お祭りのお話、後編です。
別のサイトでは少し先まで話が進んでいるので、良かったら読んでみてください。
神社--
リサ「みんなお疲れー。お陰で敵を退ける事が出来たよ。」
美咲「何とかなって良かった。」
中沙綾「香澄、香澄はどこ!?」
毒ガスを吸ってしまった香澄を気遣い、慌てる沙綾。
香澄「ここだよー。大丈夫…ケホッケホッ。」
中たえ「まだダメみたいだね。」
中沙綾「目が真っ赤だよ!今洗ってあげるから!」
有咲「ったく…。落ちてる物に触るなって教わらなかったのか?」
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神社、境内--
みんなは神社の無事を確認しに見回りをしていたが、ちらほらと木が枯れているのを発見する。
蘭「無傷で守りきる事は出来なかったみたいだね…。」
モカ「多少の神域も影響受けちゃったけど、…でも、蘭は頑張ったよ。」
リサ「そうだよ。それに、このくらいの穢れだったら巫女のお清めで祓えるから。」
モカ「その為の巫女だからね。蘭たちの戦いは無駄にはしないよ。」
蘭「そっか…。良かった。」
蘭は安堵の息を漏らす。
リサ「じゃあ、お清めの準備をしようか。モカ、沙綾もこっちに来て。」
沙綾「あ…、分かりました。」
心なしか沙綾は緊張している。
ゆり「ふぅ…。それにしても、今回は危なかったね。」
薫「これまでより、敵の動きが複雑になってきているよ…。」
そんな話をしている中、リサ達の準備が整う。
香澄「わああ……。」
そこには巫女服を纏ったリサ、モカ--
そして沙綾の姿が。
リサ「……掛まくも畏き、恐み恐み白す……。」
モカ「……諸々の禍事、罪、穢れを有らむをば、祓い給へ、清め給へ……。」
中沙綾「……幸え給へと白す事を、聞こし食せと、恐み恐みも白す……。」
リサ達が祝詞を唱えると、枯れていた枝が緑色に色付いてくる。
ゆり「これが……、巫女の力…。」
香澄「さーや……綺麗。」
香澄は沙綾の荘厳な姿に見惚れてしまうのだった。
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翌日--
ゆり「さぁ、今日も準備だよ!時間が無いからキビキビ行きましょう!!」
りみ「ぅう~ん…お、重い…。」
りみは大きな荷物を運んでいるが、途中で積み荷を崩してしまう。
りみ「あぁ…やっちゃった…。こんなの変身してワイヤーで吊り上げればすぐなのに…。」
美咲「りみ…それは流石にダメだよ。」
するとそこに薫がやって来る。
薫「りみちゃん、私が手伝うよ。そっちを持ってくれないか?」
りみ「薫さん!すみません…ありがとうございます!」
燐子「でも、りみちゃんが言うのも解ります…。変身していなければ、私達は他の人と何も変わらないんですから…。」
小沙綾「そうですね…。いくら身体能力が他の人より高いと言っても、変身している時だけですから。」
あこ「何言ってるの、2人とも!日頃から鍛えてるでしょ?そぉれーーー!」
あこは祭用の備品を持ち上げてみせた。
小たえ「あこ先輩、百万馬力だ!」
夏希「そういうおたえは、何を運んでるの?」
小たえ「松ぼっくりだよ。いっぱい落ちてたんだ。」
たえは夏希に両手いっぱいの松ぼっくりを見せつける。
夏希「お、おたえぇーー!」
紗夜「怒ったら負けですよ…。」
蘭「誰か、釘取ってくれない?」
高嶋「はいこれ。」
蘭「ありがとう。」
蘭は一生懸命に祭りの準備を進めている。よっぽどこの祭りが楽しみなのだろう。
友希那「上手いわね、美竹さん。」
高嶋「慣れた手付きがカッコイイ!」
蘭「大袈裟だよ。諏訪じゃ一応出来る事はなんでもやってたから。」
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香澄「あれ?ねぇ、さーや。この、暖簾みたいなの裏返しじゃない?」
中沙綾「これで良いんだよ。昔の日本じゃ横書きの時、右から左に書いてたんだ。これはその名残だよ。」
香澄「へえー!さーや物知り!」
有咲「ちょっと、おたえ。何運んでんだ?」
中たえ「これ?松ぼっくりだよ。欲しい?」
こちらのたえも両手いっぱいの松ぼっくりを有咲に見せつける。
有咲「ちゃんと準備しろーーーー!!」
紗夜「怒ったら負けです…。」
ゆり「うんうん、なんだかんだあったけど何とか間に合いそうだね。」
香澄「あともう少しですね!よーし、お祭りの為に頑張るぞーー!」
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神社、境内--
友希那「これで8割方は完成ね。」
リサ「少し休憩したら、友希那。」
友希那「そうね。」
リサは友希那にタオルを手渡す。
友希那「ありがとう。」
リサ「後、はい。これお茶ね。」
友希那「リサは気が利くわね。」
リサ「まあね。」
友希那はお茶を一口飲み、
友希那「……祭りを穢す為の襲撃は、先日の一件で終わりだと思う?」
リサ「そうだね…。特に神託は無いけど、神託が来ないっていう訳でもないしね…。」
中たえ「敵も、何も考えてないって事は無いと思うよ。」
唐突にたえが話に割り込んできた。
中たえ「あの戦いで、向こうに気付かれたかもしれない。巫女の力を。」
友希那「どういう事かしら?」
中たえ「少し穢したくらいじゃ巫女が元に戻すんだって事に気付かれたかも。」
リサ「つまり…、私やモカが狙われるって事?」
友希那「不吉な事を言わないでちょうだい。バーテックスにそこまでの知能があるとは思えない。」
中たえ「……。御先祖様、これは可能性の話だよ。でもね、リサさん?」
リサ「何?」
中たえ「出来れば…、勇者から離れないでね。」
リサ「……。」
そう言い残したえは去っていった。
友希那「花園さん…どういうつもりなのかしら?私の子孫ながら、思考が読めないわ。」
リサ「友希那…。」
友希那「心配しないで、リサ。何があっても、リサは私が守るから。」
リサ「…ありがとう。」
中たえ(…バーテックスにそこまでの知能は無い…か。)
たえは身をもって知っていた。バーテックスの恐ろしさを。
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神社入口--
入り口ではまだ準備の真っ最中である。
モカ「蘭ー。もう少し右だよ。」
蘭「これ…くらい…?」
モカ「オッケー。その辺りで固定して。」
蘭と一緒に作業しているモカの元へリサがやって来る。
リサ「モカ、ちょっと話があるんだけど…一緒に来てくれる?」
モカ「分かりました。蘭ー、ちょっと行ってくるねー。」
蘭「分かった。」
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神社、境内--
リサはモカにたえに言われた事を説明する。
モカ「敵が私達を狙う?…何かの冗談じゃ…。」
リサ「そうとも限らないよ…。この世界の結界は簡易的な物が結構多く見られる…。それはつまり…。その気になりさえすれば、互いにいつでも踏み越えられる状態だって思わない?」
モカ「そう言われれば確かに…。この神社も未開放地域がすぐ裏手にありますね…。」
リサ「これまでは、こっちの力を伺って敵が牽制をかけてただけなのかも…。」
モカ「それじゃあ先日のは前哨戦だったって事ですか?」
リサ「分からない。単なる取り越し苦労かもしれない。」
モカ「きっとそうですよ。あれから何の神託も無いんですから。それに敵が結界を踏み越えれば、すぐに警報が鳴る筈です。」
だがリサの不安は消えなかった。
リサ「だけど、離れた所の結界に侵入されたら、警報が鳴っても間に合うけど…近くのラインを越えられたら…。」
そんな時だった--
リサ・モカ「っ!?」
2人が敵の気配に反応するも、バーテックスは2人のすぐ目の前まで迫っていたのである。
リサ「きゃあ!!」
リサの叫び声に友希那と蘭がすぐさま駆けつける。
リサ「友希那!」
モカ「蘭!」
蘭「もしかしてと思って待機しておいて良かったよ。」
友希那「下がって、リサ。あなたは絶対に穢させないから。」
2人は巫女達を後ろへ下がらせ、攻撃をしかける。
友希那・蘭「「はあぁぁぁぁぁっ!!」
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樹海--
友希那「…囲まれたようね。」
蘭「湊さん、何か良いアイデアありませんか?」
樹海へと逃げたバーテックスを追っていた2人は待ち構えていた他のバーテックスに囲まれていた。
友希那「そ、そうね…。」
考えている途中、何者かがバーテックスを遠距離から打ち倒し、2人は危機を脱する。
友希那・蘭「「えっ!?」」
中沙綾「取り敢えず乱射してみましたが、大丈夫でしたか?」
ゆり「2人とも無事?」
りみ「遅くなりました!」
沙綾を先頭に、勇者が集まってくる。
ゆり「ギリギリまで結界に引っ掛からない位置取りで近距離から侵入なんて、やってくれるね。」
友希那「花園さんの予想通りだったわね…。戦う力の無い人を襲うのは許せないわ!」
中沙綾「巫女を狙うんだったら、私の所に来てくれれば良かったのに。」
高嶋「でも、敵の狙いが解ったから大丈夫。2人には私達がついてる!」
香澄「そうそう。こんなに勇者がいるんだもん。絶対に守りきるよ!」
中沙綾「………。」
沙綾はそわそわしている。
有咲「…沙綾。今「私は?」って思っただろ。」
中沙綾「えっ…?」
紗夜「解ります…。」
りみ「わ、解るんですね…。」
樹海を勇者達の笑いが包み込んだ。
友希那「…。お陰で肩の力が抜けたわね。さあ、美竹さん。ここからが勝負よ。」
蘭「もちろんです。バーテックスに、巫女を狙うとどうなるかを思い知らせる!」
友希那「みんな!今日という今日は、徹底的に敵を打ち倒すわよ!!」
全員「「「おおーーーーーっ!!!」」」
幸いな事に厄介なバーテックスは1体も出てきていなかった。勇者たちは怒涛の攻めを見せ、バーテックス達を一掃する事に成功する。そしてバーテックス達は学習する事となる--
巫女に手を出すとヤバい事になるという事に。
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お祭り当日--
ゆり「やっと無事にお祭りの日を迎える事が出来たよ。」
りみ「まさか、2回も襲撃されるとは思わなかったね。」
香澄「でも、もう大丈夫だよ。あれだけ思いっ切り倒したんだから。」
高嶋「なんか逆にバーテックスがかわいそうになるぐらいだったね…。」
そこに巫女達2人がやって来る。
リサ「みんな、今回はごめんね。」
モカ「戦う力さえあればねー。」
蘭「何言ってるの、モカ。そうしたら私のやる事無くなるでしょ。」
友希那「そうね。戦う事が勇者の役目。巫女は巫女で、他にやる事があるでしょう?」
小沙綾「それに、何度敵が来ても、今回みたいに倒しちゃえば良いだけですから。」
夏希「良い事言うね、沙綾。」
あこ「ところでゆりさん。もう仕事は全部終わったんですよね?」
ゆり「そうだね。みんなご苦労様。見ての通り、勇者部任務完了だよ!」
小たえ「やったぁ!」
あこ「じゃあもう、遊んでも良いんですよね?たこ焼き買っても良いんですよね?」
燐子「あこちゃん…ヨダレが…。」
美咲「さっきから良い匂いしてるもんね。お腹空いてきちゃった。」
ゆり「まだ慌てないで。今から報酬のタダ券を配るよ。」
紗夜「あの…、その券があれば金魚すくいも…?」
ゆり「勿論。何だって出来るよ!」
高嶋「良かったね、紗夜ちゃん!」
紗夜「私、高嶋さんの為に…沢山すくいます。金魚…。」
ゆりはみんなにお祭りのタダ券を配る。
香澄「やったぁ!!」
中沙綾「良かったね、香澄。一緒に屋台巡ろっか。」
ゆり「あっ、そうだ。沙綾ちゃんは射的禁止だよ。」
中沙綾「え?どうしてですか?」
沙綾はかつてたえと行った祭りで射的をした際、景品を根こそぎゲットした事があり、その為商売にならないと苦情が来てしまっていたのである。
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小沙綾「あ、あの…、気を落とさないでください…。」
自分で自分を慰める光景はシュール以外の何物でもない。
燐子「山吹さんのそんな顔、初めて見ました…。」
香澄「元気出して、さーや!成せば大抵なんとかなるよ!」
紗夜「そうです。景品が無理なら金魚を撃てば良いんです。」
りみ「だ、ダメですよ…。そんなどこかの女王様みたいな事言わないでください!」
ゆり「じゃあ、ここからは自由行動。今日の任務はみんなお祭りを満喫する事だよ!」
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神社、屋台--
神社には様々な屋台が立ち並び、香しい匂いが辺りを包んでいた。
香澄「ふむふむ。ここに牛串屋さん、あっちに焼きイカ・その隣がソース煎餅…と。あれ?…高嶋ちゃん?」
高嶋「あ、戸山ちゃん。1人でどうしたの?」
香澄「うん、屋台の下見してたんだ。さーやがちょっと忙し…ん!?」
香澄がまじまじと高嶋の顔を見つめはじめる。
高嶋「ど、どうしたの?私の顔に何かついてる?」
香澄「ねえ、高嶋ちゃん!良い事思いついたからちょっと私と一緒に来て!」
高嶋「えっ、どこ行くの!?私これから、紗夜ちゃんと待ち合わせが!」
香澄は高嶋を強引に連れて行ってしまった。
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神社、境内--
境内では紗夜が高嶋を待っていた。
紗夜「高嶋さん……どこでしょう?時間は間違いない筈ですが…。」
高嶋が時間通りになっても来ない事に不安を覚えていた。
紗夜「もしかして…みんなと遊びに行って私との約束を忘れてしまったのでしょうか…?」
そんな時だった。
高嶋「紗ー夜ちゃん!」
紗夜の目の前に浴衣を着た高嶋香澄が立っていたのである。
紗夜「あ…あぁ……ま、眩しい…です。」
高嶋「えへへ。」
紗夜「た、高嶋さん…!来てくれたんですね。」
高嶋「約束したでしょ?遅れちゃってごめんね!」
紗夜「いえ…。それよりも…その浴衣は…?」
高嶋「戸山ちゃんが貸してくれたんだ!着付けは沙綾ちゃんが。」
紗夜「そうだったんですね…。それより、お腹…空いてませんか?」
高嶋「もうペッコペコだよ!みんなが言ってた物みんな食べちゃいたいくらい!」
紗夜「ふふっ…。私もです。高嶋さん…あのっ!」
高嶋「ん?どうしたの?」
紗夜「浴衣……とても似合ってますよ。」
高嶋「ありがと!紗夜ちゃん!!」
高嶋の笑顔は紗夜にとって何よりも明るく自分を照らすものだった。2人はこのお祭りを心行くまで楽しんでいったのである。