戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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短いですが、第7章は佳境に入ります。

残された組は西暦、防人、花咲川勇者部組。西暦組と花咲川勇者部組は所謂対バンという事でやりたい事が決まる。

残されたのは防人組。千聖はそんな2組を見てある事を思うのだった--




夢の架け橋ーBanD Dream!!-〈前編〉

 

 

狭間の空間--

 

あこ「演奏楽しかったね、りんりん!」

 

燐子「そうだね…あこちゃん…。胸の中が熱くなるって言うのかな……。」

 

友希那「あら、燐子がそんな事を言うなんて珍しいわね。」

 

リサ「よっぽど演奏が楽しかったんだね!まっ、かく言う私もそうなんだけどさ。」

 

燐子「皆さんと演奏する事で……言葉では伝わらない何かを感じる事が出来ました…。」

 

友希那「……そうね。戸山さん達や、まさか白鷺さん達も演奏をするなんて思いもよらなかったわ。勿論私達だって。」

 

リサ「本当だよね……。戦いばかりの日々だったけど…ああいうのも良いもんだね。」

 

5人は光の道を歩きながら話していた。4人の少し後ろを紗夜と高嶋が歩いている。

 

高嶋「紗夜ちゃん。」

 

紗夜「どうしましたか?」

 

高嶋「紗夜ちゃんは演奏楽しかった?」

 

紗夜「ええ…。」

 

返事をする紗夜の顔は少し暗い。

 

高嶋「………あそこが恋しい?」

 

紗夜「………本音を言ってしまえばそうですね。あそこには元の時代には無いものが沢山ありましたから。」

 

高嶋「例えば?」

 

紗夜「人の温かさ……信頼………慕ってくれる人の存在ですかね。」

 

高嶋「そっか……。」

 

紗夜「ですが、戻る事に後悔はありません。その真っ直ぐで温かな気持ちは"ここ"にありますから…。」

 

紗夜はそう言って自分の胸に手を当てる。

 

高嶋「……紗夜ちゃんっ!」

 

高嶋は紗夜に抱きついた。

 

紗夜「い、いきなりどうしたんですか、高嶋さん⁉︎」

 

高嶋「…元の世界に戻っても、私達がいるから。友希那ちゃんやリサちゃん。あこちゃんに燐子ちゃん、それに私……。ここにいるみんなが紗夜ちゃんの陽だまりだからね!」

 

紗夜「高嶋さん………。ありがとうございます。」

 

 

---

 

 

勇者部部室--

 

中沙綾「次は友希那さん達の番ですね。」

 

ゆり「何かやりたい事はない?」

 

5人が唸って悩む中、燐子が手をあげる。

 

燐子「あの……。」

 

ゆり「何?燐子ちゃん。」

 

燐子「確か…ゆりさん達花咲川の勇者部の皆さんはバンドをやっていましたよね?」

 

香澄「はい!"Glitter*Party"っていうバンドをやってますよ。」

 

燐子は以前リサからその話を聞いていたのだった。

 

あこ「カッコいい!」

 

燐子「友希那さん…。私…友希那さん達とバンドをやってみたいです……。」

 

友希那「それはまたどうして?」

 

燐子「今井さんから戸山さん達のバンドの写真や動画を見せてもらった時……皆さんの絆が垣間見えたような気がしたんです。だから…バンドをやってみる事で、より私達のチームワークを高める事が出来ると思います……。」

 

燐子は以前リサから見せてもらった香澄達の演奏を見た際、香澄達6人の笑顔や団結力に心を惹かれていたのだ。

 

あこ「それ良い、りんりん!友希那さん、私もやってみたいです!」

 

リサ「良いね!私も一度やってみたいと思ってたんだ。」

 

あことリサは乗り気のようだ。友希那は続けて高嶋と紗夜の方を向く。

 

紗夜「私は……。」

 

高嶋「紗夜ちゃん、やってみよう?きっと得られるものがある筈だよ。」

 

紗夜「そ、そうですね…。」

 

高嶋が笑顔でそう言ったので、紗夜も燐子の案に賛成する。

 

友希那「どうやら決まったみたいね。ゆりさん、私達はあなた達のバンドと一緒に演奏がしたい。お願い出来るかしら?」

 

ゆり「勿論!是非やろう!ね、みんな?」

 

香澄「はいっ!楽しみです!」

 

中沙綾「喜んで!」

 

中たえ「お安い御用です。」

 

りみ「が、頑張ります!」

 

有咲「しゃーねー。やりますか!」

 

西暦組の願いが決まり、盛り上がる勇者部。その西暦組と花咲川勇者部組をじっと見つめている人物が1人--

 

 

千聖(絆………ね…。)

 

 

---

 

 

音楽室--

 

6人は早速楽器を選んでいく。

 

あこ「あこはドラムが良い!カッコいいし!」

 

燐子「じゃあ…私はキーボードにします…。」

 

ゆり「紗夜ちゃんは指が長くて綺麗だからギターなんてどうかな?」

 

紗夜「ギターですか?」

 

高嶋「良いじゃんギター!私と一緒にやろ?」

 

紗夜「分かりました…。」

 

高嶋にそう言われたからには紗夜は断れない。着々と楽器が決まっていく中で、残ったのはリサと友希那。

 

友希那「私は…。」

 

友希那が悩んでいる中香澄が近付いて、

 

香澄「友希那さんはボーカルが似合いますよ!」

 

友希那「えっ…⁉︎」

 

香澄「だって号令をかけたりみんなを鼓舞するのはいつも友希那さんですし。」

 

友希那が悩んでいると、

 

あこ「友希那さん絶対に似合いますって!」

 

燐子「友希那さんが歌ってくれるなら…凄く心強いです…。」

 

高嶋「うん!ボーカルは友希那ちゃんが一番似合うよ!ねっ!紗夜ちゃん!」

 

紗夜「え…?ええ、そうですね…。湊さん程適任な人物はいないと思います。」

 

リサ「……だってさ、友希那。どうする?」

 

少しの沈黙があり、友希那が口を開いた。

 

友希那「……分かったわ。みんなの思い、私が受け止める。」

 

 

--

 

 

音楽室--

 

それぞれのパートが決まり、早速楽器の練習を開始する。

 

あこ「……ドーンって来て……ここでバーン!……っと!」

 

燐子「あこちゃん、カッコいいよ…。」

 

あこ「ありがとう、りんりん!」

 

あこは燐子の方を向いて笑って答える。

 

あこ「……りんりん、楽しそうだね。」

 

燐子「急にどうしたの?あこちゃん…。」

 

あこ「んーとね、りんりんが読書とか以外でこんなに楽しそうにしてる事無かったなーって。」

 

燐子「……そうだね。この異世界で沢山の楽しい思い出を作れたお陰…かな。」

 

あこ「……そうだね!最後まで楽しもう!」

 

燐子「うん……。」

 

そんな2人を音楽室の外からゆりとりみが様子を見ていた。

 

ゆり「うん、順調みたいだね。」

 

りみ「そうだね。」

 

ゆり「それにしてもなぁ……。」

 

りみ「どうしたの、お姉ちゃん?」

 

ゆり「やっぱりあこちゃんを見てると何か思うところがあるんだよね。」

 

りみ「私も、燐子さんを見てると他人じゃないような感じがするよ。」

 

 

--

 

 

二階、空き教室--

 

高嶋「むむ……ここのフレーズ難しいなぁ…。」

 

紗夜「………♪」

 

高嶋が指使いで苦戦する中、紗夜は綺麗な音色を奏でている。

 

高嶋「紗夜ちゃん凄い!」

 

紗夜「そんな事ないですよ。以前ゲームでやった事があったので体が覚えてるだけです。高嶋さんも練習あるのみです。」

 

高嶋「うぅ……頑張るよ…。」

 

紗夜「ふふっ……。」

 

高嶋「あっ、紗夜ちゃんが笑った!」

 

紗夜「すみません。つい……。」

 

高嶋「……今、紗夜ちゃんは楽しい?」

 

紗夜「…ええ……この上なく楽しいですよ。」

 

高嶋「見つかりそう?」

 

紗夜「そうですね……。きっと見つかると思います。」

 

高嶋「それなら良かったよ!あっ、そうだ。ここのフレーズ教えて、紗夜先生!」

 

紗夜「はい。そこはですね--」

 

 

 

そんな2人をたえと有咲が見ていた。

 

中たえ「紗夜さん、笑ってるね。」

 

有咲「そうだな。この異世界で一番変わったのは紗夜かもしれないな。」

 

中たえ「そうなの?」

 

有咲「ああ。最初はなんつーか勇者って事に拘ってるって感じだった。」

 

中たえ「有咲と一緒だね。」

 

有咲「ちょまっ!?そ、そんな事ねー!!」

 

 

---

 

 

三階、空き教室--

 

ここではリサと友希那が練習をしている。

 

リサ「……ふぅ、ちょっと休憩にしない?」

 

友希那「そうね。」

 

リサはベースを置き、友希那にお茶のペットボトルを手渡した。そこに香澄と沙綾がやって来る。

 

香澄「お疲れ様です。友希那さん、リサさん。」

 

中沙綾「進展具合はどうですか?」

 

リサ「うん、中々に順調だよ。」

 

友希那「いえ、まだまだよ。やるからには頂点を目指すくらいでないと。」

 

リサ「燃えてるねぇ、友希那。」

 

4人が休憩がてら世間話に花を咲かせてる中、突然教室のドアが開いた。

 

友希那「あら?珍しいわね。」

 

香澄「千聖さん!」

 

この空き教室を訪れたのは千聖だった。千聖は何か思い詰めた様な顔をしながら友希那の元へ近づいて来る。

 

千聖「……少しいいかしら?」

 

友希那「せっかく来てもらって悪いのだけれど、練習が終わっ--」

 

友希那が言い切る前に、

 

リサ「話だけでも聞いてあげたら?友希那。私達少し出てくるからさ。」

 

リサはそう言って、香澄と沙綾と一緒に空き教室を後にする。

 

 

--

 

 

千聖「……気を使わせてしまったわね。」

 

友希那「それで、話とは何かしら?」

 

千聖「ええ……。どうして友希那ちゃんはバンドをやる事に賛成したのかしら?」

 

友希那「それは、最初に燐子が言った事に納得したからよ。」

 

千聖「…………私は、友希那ちゃんはそんな事をやらない人だと思っていたわ。普段の立ち振る舞いや行動から、無駄な事はしない。常に強さを求めてる……そんな勇者だと。」

 

少しの沈黙が続き、友希那が口を開く。

 

友希那「私も最初はあなたの様に御役目に真っ直ぐ向き合っていたわ。私が勇者になってからの原動力はクラスメイト達を殺された復讐だった。」

 

千聖「……。」

 

友希那「戦場でもバーテックスをただ倒す為に死にものぐるいで戦ってきたわ。だけれど、私はそこである過ちを犯してしまったの。」

 

千聖「過ち…?」

 

友希那「周りを顧みなかった事……。バーテックスを倒す事は成功したけれど、私の突出した行動のせいで、仲間が傷付いてしまった…。」

 

千聖は友希那の話を黙って聞いている。

 

友希那「非難もされたわ…。今となっては当然の事だとよく分かる。でも、その時はどうしたら良いか答えも分からず、中々立ち直る事が出来なかったの。」

 

千聖「その言い方だと、今は立ち直れたのね?」

 

友希那「ええ…。」

 

千聖「何が友希那ちゃんを変えたのかしら?」

 

友希那「……仲間よ。」

 

千聖「仲間?」

 

友希那「そう。死んだ人の為では無く、今を生きている仲間の為に勇者の力を振るう……この事に気付かせてくれたのも、仲間のお陰よ。」

 

千聖「そう……なのね…。」

 

友希那「あなたにはいないのかしら?仲間と呼べる存在は。」

 

千聖は目を閉じて考える。すると、浮かんでくるのだ。仲間と言える存在が。

 

千聖(彩ちゃん…日菜ちゃん…花音…イヴちゃん……。そしてこの世界で共に戦ってきた……。)

 

千聖「……そう…そうなのね……。」

 

友希那「人は1人では強くなれない。私はそれを仲間達から教わったわ。」

 

千聖「絆……だから友希那ちゃんは…。」

 

友希那「そうね。バンドをやる事で私達の結束はより強くなる筈だわ。"バンド"だから。」

 

千聖「バンド……。ふふっ、ダブルミーニングってやつね。」

 

友希那「あなたも…白鷺さんもやってみたらどうかしら?何か得られるものがあるかもしれないわよ。」

 

千聖「…そうね……考えてみるわ。練習を遮ってしまってごめんなさい。」

 

そう言って千聖は空き教室を後にする。その時の千聖は曇りのない笑顔だった。

 

 

---

 

 

次の日、勇者部部室--

 

部室には勇者部全員が集まっていた。

 

夏希「一体何があったんですかね?」

 

彩「どうやら千聖ちゃんが招集をかけたらしいんだ。」

 

全員が集まってから少し後、千聖が部室にやって来る。

 

千聖「すみません、急に集まって頂いて。」

 

花音「何かあったの?」

 

千聖「ええ…。ゆりさんに伝えたい事があったので報告も兼ねて全員を集めさせて頂きました。」

 

ゆり「私に?」

 

千聖は神妙な面持ちで話を続ける。

 

千聖「私の……防人組の願いを今言わせてもらいます。」

 

花音「え?」

 

千聖「私達もバンドをやります。そして、神世紀組と西暦組の対バンに参加させてください!」

 

彩・花音・日菜・イヴ「「「えぇーーー!?」」」

 

 

 

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