本編より先に番外編--すみません。まったり待っていただければ幸いです。
突如以前白鷺千聖が飛ばされた夜の樹海へと迷い込んだ湊友希那と今井リサ。そこで出会ったのは衛藤可奈美と糸見沙耶香。2人は"刀使"と呼ばれる存在であり、彼女らもまた何かの力によってこの夜の樹海へと飛ばされたのだった。
"刀使"の力が通用しない神の眷属であるバーテックスに苦戦する可奈美と沙耶香。そこへ友希那が助太刀に入り、一度は逆転したかに見えたのも束の間、バーテックスが"ノロ"と呼ばれる負の神性を帯びた不純物と融合した事により形成が逆転。
しかし、そのお陰で"刀使"の力も通用する様になり、友希那と可奈美。湧き出た"荒魂"を沙耶香に任せ、2人の共同戦線が始まるのだった--
---
可奈美「あいつの姿が変わった事で友希那ちゃんの攻撃が効かなくなった……。それは恐らくあいつに"荒魂"の力が加わったからだと思う。」
友希那「"荒魂"……?」
可奈美「さっきのアメーバみたいな"ノロ"が集まって結合した擬似生物だよ。普通の武器は効かなくて、私達が持つこの"
そう言って可奈美は友希那に自身の"御刀"である"千鳥"を見せた。その刀身は友希那がもつ"生太刀"よりは短く、切っ先の付近に焼けた後の様な白い痕跡がある。
可奈美「融合してるけど多分大丈夫だと思う。"荒魂"は異なる時間軸に入り込んでる筈。だから先ず私があいつから"荒魂"を引き剥がす。引き剥がせば友希那ちゃんの攻撃も通用する筈だからお願い!」
友希那「異なる時間軸……?良く分からないけれど、衛藤さんに任せるわ。」
沙耶香「可奈美…早く片付けて…。こいつらキリ無い…。」
可奈美「オッケー!行くよ、"迅移・一段速"!」
可奈美が叫ぶと、常人とは思えぬ速さで"蟷螂型"に斬りかかる。
友希那「速い!?だけど、そのままじゃ…!」
可奈美「まだまだ!"迅移・二段速"!」
可奈美は先程より更に加速し、その場から姿を消すのだった。
友希那「消えた!?」
--
隠世--
可奈美が今いる場所は"
可奈美「あそこか!」
可奈美は"荒魂"を発見し、すぐさま斬りかかった。因みに今の可奈美は通常の6.25倍の速度で動いている。一方"荒魂"も可奈美の姿に気付いたのか尾から火の玉を振り撒き、近付けまいと抵抗している。
可奈美「"狐型"だね……なら!」
迫り来る火の玉を紙一重で躱しながら、可奈美は接近。
可奈美「吹き飛ばす!」
"狐型"の懐に入り込み、千鳥を振り上げる。次の瞬間、"狐型"は呻き声を上げながら上空へと吹き飛んだ。
可奈美「このまま引き剥がすよ!」
後を追う様に可奈美も飛び上がり、"荒魂"を上空へ上空へと追いやりやがて--
---
樹海--
友希那「っ!?」
大気が震え何もない空間から突如"荒魂"と可奈美が姿を現した。同時に"蟷螂型"に纏わりついていた赤銅色の欠片も姿を消し元の状態へと戻っている。融合が解除されたのだ。
可奈美「"荒魂"を引き剥がした!これであいつに友希那ちゃんの攻撃効く筈だよ!」
友希那「ありがとう。今度はこっちの番よ。来なさい"義経"!」
友希那は再び"義経"をその身に宿し"蟷螂型"へ斬りかかる。"蟷螂型"は両腕の鎌から斬撃を飛ばすが、高速で動く友希那には当たらない。その様子を可奈美は"荒魂"の相手をしながら観察している。
可奈美「あの動き…やっぱり"迅移"と近いものがあるかもね。よーし、私も…!」
2人は同時に敵を同じ方向へ吹き飛ばす。
友希那・可奈美「「決める!!」」
可奈美「太阿之剣!」
友希那「八艘・飛翔閃!」
全く同じ動きで2人は斬りかかり、"荒魂"と"蟷螂型"は消滅する。同時に沙耶香が相手をしている"荒魂"達も消えたのだった。
--
沙耶香「……ふぅ。」
リサ「ありがとう、助かったよ。」
沙耶香「刀使としてやる事をやっただけ…。」
リサ「それでもありがとう。」
可奈美「沙耶香ちゃーん!」
友希那「リサ!」
2人も合流し、互いに情報交換を開始する。
可奈美「改めて、私の名前は衛藤可奈美。」
沙耶香「糸見沙耶香……。」
友希那「湊友希那よ。」
リサ「今井リサ。宜しくね。みんな疲れたでしょ?はい、クッキーだよ。」
友希那「どうして持ってるの?」
リサ「鍛錬の差し入れで持ってきてたんだよ。」
沙耶香「!」
クッキーを見て沙耶香の目の色が変わる。沙耶香はクッキーを1つ手に取り口へ運ぶ。
沙耶香「…美味しい…!」
1つ、また1つと沙耶香はクッキーを口へ運んだ。
可奈美「あはは!沙耶香ちゃんはクッキー好きだもんね。その様子だと舞衣ちゃんのクッキーと同じくらい美味しいんだね。それより、ここは何処なの?2人は知ってる?」
友希那「ええ。ここは--」
友希那はこの樹海の事、さっき戦ったバーテックスの事、そしてこの世界での御役目の事を。可奈美は自分達の事を説明する。
--
沙耶香「バーテックス…神の眷属…。」
可奈美「成る程ねぇ……。」
リサ「刀使かぁ……。じゃあさっきの事から推測すると、神託であった不純物って言うのは"ノロ"の事なんじゃないかな。」
友希那「でしょうね。"ノロ"に私の勇者の力は効かなかった。だから神樹はそれに対抗する為にあなた達"刀使"をこの異世界に呼んだのでしょうね。」
可奈美「それなら合点がいくけど、どうしてこの夜の樹海に飛ばしたんだろう。」
リサ「それはきっと前に千聖がここに飛ばされた時と同じ様に、"刀使"の力を見極める為だと思う。その御目付役として私と友希那も一緒に飛ばされたんじゃないかな。」
沙耶香「要するに試験って事…?」
友希那「そうでしょうね。きっとあなたの他の仲間も私達の世界に飛ばされてると思うわ。」
可奈美「本当!?」
リサ「…ちょっと待って!神託が来た。………うん、友希那の予想通り。他の"刀使"達3人もこの世界に来るみたい。私達も戻れるって。」
沙耶香「じゃあ、試験には合格したって事だね…。」
友希那「その様ね。」
可奈美「
---
時間は少し巻き戻る--
勇者部部室--
モカ・彩「「っ!?」」
蘭「どうかした?」
千聖「何かあったの、彩ちゃん?」
モカ「神託が来た…。」
彩「この世界に不純物が紛れ込んだようで、それを排除する為に別の世界から人を呼んだって……」
千聖「それは本当なの?」
モカ「はい…。」
そこへ、友希那とリサを探していた香澄が部室へと入ってくる。
香澄「何処いったのかなぁ2人共……あ、千聖さんに蘭ちゃん。ん?何かあったの?」
千聖「丁度良かった、香澄ちゃん。神託が来たからみんなを呼んでくれないかしら?」
香澄「本当ですか!分かりました!」
千聖「私達も行きましょう。」
5人は勇者達を部室へと招集するのだった。
--
10分後--
ゆり「友希那ちゃんとリサちゃん以外は全員集まったね。」
高嶋「2人とも何処行っちゃったんだろう…。」
花音「まさか2人とも私達と同じ様に樹海に飛ばされちゃったとか……。」
モカ「その事に対しても神託があったよ。」
彩「2人は以前の私達みたいに夜の樹海に飛ばされてるんだ。」
彩の一言で部室が騒めき出した。
中沙綾「神託を受け取れるリサさんがいるから大丈夫だとは思いますけど…。」
ゆり「取り敢えず今は神託の続きを聞こう。彩ちゃん、モカちゃん、お願いね。」
彩「分かりました。」
2人は降りてきた神託の内容を説明する。
--
有咲「不純物?なんだそれ?」
モカ「分からないけど、何かが起こるのは確かだよ。」
小沙綾「どうして神樹様は私達じゃなく新たに人を召喚するんでしょうか?」
中たえ「うーん……。私達じゃ対処出来ないから…とか?」
燐子「それは…ありえるかもしれないですね…。」
〜〜〜♪
次の瞬間、樹海化警報のアラームが鳴り響くが、いつもと少し音が違い、ノイズ混じりの警報だ。
夏希「なんかいつもの警報と違う…。」
美咲「さっき言ってた不純物のせいとか?」
ゆり「確かめないと、行くよみんな。」
勇者達は樹海へと急ぐ--
---
樹海--
?「何だここは…。いきなり知らない所へ飛ばされたと思えば、周りには"荒魂"の群れ。」
深緑の制服を着た少女は刀で"荒魂"を切り裂いていく。
?「取り敢えず周りの敵から倒しましょう、十条さん。そのうち活路が見えてくる筈です。」
清楚な立ち振る舞いの少女も同様に"荒魂"を退ける。服装は可奈美と同じ制服で、仕切りに辺りを見回し情報収集を怠らない。
?「面倒臭いけど、軽く捻ってやるよ。な、"ねね"。」
残るツインテールの少女は自身の身の丈を越える程大きな刀を手足の様に振り回し戦っていた。頭には犬の様な小動物を乗っけている。
姫和「有象無象がうようよと!面倒だ。舞衣、薫下がれ!」
益子「おー、任せるぞ、ホライズン胸。」
2人は姫和と距離を置く。姫和の攻撃の巻き添えを避ける為だ。
姫和「くっ、薫のやつ…!この怒りはこいつらにぶつける!"迅移・二段速"」
そう叫ぶと姫和の姿が一瞬で見えなくなった。そしてすぐまた現れるが、姫和が現れた直後周りに存在していた"荒魂"の群れはチリとなり消えていたのである。
舞衣「いつ見ても凄いですよね、十条さんの"迅移"には。」
"迅移"とは先の説明の通り通常は一段、二段と段階を踏んでいくのだが、姫和に限ってはシフトチェンジ無しで一瞬にして加速する事が出来、最大で三段速まで一気に加速する事が出来る。因みに三段速は通常の16.66倍の速度が出るが、その分力の消耗も激しくなる。
益子「そのお陰でオレは休めるから万々歳。」
姫和「また何か来る。」
3人の周りに今度は幼生バーテックスである星屑が戦闘の音を聞きつけやって来る。
益子「何あれ…気持ち悪い。」
舞衣「"荒魂"…じゃ無さそうですね。何でしょう?」
姫和「どうだって良い。襲って来るなら何であろうと斬る!」
先手必勝と言わんばかりに姫和は真正面から星屑相手に斬りかかるが、星屑は突進し刀を弾き飛ばす。
姫和「切れない!?」
舞衣「恐らく私達の"御刀"の力が効いていないのかもしれません。」
益子「何だそれ…一層面倒臭いな。」
姫和「薫。あんたの馬鹿力で何とかならない?」
益子「えぇ……あれ面倒臭いんだよ…。」
舞衣「私からもお願いします。」
益子「ったく…しゃあない。」
薫は悪態をつきながらも自身の"御刀"である"
益子「八幡力・一段目!」
御刀から力を引き出し薫の筋力が上昇する。
益子「二段目……三段目!」
八幡力のギアを上げて行き星屑へ斬りかかる。しかし、三段目ですら星屑に多少の傷がつくだけで倒すまでには行かない。
姫和「三段目でも擦り傷か……。」
薫は三段目が通じないと分かるや否や八幡力を解く。
益子「はぁ……。これ以上は負担が激しいからやらねぇ…。」
刀使が使う"迅移"や"八幡力"、"金剛身"は最高で五段目まで段階を踏む事が出来るのだが、四段、五段が使える刀使は片手で数える程しかいなく、特に"迅移"に関しては四、五段に到達出来る者は記録上存在していない。ましてや"迅移"の四段目は通常の39.06倍、五段目になると隠世から戻って来れなくなってしまう。薫は"八幡力"に限っての事なら五段目まで段階を踏める唯一の刀使であるが、消耗が激しすぎる為滅多に使わない。
姫和「どうすれば……。」
3人が手を拱いていたその時だった。
中沙綾「伏せて!」
彼方からの沙綾の声で咄嗟に身を屈める3人。直後頭上を一筋の閃光が走り星屑に直撃。そのまま消滅する。
舞衣「今のは……。」
続けざまに声が響く。
香澄・高嶋「「勇者パーンチ!!」」
夏希「はぁっ!」
薫「ふっ!」
姫和では太刀打ち出来なかった星屑瞬く間に殲滅する勇者達。
姫和「攻撃が効いてる…どうして…。」
舞衣「刀使の力では無いのでしょうか……。刀使とはまた別の力…?」
姫和「あいつらは刀使じゃない?」
舞衣「恐らくは。未知の敵に攻撃が効いてるのが証拠でしょう。」
益子「敵を倒してくれるなら何でも良いけど。」
--
舞衣「皆さんは…?」
ゆり「あなた達が神託であった召喚されてきた人達だね。私は勇者部部長の牛込ゆり。勇者です。」
舞衣「勇者……。あ、申し遅れました。私は柳瀬舞衣と申します。」
姫和「十条姫和だ。」
益子「オレは益子薫。」
薫「おや、私と同じ名前だね。儚いよ。」
益子「儚いってなんだ。」
香澄「薫ちゃんの頭に乗ってる子可愛いね!」
益子「こいつは"ねね"って言う。」
直後香澄の背後から"牛鬼"が現れ、"ねね"に興味津々に近寄り出した。そして2匹は戯れあった。
香澄「早速仲良しになったみたいだね。あっ、自己紹介がまだでした。私の名前は戸山香澄。」
姫和「同じ顔が3人…。姉妹か何かか?」
香澄・高嶋・赤嶺「「「違うよ。」」」
全く同じタイミングで3人は首を横に振る。
益子「本当かよ……。」
ゆり「これにはちょっとややこしい事情があってね……。」
香澄「あーっ!"牛鬼"その子食べちゃダメだよ!」
益子「ん?って、"ねね"を齧るな!」
ゆり「あはは……。ま、まぁ詳しい事は樹海を出てから説明するね。」
舞衣「樹海?」
姫和「確かに木の根みたいなのが沢山あるな。」
香澄「薫ちゃんごめんね。さあ、部室へレッツゴーだよ!」
姫和「大丈夫なのか…これ。」
舞衣「まぁまぁ。取り敢えず皆さんに着いて行きましょう。どうやらこの世界に詳しいみたいですから。可奈美ちゃんと沙耶香ちゃんがいないのも心配ですし。」
益子「ったく……面倒臭い事にならないと良いけどな。」
新たな来訪者、姫和、舞衣、薫の3人と合流した勇者部一同。役者が揃い、御役目が動き出す--