この時代に"花"は無い。
あるのは厄を祓う"鏑矢"のみである--
刀使という異なる時代の巫女と激闘を繰り広げた勇者部一同。その体験を覚えている者はいないが、神樹の中では新たな力が宿ろうとしていた。
勇者達がそれを実感するのはもう少し先の出来事である--
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勇者部部室--
香澄「もうすぐ赤嶺ちゃんの友達がこっちに来るけど、どんな人達なの?」
千聖「確か1人は日菜ちゃんの先祖だったわよね?」
日菜「私も気になる!御先祖様の記録は私も少ししか知らないんだ。教えてくれないかな?」
友希那「私も気になるわ。これから戦っていく仲間について知る事は重要よ。」
赤嶺「そうだね。じゃあみんなを集めてくれないかな。」
夏希「りょーかいです!私達小学生組の出番です!行こう、沙綾、おたえ。」
小沙綾「うん!」
小たえ「ミッション開始だ。」
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数十分後--
赤嶺「…全員集まったかな。先ずは何処から話そう……。」
薫「確か赤嶺の先祖は私と同じ沖縄出身なんだったね。」
赤嶺「そうです。西暦の時代バーテックスの襲撃があり沖縄を離れ四国へ逃れる際、"赤嶺家"を含む人達を護衛してくださったのがお姉様なんです。その後大赦の中である程度の地位に就いた時、その恩を忘れなかった"赤嶺家"の者は"瀬田家"の名を石碑に残したんです。」
中たえ「そうだったんだねぇ。」
赤嶺「そして私が勇者……いや、"鏑矢"としての御役目に就いたのは神世紀72年…。」
中沙綾「"鏑矢"?勇者じゃなくて?」
赤嶺「私達の時代には勇者の存在もバーテックスの存在も最早伝説の産物になっていてその存在を知っている人はもうごく僅かしかいなかったんだ。」
千聖「神世紀72年……。"正常な思考を失ったカルト教団が、四国の全人民を巻き込んで集団自殺を図った"という大規模なテロがあった時代ね。」
そこまでは以前の御役目で赤嶺が話した内容である。
赤嶺「そう。そして私と相棒であるつぐちん…氷河つぐみはそれを鎮圧する御役目に就いたんだ。」
彩「人間が相手……大変な御役目だったんだろうね…。」
赤嶺「まぁ、そこは御役目と割り切るしかなかったよね。そしてその御役目に就く一年前……私はつぐちんとロックと出会ったんだ。」
そして赤嶺は語り出す。戦友である氷河つぐみ、そして朝日六花と出会った神世紀71年の思い出を--
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神世紀71年--
世界を滅ぼそうとする人類の敵、バーテックス。そのバーテックスから人類を守護する、勇者。神世紀71年にはその2つの存在は既に想像上の伝説になっており、世界は平穏を取り戻していた--
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象頭町--
ここは香川県の西部、象頭町。赤嶺香澄は大赦の命を受け、羽丘中学校へ入学する為にこの町へとやって来ていた。
赤嶺「ここが象頭町かぁー。ジムとかあるのかな?後で見に行ってみよっと。」
赤嶺は時計を確認する。一緒に入学する人と羽丘中学の先輩と待ち合わせをしていたからだ。
赤嶺「集合時間まで後15分。……ちょっと早く来過ぎちゃったかなぁ。」
集合場所のすぐ近くの公園に寄り、赤嶺はポケットからスマホを取り出し音楽をかける。
赤嶺「折角だから、少し体を動かそっかな。」
スマホから軽快な音楽が鳴り響き、赤嶺は軽やかにステップを踏む。
少女「あ、なんか踊ってる人がいるー。カッコイイ!」
少年「お姉ちゃん、今の動きもう一回!」
その踊りに魅せられたのか子供達が1人、また1人と赤嶺の元へ集まってくる。
赤嶺「ありがとう!じゃあもう一回見せちゃう、ね!」
少女「すごーい!!」
いつしか赤嶺の周りには大きな人だかりが出来ていた。そこへやって来るとある人物が。
?「ん?何でしょう、あの人だかり……。ストリートダンスなんて珍しいですね…ってあれは赤嶺さん!?」
青っぽい髪形に赤いシュシュ、黒縁メガネが特徴的なその少女、朝日六花は赤嶺を見つけて驚いた顔をしていた。そしてそこへもう1人やって来る。
?「あそこで踊ってる人凄いですね。バランスも良いですし筋力もあります。」
六花「ひゃあっ!?び、びっくりした…。えっと……氷河つぐみさんですよね?私は迎えに来た朝日六花です。」
つぐみ「そうです。宜しくお願いしますね。あ、これは挨拶代わりのプレゼントです。」
そう言ってつぐみは六花に手作りのクッキーを手渡した。
六花「あ、わざわざありがとうございます。」
つぐみ「ところで、来るって言っていたもう1人は何処でしょうか?」
六花「その人なら今そこで踊っています…。集合時間までもう少しあるからこのまま踊らせてあげましょう。」
六花が指差した方向にはさっきよりも沢山の人に囲まれた赤嶺の姿。
つぐみ「成る程……あの人が私と同じ御役目に選ばれた人ですね…。」
六花「そうです。だから選ばれたんでしょうね………"鏑矢"に。」
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やがて集合時間となり、赤嶺はダンスを終了。惜しみない拍手を送られながら2人の元へとやって来る。
赤嶺「ごめんね。待たせちゃったかな?」
六花「大丈夫ですよ。時間ぴったりです。」
赤嶺「良かった!改めて自己紹介だね。私は赤嶺香澄。」
つぐみ「!香澄、なんですか………!大赦から贈られるという名前の。私は氷河つぐみです。」
六花「私は朝日六花、この先の羽丘中学校の2年生です。それではそろそろ私達の寮に行きましょうか。」
赤嶺香澄、氷河つぐみ、朝日六花--
これが3人の初めての出会いであり、ここから3人は御役目に就く事となる。
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羽丘中学、寮--
六花「ここが寮の中でお2人が使う部屋です。相部屋なので仲良く使ってください。」
赤嶺「わぁ、広いなぁ。ありがとうございます、朝日さん。」
六花「ここの真上が私の部屋なんですけど、廊下に出なくてもこの押し入れから上の階に行けるんですよ。」
そう言って六花は押し入れの天井の一部を開ける。すると梯子が降りてきた。
つぐみ「面白いですね。隠密のようです。」
六花「ですよね!ワクワクしますよね!」
六花は天井を元に戻そうとした次の瞬間。
六花「きゃあっ!?」
押し入れから足を踏み外し落っこちてしまう。幸い怪我は無かったようだ。
赤嶺「朝日さん、大丈夫ですか!?」
六花「痛てて……私のおたんちん……。」
つぐみ「おたんちん…?」
赤嶺「確かその言葉使いって…。」
六花「ああ…かつての美濃地方の方言です。たまに出るんですけど気にしないでください。」
赤嶺「あはは!何か仲良くなれそうです!親しみ込めて…えっと……ロックって呼んで良いですか?」
六花「構いませんよ。その方が距離感縮まりますしね。」
赤嶺「氷河さんは……つぐちんって呼ぶね!」
つぐみ「分かったよ。けど、何かむずむずするね。」
六花「じゃあ次は役割分担を決めましょうか。」
つぐみ「それなら私が色々やりますよ。」
赤嶺「そんな、つぐちんばっかにお願い出来ないよ。」
つぐみ「赤嶺ちゃん、大雑把な性格でしょ?」
つぐみは部屋の隅に目をやる。そこには乱雑に置かれた赤嶺の荷物の数々。
赤嶺「うっ……それは否定出来ない…。それに比べてつぐちんの荷物はピシッとしてるなぁ。」
つぐみ「それに私そういうの好きだから任せて!」
赤嶺「うん…それならお願いしようかな。でも手伝える事があったら何でも言ってね。」
つぐみ「うん。」
六花「まとまったようですね。それなら早速制服に着替えましょうか。」
3人は支給された制服に着替え始めた。
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赤嶺「おお…何だか大人っぽい。」
黒を基調としたスマートで動き易い制服に3人は着替えた。
つぐみ「気に入りました。」
六花「闇に紛れ易い制服になってます。これは1つ1つ特注で仕事服も兼ねているんです。」
赤嶺「この格好で御役目をこなすんですか?」
六花「そうです。すぐに鍛錬が始まります。私は"巫女"として、お2人は"鏑矢"として。」
赤嶺「"鏑矢"………。」
つぐみ「ある程度は説明を受けてきましたけど、まだ謎が多いです。」
六花「歓迎会をしながらそのあたりの事を話しましょうか。」
赤嶺「良いですね、歓迎会!」
歓迎会を通して3人の仲は更に深まっていく事となる--