諦めかけたその時、風雲児に新たな力が宿る--
彼方から来る二体の完全型バーテックスである"乙女型"と"獅子型"。そこに加え"ノロ"がバーテックスに惹かれ融合してしまい勇者と刀使に絶対絶命の危機が訪れようとしていた。
そこへ--
友希那「諦めるのはまだ早いんじゃないかしら?」
可奈美「力を合わせれば大丈夫!勝負はまだこれからだよ!!」
神樹の試験から戻ってきた友希那と可奈美が戦場へ降り立った--
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香澄「友希那さん!今まで何処に行ってたんですか!?」
姫和「可奈美もだ!」
可奈美「詳しい事は後で話すよ。今は目の前の敵を何とかしないと!」
友希那「負傷した人はリサの所まで下がって!」
友希那が指した方角にはリサが沙耶香と一緒に根っこの影で手を振っている。辛うじて戦う事が出来る者は香澄達3人、夏希、中たえ、中沙綾、有咲、紗夜、燐子、千聖、友希那、花音の12人と刀使4人。
千聖「花音は負傷者の側についてみんなを守っててちょうだい。」
花音「わ、分かった!」
可奈美「見たところバーテックスに"ノロ"が融合してる様だけど……向こうで戦った奴より強く結びついてるみたいだね。」
中たえ「"満開"を使えば多少渡り合えると思うけど……。」
中沙綾「まだゲージが完全には溜まってないから出来ない……。」
姫和「こうなったら私が四段速で…。」
舞衣「無茶です!それ以上早い速度で隠世に潜ったら戻って来れなくなります!」
姫和「くっ……。」
勇者達が相談している間、敵は指を加えて見ている訳でも無く"乙女型"は赤黒い爆弾を香澄達目掛けて飛ばしてくる。
友希那「っ!?飛ばすスピードも通常より早くなっている!?みんな避けて!!」
友希那の掛け声で勇者と刀使は一斉に散会し爆弾を躱すも爆風が逃げる勇者達を追いたてる。
夏希「うわっ!?」
紗夜「くっ…!」
舞衣「取り敢えず可奈美ちゃんと十条さんは負担にならない程度の"迅移"で敵をかく乱しながら攻撃してください!」
可奈美・姫和「「分かった!」」
舞衣の指示で2人は二段目速の迅移で二体の完全型へ接近する。刀使には1人1人流派が存在し、可奈美の流派は"柳生新陰流"、姫和は"鹿島新當流"。前者は受け身の流派の為姫和が中心となり攻め立てていく。"獅子型"は2人を近付けるまいと炎を纏った星屑を弾丸の様に飛ばし弾幕を張るが、常人の6倍もの速さで動く2人には擦りもしない。
可奈美「これくらいっ!」
姫和「止まって見える!」
可奈美・姫和「「八幡力・二段目!!」」
6倍の勢いそのままに八幡力で力を上げ、思い切り御刀を振り切る。速さに力が加わり威力は何倍にも膨れ上がり二体に刀傷が生じる。
中沙綾「攻撃は通用している……けど…。」
舞衣「そんなっ!?」
斬られた箇所が一瞬にして修復されてしまう。
有咲「再生力も強化されてんのかよ!?」
友希那「くっ…来なさい"義経"!」
"義経"を憑依させ八艘飛びで助太刀に入る友希那。
赤嶺「2人とも行くよ!遠距離攻撃出来る人は援護して!」
香澄・高嶋「「うん!」」
3人の香澄も加勢に入り、沙綾と燐子が遠距離で攻め立てる。
中沙綾「私達は敵の攻撃を打ち落としましょう。」
燐子「はい…!」
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一方で花音が守っている負傷者サイド--
沙耶香「薫…どうしたの…?」
益子「柄にも無く張り切り過ぎちまってな…。暫く動けないから頑張ってくれ。」
薫は緊張感もなく大の字になり休んでいる。
リサ「この子…も沙耶香と同じ刀使なんだよね?」
沙耶香「そう…。馬鹿力の薫…。」
リサ「へ、へぇ…。」
リサ(こっちの薫とは正反対の性格してるなぁ…。)
リサは苦笑いをしながら負傷者の手当てをしていた。
花音「ふぇええええっ!?こ、来ないでぇ〜〜〜っ!!」
千聖から負傷者を守る大役を任された花音はと言うと、悲鳴を上げながらも"波山"を護盾に憑依させ炎のカーテンで"獅子型"が当たり構わず放ってくる星屑を必死で防いでいた。
薫「か、花音…無理はしなくていい…。力の消費を抑えて最小限の範囲を守るんだ…。」
イヴ「花音さん…無理は禁物です…。」
花音「ふぇええ…っ。が、頑張るよ…!」
そこへ沙耶香が合流する。
沙耶香「花音…だったっけ?中々出来る…。私も力貸すよ…。」
そう言うと沙耶香は自身の御刀である"妙法村正"の柄を花音の左手に握らせる。
花音「え?」
沙耶香「敵がぶつかるタイミングに合わせて力を込めて。行くよ………金剛身、一段目。」
星屑が炎を纏った護盾にぶつかった瞬間金属に思い切りぶつかった様な鈍い音が響く。直後ぶつかった星屑は跡形も無く消えてしまっていた。
花音「え?ど、どうなってるの!?」
沙耶香「金剛身は神力で身体や身に付けてる物を金属の様に硬くして防御力を上げる力……。持続時間が短いから相手の攻撃に合わせて使わないと効果薄いけど、敵の動きをよく観察してる花音になら出来ると思った…。守りながら反撃行くよ…!」
花音「……うん!」
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香澄・高嶋「勇者パーンチ!!」
赤嶺「勇者パンチ…!」
3人の香澄が飛んでくる爆弾を躱しながら"乙女型"にパンチを叩き込み態勢が崩れる。
友希那「そのまま追撃するわよ!」
夏希「いっくぞぉー"鈴鹿御前"!」
千聖「日菜ちゃん、銃剣借りるわよ!"尊氏"!」
怯んだ隙を逃さず夏希と千聖が追撃する。飛ばしてくる爆弾を千聖が両手の銃剣で撃ち落としながら夏希が三本の斧で攻撃する。
美咲「効いてる…!」
中沙綾「私達は"獅子型"の動きを止めましょう!」
有咲「りょーかい!」
中たえ「任せて!」
紗夜「牽制します!"七人御先"!」
3人--いや10人の勇者が"獅子型"の動きを制限させる。決定打は出せていないが、"乙女型"への加勢を封じるには十分だった。
可奈美「やっぱり戦い慣れてる人は違うね。」
姫和「そうだな。私達も負けてられないぞ!」
可奈美「もちろん!」
刀使の2人も"迅移"を維持しながら"乙女型"へ攻撃を仕掛ける。
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千聖「行ける…!押してるわ!」
香澄「赤嶺ちゃん!高嶋ちゃん!このまま"封印の儀式"やろう!」
高嶋「"封印の儀式"?」
香澄「本来は祝詞を唱えるんだけど、封印したい気持ちを込めれば大丈夫だよ!」
赤嶺「やってみよう!」
夏希「私達が押さえてます!」
3人の香澄は"乙女型"を三角形に取り囲み気持ちを込める。すると花びらが舞い散り"乙女型"が動きを止める。
千聖「動きが…。」
可奈美「止まった…。」
香澄・高嶋・赤嶺「「「でりゃぁーっ!」」」
香澄達が地面を拳で叩いた直後、"乙女型"の頭頂部から逆四角錐型の"御霊"が飛び出した。
香澄「みんな!あれを壊して!!」
友希那「分かったわ!衛藤さん!十条さん!行くわよ!」
可奈美「私達の攻撃効くのかな?」
姫和「やってみなきゃ分からない!」
3人が加速しようとした瞬間、"獅子型"がいた方角から爆発音が聞こえたのである。
友希那「何!?」
爆発音と同時に沙綾達の悲鳴が聞こえる。
中沙綾「きゃあーっ!!」
香澄「さーやっ!?」
高嶋「紗夜ちゃん!?」
有咲「まさか…あんな攻撃するなんてな…。」
"獅子型"は自身の目の前で巨大な火球を放ち自分ごと勇者達を巻き込み攻撃したのである。至近距離で攻撃を受けた3人は言わずもがな、離れていた沙綾と美咲が受けたダメージも大きかった。
夏希「"獅子型"が!」
勇者達の足止めが無くなった"獅子型"はこの時を待っていたと言わんばかりに香澄達に向かって星屑を飛ばし始める。
中沙綾「か、香澄…!」
香澄達は身構えるが、星屑は香澄達を無視して突っ切ったのである。その瞬間友希那が気付く。
友希那「っ!星屑を倒して!」
千聖「!?」
友希那「"獅子型"の狙いは"御霊"よ!」
勇者達が攻撃を仕掛けるも既に遅く、星屑達は"御霊"に噛み付いて"獅子型"へ運んでいき、"獅子型"はそれを取り込むのだった。
香澄「"融合型"……。」
香澄はかつての光景を思い出していた。"獅子型"が四体の"完全型"と融合した時の場面を。"乙女型"の"御霊"を取り込んだ"獅子型"は再び動き出し、残っている勇者と刀使に向かって星屑を飛ばし始める。
千聖「これくらい!」
夏希「叩き落とす!」
2人が星屑に触れた瞬間、閃光が走り星屑が爆発したのである。
千聖「なっ…!」
夏希「この攻撃は…きゃあっ!!」
至近距離で爆発を受けた2人は吹き飛ばされてしまう。
香澄「千聖ちゃん!夏希ちゃん!!」
"乙女型"の"御魂"を取り込んだ"獅子型"が放つ星屑が"乙女型"の力を受け継ぎ爆弾と化したのである。ただ静かに、ただ無慈悲に"獅子型"は辺り一面に星屑をばら撒き樹海を蹂躙する。その姿は神の眷属とは程遠い悪魔の所業--
香澄「きゃあっ!?」
可奈美「うっ……!」
姫和「"金剛身"でも防ぎきれない……!」
勇者達には精霊バリアでダメージの軽減は出来ているが、爆発の衝撃は凄まじいものである。
友希那「こ、このままじゃ……!」
リサ「友希那ーーっ!!」
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土煙が晴れた頃、そこに立っている者は誰一人存在しておらず、"獅子型"のみがその場に倒れている勇者達を見下ろしていた。地に伏せた友希那は"乙女型"と更に融合した"獅子型"を睨みながら拳を地面に叩きつける。
友希那「くっ…!今の私の力では太刀打ち出来ないの…!今を生きている人を守ると誓ったのに……このままじゃ……何も守れない…!」
"獅子型"は逃げられない友希那にトドメを刺そうと巨大な火球を放った--
香澄「友…希那さんっ……!!」
可奈美「友希那ちゃん!!」
動きは襲いがゆっくり、だが確実に友希那に迫り来る火球--
友希那「っ………!?」
友希那が目を伏せた時、胸元の桔梗の花のシンボルに光が宿る--
友希那「こ、これは……。」
次の瞬間突然頭がクリアになり、リサのとある言葉が頭の中に浮かんでくる。
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リサ「この世界では勇者システムは最新のものに統一されているんだ。要するに香澄達の勇者システムと同じって事。」
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友希那「そうか……!」
友希那は咄嗟に自分の胸に手をやる。と、同時に火球が着弾。轟音と共に火柱が上がるのだった。
リサ「友希那ぁーーーっ!!」
西暦の風雲児、伝説の初代勇者がやられた--
この場にいる誰もがそう思っていた--
リサ「………っ!?」
しかし突如眩い光が土煙を掻き消し、爆心地の中心に白を基調とする荘厳な装束を見に纏った勇者が1人--
リサ「ゆ、友希那っ!!」
燐子「あの攻撃を無傷だなんて……。で、でも…その姿は……まさか…!」
中沙綾「おたえ!あれって……!」
中たえ「うん…。あれは……"満開"だよ。」
友希那「散々暴れてくれたわね…。今度はこちらの番よ!!」
幾本の刃を携え、風雲児は瞳に光を、新たな力をその身に宿し立ち上がった--