キーワードは……スパイ、スパイス。
神様とは気紛れなものである--
時には人を助け、時には人に試練を与える--
この出来事は神樹の気紛れにより引き起こされた不思議な体験--
勇者部を助ける事になるのか--
はたまた--
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樹海--
香澄「ひゃあ〜、今日は一段と敵の数が多いよ…。倒しても倒してもワラワラ出てくる!」
勇者部は今日も土地を解放する為に戦っている。しかし、今回はいつもに増して敵の数が多い。まるで始めて見るものを見に来た見物客かの如く--
千聖「あら?遠くの方で、星屑が団子状に固まっているけれど……どうかしたのかしら?」
戦闘の最中、千聖が遠くに星屑が密集しているのを発見した。よく目を凝らして見ると、何人かが星屑と戦っているのである。
蘭「私達以外の誰かが樹海で戦闘を……!?ゆりさんっ!」
ゆり「誰かって誰!?…考えてる暇は無いか。急いで助けに行かないと!」
勇者達は"勇者では無い何者か"が戦っている所へと向かうのだった。
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その場所では6人の制服姿の少女が星屑と戦闘をしていた。しかし、彼女たちの武器では星屑に決定打を与える事が出来ない。
?「ひゃああーーーっ!何コレーーー!?逃げても逃げても追って来るーーー!」
?「攻撃も全く通らない…!」
ピンク色のボブの少女は逃げ惑い、薄紫色のツインテールの少女は手をこまねいていた。そこへ、
香澄「勇者ぁああーーパーーーンチッ!!」
?「「「えっ!?」」」
香澄の勇者パンチが星屑に炸裂し、光となって星屑が消滅する。
有咲「よしっ!誰だか知らないけど、大丈夫か?」
有咲が手を差し伸べるのだが、
?「やっと黒幕の登場という訳……。覚悟っ!」
青い髪の少女は勇者部を敵と勘違いし攻撃を仕掛けてきたのだ。
友希那「な、何するの!?」
斬り掛かってきたところを友希那が生大刀で防ぐ。
友希那「く……っ、この気迫と隙の無さ…一体何者なの!?」
紗夜「いきなり斬り掛かるなんてどういうつもりですか……!?」
あこ「そうだよ!せっかく助けてあげたのに、酷いよ!」
?「えっ…助け……?でも、さっきの怪物はあなた達が操ってたんじゃ…?」
彼女達はさっきの星屑は香澄達が操っていたものだと勘違いをしているようだった。見知らぬ場所に飛ばされ、そこに初めて見る怪物が現れ、初めて出会う人を見ればそう思ってしまうのは当たり前の事である。
日菜「冗談じゃないよ!何処かの誰かじゃあるまいし、あんな気持ち悪いもの手懐けたりしないよ。」
花音「ふえぇ……樹海にいるって事は新しい勇者様だね!」
花音は早速媚を売ろうと擦り寄ろうとする。
?「え……勇者?」
ブロンドの少女は勇者という言葉にピンときていない様だ。
香澄「初めまして。私、戸山香澄です!敵じゃありません!他のみんなと同じ、勇者部の勇者なんです!」
香澄は敵意が無い事を表し、自己紹介する。
モモ「あ、ご丁寧にどうも……。私は、源モモって言います。」
モモと名乗る少女は挨拶を返すが、
?「百地…。迂闊に本名を名乗ったりして何を考えているの……。」
青い髪の少女がモモに注意をする。
モモ「す、すみません師匠!でもこの人は……。…………ちょっと失礼しますねっ、ペロ…ッ!」
香澄「ひゃあ!?」
モモは突然香澄の首筋を舐めたのである。そしてモモは師匠と呼ぶ少女にこう告げる。
モモ「し、師匠!この人、嘘はついてません!敵意も無いし、悪意も全くのゼロです!」
?「何ですって……。どういう事なの……。」
モモ以外の少女達はその言葉に動揺してしまう。そこへ--
中沙綾「………………。」
りみ「沙綾ちゃん!?いつの間に!?」
香澄が首筋を舐められた事で、沙綾の目から光が消える。
中沙綾「いいいい今何が起き……いいえ私は何も見なかった幻覚幻気の迷い……。」
そんな事を呟きながら、物凄い勢いで持っている銃に弾を装填し始める。
モモ「あ、ゴメンね。私、味覚と嗅覚で人の気持ちが解る体質だから、ちょっとだけ味見を………。」
小たえ「それはとても便利ですね!でも…。」
紗夜「命知らずにも程があります……。」
美咲「でも、その話が本当なら、私たちが敵じゃ無いって事は分かりましたよね?今度はそっちの番です。」
燐子「皆さんはどうして樹海に……?何処から来たのですか…?」
?「樹海?私らは空崎市内のビルにいたんだよ。なのに、いつの間にこんな変な所に……?」
オレンジの髪の少女が答える。どうやら彼女達もここに来た原因が分からなかった。
小沙綾「空崎?そんな名前の街ありましたっけ…?ここは香川ですが、空崎市は何県ですか?」
モモ「香川県!?」
沙綾の言葉で彼女達は更に驚いた。
?「空崎は関東です……。ま、まさか私達は…何かのきっかけで瞬間移動を……?」
?「流石に話が飛躍しすぎよ。幻覚か何かで説明がつく筈……。」
イヴ「お前ら、勇者じゃねーなら何だってんだ。」
ゆり「喧嘩腰はダメだよ。取り敢えず部室に戻って、巫女に話を聞いてみよう。」
?「「「………………。」」」
高嶋「心配しなくて大丈夫だよ!みんなとっても優しくて良い人達だから。さ、行こっ!」
モモ「師匠…。今の人、さっきの人と双子ですね。顔も声も匂いも、凄くそっくり…。」
?「モモ、油断は禁物よ。情報を得る為に話はするけど、警戒は解かないように……。」
信用しきれないながらも、6人の少女達は香澄達に連れられ、部室まで移動するのだった。
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勇者部部室--
部室に戻った勇者達は、早速樹海で起こった事を巫女達に伝えた。
リサ「神託は何も無いけど、現時点の状況をまとめると……。」
モカ「皆さんは、西暦時代の関東からやって来た勇者では無い……一般の高校生…。」
?「んで、ここは未来の四国で、君たちは正義の中学生?いやー面白い!刺激的!」
?「あの…。モモちゃんが真実と断言したからにはこちらも名乗るのが筋かと思います…。」
そうして高校生の少女達も順に自己紹介を始める。
初芽(ブロンド髪)「私は、高校3年生の青葉初芽と申します。そして、こちらは私の弟子で…。」
五恵(紫ストレート)「こ、こんにちは…高校2年生の石川五恵です。よ、宜しく…お願い…します。」
雪(青髪)「………私は初芽と同学年で、モモの師匠。半蔵門雪という者よ。」
命(オレンジ髪)「私は、八千代命。この、ちんまい1年生、相模楓の師匠だよん。よろしく。」
楓(薄紫ツインテ)「ちょ、師匠!一言余計です!」
ゆり「私は部長の牛込ゆり。勇者部は大人数だから自己紹介は追々するとして、さてと…。」
燐子「あの…皆さんは師弟関係にあるようですが…それにはどのような意味が…?」
友希那「そうね…。それにあの身のこなし、ただの高校生には見えないけれど…。」
燐子は先程からちょくちょく出てくる師匠というワードが気になり質問する。
雪「察しの通り、我々は"ツキカゲ"という組織に属し、敵対する悪党達と日々対峙している…。」
命「ま、師弟関係ってのは、その活動に必要な技術を伝授する先輩後輩の関係って事。」
蘭「だから普通の雰囲気と違うんだね…。」
今度は雪が勇者達に質問をする。
雪「こちらからも聞きたい事がある。さっきの場所にいた巨大生物は何?機械仕掛けか何かなの?」
香澄「あれはですね、バーテックスって言って、人類を滅ぼす……怪獣?妖怪?モンスター!?」
モモ「そ、そっちも解んないんだね…。」
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千聖「それにしても、少し特殊とは言え一般人がどうして、過去から私達の世界へ…?」
その時、巫女に神樹からの神託が届く。
モカ「っ!?……リサさん、これは…。」
リサ「モカ、彩、集中だよ。」
モモ「えっと……。この子達は一体何を……?」
有咲「静かに!神樹様からの神託を受け取ってんだ。」
五恵「巫女?神託?」
何事か分からないモモ達に、たえが説明する。
中たえ「神世紀は、神樹様の導きと恵みで成り立っていて、巫女はその声を聞ける特別な存在なんだ。」
モモ「まるで御伽噺の世界みたい……。」
リサ「………神託によると、どうやらこの世界で不穏分子の存在が確認されたみたい。」
モカ「そして、その人達は、その敵を暴く為の調査と討伐の為に召喚されたんだって。」
紗夜「どういう事ですか……。これだけ勇者が揃っているのに部外者を呼び寄せるなんて、納得いきません。」
それに対して彩が補足説明をする。
彩「それがね、今回は造反神じゃなくて、人的要素が深く関係してるみたいで………勇者だけでは対応しきれない恐れがあるって神樹様が判断されたみたい…。」
友希那「私達では力不足というの……。」
中沙綾「私達に欠けているものを、この人達は持っているって事?」
沙綾の言葉で、勇者達はモモ達を見つめる。
初芽「どうしたのでしょう……。皆さんがこちらをジッと見ておられますが…。」
五恵「私には、話の意味も流れも…サッパリです……。」
雪「…………少し良いかしら。私が脳内補完した推測を言わせてもらうわ。」
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雪「勇者というのは、樹海に生息する巨大生物に対応する特化型戦闘員という認識で良いかしら?」
美咲「対応なんてしたくないですけど、その通りです。」
雪「ここで1つ確認したいのだけれど……勇者は、"対人戦や諜報活動"もするの?」
夏希・あこ・花音「「「ちょーほー?」」」
3人の反応で雪の推測が正しい事が判明する。
命「あ、これ全くしないやつだ。」
雪「だとすれば、我々は対人要員として助っ人に招かれたのかもしれない。」
モモ「えっ、誰にですか?」
楓「そりゃあ……この子達のボスにじゃない?」
初芽「先程、お三方がどなたかと通信を行なっているようでしたものね……手段は不明ですが。」
五恵「じゃあ、私達はその不穏分子を探るよう依頼を受けたと理解すべきなのでしょうか……?」
今までの事からモモ達は経緯を推測していくが、雪が待ったをかける。
雪「待った。こちらは知らぬ間に拉致された身。ハイそうですかと従うのは早計すぎる。」
命「だよねー。依頼っつっても、そっちのボスに合わせてもらえなきゃ、信用出来ないし。」
燐子「私達のボス…と言うと……。」
リサ「神樹様だね……。」
雪「なら、この後の交渉は、その"人"と直接するわ。」
香澄「神樹様と話す!?そんな事って……出来るのかな?」
モモ「出来ないの?どうして?みんなのボスってそんなに偉い人なんだ!?」
モカ「偉いと言うか……神様だし、それ以前に植物だから、声は出せないよ。」
モカの一言でモモ達は更に混乱してしまう。それも仕方の無い事、1番偉いボスが植物なのだから。
命「はあ!?ちょっと意味不明すぎるんだけど……。じゃあ、どうしろっての!?」
薫「勇者部は巫女の神託と、部長であるゆりの指揮に従っている……。ゆりが決めれば良いさ。」
ゆり「あ、うん。じゃあ、お願いしちゃおうかな。」
有咲・楓「「軽っ!!」」
ゆり「い、いや、だってさ……神樹様に召喚されたって言うなら、そうするしかないと思うし……。」
中たえ「その不穏分子が片付くまで、"ツキカゲ"さんたちはきっと、元の場所に帰してもらえないだろうし。」
初芽「それはおかしいです。ここが四国だとしても帰る手段はいくらでもある筈……。」
初芽の言う事も正しい。だが、それが6人が来た時代の四国ならの話だ。
りみ「あ……そ、それが…その……無いんです。」
蘭「四国から出る方法も無いし、そもそもここは未来な上に、異世界ですから。」
モモ「えええ!?四国から出れない!?飛行機は!?瀬戸大橋は!?」
イヴ「大橋は壊れてます。飛行機は…ありません。」
五恵「えっ……この子さっきと印象が…。どうしたの?体調でも悪い?」
命「ねえ、ユッキー…どうする?どうやら問答無用で仕事をさせようって事みたい。」
雪「情報が足りなすぎるけど、敵対する理由も無いわ。」
友希那「不本意なのは承知だけれど、不穏分子排除の為、私達に力を貸してくれない?」
雪「ええ………。暫くの間は様子見で、協力体制を取るしか無さそうね……。」
香澄「じゃあ、仲間になってくれるんですね!ありがとうございます!」
香澄の言葉でモモが近寄って来る。
モモ「えへへ、なんかそういう事みたい。それにしても、香澄ちゃんて良い匂いだね。」
中沙綾「ああああ!香澄をくんくんしないでください!ぺろぺろも駄目です絶対二度と!」
彩「あの……私は不思議で仕方ないんだけど、この世界に悪い人なんているのかな?」
楓「はぁ!?んなもん、腐る程いるでしょうが!」
彩がそう思うのも当然の事である。神世紀の人間は大らかで優しい人しかいなく、極悪人は存在すら疑われるレベルなのだ。
初芽「それが本当なら、それこそ私が理想とする世界の在り方です。」
五恵「随分、私達の環境とは違う土地みたいですが…大丈夫でしょうか……。」
雪「何にせよ、判断材料を集める必要があるわ。このミッション、心してかかりましょう……。」
こうして、突如この世界に転送されてきた6人の少女達と力を合わせていく事になった勇者部。勇者部はこの世界に蔓延る不穏分子を排除し、6人を元の世界に帰す事は出来るのだろうか--