戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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文化祭のお話です。

香澄達がこの異世界に飛ばされ、1年が経過しておりますがこの世界はサ○エさん時空でお送りしております。




神樹の記憶~勝利をこの手に!花咲川中学文化祭~

 

 

勇者部部室--

 

9月も中旬に入り暦的には秋なのだが、外は日差しが強く北海道育ちの美咲にとってはうだつの上がらない日々が続いている。

 

美咲「……ふぅ。残暑が厳しい…。」

 

薫「大丈夫かい?美咲。私は寧ろ過ごしやすいよ。」

 

それに対し薫は平然としている。これが沖縄との地域差というものなのだろう。

 

友希那「暑さ寒さも彼岸までよ。もうじき涼しくなるわ。」

 

香澄「……。」

 

たえ「?どうしたの?香澄。」

 

ぼーっとしていた香澄にたえは声をかける。

 

香澄「ん?何でもないよ!もうすぐ秋なんだなーってね。私達がここに来たのも秋だったから。」

 

ゆり「秋?」

 

高嶋「そっか、戸山ちゃん達がここに来たのってこれくらいの時期だったんだね。」

 

香澄達がリサに呼ばれこの世界にやって来たのは神世紀300年の秋。時間が進まないとはいえ、香澄達はもうこの異世界に飛ばされてから1年経つのである。

 

ゆり「……秋?」

 

香澄「うん、だから何だか不思議な感じがして。」

 

ゆり「秋!」

 

中沙綾「……いつまでも続けそうですね、それ。秋がどうしたんですか?」

 

ゆり「その言葉を待ってたよ!ねえ、有咲ちゃん。私達がこっちに来る前に何があったか覚えてる?」

 

有咲「何って……ああ、文化祭があったな。」

 

ゆり「正解!」

 

りみ「うん、色々あったけど……それを乗り越えて出来た文化祭は楽しかったよね。」

 

ゆり「こっちでもそろそろ文化祭の季節、みんなに召集をかけるよ!」

 

早速ゆりはNARUKOでみんなに連絡を回すのだった。

 

 

---

 

 

20分後--

 

部室にいなかった他のみんなが集まってくる。

 

彩「文化祭、ですか?」

 

夏希「面白そう!何するんですか?」

 

ゆり「それを話し合おうと思って、みんなに集まってもらったんだ。」

 

りみ「バンドは?」

 

香澄「バンドならすぐ楽器用意出来るよ!」

 

花音「え?すぐ用意できるの?」

 

中沙綾「うん。前の世界の事だけど、文化祭でバンドやったんだ。」

 

最後の戦いの後、香澄が無事意識を取り戻しみんなで、"Glitter*Party"として演奏した文化祭--

 

 

中沙綾「問題があるとすれば、人数が増えた事だけど……。」

 

ゆり「うーん……今回は却下だね。」

 

有咲「珍しいな。」

 

ゆり「別にやりたくない訳じゃないんだよ。実はね、これを見てほしいんだ!」

 

そう言ってゆりはパソコンの画面をみんなに見せる。

 

千聖「これは……コンテストのお知らせ?」

 

高嶋「コンテスト?あ、本当だ。各部の出し物に、投票してもらって……優勝すると…っ!」

 

ある一文を見つけ高嶋は驚いた。

 

紗夜「何かありましたか?」

 

高嶋「ゆりさん、これは!」

 

ゆり「そうだよ、高嶋ちゃん。優勝賞品は………"かめやの一日食べ放題券"だよ!!」

 

"一日食べ放題券"その素敵な言葉の響き、文字の羅列に勇者部全員が目を煌めかせる。

 

ゆり「ここに絶対勝たなきゃいけない戦いがある…!何か派手で、心に残る出し物は必須!そこで私は、喫茶店を提案するよっ!」

 

友希那「喫茶店…。人手は足りるでしょうけど、今からメニューを準備するのは難しいんじゃないかしら?」

 

ゆり「諦めるのはまだ早いよ!こっちには秘密兵器の沙綾ちゃんが2人もいるんだよ!」

 

中沙綾「任せてください!」

 

小沙綾「精一杯頑張ります。」

 

リサ「これで決まりだね。」

 

全会一致で出し物が喫茶店に決まる。

 

ゆり「よし、みんな!喫茶店で一番獲るよ!!」

 

全員「「「おーーーーっ!!!」」」

 

食べ放題券で全員が団結した瞬間である。

 

 

--

 

 

蘭「そうと決まったら、私達の出番だね、モカ。」

 

モカ「私も?」

 

中たえ「流石。料理の材料はお任せだね。」

 

友希那「もう収穫出来るの?」

 

蘭「あ、それはまだです。」

 

友希那「だったら……。」

 

蘭「せっかく一番を目指すなら、材料も良い物を使わないといけません。その食材を私達が目利きします。」

 

中たえ・小たえ「「なら、目利きする為の食材調達は私達に任せて!」」

 

日菜「え?」

 

小たえ「うちの山で好きに収穫すればいいよ。」

 

中たえ「山菜にキノコ、栗に柿もあるよ。」

 

夏希「キノコって、松茸とかもあったりするの?」

 

夏希は冗談を込めて笑って言うが、

 

小たえ「確か、あった筈だよ。」

 

夏希「本当にあるの!?」

 

小沙綾「松茸はともかく、毒キノコとかの判別は出来るかな……。」

 

あこ「それならあこに任せて!この本で見れば毒キノコかそうじゃないかはすぐ分るよ!」

 

懸念されていた問題は次々と解決し、残る問題はあと一つ。これが一番大事な事である。

 

友希那「最後の問題は……リサ。山の位置は未開放地域かしら?」

 

リサ「そうだね、ばっちり入ってるよ。」

 

友希那「なら、注意して行く必要があるわね。」

 

その後も全員で相談し、翌日収穫班は花園家所有の山へと向かうのだった。

 

 

---

 

 

山--

 

残暑の厳しさが残るが、時間は早朝の5時。日の出も時間も長くなり、辺りはまだ薄暗い中、収穫班は安全第一で山を登っていく。

 

千聖「こんな、早朝に来る必要あったのかしら?」

 

蘭「山菜取りは早朝が基本ですから。」

 

燐子「バーテックス…出て来ないと良いんですが…。」

 

香澄「未開放地域って言っても、バーテックスがうようよしてる訳じゃないですしね。」

 

高嶋「これなら、出会わないで済む…かな?」

 

紗夜「だと良いですけれど…。」

 

日菜「私は別に出てきても良いけどね。山菜探しだけじゃ暇だし。」

 

収穫班はどんどん山を登って行った。その時、

 

花音「ふえぇぇぇっ!?」

 

最後尾を歩いていた花音の叫び声が山中に響き渡った。

 

千聖「この悲鳴は……部長、バーテックスが現れました!」

 

ゆり「まるで警報装置だね…。」

 

友希那「みんな、気を付けて!戦闘開始よ!」

 

 

---

 

 

幸い現れたのは星屑のみ。勇者達は難なくこれを撃退する。

 

美咲「はあぁぁぁぁっ!!」

 

美咲の投槍が最後の一体に命中し、敵の気配が消える。

 

美咲「ふぅ、今ので最後だね。みんな、無事ですか?」

 

有咲「よしっ!バーテックスを倒しながら、キノコを20本も取ったぞ!」

 

意気揚々な有咲の腕にはキノコが沢山ある。

 

あこ「どれどれ……。17本が毒キノコだね。」

 

有咲「んなっ!?」

 

高嶋「こんな小さいのに毒キノコなんだね!」

 

蘭「慣れた人でもコロッと逝く事もあるからね。」

 

美咲「倒しながら集めたとか、どんだけですか……ねぇ、薫さ…。」

 

薫「……おや?クルミだね。こっちには栗もある。…海には負けるが、山もまた…儚い。」

 

美咲「はぁ……。」

 

 

--

 

 

それから収穫しながら歩く事1時間--

 

あこ「うーん……キノコはいっぱい集まったけど、松茸が見つからないなぁ。」

 

籠には山菜やキノコ、栗に柿といった秋の味覚がこんもりと入っているが、松茸は未だに見つからないでいた。

 

小沙綾「おたえ、松茸が自生してる場所って分からないの?」

 

小たえ「分かるよ。」

 

夏希「分るの!?」

 

小たえ「立派な赤松があって、そこにいっぱい生えてるんだ。」

 

そう言ってたえはみんなを赤松の元へ案内する。

 

 

--

 

 

歩く事15分--

 

小たえ「到着!」

 

収穫班「「「………。」」

 

収穫班は赤松の気をまじまじと見つめ動かない。

 

小沙綾「…ねぇ、おたえ。私の見間違いじゃなければ……。バーテックスがいるように見えるけど…。」

 

小たえ「あ、ホントだ。」

 

高嶋「バーテックスも松茸食べるのかな?」

 

紗夜「しばらく待ってみれば、食べるかもしれませんね。」

 

美咲「いやいや!あれは早く倒さないとダメだよ!」

 

薫「よし、松茸の為に出陣しよう!」

 

 

---

 

 

それから収穫班は無事に松茸を収穫し、見事な戦利品を持って部室へと帰還する。

 

 

勇者部部室--

 

香澄「ただいま戻りました!」

 

中たえ「どう?いっぱい獲れた?」

 

中沙綾「大量だよ!」

 

リサ「お帰り、友希那。バーテックスは大丈夫だった?」

 

友希那「ええ、大した事は無かったわ。全員無事よ。」

 

彩「みんなお帰り。松茸は採れた?」

 

千聖「ええ、ほら!」

 

部室内に松茸の香りが広がっていく。

 

高嶋「ちょっと大変だったけど、松茸が採れて良かったよ!」

 

中沙綾「十分な量が採れたから、本番で出す料理を作ってみようか。」

 

小沙綾「手伝います。」

 

ゆり「私も手伝うよ。流石にこの量は2人じゃ大変だから。」

 

料理自慢の3人は早速家庭科室で料理を開始する。

 

 

--

 

 

家庭科室--

 

小沙綾「メニューはどうしましょう?」

 

中沙綾「うーん……姿焼きに土瓶蒸し、炊き込みご飯に天ぷらが定番かな。」

 

ゆり「……2人の会話を聞いてると、喫茶店っていうより、高級料亭って感じだね。」

 

3人が料理中の中、

 

あこ「お腹空いたぁーー!!」

 

夏希「早く食べたーーーい!!」

 

イヴ「天ぷら…美味しそうです。」

 

美咲「悩みどころだけど、私は炊き込みご飯ですかね。」

 

お腹を空かせた勇者達が待ちきれずに家庭科室へとやって来る。

 

ゆり「結局、みんな来ちゃったかぁ。まあ、味見係は多い方がいっか。」

 

中沙綾「多すぎです……。作った端から無くなっちゃいます…。」

 

 

---

 

 

次の日、家庭科室--

 

一時は食材が無くなる勢いだったが、部長の一喝により食材枯渇の危機は免れた。そして翌日もゆりと沙綾達は料理の試作をしているのだった。

 

ゆり「~~♪」

 

中沙綾「……よし。」

 

2人の料理姿を小学生の沙綾はまじまじと見つめている。

 

夏希「どうしたの?沙綾さんとゆりさんをジーっと見つめて。」

 

夏希は今日も当たり前の様につまみ食いに来ていた。

 

夏希「う~ん♪本当に美味しい料理だよね。」

 

小沙綾「材料が新鮮だっていう事もあるけど、確かに美味しい。これは…気になるよ。」

 

夏希「何が?」

 

小沙綾「2人の料理の腕だよ。足を引っ張らない様に頑張らないと。」

 

夏希「だったら、近くで見せてもらえば?」

 

小沙綾「…邪魔にならないかな?」

 

夏希「それくらいなら大丈夫だよきっと。」

 

小沙綾「そうかな……じゃあ…。」

 

沙綾は夏希に背中を押され、2人の料理の様子を伺う事にした。

 

 

--

 

 

小沙綾「あの、少しいいですか?」

 

中沙綾「ん?どうしたの?」

 

小沙綾「いえ、沙綾さんが何を作ってるのか気になったので。それは……生地ですか?」

 

中沙綾「そう、パン生地だよ。喫茶店で出すコーヒーに合うパンを考えてるんだ。やっぱりりみりんオススメのチョココロネが一番かな。」

 

小沙綾「確かにそれは合いそうですね。」

 

中沙綾「勿論他にも和菓子とかもあるよ。栗が沢山あるから栗羊羹とかね。味見してみる?」

 

沙綾は羊羹を差し出した。

 

小沙綾「いただきます……!程よい甘さに舌触りが滑らか…これはもう職人の域です!」

 

ゆり「そんなに美味しいの?私も味見して良い?」

 

夏希「私も食べたい!!」

 

中沙綾「どうぞ。」

 

ゆり「いただきます……うわぁ!確かに美味しい!専門店にも引けを取らないくらい!」

 

夏希「本当だ!凄く美味しいです!」

 

全員が沙綾の料理に舌鼓を打った。

 

ゆり「これは採用だね!」

 

中沙綾「ありがとうございます。」

 

次に沙綾はゆりの方へと向かった。

 

 

--

 

 

ゆり「鍋に油を張って、キノコは衣をササっとね。」

 

ゆりが作っている物は天ぷらだった。

 

小沙綾「これは、天ぷらですね。」

 

ゆり「半分正解かな。そっちでキノコご飯も炊いてるし、キノコ尽くしって感じにしようかなって。」

 

ゆりは複数の品数を見事な手際で作り上げていく。

 

夏希「うわぁ!天ぷらのいい音♪」

 

ゆり「喫茶店のメニューっていうより、定食屋のメニューだけどね。」

 

中沙綾「この天ぷらはお蕎麦に合いそうですね。」

 

ゆり「蘭ちゃんに蕎麦打ってもらうのもありだね。……揚がりっと。熱いうちに食べてみて。」

 

沙綾は揚げたての天ぷらを口へと運ぶ。

 

小沙綾「……っ!サクッとした衣の中から、キノコの旨味が…!いや、それだけじゃない。天ぷらを揚げる手際や素早さも、目を見張るものがあります……!」

 

夏希「あちちっ!おほ、これも美味しい!」

 

ゆり「でしょ!自分達で採ってきたキノコだから当然だよね。」

 

キノコ尽くしうどんセットと蕎麦セット、キノコの炊き込みご飯に滑子の味噌汁、そして定食。これまで試作したものの中からメニューを決めていく2人。

 

夏希「もう何でもありですね。」

 

ゆり「あはは!でも、そっちの方が楽しいでしょ?」

 

夏希「はい!」

 

ゆり「後は、そうだなぁ。柿と栗を使ったデザートを作って……。」

 

小沙綾「………。」

 

夏希「ん?どうしたの、沙綾?」

 

小沙綾「……負けてられない。」

 

2人の腕前を見た沙綾の瞳にはやる気の炎が満ち溢れていた。

 

 

--

 

 

小沙綾「……。」

 

沙綾は今鬼気迫る勢いで料理を作っている。

 

夏希「負けず嫌いに火がついちゃったか…。」

 

中沙綾「ふふっ。人ってそう簡単に変わらないんだね。」

 

3人は沙綾の料理姿を見守っていた。

 

 

--

 

 

15分後--

 

小沙綾「出来た!夏希、試食お願い!」

 

夏希「…う、うん。」

 

ゆり「それにしても手際が良いよね。けど……。」

 

小沙綾「どう、夏希!」

 

流石の夏希もお腹がいっぱいで食べる手が止まる。

 

夏希「ね、ねぇ…沙綾の未来は今ここにいる沙綾さんでしょ?だったら、沙綾が腕上げた分だけ、沙綾さんの腕も上がりそうって言うか……。」

 

小沙綾「……。」

 

沙綾は一心不乱に次の料理を作っている。

 

中沙綾「確かに、そういう考えもあるね。」

 

ゆり「その点はどうなってるのかな?料理の腕上がってる感じする?」

 

中沙綾「流石に実感は無いです。」

 

夏希「だ、だからもう料理はそれくらいで…。」

 

小沙綾「完成!」

 

夏希「まるっきり聞いてなかった!」

 

沙綾が料理を提供する手は止まらず、夏希の目の前には完成した料理の数々--

 

ゆり「このままじゃ夏希ちゃんのお腹が破裂しちゃうね。沙綾ちゃん。」

 

中沙綾「分かりました。お腹が空いてる人を集めますか。」

 

小沙綾「完成!」

 

夏希「ああもう!いい加減にしてーーー!!!」

 

この後沙綾が作った沢山の料理はきちんとお腹を空かせた勇者部が食べきりました。

 

 

 

 

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