戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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駆け足になりましたが、勇者と刀使の物語は"一旦"ここで終了となります。

そして次回は赤嶺の過去が--





みんなの太刀

 

"満開"--

 

それは神世紀298年、夏希の死を切っ掛けに大赦が組み込んだ"完全型"バーテックスすら"御霊"ごと打ち倒す事が出来るまさに勇者の真なる切り札である。しかし、その代償は大きく"散華"という身体機能を神樹の供物として捧げなくてはならない。筈なのだが、この異世界では"散華"は起こらず多大な疲労感が襲うのみで済んでいる。では何故西暦時代の勇者である友希那が"満開"を使えるに至ったのか--

 

 

---

 

 

樹海--

 

香澄「ど、どうして友希那さんが"満開"を……?」

 

中たえ「そうか……。」

 

たえは一つの仮説を唱える。

 

中たえ「この異世界に召喚された時点で過去の勇者達の勇者システムは私達神世紀300年の最新の勇者システムに統一されている……。だから御先祖は"満開"が使えたんだ……。さっすが御先祖…。」

 

最後まで諦めず新たな力を手にした自身の祖先をたえは尊敬の眼差しで見つめていた。

 

友希那「何事にも報いを……。今味合わせてやるわ!」

 

友希那が高く跳躍すると何処からともなく巨大な方舟が現れ、友希那はそれに乗っかった。その方舟は何処となくたえの"満開"と似ていた。その友希那に対し星屑を弾丸の様に"獅子型"は打ち出すのだが、

 

友希那「全て切り刻む!!」

 

方舟から数多の制御ビットを出現させ、そのビットは小刀状へ変化し高速で移動して星屑を細切れに切り裂き、友希那へ辿り着くはるか手前で爆発する。

 

高嶋「凄い……。」

 

友希那「まだまだっ!!」

 

次に友希那は生太刀を構える。同時にその生太刀を模した巨大な刀が左右に3本の計6本、友希那の動きとシンクロする様に"獅子型"を袈裟斬りで切り裂き大きく仰反る形で地面に激突する。

 

燐子「やった……んでしょうか…?」

 

可奈美「まだだよ!」

 

土煙が晴れるも、そこには6本の刀傷がくっきりと入っているも、回復して動き出そうとしている"獅子型"が存在している。

 

赤嶺「"満開"の力でも…決定打にはなってない……!?」

 

可奈美「"荒魂"の力がバーテックスの治癒力を強めてるんだよ。」

 

姫和「あいつを完全に滅ぼすには"荒魂"を完全に滅さないと無理だ。」

 

美咲「でも、どうすれば……。」

 

舞衣「刀使だけではバーテックスの威力に耐えられない……。」

 

燐子「勇者の力じゃ決定打にかける……。」

 

2人の司令塔は打開策を必死で考えるが、2人が考えるよりも早く友希那と可奈美が結論を出す。

 

友希那・可奈美「「簡単(だ)よ!」」

 

燐子・舞衣「「えっ……?」」

 

友希那「私達の力を合わせれば良いのよ。」

 

可奈美「そうだよ!友希那ちゃん、私をその船に乗っけて!」

 

友希那「ええ。」

 

姫和「私も!」

 

可奈美と姫和は友希那の方舟に飛び乗り、方舟は再び上昇する。同時に"獅子型"も再生を完了し、巨大な火球を作り出そうと力を溜めていた。

 

可奈美「舞衣ちゃん!"荒魂"が集中してる場所を教えて!」

 

舞衣「分かりました!」

 

舞衣は"明眼"で"獅子型"をスキャンする。それに気付いた"獅子型"は力を溜めながら炎を纏った星屑を舞衣達に向けて発射するが、

 

友希那「やらせない!」

 

方舟から発射させる小刀状のビットが星屑を粉砕、時間を稼ぐ。

 

舞衣「っ!?可奈美ちゃん!"獅子型"の中央左!あそこに"荒魂"が集中して集まってる!」

 

可奈美「分かった!」

 

直後力を溜め終わった"獅子型"が火球を放った。これまで見てきた中で1番大きな火球--

 

可奈美「大きすぎる……!」

 

避ければ後ろで倒れている勇者達への被害は尋常ではないだろう--

 

友希那「くっ!」

 

友希那が構えようとするが、姫和がそれを止め、一方前へ出る。

 

可奈美「姫和ちゃん!?」

 

姫和「道は私が切り開く。それまで力を取っておきなさい。」

 

そう言い残し、姫和は火球へと1人突貫するのだった。

 

友希那「十条さん!」

 

可奈美「大丈夫。姫和ちゃんを信じて。」

 

 

--

 

 

姫和「すぅ………。」

 

突撃しながら姫和は一つ深呼吸をし、"小烏丸"を構える。

 

姫和「"迅移・三段速"!!」

 

姫和は一気に三段目まで加速する。常人の16.66倍の速さ。この時点まで到達した姫和を視認する事は不可能である。姫和はその勢いのまま"小烏丸"を前へ突き出した。"小烏丸"は普通の"御刀"とは違い、先端から中ほどまでが両刃になった"鋒両刃造(きっさきもろはつくり)"という特殊な形状を持つ。今の姫和の状態は宛ら自身が一本の刀の様--

 

"ひとつの太刀"--

 

それは"迅移"を使用している相手にさえ視認・回避を許さないほどの強力な必殺技であるが、使用後は姫和自身が極度に消耗して数日間は能力を低下させるというリスクもある不可避の必殺技--

 

姫和が火球へと突っ込み--

 

姫和「くっ……うぅぅ…!!」

 

火球を突破--

 

太陽と見まごう様な巨大な火の玉は霧散し、そのまま舞衣が示した"獅子型"の中央左を正確に貫いた。

 

燐子「凄い……!」

 

舞衣「見事です!」

 

姫和「今よ!!湊友希那!衛藤可奈美!!」

 

友希那「ええ!」

可奈美「うん!」

 

姫和が貫いた事を確認した友希那と可奈美は最後の一手を仕掛ける。

 

可奈美「友希那ちゃん。私の力を送るよ!八幡力!!」

 

可奈美は友希那の肩に手を置き、神力を流し込む。

 

友希那「あたたかい力が流れ込んでくる……。行くわよ!!」

 

高嶋「友希那ちゃん!!」

 

燐子「友希那さん…!」

 

あこ「友希那さん!」

 

紗夜「湊さん!」

 

リサ「行っけーーーー!友希那ぁーーー!」

 

6本の巨大な生太刀が1本の更に巨大な太刀へと変化し、友希那は真上からそれを振り下ろす。

 

友希那「これは私1人の力では無い!勇者と巫女…防人…そして刀使、今を生きるみんなの力よ!!受けなさい!"生生之大太刀(しょうじょうのおおたち)"--」

 

生太刀が"獅子型"を"御霊"ごと真っ二つに切り裂き、"獅子型"は光となって消えていき辺りに"ノロ"が放出される。

 

 

--

 

 

舞衣「……っと。"ノロ"はこうして小分けに封じておかないと再び"荒魂"に戻ってしまいます。」

 

激しい戦闘が終わり、姫和を除く刀使達は辺りに漂う"ノロ"を少量ずつ小分けにして回収していた。そうしておかなければ再び集まり"荒魂"と化してしまうからである。

 

可奈美「姫和ちゃん、大丈夫?」

 

姫和「問題ない……。少し休めばすぐ良くなる…。」

 

リサ「友希那も大丈夫だった!?」

 

友希那「ええ…。倦怠感はあるけれど…問題は無いわ…。これが"満開"の力なのね……。」

 

リサ「取り敢えずみんなを休ませよう。樹海化も元に戻るみたいだし。」

 

友希那「そうね…。流石の私も疲れたわ。」

 

 

---

 

 

勇者部部室--

 

彩「みんなお帰り!友希那ちゃんもリサちゃんも無事で本当に良かった!」

 

モカ「流石に今回は大変だったよね。」

 

巫女の2人が飲み物を用意して出迎えてくれる。戦いが終わった事にホッとする一同。

 

りみ「今回の戦いは本当に大変だったね…。」

 

美咲「全くだよ。暫く戦うのは勘弁。」

 

ゆり「何にせよみんな本当にお疲れ様。色んな事がいっぺんにあったけど、まずは友希那ちゃんとリサちゃんから話を聞こうかな。」

 

友希那「ええ…。私とリサは別空間の夜の樹海に飛ばされていたの。」

 

千聖「それって…!」

 

リサ「うん。多分千聖達が飛ばされた所と同じだと思う。そこで出会ったのが可奈美と沙耶香だよ。」

 

可奈美「初めましてだね!私の名前は衛藤可奈美。」

 

沙耶香「糸見沙耶香…。」

 

高嶋「舞衣さん。この人達も…。」

 

舞衣「そうです。私達と同じ刀使であり、仲間です。」

 

リサ「夜の樹海で私はある神託を受けたんだ。多分彩やモカにも来てたよね。」

 

彩「うん。この世界に不純物が紛れ込んだってやつだよね。」

 

リサ「そう。その不純物の正体は"ノロ"で間違いないと思う。そして、神樹様がそれに対処出来るように刀使達を召喚した…。その力を試す為に可奈美と沙耶香の2人は夜の樹海へまず連れて来られ、その御目付役として私達2人も転送されたんだ。」

 

千聖「そしてその試練に合格し、私達の戦闘区域に戻って来たと…。」

 

リサ「それで間違いないと思う。」

 

ゆり「はぁー……今回の神樹は本当に試練好きだよねぇ…。まぁ無事のりこえられたから良かったけど。」

 

夏希「本当ですよ。友希那さんの"満開"が無かったら危なかったですから。」

 

中たえ「御先祖様。どうして"満開"が使えると分かったんですか?」

 

たえは自分の考えた答えを擦り合わせる為友希那に尋ねる。

 

香澄「それ!私も気になりました!」

 

小沙綾「確か"満開"は香澄さん達の代の少し前からのシステムの筈…。」

 

友希那「私がこの世界に召喚された時、リサはこう言っていたわ。"この世界では勇者システムが最新のものになっている"と。」

 

リサ「確かに。そう神樹様から神託があったからね。」

 

友希那「だから思ったのよ。私の勇者システムが戸山さんと同じシステムなら、"満開"のシステムもあるんじゃないかって。」

 

中たえ「やっぱり…。」

 

中沙綾「おたえの思ってた通りだったね。」

 

即ち理論上では紗夜や蘭達他の西暦勇者達、果ては千聖達防人組も"満開"する事は可能なのである。

 

中たえ「それは盲点だったなぁ。」

 

あこ「って事はあこもさっきの友希那さんみたいにちょーカッコいい"満開"出来るって事だよね!?」

 

燐子「うん…そうなるね…。」

 

夏希「うぉぉぉ!私も"満開"出来るんだ!」

 

小沙綾「落ち着いて、夏希。」

 

その時、巫女に神託が降りる。

 

リサ・彩・モカ「「「っ!?」」」

 

友希那「新しい神託が来たのね?」

 

リサ「うん…。」

 

舞衣「どんな内容なんでしょうか…。」

 

リサ「………どうやら可奈美達とはお別れみたいだよ。」

 

香澄「えっ!?」

 

彩「さっきの戦闘で不純物の問題は"当面"大丈夫みたい。」

 

モカ「明日の20時に刀使の皆さんは元の世界へ転送されるそうですよ。」

 

舞衣「本当ですか!」

 

益子「やっと解放されるのか…。」

 

可奈美「そっか…折角仲良くなれたのに…。」

 

沙耶香「別れはいつも突然やって来るから…。」

 

ゆり「よーし!じゃあ明日は刀使のみんなとお別れパーティしよう!」

 

香澄「賛成です!!みんなの事もっと知りたい!」

 

可奈美「香澄ちゃん……。ありがとう!」

 

そういう訳で、早速動ける者達は明日の準備に取り掛かるのだった。

 

 

---

 

 

次の日、花咲川中学体育館--

 

友希那「はあっ!」

 

可奈美「ふっ!」

 

刀使達が元の時代に戻る時間は迫っている。友希那と可奈美は朝早くから模擬戦をしていた。初めは太刀筋の多さで友希那が押していたのだが、見た技をそのまま模倣する事が出来る可奈美が時代に友希那を追い詰める。

 

友希那「くっ…!」

 

可奈美「貰ったよ、友希那ちゃん!」

 

友希那「っ!?」

 

遂に可奈美が友希那のガードを上げられ後ろに仰け反る--

 

可奈美「終わりっ!」

 

友希那「っ……まだまだよ!」

 

可奈美「えっ!?」

 

かと思いきや、友希那は踏ん張りを利かせ逆に前へ突っ込み突きを繰り出したのである。

 

友希那「はぁーーっ!!」

 

可奈美「!?なんのぉ!!」

 

二本の木刀が同時に吹き飛んだ--

 

 

--

 

 

友希那「はぁはぁ……やるじゃない…。」

 

可奈美「はぁはぁ……友希那ちゃんこそ…。」

 

2人は体育館に大の字になりながら仰向けで寝転び互いを讃えていた。そこへランニングをしていた有咲と千聖がやって来る。

 

有咲「騒がしい音がしてると思えば。」

 

千聖「随分楽しそうな事をしてるじゃない。」

 

友希那「市ヶ谷さんに白鷺さん…。」

 

千聖「衛藤さん…だったかしら。一休みした後私とも一戦お願い出来るかしら?」

 

可奈美「お安い御用だよ!」

 

さっきまで荒い呼吸だった可奈美が見違えるかの様に元気になった。

 

友希那「スタミナ底無しなのね…。」

 

可奈美「そりゃ元気になるよ!色んな人と戦えるんだもん!剣術を通して、よく見て、よく知ればお互いに分かり合える!これが私のモットーだから。」

 

有咲「それには同感だ。千聖の次は私だ!」

 

可奈美「勿論!覚悟しといてよ!」

 

そこへもう1人やって来る。

 

姫和「私も混ぜてもらって良いか?」

 

可奈美「姫和ちゃん!もう大丈夫なの?」

 

姫和「あぁ。肩慣らしを手伝って貰おうか。」

 

有咲「それなら私が相手してやるよ。」

 

姫和「望む所よ!」

 

 

--

 

 

家庭科室--

 

リサ「〜〜♪」

 

鼻歌混じりにリサは生地を捏ねていた。

 

沙耶香「……。」

 

そのリサの側でじっと捏ねている生地を見つめているのは沙耶香だ。

 

舞衣「あらあら、よっぽど沙耶香ちゃんはリサさんの作るクッキーが気に入ったようですね。」

 

沙耶香「舞衣が作ったクッキーと同等……。」

 

リサ「ありがと。そう言ってもらえると作る側はやる気になるよ。」

 

舞衣「私もお手伝いしますよ?」

 

リサ「良いって。舞衣達はお客様なんだからさ。」

 

舞衣「でも、沢山の料理を1人では大変では?」

 

リサ「心配ご無用。勇者部には料理が出来る人が沢山いるからね。今頃みんな自分の家で作ってると思うよ。あっ、でも折角だから舞衣にはこのクッキー作り手伝って貰おうかな。私も舞衣のクッキーの味興味あるし。」

 

ウィンクしながらリサは言った。

 

舞衣「そういう事ならお任せください。」

 

沙耶香「舞衣のクッキー…楽しみ。」

 

舞衣「うふふ。腕によりをかけて作りますよ。」

 

 

--

 

 

海岸--

 

益子「あー……。ボーッとしてるのはやっぱ良いもんだ…。な、"ねね"。」

 

薫はただただ何をするでも無く海を眺めていた。そこへ、

 

薫「やぁ、子猫ちゃん。隣に座っても良いかい?」

 

もう1人薫がやって来る。

 

益子「構わねーぞ。」

 

薫「では、失礼するよ。」

 

薫は薫の隣に座って一緒に海を眺める。

 

薫「海は良い…。」

 

益子「?」

 

薫「広く、自由だ。とても心が安らぐよ。」

 

益子「……それは分かる。」

 

薫「儚いとは思わないかい?」

 

益子「それは分からねぇ。」

 

薫「君にもいつか分かる時が来る筈さ。」

 

益子「…なんだそりゃ。」

 

香澄「あっ、薫さん!…っと薫ちゃん。」

 

薫「おや?香澄ちゃんじゃないか。どうしたんだい?」

 

香澄「さーやはパーティ用の料理を作ってるので、終わるまで散歩してたんです。」

 

薫「そうだったのかい。」

 

香澄「隣良いですか?」

 

薫「勿論。」

 

香澄「はぁ………。」

 

暫く無言の時間が流れる。

 

香澄「"ねね"ちゃんは薫ちゃんのペットなの?」

 

益子「ああ、そんなもんだ。こいつも"荒魂"でな、それなのに何故か穢れが無いんだ。だからこいつは人と"荒魂"との在り方を示す重要な存在なんだと。」

 

香澄「そうなんだ!"精霊"と似たようなものなのかな?」

 

そう言って香澄は"牛鬼"を出した。"牛鬼"と"ねね"は楽しそうに戯れあっている。

 

香澄「2匹とも楽しそう!"ねね"もいつか薫ちゃんの助けになってくれるかもね!」

 

益子「…それは助かるな。俺の負担が減る……っておわっ!?"ねね"を齧るなこの野郎!」

 

香澄「あっ!?"牛鬼"!それは食べ物じゃないよぉー!!」

 

薫「ふふっ……儚い光景だ。」

 

 

---

 

 

その後、香澄達は可奈美達刀使を送り出すパーティを盛大に催し楽しい時間はあっという間に過ぎていく。そして遂にその時が訪れる--

 

花咲川中学、屋上--

 

夏希「もうお別れなんですよね…。」

 

時刻は間も無く20時になろうとしている。別れの時間がやって来たのだ。

 

舞衣「短い間でしたが、とても有意義な時間を過ごす事が出来ました。」

 

沙耶香「うん…。楽しかった。」

 

リサ「これ、あっちで食べてよ。」

 

リサは沙耶香にラッピングされたクッキーを手渡した。

 

沙耶香「ありがとう…!」

 

舞衣「良かったね、沙耶香ちゃん。」

 

沙耶香「うん……!」

 

益子「あんたらの事、"忘れない"。」

 

薫「あぁ……。」

 

忘れない--

 

他愛の無い言葉だが、香澄達にはくるものがあった。折角絆を深める事が出来たのに忘れてしまうのだから。

 

可奈美「……忘れないよ。」

 

友希那「え?」

 

可奈美「私が、私達が覚えてる。この世界での思い出や出来事を。例えみんなが覚えて無くても、私達が覚えていれば………みんなは"いる"から…。」

 

舞衣「ええ……。」

 

沙耶香「忘れない……。」

 

益子「忘れたくても忘れらんねぇよ。」

 

姫和「そうだな…。」

 

そしてその時はやって来た--

 

辺りに花びらが舞い、刀使達5人の身体が透け始めたのだ。

 

友希那「衛藤さん……。さよならは言わないわ。また会いましょう。」

 

可奈美「うん!約束!」

 

2人は固い握手を交わし、刀使達は元の世界へと帰って行った。

 

 

---

 

 

刀使達の世界--

 

5人は自分達の世界へと戻って来た。辺りを見回すと見覚えのある古い祠があった。どうやら可奈美達が消えたと報告があり、"伍箇伝"から捜索隊が派遣されたのだが、そこからの報告によると可奈美が消えてから1時間程しか経っていないらしい。

 

姫和「……不思議な体験だったな…。」

 

舞衣「そうですね。これも"ノロ"の成せる業なのでしょうか。」

 

沙耶香「分からないけど……。」

 

沙耶香の手にはラッピングされたクッキーが。

 

沙耶香「夢じゃ無いのは分かる…。」

 

益子「あぁ、だな。」

 

可奈美「よーし、私もまだまだ頑張らないと!姫和ちゃん、帰ったら模擬戦付き合ってよ!」

 

姫和「望むところだ!」

 

勇者と刀使--

 

 

 

2つの時代を巻き込んだ不思議な戦いはこうして幕を閉じる。

 

 

 

交わる事が無かった2つの世界--

 

 

 

一旦の終わりを迎えるが、彼女達が相対する時は再び来る--

 

 

 

 

のかもしれない--

 

 


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