戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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今回は回想が多めになっています。


次回は遂にあの子の活躍が始まります。




真実の世界

 

 

ゆり「大赦を潰す!大赦は私達を騙してた!!大赦は始めから満開の後遺症を知っていた!!なのに、何も知らせないで、私達を生贄にしたんだ!何でりみが夢を失わなきゃいけないんだ!!!」

 

香澄「もし後遺症の事を知らされていても、結局私達は戦ってた筈です!世界を守る為にはそれしかなかった!だから誰も悪くない!選択肢なんて誰にも無かったんです!」

 

ゆり「それでも!!知らされてたら私はみんなを巻き込んだりしなかった!!」

 

りみ「私達の戦いはもう終わったよ。もう、これ以上失う事は無いから。」

 

ゆり「でも…。でも!私が勇者部なんて作らなければ!」

 

りみ「それは違うよ。勇者部のみんなと出会わなかったらきっと夢も持てなかった。お姉ちゃん、私は勇者部に入って本当に良かったよ。」

 

ゆり「うっ、うぅ…。うぅ、うぅ、うぁ……。うあぁぁぁぁん!うあぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

 

 

 

 

香澄、りみ、有咲が暴走したゆりを止める事に成功した少し後、結界の端の壁から煙が上がった。それと同時にスマホのアラームが鳴り響く。そこにはいつもとは違う文字。

 

 

 

--特別警戒警報--

 

 

 

 

香澄・有咲「「っ!?」」

 

土煙が上がった壁のすぐ上には人影が。

 

沙綾「これで、みんなを助ける事が出来る……。」

 

 

ーーー

ーー

 

 

沙綾(母さんが昔言っていた。私達山吹の一族も大赦で働く一族の血が流れてるとか。もしかしたら、私にも神樹様にお仕え出来る力があるかもしれない。もしそうならとても嬉しかった。)

 

沙綾(けど、私が6年生の頃交通事故に遭い、この2年程の記憶と、足の機能が失われてしまった。私が今付けているリボンは、その時腕に巻かれていた物らしい。)

 

沙綾(必死でリハビリを繰り返し、車椅子の生活に慣れてきた時…両親の都合で引っ越しが決まった。)

 

 

 

 

 

?「こんにちはー。」

 

沙綾「?」

 

?「もしかして、あなたがここの家に住むの?」

 

沙綾「え、えぇ……。」

 

香澄「じゃあ、新しいお隣さんだ。私は戸山香澄。よろしくね。」

 

沙綾「山吹沙綾です。」

 

香澄「そうだ!この辺よく分からないでしょ。何だったら案内するよ、任せて!」

 

 

ーー

ーーー

 

 

沙綾(そこで、香澄に出会った…。中学生になってからはいつも香澄と一緒にいたっけな。)

 

 

ーーー

ーー

 

 

沙綾「香澄、チアリーディング部から誘われたでしょ?入らないの?」

 

香澄「何かキラキラドキドキしないんだよなー。」

 

?「そんなあなた達にオススメの部活があります!」

 

香澄・沙綾「「?」」

 

沙綾「どちらの勧誘ですか?」

 

ゆり「私は牛込ゆり。勇者部の部長だよ。」

 

香澄・沙綾「「勇者部?」」

 

沙綾「何ですか、それ?」

 

香澄「わー凄いキラキラドキドキする響きです!」

 

沙綾「え?」

 

ゆり「でしょ。各種部活の助っ人とかボランティア活動とか。」

 

香澄「世の為人の為になる事を!」

 

ゆり「そう、神樹様の素敵な教えだよね。」

 

 

ーー

ーーー

 

 

沙綾(香澄とゆり先輩はすっかり打ち解けてたな。)

 

 

ーーー

ーー

 

 

ゆり「2人が入ってくれたお陰で勇者部の戦力は3倍になったと言っても過言では無いよ!」

 

沙綾「聞き覚えのない部活だと思ったら、1からのスタートだったとは…。」

 

ゆり「全部これからなんだよね。」

 

沙綾「あ、ゆり先輩。この間立ち上げたホームページに早速依頼が来てます。」

 

ゆり「ナイス、沙綾ちゃん。」

 

沙綾「香澄は陸上部、私は将棋部から。」

 

香澄「よし、頑張るぞー。私は勇者になる!」

 

 

 

 

 

 

ゆり「悩んだら相談っと。」

 

香澄「こういう5つの誓いみたいなの、良いですね。」

 

ゆり「何か引き締まる感じがするでしょ。」

 

沙綾「ゆり先輩、残り1つは何にしましょう。」

 

ゆり「最後だからビシッと締めたいよね。」

 

香澄「成せば大抵何とかなる……とか。」

 

ゆり・沙綾「「それに決まり!」」

 

 

ーー

ーーー

 

 

沙綾(そして、2年生になってゆり先輩の妹のりみりんが入った。)

 

 

ーーー

ーー

 

 

りみ「あっ、あの、どうも初めまして。わ、私1年の牛込りみって言います。ど、どうぞ宜しくお願いします。」

 

香澄「わー初めまして。私、戸山香澄って言います。よろしくねーりみりん。」

 

りみ「り、りみりん⁉︎」

 

香澄「あーりみりん変だったかなー。何となくりみりんって感じだったからそう呼んでみたんだけど嫌だった?」

 

りみ「ちゃ、ちゃう!あっ違う…嫌じゃないですよ。」

 

香澄「可愛いーー。確か関西弁って言うんだよね、さーや。」

 

沙綾「そうだね。西暦の時代にあった関西地方の言葉だったよね。あっ紹介が遅れたね、私は山吹沙綾。これから宜しくね。」

 

りみ「よ、宜しくお願いします。」

 

 

ーー

ーーー

 

 

沙綾(そして私達は、本当の勇者になった。)

 

 

ーーー

ーー

 

 

沙綾(勇者の御役目…攻めてくる12体のバーテックスを倒す事。私達はみんなで力を合わせて使命を果たした……。)

 

沙綾は包丁を準備し、

 

沙綾(しかし、その後に待っていたのは身体機能の欠損…。大赦を信じて、いつか治ると願っていたけど、花園さんに会って、とても大事な過去があると分かった。)

 

そして包丁を手に持ち、

 

沙綾(同時に、おぞましい真実を予感してしまった。調べていくうちに、その予感は確信に変わっていき…。)

 

自身の腹部に刃を突き立てた--

 

 

 

 

しかし、その刃は精霊が守っていて、当たる事はなかった。

 

沙綾(どの方法でも、精霊は必ず介入してくる。端末の電池が切れていても。)

 

 

ーー

ーーー

 

 

沙綾(そして、私は会いに行った。)

 

 

ーーー

ーー

 

 

羽丘中央病院--

 

たえ「やっぱり来てくれた。分かってた、この前は嬉しすぎて話が飛び飛びだったけど、今日はまとめてあるからね、沙綾。」

 

沙綾「私は2年前も勇者だった。私は、あなた達と一緒に戦い…"散華"して記憶の一部と足の機能を失った。」

 

たえ「そう正解だよ。」

 

沙綾「敵を殲滅出来る力の代償として身体の一部を供物として神樹様に捧げる勇者システム。」

 

たえ「そう、私はもっと派手にやっちゃって、今はこんな感じだけどね。大赦は身内だけじゃやっていけなくなって、勇者の素質のある人を全国で調べたんだよ。」

 

沙綾「私が事故で記憶を失ったと嘘を付いた事や引越しの場所が香澄の家の隣だった事も全部仕組まれたもの。」

 

たえ「彼女、検査で勇者の適性が1番高かったんだ。大赦も彼女が神樹様に選ばれるって分かってたんだろうね。」

 

沙綾「"満開"してからは食事の質が上がってた。」

 

たえ「大赦が手当として家に十分な援助をしているんだろうね。」

 

沙綾「思えば、合宿での料理も豪華だった。あれは労ってたんじゃなくて、祀ってたんだね、私達を。そして親達は事情を分かっていて、今も黙っている。」

 

たえ「神樹様に選ばれたのだから喜ばしい事だって納得したんだろうね。」

 

沙綾「どうして私達がこんな…!神樹様は人類の味方じゃなかったの?」

 

たえ「味方ではあるけど神様だからね。そういう面もあるよ。そもそも…、あっ。」

 

沙綾「………。」

 

たえ「落ち着いて聞いてね。」

 

沙綾「っ!?」

 

たえ「壁の外の秘密、この世界の成り立ちを教えてあげる。」

 

沙綾「えっ!?」

 

たえ「あのね……。」

 

たえの話を聞き、沙綾は驚きを隠せなかった。

 

たえ「真実は、あなたの目で確かめると良いよ。」

 

沙綾「……。」

 

たえ「どういう結論を出しても、私は味方だからね。本当は、私は今の勇者達が何かの形で暴走したら抑える役目なんだ。」

 

沙綾「抑えるって、その身体で?」

 

たえ「私の精霊の数は21体。」

 

沙綾「っ!?」

 

たえ「凄く強いんだ。戦いになったら大量の武器でドーンだよ。普段は怖がられて、手元にスマホがないから変身出来ないんだけどね。」

 

沙綾「辛い、よね…。20回も散華して…。」

 

たえ「そうだね。何も出来ないからね…。神様の身体に近付いたからって…。こんなに祀られたところで、私は…。」

 

沙綾「っ……。」

 

たえ「でも今はね、不思議と辛くないんだよ。」

 

沙綾「……。」

 

たえ「もうちょっとだけ、ここに居てくれる?」

 

沙綾「……うん。」

 

 

ーー

ーーー

 

 

沙綾(花園さんの話を聞いた私は世界の壁を目指した。)

 

 

ーーー

ーー

 

 

沙綾「壁の向こうも綺麗な景色だけど…。」

 

沙綾が前に進むと、

 

沙綾「……えっ?」

 

壁の外には何もない、燃える世界が広がっていた。

 

たえ(壁を越えれば、神樹様が見せていた幻が消えて…。真実が姿を現わすよ。)

 

沙綾「なんなの、これ…。花園さんが言った通り…これが本当の、世界…。」

 

そこは全てが燃やし尽くされた世界--

 

沙綾「あっ!?」

 

そこにいた幼生バーテックスが沙綾に気付き近付いて来た為、沙綾は武器を出し応戦する。

 

たえ(人類を滅亡させたのはウイルスじゃないんだよ。天の神様が粛清の為に遣わした生物の頂点、バーテックス。西暦の時代、世界は彼らに突然襲われた。人類に味方してくれた他の神様達は、力を合わせ一本の大樹になり四国に防御結界を張ったの。その時、神様の声を聞いたのが今の大赦。神樹様を管理してる人達。)

 

沙綾「まるで、地獄……。っ!?あれって確か香澄が倒したはずの…。えっ!?バーテックスが生まれてる!?」

 

幼生のバーテックスが無数に集まって、以前倒したはずのバーテックスが再生していたのだ。

 

沙綾「こいつらがまた次々と攻めてくるのを、私たちがまた迎え撃つの…?何回も身体の機能を失いながら…何回も……。」

 

たえ(身体が樹木のように動かなくなって、最後は、こうして祀られる。)

 

結界の中に戻った沙綾。

 

沙綾「はぁ、はぁ、はぁ……。」

 

沙綾が膝から崩れ落ちる。

 

沙綾「うぅ…うぅっ…。うぅー……っ。この苦しみをまた1つ1つ味わう!それもみんなが!?絶対、絶対ダメだよ、そんなの!どうすれば良いの…?」

 

沙綾「うぅ…考えなきゃ。考えなきゃ。みんなを助けなきゃ……。っ!あった…。たった1つだけ……。」

 

 

ーー

ーーー

 

 

 

場面は再び香澄達--

 

香澄「特別警戒警報…。こんな事初めてだよ。」

 

香澄が驚く。

 

有咲「何で敵が来るんだよ!」

 

 

 

世界が無数の色で埋め尽くされていく--

 

 

 

りみ「おかしいよ!アラームが鳴り止まないよ!」

 

世界が樹海化し、ゆりとりみは戸惑う。

 

香澄「そんな、バーテックスは全部倒したはずじゃ…。」

 

有咲「落ち着け香澄、まずは状況確認だ。」

 

有咲がスマホを開き、地図を確認する。

 

有咲「想定外の敵が来ようが、私が……っ!?なに…これ…?」

 

スマホには無数の赤い点が。それは全て幼生バーテックス。バーテックスが壁に開いた穴を通り空を埋め尽くしていく。

 

 

 

 

 

 

壁の前に立つ沙綾。

 

沙綾「私1人だけが生贄なら、まだ良かった…。」

 

勇者部みんなの顔を思い浮かべる沙綾。

 

沙綾「香澄達まで供物にするなんて……。許さない!みんなをもう苦しめない!」

 

沙綾は壁に向かって銃を構え--

 

沙綾「待ってて、香澄。みんな。神樹様を倒してしまえば、苦しみから解放される!生き地獄を味わう事も無い!」

 

強烈な一撃を発射し、壁に穴を開けた--

 

沙綾「こんな世界…私が終わらせる!!」

 

 

 

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