いかんせん1月前なのは気になさらないでください。
7月の14日の事--
スマホから聞いた事のない音が鳴り響く。
ゆり「うわっ!スマホからこんな音初めてだよ。"緊急招集"…?何だろう?」
ゆりは駆け足で部室へと向かった。
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勇者部部室--
ゆりが駆けつけると部室には1人を除いた全員が集まっていた。
ゆり「みんな揃ってる!?」
友希那「ゆりさん。この警報は一体何かしら?みんな驚いているわ。説明をお願い。」
ゆり「私にも分からないんだ…。リサちゃん達は何か知らない?」
リサ「ううん…。スマホにこんな機能がある事自体知らなかったよ。」
モカ「神託も無いし、大赦からは何も聞いてないよ。何かの誤作動とか?」
巫女も知らないと言う中、沙綾が話し出す。
中沙綾「それについては、私から説明します。」
りみ「沙綾ちゃんは何か知ってるの?」
沙綾は頷き、神妙な面持ちで話し出す。
中沙綾「ただ今から、緊急会議を開催します。」
燐子「緊急…。山吹さんがそう言うからには、何か余程大変な事が…。」
その瞬間、ゆりは全てを察した。
ゆり「……あっ、今何月何日だっけ…7月14日かぁ。やっぱりね……。」
中沙綾「今日7月14日は、戸山香澄の誕生日です!」
全員「「「……はぁ。………え?」」」
部室を静寂が包み込む。
あこ「びっくりさせないでよー!!その為にこんな大袈裟な警報鳴らしたの!?」
中沙綾「そうだよ。これは、何においても話し合うべき事だから。」
中たえ「香澄の誕生日は沙綾にとって大事だもんね。」
リサ「確かに。大切な人の誕生日は大事だよ。」
美咲「いやいや、だからってそこまでする?これって、スマホどうなってるの?」
中沙綾「香澄以外のスマホをハッキングさせてもらったよ。」
夏希「ハ、ハッキング!?それって、犯罪なんじゃ…。」
中沙綾「大丈夫だよ、夏希。これは超法規的措置だから。」
有咲「んな訳あるかぁぁぁ!!」
ゆり「あはは…。香澄ちゃんの事となると、暴走しちゃうからね…。」
紗夜「くっ…。その行動力の半分でも私にあれば……。」
高嶋「成る程!戸山ちゃんの誕生日だから、ここに本人が来てないんだね?」
ここに来ていない人物、それは戸山香澄本人だったのである。
薫「香澄ちゃんには普段からお世話になってるからね…。勿論協力するよ。」
友希那「その事自体に異論は無いわ。」
蘭「私も。」
中沙綾「賛同を得られたという事で、早速相談していきたいと思います。」
かくして、香澄には内緒の誕生日会議が始まった。
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ゆり「それじゃあ、具体的に何するかを考えよう。」
夏希「サプライズパーティーとかですか?」
高嶋「プレゼントは何が良いんだろう?」
りみ「香澄ちゃんは何でも喜んでくれそうだよね。」
リサ「それに、何よりもみんなと仲良くする事を望んでるもんね。」
友希那「そうね。変に凝った物を贈るより、却っていつものパーティの方が良いんじゃない?」
しかし、沙綾はそれを却下する。
中沙綾「何か特別な事をしてあげたいんです。香澄の誕生日だから!」
夏希「じゃあ、いつも通りだけど、ちょっと変えて香澄さん用にアレンジしたパーティはどう?」
中沙綾「うん!それは良い考えだよ、夏希。」
あこ「けど、それはつまりどういう事?」
紗夜「海野さん、意見を出したという事は、戸山さん用にどうするのか、考えているんですか?」
夏希「えっ?いや…そこまでは全然。」
モカ「何でも喜ぶ人を喜ばせるのは大変ですな。」
みんなが考え込む中、有咲がある提案をする。
有咲「…なあ、私にひとつ考えがあるんだけど。」
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樹海--
ゆり「まさかまたやる事になるなんてねぇ。」
有咲が提案したのは、ある所に招待したいからという事。その為には未解放地域を開放する必要があるのである。かつて小学生組に蛍を見せた時と同じ事だ。
中たえ「解放地域が広がって、無理に進まなくても良くなったからね。」
小沙綾「それでも未解放地域が必要なら、私達で解放しないと。」
美咲「でも神託も無いのに勝手に解放して良いんだっけ?」
中沙綾「神託で動かないと、敵に取り返される危険はあるけど、自発的な解放自体に問題は無いよ。」
薫「取られたら、また神託があった時に解放すれば良いんだよ。」
あこ「それより、よくこんな事思いついたね。」
高嶋「本当だよね。戸山ちゃんの事、解ってるって感じ!」
りみ「長い付き合いだもんね。」
紗夜「最近知り合った私達では、到底思いつかない案です。」
みんなが有咲に関心している。
有咲「それほどでも無いよ。完成型勇者はアイデア出しもチョロいもんだ。」
中沙綾「有咲、良い案出してくれてありがと。」
有咲「な、何だよ急に…。たまたま思い付いただけだし…。」
中沙綾「それでも助かったよ。ありがとう。」
有咲「ちょまっ…!?べ、別に沙綾の為じゃないんだからな!」
顔を真っ赤にしながら有咲は答えた。
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その頃、勇者部部室では--
リサ「香澄、お茶が入ったよ。」
香澄「ありがとう、リサさん。でも、みんな何処に行っちゃったんだろう?」
モカ「あー…ゲームでもやらない?紗夜さんがいくつか貸してくれたからさ。」
香澄「ありがとう!じゃあせっかくだから少しだけやろうかな。」
香澄はモカに勧められてゲームを始める。巫女達2人は今、他のみんなが未解放地域を解放している間、香澄を足止めしようと何とか時間を稼いでいるのである。
モカ「リサさん。もうそろそろ限界かもですよ。」
リサ「頑張って。樹海で戦ってるみんなの為にも、踏ん張るよ。」
モカ「そもそも、どうして香澄の端末だけ警報が鳴らなかったんですかね?」
それもその筈、香澄の端末だけ沙綾が再度ハッキングして警報が鳴らないよう細工していたのだ。
香澄「あー、負けちゃったよ。……さっきから2人で何話してるんですか?」
ゲームに負けてしまった香澄が戻って来た。
リサ「な、何でも無いよ!お茶のおかわりはどう?」
思わず声が上擦ってしまう。
香澄「まだ沢山入ってるから大丈夫です。」
モカ「他のゲームにする?別のソフトもあるよ?」
香澄「うーん。私ゲームの才能無いみたいです…。」
リサ「それなら、3人で世間話でもしない?」
香澄「はい…。ですけど、他のみんなは?」
さすがの香澄でも他のみんながいない事に怪しんだ。
リサ「私達だけじゃ楽しく無い?そんな…悲しい……。」
思わずリサは情に訴える作戦に切り替える。
香澄「リサさん!?すみません、そんな事無いんです!楽しいです!楽しい…ですけど…。さーやや、有咲、りみりんにおたえ、ゆり先輩やみんながいて……。一緒にワイワイしてるのが、1番楽しいんです。ですから、みんながいないと…元気が出ないんです。」
思わず漏れた香澄の本音。この言葉が香澄の全てを物語っているものだった。
リサ「……本当にみんなの事が好きなんだね。」
香澄「はい!色んな世界から来て、勇者部に入ってくれた大切な仲間ですから。みんな大好きです!」
モカ「…そんな笑顔を見てると、私まで元気になるなー。」
リサ「勇者パワーだね。香澄は勇者パワーがとても強いんだよ。」
香澄「私、ちょっとみんなを探しに行ってきます!」
香澄は駆け出そうとする。が、
リサ「あぁーーー待ってまって!お茶!お茶を入れ直すから!!」
慌ててリサがお茶を入れ直すが、
香澄「わぁっ!零れてます!拭く物拭く物!ティッシュ!布巾ーーー!!」
モカ「…みんな、早く帰ってきて。」
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樹海--
紗夜「くっ!攻撃が通りません!」
高嶋「ここの敵、すっごく強い!」
沙綾達は未解放地域解放に手こずっていた。
ゆり「さすがに、拠点からかなり離れた土地だから手強い敵が沢山いるね…。」
拠点近くの神樹から離れるほどに勇者の力は弱まり、逆に敵の拠点に近くなる程バーテックスは強くなる。沙綾たちは"防御特化型"を突破出来ないでいた。
友希那「瀬田さん!一緒に行くわよ!」
薫「ああ!」
美咲「援護します!」
3人の攻撃が炸裂する--
しかし、それすらも弾かれてしまう。
薫「中々に硬いね…。」
中沙綾「どんなに手強くても、倒さないと香澄の誕生日が出来ない…。」
沙綾は焦りからかライフルを乱射し出した。
燐子「ダメです…。全然効いていません……。」
中沙綾「バーテックスなんかに邪魔はさせない!香澄の誕生日の為に…。」
その時、頭に血が上った沙綾を夏希とたえが宥める。
夏希「こらっ!沙綾!私達仲間がいるでしょ。1人で頑張り過ぎないで!」
中沙綾「え……。」
小たえ「そうだよ、沙綾先輩。私も頑張るから。」
中沙綾「2人とも…。」
小沙綾「沙綾さん、一緒に前衛の援護をやり切りましょう。」
小学生組に諭され、落ち着きを取り戻す沙綾。
中沙綾「そうだね…。先走っちゃってごめんね。夏希、たえちゃん、敵の背後に回り込んで!」
夏希・小たえ「「りょーかい!」」
中沙綾「沙綾ちゃん、私達で敵の気を晒すよ!」
小沙綾「分かりました!」
中沙綾・小沙綾「「はぁぁぁっ!!」」
銃撃と矢の雨が"防御特化型"に降り注ぎ、意識が沙綾達に逸れる。
蘭「敵が怯んでる!」
りみ「この隙にワイヤーで…!えーーーい!!」
ワイヤーで"防御特化型"の動きが止まる。
友希那「市ヶ谷さん!大上段から行くわよ!」
有咲と友希那は飛び上がる。
ゆり「各自、全方向から同時攻撃で倒すよ!」
全方向からの勇者達の攻撃に耐えきれず、"防御特化型"は光となって消滅していったのだった。
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とある草原--
解放完了の知らせを受け、リサとモカは香澄を指定の場所へと連れてきていた。
香澄「リサさん、ここ何処ですか?随分遠くへ来たみたいですけど。」
リサ「もうすぐ着くよ。みんな待ってるから。」
香澄「え?」
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しばらく歩き続けると、3人は色とりどりの花が咲いている公園へと辿り着いた。
ゆり「待ってたよ、香澄ちゃん。」
公園では勇者部全員が集まっていた。
香澄「ゆり先輩!みんなも!今まで何処で何してたんですか?」
高嶋「戸山ちゃんの為に花のテーマパークを解放しに行ってたんだよ!」
有咲はこの公園に連れて行く為に、公園周辺の未解放地域を解放する提案を出したのだ。
ゆり「香澄ちゃんの為に頑張って解放したんだよ。」
香澄「私の為ですか!?」
りみ「さあ、香澄ちゃん、どんどん進んでね。」
香澄「え、ええーー!?」
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更に少し歩くと、沙綾が待っていた。
中沙綾「香澄、誕生日おめでとう!」
沙綾の合図でみんやがクラッカーを鳴らし祝福する。
香澄「うわっ!ビックリしたぁ!誕生日、覚えててくれたんだね!」
中沙綾「当たり前だよ!1年で1番大切な日だもん。」
紗夜「山吹さんにとって…ですけどね。」
友希那「いえ…私達みんなにとって、1人1人の誕生日は大切なものよ。戸山さん、おめでとう。」
そこへ有咲が香澄に花束を渡した。
有咲「こ、これ…。この花の寄せ集め、やるよ……。」
どこかぎこちない様子の有咲。
夏希「は、花の寄せ集め…?」
中たえ「花束って言えば良いのに。」
香澄「凄い!とっても綺麗な花束だよ!すっごくすっごく嬉しいよ!!」
中沙綾「ここに連れてくる案を出したのも有咲なんだよ。」
香澄「そうなんだね!ここ本当に綺麗で最高だよ!ありがとう、有咲!」
有咲「こ、この程度でそんなに喜ぶなんて、か、香澄は頭の中まで花畑なんだな…!」
中たえ「これがツンデレ……。」
有咲「う、うっせぇーーーー!!!」
蘭「誕生日おめでとう、香澄。今日は沢山の花に囲まれて過ごしてね。」
美咲「ここには全部の季節の花が咲いてるらしいよ。」
香澄「本当に!?凄いなぁ…。さーや、一緒に回ろうよ!」
香澄は沙綾に手を差し出す。
中沙綾「……うん!」
沙綾は差し出された香澄の手をとった。暖かい日差しの中、2人の笑顔が輝いていた。