戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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これで春の話は最後となります。

そして次からの4話が最終章最後の物語です。




神樹の記憶〜白熱の山手線ゲーム〜

 

 

公園、お花見スポット--

 

夏希に呼ばれ、みんなの元に戻って来た沙綾とたえ。

 

中たえ「ゆり先輩、何して遊ぶんですか?」

 

ゆり「提案したのはリサちゃんでね、えっと…西暦の時代にあった…ヤマノテセンゲームだったっけ?」

 

リサ「そうだよ。何かテーマやジャンルを決めてそれに沿った答えを順番に答えていくんだ。答えられなかったり、一度言った答えをもう一回言ったら負けだよ。」

 

りみ「答える順番は時計回りですか?」

 

リサ「順番はね…これを使うよ。」

 

リサは予め置いてあったボールを手に取った。

 

リサ「あこがボールを持ってきてたから丁度いいかなって。このボールを投げて、受け取った人が答えてくんだよ。」

 

答える順番は必ずしも時計回りとは限らない。下手をしたら集中砲火を受ける可能性もある知識と共に戦略も試されるのである。

 

香澄「楽しそうです!」

 

あこ「ボール取れなかったらどうするの?」

 

蘭「なら取れないボールを投げた人も負けにしようか。」

 

千聖「良いわね。そのうち違うゲームになっても困るし。」

 

そう言いながら千聖は有咲をチラリと見た。

 

有咲「そ、そんな事するか!」

 

夏希「ところで、ヤマノテセンって何ですか?」

 

紗夜「技の名前です。両手から電車が飛び出す必殺技で、このゲームを極める事が出来れば習得出来るかもしれません。」

 

夏希「ホントですか!?カッコイイ!」

 

紗夜「嘘です。」

 

夏希「えー!?」

 

ゆり「じゃあ、最初はボールを高く投げるから受け取った人がお題とその答えを言ってね。」

 

ゆりがボールを高く放り、山手線ゲームがスタートする。

 

 

--

 

 

最初にボールを手にしたのは香澄だった。

 

香澄「わっ!受け取っちゃった。えっと……お題は勇者部部員の名前フルネーム!」

 

有咲「それすぐ終わるヤツじゃねーか!」

 

香澄「思いつかなくて……。市ヶ谷有咲!」

 

香澄は有咲にパスする。

 

有咲「えっ!?と、戸山香澄!つ、次!」

 

友希那「そうね…花園たえ。」

 

中たえ「はい。……若宮イヴ!」

 

イヴ「…美竹蘭さん。」

 

薫「私だね。白金燐子。」

 

花音「ふぇええ!し、白鷺千聖ちゃん!」

 

 

--

 

 

この後もボールは途切れる事なく回っていく。

 

燐子「瀬田薫さん…。あこちゃん…行くよ…。」

 

あこ「受け取ったよ!えっとね……りんり…じゃなかった。白金燐子!」

 

燐子「あ…。」

 

あこが投げたボールは蘭の元へとくるのだが、

 

蘭「良いボールだけど失格だよ、あこ。」

 

あこ「えー!?」

 

薫「すまない、燐子ちゃんの名前はさっき言ってしまったよ。」

 

あこ「そうだったの!?ぐぬぬ…このゲームは誰が何を言ったのかも覚えてないといけないんだね…。」

 

リサ「あこやった事あるでしょ。」

 

ゆり「じゃああこちゃんは脱落だね。再開する?」

 

紗夜「残ってるのは数人ですから、お題を変えてもう少し難易度の高いものにしませんか?」

 

リサ「それが良いかもね。」

 

ゆり「それじゃあ、二回戦スタート!」

 

 

 

この時はまだ誰も知る由もなかった--

 

 

この二回戦が勇者部山手線ゲーム史上最大の試合になる事など。

 

 

---

 

 

高く上がったボールを手にしたのは美咲だった。

 

美咲「あ、私だ。じゃあ……日本の城の名前。江戸城!」

 

美咲は蘭へとパスする。

 

蘭「長野の名城、松本城。」

 

高嶋「私!?うーんと……丸亀城?これ大丈夫だよね?」

 

あこ「言われちゃった!あこ知ってるの丸亀城だけなのに…。」

 

千聖「松前城。あこちゃん、覚悟してちょうだい!」

 

不適な笑みを浮かべながら千聖はあこにボールをパスする。

 

あこ「ちさ先輩!?うぅ……何も分からないよぉ…。」

 

ゆり「あこちゃんは脱落だね。これは……隙を見せたらやられちゃうね…。」

 

 

--

 

 

その後もボールは回り続け--

 

中沙綾「あちゃー。さすがにお城の名前はいくつも覚えてないや。」

 

沙綾も脱落し、敗者が集う場所へと移動する。

 

香澄「さーや、いらっしゃーい!」

 

中たえ「失格組の仲間入りだね。」

 

薫「気にする事は無いさ。私も首里城しか答えられなかったからね。」

 

夏希「脱落しないで残ってる人達が凄すぎます…。」

 

残っているのは紗夜、美咲、有咲、千聖、燐子の5人。山手線ゲームは終盤戦へと着実に近づいていた。

 

美咲「…二条城!」

 

千聖「岡山城!まだ出てないわよね?」

 

紗夜「岐阜城です。稲葉山城とも言いますね。」

 

有咲「熊本城だ!」

 

有咲は燐子へとボールをパスするが、

 

燐子「……私はもう思いつきません…。リタイアです…。」

 

燐子が脱落し残りは4人。4人はペースを上げ始める。

 

 

--

 

 

りみ「お城の事詳しいんですね。」

 

燐子「歴史小説を読んでいたお陰です…。本当に凄いのは市ヶ谷さんと白鷺さんのお二人です…。」

 

その2人が凄い事は側から見ても分かる事だった。神世紀では西暦の事を知る方法は資料を読むしか無い。まして城ともなれば西暦を生きている紗夜と美咲が圧倒的に有利な筈なのだ。

 

燐子「あのお二方は相当勉強してきたんでしょうね……。」

 

日菜「確かに。有咲ちゃんと千聖ちゃんは施設にいる時から勉強に関してもズバ抜けてたしね。」

 

友希那「それなら納得もいくわね。それにしても紗夜も得意だとは知らなかったわ。」

 

高嶋「紗夜ちゃんはお城建てたり領地を広げてくゲームもやってたから、そのせいかも。ゲームに出てくるお城の事が気になって大体調べたって言ってたよ。」

 

リサ「紗夜は凝り性なところがあるからねぇ。」

 

脱落組が解説している最中、ゲームが動きを見せる。

 

 

--

 

 

千聖「川越城。」

 

美咲「…二条城!」

 

千聖「あら、美咲ちゃん?それはさっき言った筈だわ。」

 

美咲「うっ……。二条城って名前のお城は複数あります!」

 

千聖「確かにあるわね。足利義昭の居城と徳川家康が作ったものとが。」

 

有咲「そうだな。だけど、判定は否だ。それなら先に言った方は"旧二条城"って言うべきだ。」

 

美咲「確かにそうですね……。参りました、私の負けです。」

 

潔く美咲は負けを認め、脱落する。

 

あこ「……ハイレベルすぎてついていけないよ…。」

 

イヴ「内容も、美咲さんの精神性もレベルが高いです。」

 

美咲「紗夜さん、西暦の事はあなたに託します。頑張ってください!」

 

紗夜「荷が重すぎます……。」

 

 

--

 

 

それからもボールは途切れる事無く回り続けて10分が経過し--

 

紗夜「……若松城です。」

 

有咲「萩城!」

 

千聖「後は…犬山城。これはまだ言ってなかった筈よね。」

 

 

--

 

 

小沙綾「3人になって大分経ちますけど、これ終わるんですか?」

 

美咲「うん。決着は近いよ。もうすぐ勝負は付く。」

 

3人の真剣勝負を美咲は目を背ける事無く真っ直ぐ見続けていた。そして決着の時は訪れる。

 

 

--

 

 

千聖「これで決まりよ、有咲ちゃん。白河小峰城!」

 

千聖が投げたボールは有咲の手元へ吸い込まれていく。

 

有咲「うっ……くっ…………私の負けだ…。」

 

香澄「あー!有咲負けちゃったぁ!これで残ったのは千聖さんと紗夜さんでの一騎討ちだね!」

 

紗夜「いいえ、勝負はこれで終わりです。」

 

香澄「え?」

 

千聖「そうね。ごめんなさい、有咲ちゃん。」

 

有咲「……千聖にボールが回った時からそうだろうなって思ってたよ。」

 

香澄「えっと、どういう事?有咲が負けたんじゃないの?」

 

実は、千聖が最後に言った白河小峰城が西暦時代の日本にある城の最後の1つだったのだ。その為、ボールを受け取った有咲は必然的に負けとなるのである。

 

有咲「だからボールを受け取った私が必ず負けるんだ。」

 

蘭「じゃあ、日本の城の名前全部出たんだ…。」

 

あこ「ハ、ハイレベルだ……。」

 

高嶋「紗夜ちゃんも有咲ちゃんも千聖ちゃんもみんな凄いよ!!」

 

最後まで戦い抜いた3人に惜しまない拍手が贈られる。

 

紗夜「気恥ずかしいですね…。」

 

千聖「ええ。だけど、楽しかったわ。」

 

有咲「そうだな。久々に本気になったよ。」

 

ゆり「でも、次のお題は果物とか動物とか、みんなが出来るものにしないとね。」

 

全員「「「あはははっ!!!」」」

 

 

 

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