戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

165 / 326
これ含めて通算165話目です。

200話くらいを目処の予定で特別章へ移ろうと思っていますので、引き続きよろしくお願い致します。




神樹の記憶〜ハッピーハロウィン大作戦〜

 

 

勇者部部室--

 

夏の暑さも過ぎ去り、すっかり秋めいてきた今日この頃、夏希が沙綾、たえ、そしてりみに招集をかける。

 

夏希「諸君、よくぞ集まってくれた!」

 

小たえ「夏希に呼ばれたらすぐさま駆けつけるよ。」

 

小沙綾「そうだね。」

 

りみ「あ、あの…一応確認なんだけど、私も夏希ちゃんに呼ばれたんだよね?」

 

夏希「その通りです!」

 

りみ「良かった…。でも、何で私だけ?お姉ちゃんや香澄ちゃんとかは?」

 

小学生達に混じって1人中学生のりみは困惑していた。

 

夏希「りみさんに来て頂いたのは他でもありません!我々に歳が近いからです!」

 

りみ「え?あっ、うん……。そ、そうなんだね…。」

 

何故か落ち込んでしまうりみ。

 

小沙綾「それだけじゃ分からないよ、夏希。もうちょっと詳しく説明して。」

 

夏希「えっとですね、もうすぐハロウィンじゃないですか。」

 

小たえ「知ってるよ。トリック・オア・トリートでしょ?」

 

りみ「外国にあったお祭りだよね。カボチャでランタンを作ったり、仮装してお菓子を貰ったり。」

 

夏希「そうです!特に注目すべきは"仮装をしてお菓子を貰う"事!」

 

いつにも増して夏希のテンションは高かった。

 

小たえ「トリック・オア・トリート!」

 

りみ「お菓子をくれなきゃイタズラするぞってやつだね。」

 

夏希「イエス!これは勇者達の中でも、我々年下組がやっても許される事だと思われるのです!」

 

りみ「そっか……。私も年下組なんだね…。何となく年上組な気でいたよ……。」

 

りみは再び落ち込んでしまう。

 

小沙綾「……!夏希!」

 

小たえ「あらら…。」

 

夏希「あ、ああ!違うんです!りみさんも私達にとっては先輩ですよ!だから、協力して欲しいんです!」

 

りみ「協力…?」

 

夏希「私達のリーダーとして、年上の皆さんからお菓子をせしむる作戦の指揮を執って頂きたく!」

 

りみ「リーダー……?先輩として……?」

 

夏希に囃され段々とりみが元気になっていく。

 

夏希「名付けて、ハッピーハロウィン大作戦です!」

 

りみ「…そうだね!私が1番3人と歳が近いもんね!うん!ハッピーハロウィン大作戦、協力するよ!!」

 

3人「「「ほっ………。」」」

 

 

--

 

 

夏希「では、ここにハッピーハロウィン大作戦発動を宣言します!」

 

小たえ「わー!パチパチパチー。」

 

小沙綾「夏希は勢いだけは良いからね。」

 

りみ「取り敢えず、先ずは何を準備するかだね。」

 

夏希「それはもう、アレですよ!コスプレです!」

 

小沙綾「魔女とかお化けとかだね。」

 

夏希「魔女は凝りたいところだけど、お化けは簡単だよね。白い布を被って毛を3本付けてタラコ唇にすれば………。」

 

りみ「それは色々とマズイよ、夏希ちゃん……。」

 

小沙綾「日本より外国のお化けの方が良いんじゃない?」

 

小たえ「悪魔とかドラキュラとかだね。」

 

りみ「たえちゃん詳しいね!」

 

4人はコスプレ談義で盛り上がっていた。

 

 

--

 

りみ「っと、大事な物忘れてたよ。ランタンも大切だよ?」

 

夏希「忘れるところでした…。コスプレの話が思いの外盛り上がっちゃったから。」

 

小沙綾「ランタンはどうやって作るんですか?」

 

りみ「大きなカボチャの中をくり抜くんだよ。」

 

小沙綾「でも、そんなに大きなカボチャあるんでしょうか?」

 

りみ「そうだよね……。あっ、蘭ちゃんなら作ってるかも!」

 

夏希「早速行ってみましょう!」

 

そんなこんなで4人は蘭の畑へと出発するのだった。

 

 

--

 

 

美竹農園--

 

モカ「おぉ…。蕎麦の実が出来てきたねぇ。」

 

蘭「だね。四国の土も中々やるね。これなら収穫に期待出来そうだよ。」

 

モカ「諏訪の時みたいに?」

 

蘭「……そうだね。」

 

畑では蘭が畑を耕しながら、モカがそれを見ていた。そこに夏希達がやって来る。

 

夏希「こんにちは、蘭さんにモカさん。」

 

蘭「みんなどうしたの?」

 

夏希「ちょっとですね…かくかくしかじか。」

 

夏希は事の説明を蘭に話す。

 

 

--

 

 

夏希「という事で、蘭さんの畑になら大きいカボチャあるかなって。」

 

蘭「カボチャかぁ…。それなら今が収穫時だから持って行って良いよ。」

 

りみ「あ、ありがとう!」

 

4人は早速カボチャの場所へと向かった。

 

 

--

 

 

小沙綾「凄い…立派なカボチャだよ…。」

 

4人はなっている大きなカボチャに目を奪われていた。そんな時だった--

 

 

--

 

 

樹海--

 

夏希「いきなり樹海化した⁉︎」

 

警報も無しにいきなり周りが樹海になったのである。

 

りみ「あれ?でも、いつもの樹海化とは違うような……。」

 

周りを見回すも、確かにいつもの樹海とは違い、紫色の風景に加え、カボチャの様な実がいくつもなっている。

 

夏希「何でまたこんな所にカボチャ?」

 

小たえ「神樹様もカボチャ好きなのかな?」

 

するとモカが口を開いた。

 

モカ「……ここは神樹様が創り出した樹海じゃ無い。」

 

蘭「どういう事、モカ?」

 

モカ「多分バーテックスが創り出した空間だよ。この土地を奪う為に来たんだと思う。」

 

蘭「っ⁉︎」

 

小沙綾「私達が前に結界の外に出ちゃった時みたいな事なのかな?」

 

りみ「バーテックスの方から土地を奪いに来るなんて…。」

 

小たえ「バーテックスもカボチャ好きなのかな?」

 

モカ「蘭の畑を取り込んだから、カボチャも変な事になったんだと思うよ。」

 

蘭「そんな⁉︎じゃあ蕎麦は⁉︎」

 

蘭が樹海を見回すも、蕎麦の様な物は無く、カボチャしか無かった。

 

モカ「今は完全に同化しちゃってるのかも。」

 

夏希「くっそぉ!バーテックスめ、ドウカしてるよ!!」

 

5人「「「……………。」」」

 

樹海を静寂が包み込んだ。

 

夏希「……ごめんなさい、言ってみたかったんです…。」

 

りみ「ともかく、早くなんとかしないと!」

 

モカ「この異常に気付いて、他のみんなも向かってるみたいだよ。」

 

小沙綾「それまでは私達でなんとか食い止めましょう!」

 

モカ「蘭の畑を奪おうとするなんて、バーテックスも良い度胸だよね。」

 

蘭「本当だよ。バーテックスにどうなるか思い知らせてやらないと。」

 

りみ「じゃあ蘭ちゃん。臨時のリーダーとして何か掛け声を頂戴!」

 

蘭「急にそんな事言われても!ど、どういうのが良いのかな…?」

 

モカ「蘭、頑張って。モカちゃんは戦えないけど、ずっと側で見守ってるから。」

 

蘭「モカ……。よし!じゃあ、畑の為にみんな行くよ!」

 

4人「「「おーっ!!」」」

 

 

--

 

 

樹海?--

 

蘭の力もあり、星屑の一群を退けた勇者達。だが、疲労は確実に溜まってきている。

 

蘭「はぁ……はぁ………。取り敢えず一時は凌いだみたいだね……。」

 

そこへ、

 

有咲「よっと!待たせたな、完成型勇者の到着だ!」

 

ゆり「急いで駆けつけたけど、粗方片付いたみたいだね。」

 

有咲「んなっ⁉︎」

 

ゆり達援軍が到着する。

 

中沙綾「ですがゆり先輩、現れたのは星屑だけで、バーテックスはまだみたいです。」

 

友希那「リサに言われて大急ぎで駆けつけたのだけれど、無事で良かったわ。」

 

紗夜「取り越し苦労のようですね。」

 

ゆり「でも、リサちゃんが言ってたように、本当に樹海みたいだね……。」

 

小沙綾「っ⁉︎前方に敵影!"大型"です!」

 

遂に畑を取り込んだバーテックスが姿を現わした。のだが、

 

ゆり「やっと来たね!バーテックス……が………?」

 

美咲「ねぇ、あれって……バーテックスっていうより……。」

 

りみ「そ、そうだね……。何ていうか…。」

 

小たえ「わぁー!大っきなカボチャだぁ!」

 

何故か"大型"の頭部がカボチャ状、しかもジャック・オー・ランタン型になっているのだ。

 

薫「……これは確かにカボチャだね…。」

 

友希那「これは倒したら食べるべきなのかしら?」

 

高嶋「後で勇者が美味しく頂きましたってやつだね!」

 

中沙綾「うーん……煮物にすれば或いは…。」

 

あこ「みんな落ち着いて!!バーテックスだからね!」

 

友希那「そうは言われてもね…。ああもカボチャだと…。」

 

香澄「きっとさーやの作る煮物なら美味しいよ!」

 

夏希「幾ら何でもバーテックス食べたらお腹壊しそうですよ?」

 

小沙綾「バーテックスを一気飲みした夏希の言う事とは思えないよ…。」

 

夏希「いやいやいや!アレは仕方無くだよ…。」

 

中沙綾「そんな事もあったよね。夏希は食いしん坊だったから。パン食べる?」

 

夏希「い、いや…今は良いです……って持って来てるんですか⁉︎」

 

紗夜「皆さん食い意地張りすぎですね……。」

 

ゆり「本当だよね、有咲ちゃん。」

 

有咲「カボチャってビタミンとかカリウムとか豊富なんだよな…。あれだけの量なら、フリーズドライで保存すれば……。」

 

ゆり「……はぁ。」

 

夏希「あっ、閃いた!食べる以外の再利用方法があったよ!」

 

小たえ「あっ、私も何となく分かったよ。」

 

りみ「夏希ちゃん、まさか…。でも、大きすぎないかな?」

 

年下組には夏希が考えている事が分かったようだ。

 

ゆり「ん?何の事?」

 

小沙綾「ご、ごめんなさい。まだ内緒なんです。」

 

夏希「よーし!ハッピーハロウィン大作戦第1段階、発動だぁー!行くよ沙綾、おたえ、りみさん!」

 

りみ・小沙綾「「言っちゃうんだ……。」」

 

 

--

 

 

美竹農園--

 

蘭「元に戻った…。」

 

りみ「カボチャのバーテックス、倒したら消えちゃったね。」

 

"大型"を倒した直後、勇者達は蘭の畑へと戻ってきたが、肝心のカボチャのバーテックスは消えてしまったのだ。

 

夏希「そんなぁ!あのカボチャでジャック・オー・ランタン作れると思ったのに…。」

 

友希那「食べられなくてホッとした様な、何だか残念な様な……複雑な気持ちね。」

 

ゆり「なるほどねぇ。もうすぐハロウィンだもんね。」

 

夏希がバラした所為で、大作戦が勇者部全員に伝わってしまう。

 

小沙綾「そうなんです…。りみさんにも準備を手伝ってもらってました。」

 

小たえ「りみさんはこの大作戦の指揮官なんです。」

 

ゆり「………ぶわっ!」

 

ゆりは声も発せず、大量の涙を流す。

 

中沙綾「りみりんが頼られてるのが本当に嬉しいんですね。」

 

香澄「うんうん!凄いよりみりん!」

 

りみ「香澄ちゃん……。お姉ちゃんも大袈裟だよぉ!」

 

蘭「ん?み、みんな!アレ見て!」

 

蘭が畑にとある物を見つけ驚いた。

 

友希那「どうしたの、美竹さん?」

 

蘭「カ、カボチャが……カボチャが大きく……。」

 

指差した方向にあったのは、見るも大きなカボチャが1つ。

 

ゆり「大きい⁉︎」

 

友希那「これは……食べられるのかしら?」

 

あこ「そこですか⁉︎」

 

蘭「湊さんが言うのも分かります…。どう思う?モカ。」

 

モカ「……食べられるかは分からないけど、多分樹海化の所為でカボチャに突然変異が起こったのかも。」

 

有咲「突然変異……食べたくなくなる響きだな…。」

 

友希那「やはり食べられないのね……。」

 

何故か落ち込んでしまう友希那。

 

あこ「あこ、もう突っ込みません…。」

 

夏希「食べられないなら、私達が貰っても良いですか?」

 

りみ「このカボチャをジャック・オー・ランタンにするんだね?」

 

夏希「はい!立派なのが作れますよ!」

 

蘭「よく分からないけど、役立てるのなら持ってって良いよ。」

 

夏希「やったぁー!!これでハッピーハロウィン大作戦成功に一歩近付いたよ!」

 

念願の巨大なカボチャを手に入れた夏希達。果たしてハッピーハロウィン大作戦は成功するのだろうか?

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。