第2章が始まり、ここから沙綾の過去の話が展開されていきます。
沙綾にたえ、そして--
かこのきおく
新世紀298年--
大きなお屋敷の清め処にて1人冷水を頭から被り身を清める少女がいた。
彼女の名前は山吹沙綾。神樹を奉っている大赦と呼ばれる組織を構成している山吹家の長女である。神樹とは土地神の集合体で成る大樹で、四国を壁で覆ってウイルスを防いでいると言われている。
沙綾は毎朝の日課である水垢離を終えると学校へ向かった。
神樹館小学校ーー
沙綾は神樹館小学校の6年生。沙綾が教室に着くと、
クラスメイト「「おはよう、山吹さん。」」
沙綾「おはよう。」
クラスメイトが沙綾に挨拶をし、沙綾も答える。沙綾の隣には居眠りしている少女。
?「すぴー…すぴー……。」
鼻提灯を出しながら寝息を立てている。
沙綾「おたえ、起きてもうすぐ朝の学活が始まるよ。」
沙綾が隣の少女を起こす。
たえ「ん……あっ、沙綾、おはよう。」
沙綾「おはよう。」
眠っていた彼女の名前は花園たえ。山吹家と同じく大赦の組織のトップである花園家の長女。性格はおっとりで、どこでもすぐ眠ってしまう。
安芸「皆さん、おはようございます。」
その時、担任である安芸先生が入ってきた。それと同時に、
?「おはよーございまーす!はぁ…間に合ったー…。」
もう一人、少女が滑り込んでくる。安芸先生はその少女を出席簿で軽く小突く。
?「んが!?痛ったーーー!」
安芸「海野夏希さん。間に合ってません。早く席に着きなさい。」
クラスメイト「「「あはははは。」」」
教室中で笑いが起こる。
たえ「夏希は相変わらずだなぁ。」
たえはそう呟き、夏希は自分の席に座る。
クラスメイト「ねえ、夏希ちゃん。今日は何で遅れたの?」
隣の席の子が夏希に話しかける。
夏希「6年生にもなると、色々あるんだ。」
クラスメイト「えぇー?」
夏希はそう言いはぐらかし、カバンを開けると、
夏希「あっ!?教科書忘れた……。」
夏希のカバンの中には何も入っていなかったのだ。
安芸「では、今日日直の人お願いします。」
安芸先生がそう言うと、沙綾が立ち上がり、
沙綾「はい。起立!礼。神棚に礼。着席。」
全員が礼をし、座ろうとした瞬間だった--
沙綾「っ!?」
たえ「っ!!」
夏希「っ…!」
沙綾、たえ、夏希以外の周りの時間が止まる--
沙綾「これって……。」
3人がそれぞれ顔を見合わせる。それと同時に、
鈴の音「チリーン、チリーン………。」
大橋につけられた鈴の音が響く--
沙綾「来たんだ…。私達が御役目をする時が。」
沙綾がそう呟き、大橋の向こうから世界が割れていく--
世界が無数の色に覆われていき--
夏希「おお!来た来たー!」
たえ「眩しー!」
沙綾「くっ……。」
3人が眩しさのあまり目を瞑る。そして目を開けると、
世界が樹海化していた--
樹海--
たえ「わぁー!」
夏希「初めて見た。これが…。」
沙綾「神樹様の結界…。」
3人は初めて見る樹海に驚いていた。
たえ「これが神樹様が作った結界の世界!?」
夏希「すっごー!」
たえ「すごいね!全部樹だね。おお!あれが大橋かな?」
夏希「うん!多分あれだね。」
たえと夏希は夢中になって話していたが、
沙綾「樹海…教わった通りだね、あれがこちらと壁の外を繋ぐ大橋。あそこから敵が渡ってくるんだ…。」
沙綾は落ち着かない様子。
夏希「うーん!私達が勇者だなんて興奮するー!」
沙綾「夏希、遊びじゃないんだよ。」
夏希「分かってるって。」
その時たえが大橋の上から何かが渡ってくるのに気づく。
たえ「あっ、あそこ見て!」
沙綾・夏希「「!?」」
コポコポと泡を浮かばせながらやってきたのは"水瓶型"のバーテックス。
夏希「来たね。」
たえ「あれが敵か。」
沙綾「あいつが橋を渡り、神樹様に辿り着いた時、世界が無くなる…。」
夏希「あぁ、分かってるって。」
たえ「私達で止めないとだね。」
沙綾「御役目を果たそう。」
3人はスマホの勇者システムを起動させる。
沙綾「あめつちに きゆらかすは さゆらかす。」
沙綾が呟く。
たえ「かみわがも かみこそは きねきこゆ きゆらかす。」
たえが呟く。
夏希「みたまがり たまがりまししかみは いまぞきませる。」
夏希が呟く。
全員「「「みたまみに いまししかみは いまぞきませる。」」」
3人が呟き真ん中の花をタップすると--
3人は勇者の衣装に変身する。
夏希「おおーっ!初めての実践!」
夏希はやる気満々だが、
たえ「合同訓練はまだだったけど…。」
沙綾「敵が御神託より早く出現してしまったから…。」
たえ「まぁ、大丈夫だよね。」
沙綾「慎重に対処していこう。」
沙綾とたえは心配が少し残っていた。
夏希「よーし!ぶっ倒す!」
たえ「あ、夏希!私も!」
沙綾「あっ、2人とも待って!」
たえと夏希が先陣を切り、その後に沙綾が続いていく。
夏希「しっかし、広いなー訓練とは全然違う。」
たえ「ここが元々は街だったなんてねー。」
たえと夏希がそんな事を話しながら、"水瓶型"のもとへたどり着く。
沙綾「これが…向こうから来た者…、バーテックス。」
沙綾に緊張が走る。"水瓶型"が進むと樹海が枯れ始めた。
たえ「あ、あれ!」
たえが言うと、沙綾はすぐさま武器である弓矢を出現させ構えた。
沙綾「浸食!撃退するのに時間がかかるほど元の世界に悪影響が出る。」
夏希「だったら!」
夏希が飛び出す。
たえ「待ってー!」
続けてたえも飛び出した。
沙綾「あっ、ちょっと!」
"水瓶型"は夏希に向かって水の球を飛ばしてきた。
夏希「おっと!何だこれ?うわあっ!?」
夏希は吹き飛ばされてしまう。
沙綾「夏希!」
間髪入れずに"水瓶型"はたえに向かって圧縮した水鉄砲を放ってきた。
たえ「わああっ!?」
避けるが、たえは足場から落ちてしまう。
沙綾「2人とも!」
沙綾は走りながら矢を放ち、"水瓶型"にダメージを与える。
沙綾「やった!あっ!?」
しかし、すぐ再生してしまう。
"水瓶型"は再びたえに向かって水鉄砲を放った。
夏希「ヤバい!」
夏希が駆け出すが間に合わない。
たえ「っ!?」
たえに命中したと思いきや--
たえ「うう……くっ…これ、盾にもなるんだった……。」
武器である槍を盾に変化させ、かろうじて攻撃を防いだ。
沙綾「良かった……。」
沙綾は胸を撫で下ろし再び弓を構える。矢を番えると花の文様が出現、花弁が1枚づつ色づいていく。
沙綾「早く……!」
一方たえは攻撃し続けてくる"水瓶型"の猛攻を、槍を盾に変化させ凌ぎ続けていた。
たえ「うううっ…!台風の凄いのみたい…!」
その時、沙綾の弓の花弁の文様が全て色づく。
沙綾「これで!」
沙綾は矢を放ち、矢は真っ直ぐ"水瓶型"の元へ飛んで行くが、矢は水の玉に捕らわれ、落ちてしまう。
沙綾「そんな!」
そして、その水の玉が沙綾に向かって飛んできて、
沙綾「きゃああああああっ!!」
沙綾は吹き飛ばされ、転がり落ちる。
たえ「沙綾!あっ!わあっ!!」
たえも沙綾に気を取られ水圧に吹き飛ばされてしまった。そして再び神樹に向かって"水瓶型"は進行していき、樹海が枯れていく。
沙綾「くっ、こんなの……どうしたら。」
沙綾は必至で考えを巡らせていた。
沙綾(私の矢ではダメージが足りない。夏希は強力だけど近づけない。おたえは、どう扱っていいのか分からない……。)
沙綾「一体どうしたら…?」
その時"水瓶型"が沙綾に水の玉を放ってきた。
夏希「危ない!」
が、夏希が沙綾をとっさに庇い夏希の頭が水の玉に覆われてしまう。
沙綾「夏希!くっ…これ、弾力が…。」
沙綾が必死で水の玉を何とかしようとするも外れない、しかし、
夏希「っ!」
なんと夏希は水の玉を全部飲み干してしまったのだ。
たえ「えー……。」
沙綾「夏希、大丈夫?」
夏希「ごくっ、ごくっ……。ぷはー!」
沙綾「全部飲んだ……。」
沙綾は呆気に取られていた。
夏希「神の力を得た勇者にとって水を飲み干すなど造作もないのだ!うっ…!気持ち悪い……。」
たえ「夏希すごーい!味は?」
夏希「最初はサイダーで、途中ウーロン茶に変化した…。」
たえ「不味そう…。」
沙綾「そ、そんな事よりバーテックス!でも、どうやって倒したら…。」
たえ「あっ、私閃いたよー。みんな耳貸して。」
たえが案を思いついたようだ。
たえ「かくかくしかじか…。」
夏希「よっしゃ、ここから反撃開始だ!」
沙綾「上手くいくか分からないけど、今はこれしかないか。」
たえ「よし、全員の力を合わせてやっつけるよ。」
初めての御役目を成功させる為、3人の勇者の反撃が始まる--
原作を知っている方なら分かりますが、生存のもしも展開はございません。