戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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ここからの数話は勇者部最後の思い出作り編となります。

最初は小学生組編前半です。





友の夢を

 

 

夏希「沙綾、おたえ。湿っぽいのは無しだよ!ズッ友同士、いつもの挨拶で締めるからね!」

 

中たえ「うん!………またね、夏希!!」

 

中沙綾「ま…また…ね……夏希。」

 

夏希「…そこで堅くなっちゃうのがお前らしいなぁ、沙綾。笑って笑って、ね。」

 

中沙綾「………うん…またね、夏希!!」

 

夏希「またね。」

 

 

---

 

 

幾つもの光が渦巻く本流--

 

沙綾・たえ・夏希は異世界での戦いを終え、元の時代へと帰る途中だった。

 

小沙綾「…周りの景色が凄いけど、この道を辿っていけば、元の時代に戻れるんだよね…。」

 

小たえ「そうみたい。リサさんが受け取った神託でそう聞いたから。」

 

夏希「………。」

 

沙綾とたえが話している中、夏希は無言で歩いている。

 

小沙綾・小たえ「………。」

 

2人も互いを見合って考える。これから先、夏希が御役目で死んでしまう事について--

 

 

2人が暗い顔をしている中、夏希が振り返り話し出す。

 

夏希「何辛気臭い顔してるの、2人共。」

 

小沙綾「だって……。」

 

小たえ「このまま進んで行ったら、夏希は……。」

 

夏希は笑顔で答える。

 

夏希「あっちでも言ったでしょ。運命なんか変えてみせるって。それに……。」

 

夏希は懐から数枚の写真を取り出した。

 

夏希「お守りだってこうして持ってきてるんだし。」

 

小沙綾「その写真は…!」

 

小たえ「現像してもらったんだね…!」

 

2人はその写真を見て思い出すのだった。

 

 

---

 

 

勇者部部室--

 

香澄「みんなもうそろそろ元の世界に帰るんだから、何かプレゼントでもあげない?」

 

リサ「それ良いね。時間ももう少しあるって神託もあるし。」

 

そしてみんなで順番を考えていく中、小学生組が一番に決まった。

 

美咲「さて、一番は小学生のみんなに決まったけど、何が良いかな?」

 

友希那「本人が欲しい物が良いんじゃない?」

 

りみ「3人の欲しい物って何だろう…。」

 

みんなは頭を抱えながら3人の為に考える。その時、

 

中沙綾「ちょっと良いかな…?その件に関して提案があるんだ。」

 

中たえ「プレゼントには、夏希の夢を叶えてあげたいと思ってるんだ。」

 

薫「夏希ちゃんの夢…?」

 

中たえ「夏希には将来の夢があるんだ。」

 

たえの言葉に小学生の沙綾とたえが反応する。

 

小沙綾「夏希の将来の夢…。それってもしかして…。」

 

小たえ「お嫁さん?」

 

モカ「お嫁さん~?」

 

蘭「夏希が!?」

 

夏希の夢を知っている人以外から驚きの声が上がるのも無理はない。

 

中沙綾「そうなんです。夏希にとって…それは本当に、大切な将来の希望だから。」

 

中たえ「夏希はね、大人になったら…平凡でも良いから幸せで暖かい家庭を持ちたいって言ってたんだ。」

 

たえはみんなにその事を話し出す--

 

 

--

 

 

小たえ「そう言う夏希の夢は何ー。」

 

たえが聞くと夏希が照れだした。

 

夏希「うーん…えへへ。」

 

小沙綾「ん?何で照れだしたの?」

 

夏希「いやー、家族って良いもんだから普通に家庭を持つのもありかなって…。でも、そうなると将来の夢が…お、お嫁……さん。」

 

小沙綾・小たえ「「わぁ……!」」

 

小沙綾「夏希なら直ぐに叶うよ。」

 

小たえ「ドレス姿が楽しみだね。」

 

夏希「なんだよ、つつくなよー。」

 

 

--

 

 

香澄「そうだったんだね……。」

 

ゆり「良い話だよ…。」

 

小沙綾「そういえば、そんな事言ってましたね…。」

 

中沙綾「だから私達…、どうしてもその夢を帰る前に叶えてあげたいんです。」

 

高嶋「とってもいい考えだと思うよ!きっと本人からは、みんなに言い出しにくいだろうし、教えてもらえて良かったよね!」

 

小沙綾「あの…、私達からもお願いします。夏希の為に、皆さんの力を貸してください。」

 

小たえ「夏希の為にお願いします。」

 

小学生組も頭を下げてお願いする。

 

香澄・高嶋「「うん、もちろん!」」

 

そうして夏希の為のプレゼント作戦の幕が開くのだった。

 

 

--

 

 

燐子「何をするかは決まったとして…具体的にはどうしましょう…?」

 

ゆり「まだ小学生だから、本当の結婚は無理に決まってるし…。」

 

大本は決まったものの、今度は中身に悩む勇者達。そんな中、

 

美咲「夏希ちゃんって彼氏いるの?」

 

美咲が突然爆弾を放り込む。

 

小沙綾「夏希にそんな人はいないです…っ!…多分。」

 

小たえ「聞いた事無いです。」

 

部室がざわつき始める。

 

りみ「あの…、夏希ちゃんは別に恋人が欲しいって訳じゃないんだと思います。それより…。勝手な想像ですけど、お嫁さんそのものに憧れてるんじゃないですか?」

 

りみが実に的を射る答えを出した。

 

有咲「まあ、そうだろうけど。りみ、りみの意見は?」

 

りみ「花嫁衣裳を着せてあげて、写真を撮るとかじゃダメですか?」

 

中沙綾「りみりん…。それ、とっても良いよ!」

 

中たえ「夏希の花嫁姿が見られるなんて、私たちにも嬉しすぎるよ!」

 

みんなもりみの意見に賛同する。

 

ゆり「さすがりみだね!その方向性で行こう!何か意見はある?」

 

紗夜「海野さん1人にドレスを着せるのは、本人が恥ずかしくて嫌がったりはしないでしょうか…。」

 

高嶋「それなら、お婿さん役の人を横に置いてあげれば良いんじゃないかな?」

 

リサ「ナイスアイデア!それなら夏希も心強いし、写真としても見栄えが良くなるよ。」

 

小たえ「みんなでアイデアを出し合うと、サクサク決まっていくね。」

 

小沙綾「そうだね。でも…夏希のお婿さん役は誰がやるの?」

 

今度はお婿さん役を誰にするかで会議が始まる。

 

燐子「やっぱり、お婿さん役は…並んで見栄えする背の高い人が良いと思います…。」

 

あこ「そうだね。薫、ゆりさん、友希那さんとかかな?」

 

薫「私は構わないよ。」

 

友希那「夏希の為だもの、私も構わないわ。」

 

ゆり「候補が複数あるなら、いっその事ドレスと白無垢お色直しして両方撮っちゃおうか。」

 

中たえ「和風と洋風で二度美味しいね。」

 

蘭「じゃあ、新郎役は瀬田さんと湊さんで決まり?」

 

ほぼほぼ決まりかけた所で有咲が意見を出す。

 

有咲「あの…さ。確かに2人は背が高いけど、夏希と比べてどうだ?」

 

有咲の意見も一理ある。小学生の夏希は小柄でバランスが取れているかと言えば、ぶっちゃけあまり取れていないのが現実である。

 

紗夜「それなら、同じ小学生の山吹さんと、花園さんがやったらどうでしょうか?」

 

小たえ「えーー。」

 

小沙綾「わ、私ですか!?」

 

みんなの視線が一斉に2人へ向く。

 

中たえ「うんうん。考えてみると、それが一番かもしれないね。」

 

香澄「身長もピッタリだし、きっと夏希ちゃんもその方が喜ぶよ!」

 

中沙綾「決まりだね。沙綾ちゃん、たえちゃん、お願い出来る?」

 

小たえ「もちろんです。」

 

小沙綾「夏希の為なら、やります。」

 

みんなに背中を押され、2人は新郎役になる事を了承するのだった。

 

 

---

 

 

寄宿舎、リサの部屋--

 

リサは鼻歌を歌いながら上機嫌で何かをしていた。

 

友希那「随分と嬉しそうだけど、さっきから何をしてるの?」

 

友希那がリサに尋ねる。

 

リサ「カメラの手入れをしてるんだ。結婚式の写真を撮るのは初めてだから、今から楽しみだよ。」

 

そんなリサの周りには他にも幾つかのカメラが。

 

友希那「そんなに沢山使うの!?」

 

リサ「大事な写真だからね。万に一つの失敗も出来ないよ。」

 

友希那「そ、そう……。」

 

友希那は若干引き気味だった。

 

リサ「結婚式は一生に一度の晴れ舞台だからね!真似事とはいえ、夏希には最高の一枚を取ってあげたいから。……例え残らなくても、思い出にはなるから。」

 

みんな知ってはいたが、いざそれを口にするといたたまれない気持ちになる。

 

 

---

 

 

かめや--

 

ゆり達は準備の休憩としてうどんを食べていた。

 

あこ「これから忙しくなるね。神社と浜辺の撮影許可を取りに行くんだから。」

 

有咲「そういうのって簡単に出来るものなのか?」

 

燐子「どうでしょう…。初めての事なので分かりません…。」

 

高嶋「戸山ちゃん。結婚式って出た事ある?」

 

香澄「まだないんだー。高嶋ちゃんは?」

 

高嶋「私も初めてだから、ワクワクしちゃう!」

 

ゆり「さぁ、うどん食べてエネルギーチャージした事だし、準備の続きに向かおうか!」

 

ゆりの合図でみんなは身支度を整え、かめやを後にした。

 

 

---

 

 

一方その頃、寄宿舎、たえの部屋--

 

たえ達はドレスのカタログをみながら話し合っている。

 

小たえ「色んなデザインがあるんだね。」

 

中沙綾「一口にドレスと言っても何冊分もあって迷っちゃうね…。」

 

中たえ「大丈夫だよ。夏希に似合うのを選べば良いだけだから。」

 

小沙綾「それが一番難しいんですよね…。」

 

中沙綾「何着かサンプルも取り寄せてみたけど、目移りしちゃうね。」

 

小沙綾「それにしても、沙綾さんとたえさんはよく夏希の言葉を覚えてましたね…。」

 

小たえ「ホントです。2人にとっては結構昔の事なのに。」

 

中たえ「うん…。そうだね。でも、私と沙綾は夏希の言った事、何一つ忘れてないよ。」

 

中沙綾「うん…。だから2人も、お互いの言葉や気持ちを、いつも心に留めて過ごしてね。」

 

小沙綾・小たえ「「はいっ!」」

 

今なら小学生の2人には2人の言葉の意味がはっきりと理解出来る。

 

小たえ「あっ、だったら私と沙綾の言った事とかも覚えてますか?」

 

中沙綾・中たえ「「えっ?」」

 

2人は一瞬戸惑う。

 

小沙綾「わあ…。私やおたえの言葉で、何か印象的な言葉はあるんですか?」

 

中沙綾「え、ええと…、それは…。」

 

その時、端末から樹海化警報のアラームが鳴る。

 

中たえ「大変だ、バーテックスだよ!こうしちゃいられない、出動だ!」

 

たえは棒読みでその場から駆け出した。

 

小沙綾・小たえ「「……??」」

 

 

---

 

 

戦闘が終わり、樹海から戻ってきた沙綾達。

 

小沙綾「あの…、さっきの話ですけど。」

 

沙綾が再度聞いてくる。

 

中たえ「……ところで!沙綾とたえはもうどっちか決めた?」

 

たえは再び話を逸らす。

 

小たえ「何を?」

 

中たえ「どっちが紋付で、どっちがタキシードを着るかだよ。」

 

小沙綾「私は和服にします。」

 

小たえ「なら、私はタキシードです。」

 

卒なく決まった。

 

中たえ「じゃあ試しに着てみようか。」

 

2人はそれぞれの服の試着を始めるのだった。

 

 

 

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