"荒魂"と融合した"完全型"が勇者達に襲いかかる。
挫ける勇者達の前に夜の樹海からあの2人が帰還する--
姫和、舞衣、薫の3人の刀使と出会った勇者部達は取り敢えずの情報を纏める為に部室へと移動する。
勇者部部室--
舞衣「改めて先ずは私達の事についてお教え致します。私達は"刀使"……正式名称"
燐子「機動隊……という事は警察みたいなものでしょうか?」
舞衣「それに近いですね。警察の組織の1つで、主に蔓延る"荒魂"を専門に扱っています。」
姫和「"荒魂"は"ノロ"と呼ばれる負の神性を帯びたチリの事で、それが集まったものが"荒魂"だ。」
益子「オレ達は巫女って立場もある。だから"刀使"ってのは女しかなる事が出来ない。そしてその全員が"御刀"ってもんを持ってる。」
あこ「そのおっきな刀の事だね!よく振り回せるよねぇ。」
舞衣「薫ちゃんの"祢々切丸"は特段大きいだけで、大抵は私が持つ"孫六兼元"や十条さんの"小烏丸"の様に日本刀のものが殆どです。」
あこ「カッコいい!友希那さんの"生太刀"もそうなのかな?」
燐子「どうだろうね…。神様が違うから"御刀"とは言わないのかも。」
千聖「では私達勇者の力では"荒魂"に太刀打ちは出来ないという事なのね……。」
赤嶺「それは分からないよ?」
舞衣「え?」
赤嶺「私達3人が持つ"天の逆手"……。それには神の力を祓う事が出来る。これってあなた達"刀使"とやっている事は同じでしょ?」
高嶋「そう言えば赤嶺ちゃんそんな事言ってたね。」
姫和「確かに…。それが本当なら可能性はありそうだな。」
ゆり「3人の事は何となく分かった。神託の通りなら不純物は"ノロ"や"荒魂"の事なんだろうね。」
姫和「では今度はそちらの事について教えて貰おうか。」
ゆり「勿論。私達は--」
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ゆりはややこしい事は3人に内緒にしつつ勇者の事を説明する。
舞衣「私達が飛ばされた場所が樹海で…。」
姫和「"荒魂"の後に集まってきた白い化け物がバーテックス。」
中沙綾「そうです。そしてバーテックスは神樹を狙っていて、私達はそれを阻止しているんです。」
益子「そのバーテックスが神樹に辿り着くとどうなるんだ?」
中沙綾「この世界が滅んでしまいます。」
益子「んなっ!?嘘だろ…。」
中たえ「本当だよ。それを阻止するのが私達勇者の役目。」
舞衣「成る程…。分かりました。それにしても…。」
舞衣は香澄達に目を向ける。
舞衣「御三方は三つ子か何か何でしょうか?それ以外にも同じ顔の方々がいるようですけど…。」
香澄「そ、それは……。」
3人に過去から来た人だと言うと話がややこしくなってしまう。
ゆり「そ、そっくりでしょ!?三つ子なんですよ!!あは、あはは……。」
赤嶺「えっ!?ちがっ!もごっ!」
赤嶺の口を咄嗟にたえが塞ぐ。
中たえ「私も初めて会った時はびっくりしたんです。」
その時、タイミングを見計ったかの様に樹海化警報が響く。
〜〜〜♪
ゆり(助かったぁ……。なんて言ってる場合じゃないよね。)
中たえ「皆さん、樹海へ行きましょう。また"荒魂"が暴れてるかもしれないですよ。」
舞衣「それは放っておけないです。十条さん、薫ちゃん行きましょう。」
益子「面倒臭いけど、仕方ない…。」
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樹海--
香澄達が樹海へ辿り着くとそこには星屑に混じって赤銅色の虫を模した生物が徘徊していた。
美咲「虫の体に鬼の顔……。あれが"荒魂"?」
舞衣「そうです。"荒魂"は倒しても"ノロ"に戻ってしまいます。先ずはバーテックスと分断しないといけませんね。」
舞衣がそう言うと姫和は懐から計測器の様な物を取り出した。
香澄「それは何ですか?」
舞衣「これは"スペクトラム計"と言います。」
姫和「"ノロ"は互いに引き合う性質がある。この"スペクトラム計"には少量の"ノロ"が封じ込めてあり、これを使えば"荒魂"を引き寄せる事が出来る。」
中沙綾「成る程…。それならバーテックスは私達に任せてください。」
香澄「"荒魂"の方が数が多いです!私は刀使を手伝います!」
高嶋「それなら私も。私の武器が"荒魂"に効くかどうか試してみないと!赤嶺ちゃんも!」
赤嶺「うん。」
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刀使サイド--
益子「まーオレが勇者の力を見てやるから、行ってこい。」
香澄「はい!」
3人の香澄が"荒魂"へ攻撃を仕掛ける。
姫和「ったく、薫!サボってないでやる事やれよ!」
益子「はいはい。」
香澄「勇者パーンチ!」
香澄のパンチが"荒魂"へクリーンヒット。すると"荒魂"が煙の様に消えてしまう。
高嶋「消えちゃった!」
舞衣「"ノロ"に戻ったんです。香澄さんの攻撃は通用するようですね。」
赤嶺「そうと決まれば全開でいく。火色舞うよ。」
赤嶺が攻撃を仕掛けようとした瞬間"荒魂"の様子が変化する。
赤嶺「!?」
舞衣「"荒魂"が増えた!?集まって姿を変えようとしています!」
高嶋「ちょっと気持ち悪いかも…。」
ドロドロになった"荒魂"が集まり姿を変える。その姿はさながら熊だ。
香澄「大っきい…。」
赤嶺「"超大型"と同じくらいの大きさ…かな。」
"熊型荒魂"は巨大な手を勇者達に振り下ろす。その衝撃は空を裂き地面を抉る程。
高嶋「きゃあっ!?」
姫和「薫!パワーにはパワーだ!あんたの馬鹿力で何とかしろ!」
益子「オレかよ!?アレ使うと暫く動けなくなるんだけどな…。"ねね"、ちょっと下がってろ。」
薫は"祢々切丸"を構え八幡力を発揮する。
益子「八幡力・一段目!」
薫は"祢々切丸"を片手で振り上げ斬りかかる。
赤嶺「あんな刀を片手で軽々と…。」
姫和「アイツは力だけは強いからな。」
益子「八幡力・二段目!」
更に力を込めて斬る。が、相手も負けずに巨体を生かした攻撃で薫の攻撃を防いでいる。
益子「八幡力・三段目!舞衣。どっかに弱点ないか?」
舞衣「ちょっと待ってください。"
舞衣が目を凝らし"荒魂"を観察し始めた。
高嶋「舞衣さんは一体何を……。」
姫和「アレは"明眼"。視覚を変質させて肉眼で望遠や暗視、熱探知とか出来る。舞衣は"明眼"に長けてるんだよ。」
舞衣「っ!薫ちゃん、首筋が弱点です!」
益子「りょーかい。一気に叩っ斬る!八幡力・四段目!」
赤嶺「まだ上がるの!?」
薫は手始めに"熊型荒魂"の両腕を切り落とす。
益子「その腕邪魔だな!」
舞衣「殆どの刀使は"御刀"の神力を二段目までしか使いこなす事が出来ません。ですが優れた刀使はその限りではありません。十条さんは"迅移"を段階を踏まず三段目まで使う事が出来ますし、薫ちゃんは八幡力を五段目まで使う事が出来ます。」
姫和「五段目はトップギア。その分消耗は激しいけどね。」
益子「八幡力・五段目!」
そう叫んだ直後、振り下ろした御刀は"熊型荒魂"を脳天から首筋の弱点事真っ二つに切り裂いた。叩きつけた御刀の轟音が樹海全体に響き渡る。
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夏希「な、なんだっ!?」
蘭「地震!?」
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益子「はぁ…。疲れた。オレ暫く休む。」
舞衣「お疲れ様。」
さっきまで"熊型荒魂"がいた一帯には"ノロ"が多く漂っている。
舞衣「これを放っておくと再び"荒魂"になってしまいます。ですからそれを少量に小分けしないといけません。」
赤嶺「っ!?待って!何か来る!」
赤嶺が端末を確認すると何やら近付いてくる一体の大型バーテックス。
中沙綾「香澄!」
紗夜「高嶋さん!」
付近の星屑を倒した勇者達を端末を見たのか香澄達に合流する。近付いてくる影はニ体。
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姫和「何だあれ……。」
ゆり「"乙女型"に"獅子型"だ……。」
爆弾を振り撒き近付く"乙女型"に炎を纏った星屑を飛ばしてくる"獅子型"初めて姿を見る刀使達は一瞬竦んでしまう。
姫和「私が震えてる……!?」
舞衣「根源的な恐怖って事でしょうか…。」
薫「刀使が動けないのなら、私達の出番だ。」
夏希「はいっ!いっくぞー!!」
一番槍の夏希が"乙女型"に近付こうとしたその時、漂っていた"ノロ"が急激に活性化する。
舞衣「"ノロ"がバーテックスに惹かれてる!?」
中たえ「夏希!一旦引いて!」
たえが気付くも時既に遅く、"ノロ"は二体のバーテックスと融合を開始、"乙女型"と"獅子型"の色が赤銅色に染まる。
夏希「えっ!?うわっ!」
夏希の双斧は通じず、弾き飛ばされてしまう。
あこ「大丈夫、夏希……。」
夏希「いてて……。何とか大丈夫です。」
小沙綾「よくも夏希を!」
沙綾が矢で攻撃するものの、全く効いていない。
有咲「どういう事だよ!?」
燐子「恐らく…"ノロ"と融合して勇者の力が通用しにくくなってる……!?」
燐子は冷静に分析し、舞衣も"明眼"を使って同じ判断を下す。
舞衣「そう見るのが良さそうです。バーテックスは神の眷属、"ノロ"は負の神性の力。同じ神なので馴染むんでしょう。」
千聖「まずい!みんな下がって!!」
"乙女型"の爆弾が樹海に降り注ぎ、辛くも躱した先に"獅子型"の巨大火球が放たれる。その大きさはまるで小さな太陽。高温により周りの景色が歪んで見える程だ。
有咲「嘘……だろ……。」
赤嶺「避けきれない…。」
戦意を失いかけていた勇者達--
その時だった--
友希那「諦めるのはまだ早いんじゃないかしら?」
可奈美「力を合わせれば大丈夫!勝負はまだこれからだよ!!」
紗夜「随分と遅かったじゃないですか…。」
姫和「待ちくたびれたぞ……。」
友希那と可奈美が夜の樹海から帰還したのだった。