薫がまた頭に血が昇ったと思った友希那は止めようとするが、
香澄「待って、友希那さん!」
友希那「戸山さん?」
香澄が友希那を制止した。
香澄「薫さんも、ちゃんと解ってるから大丈夫です。」
友希那「……そうね。」
友希那には薫の目をみれば、冷静だという事が十分に理解出来た。
美咲「とはいえ、せっかくだからトドメは薫さんに任せましょうか。」
蘭「そうだね。大切なものを守りたい気持ちは、私も痛いほど良く分かるから。」
中沙綾「それじゃあ、沙綾ちゃん、美咲、りみりん後方支援行くよ!」
沙綾の掛け声とともに、銃撃、矢、槍、ワイヤーの四重奏が"水瓶型"に炸裂する。すかさず"水瓶型"も水球を連発して放つが、
ゆり「一刀両断!!」
ゆりが大剣を巨大化させ、水球をまとめて横一閃に薙いだ。
ゆり「今よ!!薫!!!」
薫「みんな……礼を言うよ。"水虎"!!」
薫は"水虎"を憑依させ、渾身の一撃で"水瓶型"を薙ぎ倒した。
薫「これで終わりだよ…暖流蒼打!!」
ヌンチャクの一撃で"水瓶型"は光となって消えていき、同時に樹海化も収まり元の世界に戻っていく--
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浜辺--
ゆり「さぁ!無事にバーテックスも撃退した事だし、今から海を堪能するよー!」
りみ「さっきまで戦ってたのに、なんだかお姉ちゃん凄く元気だね。」
ゆり「だってうどん食べたから。」
有咲「そりゃあれだけ食べれば元気になるよ…。店のうどん売り切れだってよ。」
美咲「あれ?薫さんは?それにあこと夏希もいないけど。」
リサ「ああ。薫は戦闘が終わってすぐまた海に行って、2人もついて行っちゃったよ。」
友希那「そう言えば、燐子もいないわね。」
小沙綾「燐子さんもあこさんと一緒に海へ行ってます。」
今の勇者部には集団行動のしの字も見当たらなかった。
高嶋「私達も行こう、戸山ちゃん!」
香澄「だね!早く着替えて遊ぼう!みんなも行こう、競争だよ!」
有咲「競争か。だったら負けらんないな!」
中たえ「競争だー!!」
小たえ「待て待てー!!」
香澄達につられて有咲、たえ達も更衣室へと移動する。
中沙綾「あははっ、香澄ったらしょうがないなぁ。」
紗夜「あのノリには着いて行けませんね。」
高嶋「紗夜ちゃーーん、早く早くー!!」
紗夜「あっ、い、今行きます!」
香澄達に呼ばれ沙綾と紗夜も移動を始める。
りみ「……みんな行っちゃったね。」
ゆり「私達も行こっか。」
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数分後、水着に着替えた香澄達がやって来る。
香澄「やっほーーーっ!みんな、海だよーーー!!」
高嶋「んーーー!冷たくて気持ち良いねー!」
香澄達は2人でお揃いの水着を購入していた。側から見ると、どっちがどっちだか見分けがつかないほどである。
中沙綾「香澄、そんなにはしゃがないの。」
高嶋「どう、紗夜ちゃん?初めての海水浴は。」
紗夜「ええ。こうしてみんなとはしゃぐのも悪くはないですね。」
紗夜は笑いながら答えた。
香澄「よーし、高嶋ちゃん!どっちが先にさーやか紗夜さんの好きなものを取ってこれるか競争だよ!」
高嶋「前に言ってたゲームだね。負けないよー!!」
中沙綾「気をつけてね。」
紗夜「負けないでください、高嶋さん。」
初夏の青空の下、勇者--
いや、少女達の笑顔が海いっぱいに広がった海水浴なのであった。