戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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久々に赤嶺が物語に登場します。

3人の香澄達との掛け合いをお楽しみに。きらめきの章では赤嶺も勇者部の仲間として活躍していきます。



神樹の記憶〜Aurora Days〜

 

 

パーティ会場--

 

花音「うわぁ!お城の広間みたい…!」

 

千聖「これは……想像以上ね…。」

 

彩「御伽の国に来たみたいだよ!」

 

防人組は豪華絢爛な会場を見て驚きを隠さないでいた。

 

有咲「どうだ、気に入ったか?……って、千聖……。」

 

千聖「ど、どうしたの、有咲ちゃん…。」

 

有咲「に、似合ってるぞ…。綺麗だな。」

 

照れ臭そうに顔を赤くしながら千聖を褒める有咲。

 

千聖「あ、ありがとう。……そういうあなたもね…。」

 

防人組だけでなく、他の勇者部メンバーも全員華麗なドレスを見に纏っている。役者が全員揃ったところで、部長であるゆりが乾杯の挨拶をとる。

 

ゆり「コホン!えー、本日はお日柄も良く…。」

 

美咲「短くて良いですからね、先輩。3つの袋とか言わなくて大丈夫ですから。」

 

ゆり「分かってるよ。えー、異世界での暮らしももうすぐ終わりが近付いてきたけど、私達勇者部も防人組が加わり益々の発展を遂げて、従来から御役目に参加してるメンバーと共に…。」

 

あこ「……あのお皿の料理、なんて言うのかな?早く食べたーい!」

 

夏希「ドレス着てるけど、ガッツリ食べますよ!」

 

ゆり「今後も気を引き締め、日頃から常に精進を重ね……。」

 

小たえ「……Zzz。」

 

友希那「は、花園さん!起きてちょうだい!」

 

ゆり「…………もう良いや!みんなかんぱーい!!」

 

全員「「「かんぱーい!!」」」

 

あこ・夏希「「いっただっきまーー…。」」

 

パーティが今まさに始まったその時だった--

 

 

 

 

全員「「「っ!?」」」

 

タイミングを見計ったかのように樹海化警報が鳴り出したのである。

 

ゆり「バーテックスも私のスピーチの邪魔を!?」

 

美咲「まぁ、長くなりそうだったので中断は良かったんですけど…敵襲は無いですよね。」

 

蘭「本当最悪。空気が読めないバーテックスだよ。」

 

みんなが怒り心頭の中、赤嶺が勇者達の目の前に現れる。

 

赤嶺「そう?読んだつもりなんだけどなぁ。」

 

小沙綾「あなたを招待した覚えはないです!」

 

赤嶺「昔々、華やかなパーティに招待されなかった悪い魔女は、腹いせにどうしたんだっけ?」

 

燐子「参加者全員に…呪いをかけて石にした……。眠り姫ですね…?」

 

友希那「じゃあ、まさか花園さんは…。」

 

小たえ「……ふぁあ。どうしました?」

 

友希那「良かった…。」

 

赤嶺「当たり前だよ。私に出来る事はせいぜい、お祝いに水を差す事くらいだからさ。みんながあまりに楽しそうだから混ぜて欲しくてさ。ねえ?」

 

そう言って赤嶺が指を鳴らすと、背後から大量の"双子型"が現れる。

 

モカ「うわぁ……。いっぱいいるよ。」

 

リサ「突破力のある敵だよ!全員で足を止めて!」

 

香澄「赤嶺ちゃんの気持ちはよく分かったよ!」

 

高嶋「私達はそれを全力で受け止める!」

 

香澄・高嶋「「いっくぞーーーっ!!」」

 

 

勇者達は一斉に変身し、迫り来る"双子型"の群れと相対するのだった。

 

 

---

 

 

樹海--

 

あこ「とりゃあーーっ!お腹空いたぁ!」

 

夏希「お腹空いたお腹空いたお腹空いたぁ!!」

 

中には至福の楽しみを邪魔された怒りから。

 

ゆり「このバーテックス!私のスピーチを邪魔するなぁ!」

 

燐子「あの…襲撃はスピーチが終わってからだったかと……。」

 

中には見せ場を邪魔された怒りから。

 

香澄・高嶋「「ダブル勇者パーーーンチ!!」」

 

中には相手の思いを全力で受け取る為に。それぞれが個々の思いを糧に"双子型"を殲滅していく。

 

赤嶺「うわああっ!?」

 

日菜「赤嶺ちゃん。私達のパーティを邪魔した罪は地球より重たいよ!」

 

赤嶺「そ、そうみたい…だね……。痛たた…ちょっとビックリ。」

 

りみ「みんながお腹を空かせたところにやって来るなんて、いくらなんでも自殺行為だよ…。」

 

あこ・夏希「「ガルルルル!」」

 

2人はまさに飢えた獣の如く赤嶺を睨みつけている。

 

赤嶺「次からは気をつけるよ。フン……どうせ今回はちょっと水を差しに来ただけだったし、またね……。」

 

いつものようにやられた赤嶺が撤退しようとしたまさに一瞬の隙だった。

 

香澄・高嶋「「あーかみーねちゃん!!」」

 

赤嶺「っ!?な、なに……。」

 

2人の香澄が赤嶺に抱き付き逃亡を阻止する。

 

香澄「赤嶺ちゃんが来てくれるなんて思わなかったよ!」

 

高嶋「しかも、自分から混ざりたいって言ってくれるなんて感激だね!」

 

赤嶺「は?そんな事言ってない。単なる嫌味だし…!」

 

香澄・高嶋「「一緒にお祝いしょう!」」

 

薫「一緒にお祝いという事は…赤嶺もドレスを着るのかい?」

 

赤嶺「はあ!?お姉様何を言って…。」

 

香澄「それ良いですね!薫さん、さすがです!」

 

高嶋「今から、赤嶺ちゃんのドレスを選びにお店に急行だぁ!」

 

赤嶺は必死で振り解こうとするが、2人の香澄は信じられないくらいの力で赤嶺を離さない。」

 

赤嶺「ちょっ、嘘でしょ!?は、離して!離せぇーーー!」

 

赤嶺の悲痛な叫びも虚しく、3人の香澄は樹海の彼方へと消えてしまった。

 

中沙綾・紗夜「「ぼーぜん……。」」

 

花音「ふぇええ!?香澄ちゃん達、赤嶺ちゃんを引き摺って行っちゃったけど、良いんですか!?」

 

ゆり「いやぁ……まぁ……香澄ちゃん達だし…良いかなぁ…。」

 

紗夜「良くないです!!どうして止めないんですか、ゆりさん!」

 

ゆり「あはは…ごめんね。」

 

中沙綾「敵と一緒に買い物なんて心配だよ香澄!」

 

紗夜「こうしてはいられないです!行きましょう、山吹さん!」

 

中沙綾「そうですね、紗夜さん!」

 

2人も香澄達の後を追って消えてしまう。

 

イヴ「行っちまったぞ。どーすんだ、ありゃ。」

 

千聖「ゆりさん、指示を。」

 

ゆり「あ、うん……そうだね。」

 

あこ・夏希「「お腹空いた!ご・は・ん!お腹空いた!ご・は・ん!」」

 

側では2人の小さな飢えた獣がお腹を空かせて痺れを切らしている。

 

ゆり「良し!私達は戻ってパーティの続きだよ!」

 

 

---

 

 

レンタルショップ--

 

赤嶺を連行した2人の香澄は到着するやいなやドレスを選び始める。

 

香澄「これが良いかなぁ。それとも、こっちが似合うかなぁ?」

 

高嶋「これも良いねぇ。あ、でもでも、そっちも良いなぁ。」

 

赤嶺「………………。」

 

香澄・高嶋「「赤嶺ちゃんはどう思う?」」

 

赤嶺「どうでも良いんだけどさ……。」

 

香澄・高嶋「「なになに?」」

 

赤嶺「2人とも手を離してくれない?」

 

香澄「でも、赤嶺ちゃん、縄でぐるぐる巻きにしてもすぐ逃げれちゃうし。」

 

高嶋「こうしておくのが一番だと思って。」

 

赤嶺「逃げないって約束するから離してよ。」

 

香澄「うん、分かった。」

 

高嶋「良いよ。」

 

赤嶺の頼みをすんなり聞き入れ、香澄達は手を離す。

 

赤嶺「え………本当に離した。あなた達…バカ?」

 

香澄「えへへ……よく言われる。」

 

高嶋「私はあんまり言われないけど、バカっぽい?」

 

赤嶺「ぽいなんてもんじゃないでしょ。敵の言う事をすぐ真に受けて。」

 

高嶋「うーん?でも今、言ったよね?」

 

香澄「うん、言ったよ。逃げないって。」

 

赤嶺「はぁ……呆れた。本当は逃げるつもりだったのに、その気力さえ失せちゃったよ。」

 

何処までも真っ直ぐで純粋な2人の香澄の言葉で赤嶺の毒気もすっかり抜けてしまった。

 

香澄「なーんだ。それじゃあ結果オーライだね。」

 

高嶋「赤嶺ちゃんも嘘つかないで済んだね。良かった。」

 

赤嶺「あなた達……頭のネジ、何処にやった訳?同じ香澄なのに、ついて行けないよ。」

 

香澄・高嶋「「えっへへー♪」」

 

2人は赤嶺に抱きついた。

 

赤嶺「な、何……気持ち悪いなぁ。そんなにくっつかないでってば。」

 

香澄「だってー、赤嶺ちゃんたらー♪」

 

高嶋「同じ香澄だってー♪」

 

香澄「嬉しいね、高嶋ちゃん!」

 

高嶋「そうだね、戸山ちゃん!」

 

香澄・高嶋「「あははは!」」

 

赤嶺「はぁ………。もう、誰か助けて…。」

 

香澄「あっ、ごめんね。すぐにドレス選んじゃうから。」

 

高嶋「赤嶺ちゃんは何色が好き?やっぱり赤かな?」

 

赤嶺「何でも良いよ……。」

 

香澄・高嶋「「そういう訳にはいかないよ!」」

 

赤嶺「意地悪く戦闘仕掛けた割に負けちゃってカッコ悪いから、罰でも何でも受ける。」

 

香澄「罰じゃないよ?綺麗なドレスでお祝いするんだよ。」

 

赤嶺「"私にだけ"ドレス着せて、それを写真にでも撮ってみんなで笑うんでしょ?罰じゃん。」

 

高嶋「え?それって、1人じゃヤダって事?ていう事は……。」

 

香澄「私と高嶋ちゃんにも着て欲しいって事!?もー、早く言ってよ赤嶺ちゃーん!!」

 

更にノリノリになる2人を見て、赤嶺はしまったと顔をしかめてしまう。

 

赤嶺「どういう思考回路!?なーんでそういう話になっちゃう訳!?あーもぉーー。」

 

 

---

 

 

中沙綾・紗夜「「はぁはぁはぁ……。」」

 

息を切らしながらレンタルショップへ入ってきたのは沙綾と紗夜の2人。若干2人の目は血走っている。

 

中沙綾「香澄!」

 

紗夜「高嶋さん、赤嶺に騙されて何かされてやいないかしら……。」

 

血相を変えてお店の中を探索していると、奥から香澄達の楽しそうに笑う声が聞こえてくる。

 

中沙綾「ちょっと待ってください!2人の声が…。」

 

高嶋「やだなぁー、戸山ちゃんったらー♪」

 

香澄「えへへー、高嶋ちゃんこそー♪」

 

声がする方向には試着室が。

 

紗夜「し、試着室からです!?一体何故3人で……。」

 

赤嶺「ちょ、何処へも行かないって。だから変なところ触んないでよ……。」

 

中沙綾・紗夜「「へ、変なところ!?」」

 

高嶋「えー、変なところって何処?」

 

香澄「ここかなー?うりゃ♪」

 

赤嶺「ひゃうっ!?や、やだってば。もう怒ったよ………お返し、えい!」

 

中沙綾・紗夜「「………。」」

 

香澄「ひゃん!赤嶺ちゃ…っヒャハハハッ!」

 

高嶋「ヤ、ちょっ、赤嶺ちゃんもツボ掴むの上手…ぅ、ひゃああん♪」

 

中沙綾・紗夜「「………………。」」

 

徐々に2人の目から光が消えていく。

 

香澄達「「「アハハ……ひゃぁあっ、えいっ、コチョコチョ!ヒャハハハ♪ふやぁああっ、アハハハ!!」」」

 

中沙綾・紗夜「「ああああああああああ……!!」」

 

ピンク色の声に混じって重低音の怨叉の声が唸り出す。

 

紗夜「な、何をしてるんですか!?いけません高嶋さん、敵とそんな!」

 

中沙綾「も、もう我慢出来ない!」

 

沙綾は試着室のカーテンを勢い良く開ける。

 

香澄達「「「きゃあっ!?」」」

 

中沙綾・紗夜「「っ!?ま、眩しいっ!」」

 

2人は余りの神々しさに目を伏せてしまう。

 

香澄「あれ?さーや?」

 

高嶋「紗夜ちゃんも!来てくれたんだ?」

 

そこにいたのは天使と見まごう程に美しいピンクのドレスを着飾った香澄達。

 

中沙綾「あ、あぁぁぁああ…香澄……。」

 

紗夜「た、た、高嶋…さ……あの、私……。」

 

中沙綾・紗夜「「来て良かったぁーーっ!!」」

 

思わず心の叫びが口に出てしまう2人。一方で赤嶺は、

 

赤嶺「…………………。」

 

高嶋「ねぇねぇ、どう?赤嶺ちゃん!」

 

香澄「可愛いでしょ!」

 

赤嶺「………………。」

 

中沙綾「うんうん、さすがは香澄の名を持つ人だね。とっても綺麗だよ。」

 

紗夜「敵ながら、見事な艶姿です……。」

 

赤嶺「な、何言ってんの……バカみたい。」

 

香澄「良かったね、赤嶺ちゃん。綺麗だって!」

 

赤嶺「フ、フン……これで満足?も、もう良いでしょ。あーバカバカしい。バイバイ!」

 

限界をとうに越した赤嶺は顔を真っ赤にして消えてしまった。

 

香澄「あっ!消えちゃった……。せっかく一緒にパーティでご飯食べようと思ったのに…。」

 

高嶋「残念だったね……。でも、きっとこれからはもっと仲良くなれるよ。だって私達……。」

 

香澄・高嶋「「同じ香澄だもんね♪」」

 

 

 

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