戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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お祭りの話前編です。


町でチョコバナナとか売ってると、たまに食べたくなりますよね。




神樹の記憶~神社防衛線~

 

 

勇者部部室--

 

ゆり「みんな聞いて勇者部に大きな依頼が来たんだよ!」

 

ゆりは開口一番笑顔で話し出す。

 

中沙綾「どんな依頼なんですか?」

 

ゆり「神社でやる夏祭りの手伝いだよ。」

 

香澄「もうそんな季節なんですね。」

 

有咲「具体的には何をするんだ?」

 

ゆりはみんなに内容の説明を始めた。どうやら盆踊り用のやぐらを組んだり、屋台を作ったりする事を手伝うらしい。

 

紗夜「それを私達がやるんですか…?」

 

燐子「これは…重労働になりそうです……。」

 

あこ「でも困ってるからお願いしてきたんだよね?」

 

夏希「そうですよ!手伝ってあげましょう!」

 

友希那「そうね。困っている人を助ける事も、私達勇者の大切な務めよ。」

 

小沙綾「ですが、経験の無い私達でも大丈夫ですかね…。」

 

薫「かえって邪魔になったりはしないだろうか?」

 

思いの外重労働な内容な為、みんなから不安の声も上がってきていた。だが、ゆりはこんな風になる事は想定済みだったのである。ここでゆりは切り札を切った。

 

ゆり「でも、これを聞いたらやる気が出るかもよ?なんとね……!この依頼の達成報酬として、勇者部全員にお祭りで使える屋台無料券が貰えるんだよ!」

 

あこ「いやったぁー!屋台で食べ放題だよ!」

 

高嶋「凄い凄い!無料券だって!紗夜ちゃん、お祭りで遊び放題だよ!」

 

紗夜「高嶋さん、そんなに嬉しそうに…。分かりました。私も出来るだけ頑張ります。」

 

夏希「楽しみだなぁ。リンゴ飴にチョコバナナ…焼きそばも外せないよ。」

 

ゆり「まぁ、そう慌てないで。まずは各自の役割分担を決めないとね。まずは、屋台に使う鉄パイプなんかを運んでくるのを何人かにお願いしたいんだけど……。」

 

薫「運ぶのなら任せてくれ。」

 

美咲「私も手伝います。」

 

あこ「あこも手伝います!」

 

ゆり「りょーかい、頼んだね。次は、やぐら。これは足場を組んだり、電球を吊ったりだね。」

 

蘭「じゃあ、それは私が。」

 

夏希「私もやります!」

 

友希那「私も手伝うわ。紗夜と燐子は電球の方を任せていいかしら?」

 

紗夜「分かりました。」

 

燐子「奇麗に出来るよう…頑張ります。」

 

ゆり「それと、巫女さんたちには他に頼みたい仕事が別にあるんだ。」

 

モカ「巫女限定ですかー?」

 

ゆり「そう。神社から、お清めの神事の手伝いも頼まれてるんだ。お願いできるかな?」

 

リサ「勿論、りょーかいだよ。」

 

ゆり「じゃあ、2人は巫女装束っていうの?あれを着て当日……そうだ、沙綾ちゃん。」

 

中沙綾「なんですか?」

 

ゆり「そういえば、沙綾ちゃんも巫女の素養があるって話だったけど、一緒にやってみる?」

 

沙綾は勇者と巫女、両方の素養を持っているただ一人の人物。故に神託もある程度受け取る事が可能であり、"カガミブネ"も起動する事が出来る。

 

中沙綾「でも、私は正式な巫女じゃ無いですよ…。」

 

香澄「さーやの巫女服!?私それ、すっごく見てみたいな!」

 

中沙綾「香澄……分かりました。やってみます。」

 

こうして各々分担が決まり、夏祭り会場である神社へと移動を開始した。

 

 

---

 

 

神社--

 

薫「これが、この世界の神社……儚い。」

 

りみ「神社の方々は、もう少ししたら来られるそうなので、それまでここで待ちましょう。」

 

蘭「空気が気持ちいいね。神社でお祭りなんてまさに"平和"って感じ。」

 

モカ「本当だね…。静かだよ…。」

 

蘭「神社は本来、こうあるべきなんだよね。」

 

高嶋「ん~?本来ってどういう事?」

 

蘭「諏訪の神社は、こんなに安らげる環境じゃなかったんだ。」

 

モカ「ここだと、バーテックスが攻めてくると樹海で戦えるけど、諏訪では神社が攻撃されてたからね…。」

 

りみ「そうだったんですね…。」

 

蘭「神社が結界の要の一つになってたからね。だから私は、いつも神社で戦ってた…。」

 

 

 

脳裏に映るのは諏訪での日々--

 

 

 

神社を見ると思い出す諏訪での戦い--

 

 

 

この世界はそんな蘭達からすれば平和な世界なのであった。

 

モカ「張り詰めた空気の神社しか私と蘭の記憶にはない……。」

 

高嶋「そっか…。諏訪では神社が神樹様の代わりみたいな感じだったんだね。」

 

中たえ「でも私達の世界だって、こうやって神社で神事をするのは神樹様の御力を高めるとか、そういう意味もあるんだ。」

 

中沙綾「そうだね。だから、神社が大切な守るべき場所なのは、ここでも変わらないよ。」

 

蘭「……そう聞いたら、何だかやる気が出てきた。このお祭り、絶対に成功させよう。」

 

モカ「…そうだね、蘭。」

 

香澄「神社でお祭りをすると、神樹様がパワーアップするなんて知らなかったよ。ね?有咲。」

 

有咲「知ってて当然の事だぞ。」

 

香澄「えっ、本当!?」

 

有咲「いや、前にも言ってただろ…。だけど、まぁ、敵にとってはこんなイベントは許し難い事だよな。」

 

香澄「どうして?」

 

有咲「だって、神樹様の力が高まったら困るだろ。もし私だったら、全力で邪魔しにかかるし。」

 

ゆり「ちょっと有咲ちゃん、妙なフラグを立てないの!縁起でもな……。」

 

その瞬間、端末から樹海化警報のアラームが鳴りだす。

 

有咲「あ………。」

 

ゆり「高速フラグ回収……。みんな戦闘準備だよ!」

 

 

---

 

 

樹海--

 

燐子「……な、何でしょう…これ。」

 

夏希「ああもう!倒しても倒してもどんどん出てくるよ!」

 

勇者達が戦っている相手は、無数の"飛行型"のバーテックス。攻撃の手を緩めない勇者達だったが、バーテックスの数が一向に減らなかった。

 

小沙綾「気を付けてください!全方向から来てます!」

 

りみ「なんだかいつもより、敵の数が多すぎるような…。」

 

紗夜「どれだけ来ようとも、全部倒すだけです。」

 

あこ「ですけど、これじゃあキリが無いですよ!」

 

ゆりは沙綾に状況分析を頼んだ。

 

中沙綾「この陣形…神社の本殿を狙ってる……?やっぱり有咲の言った通り…。」

 

有咲「っ!?」

 

中沙綾「お祭りを穢して、神樹様の充電を阻止するのが敵の目的みたいです。」

 

友希那「……それは神託なの?」

 

中沙綾「………はい。」

 

今回、敵は圧倒的物量で神社を攻め落とそうといった単純な作戦に打って出ていたのだった。

 

美咲「なるほど。道理で気合入ってるんだね。向こうにとって、この土地は最重要地点ですし。」

 

蘭「どうあっても、神樹様の御力を高めさせない気だね……。」

 

友希那「バーテックスの狙いは分かったわ。なら、私達は迎え撃つだけよ!」

 

友希那の発破で勇者達も気合が入る。

 

あこ「バーテックスの好きにはさせないよ!お祭りの邪魔はさせない!」

 

夏希「チョコバナナの為に!」

 

小たえ「綿あめの為に!」

 

小沙綾「私は…神樹様の為に!」

 

中沙綾「沙綾ちゃん…。お祭りでは、一緒に射的をしようね。」

 

小沙綾「あっ……はい!」

 

高嶋「紗夜ちゃん、これが終わったら私達も一緒に金魚すくいしよーね!」

 

紗夜「高嶋さん…。ええ……。私、すくいます!金魚を!」

 

燐子(…何か間違ってる気がしますけど…氷川さんから凄い闘気が…。)

 

ゆり「全員広がって防衛線を敷いて!そして、全ての敵を殲滅するよ!」

 

蘭「了解。何としてでもこの世界の神社は守って見せる…!」

 

蘭が全員より一歩前へ出る。

 

ゆり「蘭ちゃん!?」

 

蘭「私が一歩前で防衛線を張ります!みんなは私が打ち漏らしたのをお願い!」

 

友希那「美竹さん…だ…。」

 

"大丈夫なの?"そう友希那が言おうとした時、蘭はまっすぐ友希那の目を見つめた。

 

友希那「………そう、分かったわ。全員美竹さんの援護に回るわよ!!」

 

蘭の覚悟を受け取った友希那は全員に指示を出す。

 

蘭(湊さん…。ありがとうございます。)

 

蘭「行くよ"覚"!!」

 

蘭は"覚"を自らに憑依させる。

 

蘭(感じる……バーテックスの敵意が…。感じる……みんなの声援が…!)

 

蘭「この世界を諏訪の様にはさせないよ!!」

 

蘭の想いに答えるかの様に、武器である鞭が伸び攻撃の範囲が拡大する。次々と"飛行型"潰していく蘭。多少の打ち漏らしも出てしまっているが、仲間達がカバーしてくれている。

 

蘭(安心できる。仲間がいる事ってこんなにも頼もしい事なんだね…。)

 

高嶋「蘭ちゃん、笑ってる……。」

 

あこ「戦いが楽しいからですかね?」

 

友希那「違うわ…。さぁ、2人も集中して。」

 

高嶋・あこ「「はい!」」

 

友希那には他人の心を読む事はもちろん出来ないが、今だけは蘭の気持ちが分かるようだった。

 

友希那(美竹さん……私も同じ気持ちよ…。)

 

 

--

 

 

粗方の"飛行型"を殲滅し終えた矢先だった--

 

小沙綾「っ!?1時の方向から敵影確認!"大型"が来ます!」

 

小たえ「うわぁ…。」

 

夏希「おたえ、口開けて見てる場合じゃないよ。」

 

美咲「あらら…遂にデッカイのが来ちゃいましたか。」

 

紗夜「ラスボスのお出ましですね。」

 

燐子「"飛行型"だけでは目的が果たせないと考えたからでしょうか…?」

 

有咲「上等だ。あれを倒せば一旦は侵攻が止まるって事だよな。」

 

中沙綾「待って!!」

 

沙綾は何かを発見する。それは"大型"が接近しながら"飛行型"を生み出している姿だった。

 

友希那「何ですって!?」

 

そしてその"飛行型"は上空から勇者達の足場に何かを落としていった。

 

りみ「何かが降ってくる!」

 

香澄「これは…ボール?」

 

香澄は落とされたボールを触ろうとする。

 

ゆり「香澄ちゃん!不用意に触っちゃ…….。」

 

次の瞬間、そのボールから煙が大量に発生したのである。

 

香澄「わあっ!ケホッケホッ!な、なんか煙みたいなのが!」

 

あこ「うわああ!目がっ、目がぁーーーっ!ゲホッゲホッ!喉もーー!」

 

香澄とあこがその煙を吸い込んでしまった。

 

友希那「戸山さん!あこ!…毒ガスね。姑息な手を使うじゃない…。」

 

紗夜「ラスボス登場と見せかけての奇襲攻撃…。」

 

中沙綾「香澄、香澄!しっかりして!大丈夫!?」

 

香澄「ケホッケホッ、らいじょう…ぶ……。」

 

困惑している勇者達の隙を突いて"飛行型"が一気に進撃を開始する。

 

小沙綾「ひ、"飛行型"が防衛線を突破しそうです!」

 

薫「くっ…"大型"が邪魔を。だけど、ここで手間取ってる暇は無いね…。私が行くよ!」

 

そう言って薫が"大型"と対峙する。

 

ゆり「りみ!ワイヤーでネットを作って"飛行型"の群れを食い止めて!」

 

幸い"飛行型"の数は多くはなかった。りみのワイヤーでも十分に対処が可能である。

 

りみ「分かった!」

 

中沙綾「りみりんと燐子さん、美咲と小学生組は"飛行型"に対応!その他は"大型"へ!」

 

美咲「オッケー。」

 

燐子「食い止めます…!」

 

蘭「大も小も、同時進行で掃討するよ!!はぁああーーーーっ!!」

 

蘭は"覚"を一旦解除し、"大型"攻撃を開始する。

 

中沙綾「援護するよ!」

 

香澄「ケホッケホッ…ど、毒ガスなんかに…負けるもんかーーーーー!!」

 

香澄は根性で体を動かし"大型"へと立ち向かっていく。夏祭りを無事に成功させる為、勇者達の反撃が始まった。

 

 

 

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