勇者部に舞い込んだ3つの大きな依頼。クリスマス会の準備を手伝う事となった花音は幼稚園でとある園児を見つけ--
そして物語は重要な場面へ動き出します。
千聖「今すぐ逃げて!」
花音「ふぇええ……!」
花音の眼前には黒い塊が唸りを上げて迫って来る。周りには困惑する子供、恐怖で泣き出す子供が何人もいる。
花音「み、みんな!私の後ろに下がって!」
何故、こんな事になったのか--
時間は少し遡る--
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かめや--
今、勇者部は街のゴミ拾いの依頼を終わらせ昼食を取っているところである。
友希那「もぐもぐ……今日は随分と店内が忙しそうね。」
リサ「もう12月も終盤。師走だからねー。時間節約の為に食事してる人が多いんじゃないかな。」
赤嶺「シラス?」
あこ「きっとシラスウナギ、ウナギの稚魚の事だよ!」
赤嶺「あこちゃん物知り〜!」
燐子「師走…だよ、あこちゃん、赤嶺さん…。教師の師が走るって書いて師走…。」
赤嶺「走るのかぁ。いいトレーニングになりそうだね。」
ゆり「こらこら、食事中は静かに。……コホン。その師走だからか、勇者部になんと3つの依頼が舞い込んで来たんだ。」
りみ「3つも!?」
ゆり「1つ目は幼稚園でクリスマス会のお手伝い。2つ目はイノシシの駆除。最後は海浜清掃だよ。」
花音「イノシシの駆除!?中学生に頼む事じゃないよぉ!?」
ゆり「確かにねー。それは猟友会にお任せって感じだけど。」
彩「でも、困っているなら微力でも力になりたいよ。」
ゆり「その通り!こんな時こそ勇者部の力の見せ所!ONE TEAMでやり切るよ!」
中沙綾「どんな風にチームを分けるか。これが重要ですね。」
先ず初めにイノシシの駆除班から。危険が伴う為、慎重に選んでいかなければならない。
有咲「私が行くよ。危険だろうと完璧にこなしてやる。」
ゆり「凄い自信!そこまで言うなら有咲ちゃん頼んだよ。」
りみ「いくら有咲ちゃんでもイノシシ相手に1人じゃ危ないんじゃないかな…?」
千聖「なら私もイノシシ駆除に志願するわ。捕獲するには追い込んだり連携が不可欠だろうし。」
日菜「仕方ないね!2人だけでは心許ないから私も行くよ!」
有咲「ありがとう、2人とも。必ず依頼を達成するぞ。」
有咲、千聖、日菜の施設仲間3人がイノシシ駆除班に決まる。チームワークに最適な人選だろう。
香澄「次は幼稚園のクリスマス会のお手伝いだね。」
ゆり「派遣する人数はこっちも3人が目安だよ。」
薫「浜辺の掃除にはそれなりに人数が必要だからね。」
ゆり「そう言う事。誰が行く?自薦他薦は問わないよ。」
すると香澄が手をあげるのだった。
香澄「それなら花音さんが良いと思います!」
花音「ふぇ?わ、私!?」
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次の日、勇者部部室--
有咲達イノシシ駆除組は早速捕獲用の網作りに取り掛かっていた。その一方クリスマス会組はと言うと--
花音「えっと……幼稚園の子と接するポイントは……。同じ目線になってコミュニケーションを取る。上からだと威圧されちゃうから怖いもんね。」
友希那「戸山さんの推薦は正しかったようね。松原さんも熱心に園児への対応を調べているわ。」
花音「落ち着く事を意識して、ポジティブに行動……ネガティブな言動は控えよう…?無理だよぉ…!どれもハードル高いよぉ!」
紗夜「残念ながらそうでも無さそうですね、湊さん。」
クリスマス会組はこの3人。幸先は不安そうである。
ゆり「じゃあ、イノシシ駆除組に加わる?」
花音「あっちは千聖ちゃんと日菜ちゃんがいるけどイノシシ相手は……でも、2人の後ろに隠れてれば…?ううん…惑わされちゃダメ!幼稚園の方が絶対安全だよ。」
紗夜「安全と言うのなら迷う余地すら無いと思いますが……イマイチ松原さんは分かりませんね。」
友希那「私達も他人事じゃ無いわ。子供に慣れていないのは私達も同じよ。」
紗夜「そうですね……ですが高嶋さんと約束しましたから。」
そう言って紗夜は昨日の事を思い出すのだった。
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かめや--
高嶋「紗夜ちゃんならゲーム得意だし、子供達に楽しい時間をプレゼント出来ると思うな。なので、紗夜ちゃんを推薦します!」
紗夜「高嶋さんがそこまで言うのでしたら……頑張ってみます。」
リサ「じゃあ私は友希那を推すよ。友希那の振る舞いは情操教育にも良い筈。」
友希那「いつものリサね……。自信はあるわけでは無いけれど、やってみるわ。」
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勇者部部室--
ゆり「香澄ちゃんが推してくれたんだから頑張ってね、花音ちゃん。」
花音「が、頑張ります…。」
そこへりみを探しに有咲がやって来る。
有咲「あ、いたいた。ちょっといいか、ゆり?」
ゆり「どうしたの、有咲ちゃん。」
有咲「駆除当日にりみを借りて良いか?」
ゆり「なんだそんな事か。全然良いよ………って…。」
ゆり・りみ「「えーーっ!?」」
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そしてやって来る依頼日当日、海岸--
小たえ「うぅ…冬の海は寒いねぇ…。炬燵に入って丸くなりたいよ。」
小沙綾「まだ掃除の途中だよ、おたえ。子供は風の子。」
夏希「限度があるって。今風吹いてないから良いけど。」
冷え込み厳しい早朝、海風は比較的穏やかではあるが、それでも身に染みる程の寒さであった。
中沙綾「ちゃっちゃと依頼を終わらせてあったまろう。」
ゆり「それにしても、思った以上にゴミが落ちてるね。」
薫「海が汚れているのを見るのは辛いね…。」
高嶋「少しでもみんなの意識を変えていけたら良いよね。」
あこ「綺麗な海の方が泳いだ時気持ち良いもんね。」
美咲「なんか歌詞の一部っぽいね、その言葉。そう言えば、ここの海はある時間に海面が鏡みたいになるって散歩してる人から聞いたんだよね。」
香澄「そうなんだぁ!知らなかったよ。私も見てみたい。」
中沙綾「干潟に出来る潮溜りが水鏡になるんだよ。この時間だと難しいね。」
彩「それなら、その水鏡が見れる時間までに掃除を終わらせよう!」
水鏡が出来る時間まで後約1時間と少し。清掃班は清掃スピードを上げ、掃除に取り組み出すのだった。
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1時間後--
イヴ「……凄いです。」
小沙綾「聞いた以上の絶景です…。」
薫「美しい海は…みんなで守っていきたいね。」
潮が引いて出来た潮溜りに朝の日差しが反射して眩しい光が海岸を包み込む。風が無い為水面が鏡の様に反射してる様が幻想的な雰囲気を作り出していた。
あこ「綺麗な風景でジュースが美味しい!」
燐子「ふふ……あこちゃんらしいね。」
彩「今頃、花音ちゃん達は幼稚園で何してるかな?」
リサ「振り回されてるかもね。でも、最後はきっと仲良くなってるよ、きっと。」
ゆり「りみも駆除組でちゃんとやれてるかな?」
香澄「有咲も千聖さんもいるし大丈夫ですよ、ゆり先輩。りみりんも凄くしっかりしてますし。」
ゆり「そうだね。姉は妹を信じるものだもんね!頑張れ、りみ。」
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幼稚園--
園児達「「きゃっきゃっ!!」」
先生「みんなー、あまりはしゃぎ過ぎなーい!」
先生の話に耳を貸さず、外を走り回っている元気いっぱいの園児達。
紗夜・花音「「…………。」」
友希那「こ、これは……想像以上に手強いわね。」
紗夜「クリスマスの飾り付けどころではありません……。」
花音「こんなに過酷な依頼だったなんて……。」
緊張している3人に先生が近付き話しかける。
先生「見慣れないお姉さん達が来たから、余計元気になっちゃってるみたいね……。覚えて欲しいのは1つ。子供達を相手にする時は笑顔が大事って事。」
そうアドバイスして先生は園児に引っ張られ連れて行かれてしまう。
友希那「確かに笑顔は大事ね。でも、舐められていては状況は変わらない……それなら。」
花音「ど、どうするの…?」
友希那「まずは仲を深めて私達の事を知ってもらいましょう。飾り付けをするのはその後よ。」
紗夜「そうですね……。園内で流行っている知育ゲームで目にもの見せてあげましょう。」
友希那「その意気よ紗夜。普段の私達を見せれば良いわ。」
2人は園児達の輪の中へ入っていった。残った花音は--
花音(2人は凄いオーラがあるから良いかもしれないけど……私は……。)
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2人が輪に入ってから数十分が経った頃--
友希那「チャンバラごっこでも卑怯な真似はダメよ。やるなら正々堂々と来なさい。」
園児A「だってゆきな……超強いじゃん!」
友希那「そうね…あなた達と比べたら私は強いかもしれないわ。けど、ズルをしても強くはなれないわよ?勝ちたかったら、友達と力を合わせてかかってきなさい。友達を信じる……それが本当の強さよ。」
友希那は笑顔でアドバイスを送る。それは自分がこの世界で学んできた1番大切な事。
園児A「言ったなー。みんな、行くぞー!」
友希那「その意気よ!全力できなさい!」
友希那は笑って新聞で作った剣を構えたのだった。
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紗夜「このゲームで大事なのは、運です。ですが、その運を引き寄せる為には観察しないといけません。」
園児B「もっかい!もっかいやろう!さよおねーちゃん!」
紗夜「おねーちゃん…ですか…。ふふっ……。持っているカードと相手が出したカードを良く見ていてください。では、始めましょう。」
2人が遊んでいる姿を花音は少し離れた所で見ていながら思う。
花音(友希那ちゃんは呼び捨てのまだけど、園児の子は憧れを抱いてそう……紗夜ちゃんはお姉ちゃん呼び。)
花音「なのに、私は……。」
園児C「こっち来いよー。かのんー!俺達が作った野菜見せてやるよー。うまそうなんだぜー?」
花音「ふぇ?畑って外だよね?勝手に出て行っても良いのかな?」
園児達に引っ張られて畑へ向かう花音。その時、あるものが花音の目に映った。
花音(あれ、滑り台で遊んでる子がいる?……え!?あれじゃ、滑り台から……!)
花音が気付いた直後--
園児D「う、うわぁぁぁ!?」
花音「お、落ちちゃってる!?」
1人の園児が滑り台から足を滑らせて落ちたのである。
友希那「危ない!」
だが、寸でのところで園児は上手く着地して大きな怪我になる事はなかった。
紗夜「……上手く着地しましたね…。」
先生「もう……あの子っ!」
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先生「さぁ、お姉さん達に沢山遊んでもらったし今度は飾りをちゃんと作りましょうね。」
園児達「「はーい!」」
紗夜「さすが本職の先生は違いますね。」
花音「そうだね…私なんかさっきの子が落ちる前から気付いてたのに全然動けなかったし……。」
紗夜「それは言っても仕方ありません。」
花音「…はい。」
友希那「分からない事があれば私達か先生に聞いてちょうだい。……上手く出来てるじゃない。」
園児D「これくらい楽勝だっての。」
笑顔で言ったのは先程滑り台から落ちた園児。その園児が気にかかったのか花音は話しかける。
花音「あの……君にちょっと教えて欲しい事があるんだ。」
園児D「な、なんだよ……かのん。」
花音「さっき何で滑り台から落ちちゃう様な事したの?普通に遊ぶなら落ちないと思うけど……。」
その言葉で園児は黙ってしまう。
紗夜「自分でも悪い事をしたと思ってるんでしょうね。」
園児D「……誰にも言うなよな?せ、先生に…ちょっと構って欲しかっただけだ。」
花音「構って欲しい…先生の事好きなの?」
園児D「う、うるせー……もう良いだろ!」
顔を赤くして園児は向こうへ行ってしまった。
紗夜「行ってしまいましたね。でも、ああいう気持ちは分かる気がします。」
花音(構って欲しいか……。あの子は私に似てるんだ…。守ってもらう安心感は失い難いから…。)
花音「もしもの時は…守ってあげなきゃ。怖いけど……。流石にさっきみたいなピンチはもう無い……。」
そう言いかけた時だった。
千聖「今すぐ逃げて!!」
避難を知らせる千聖の叫びが幼稚園にこだまするのだった。
花音「ふぇええ……!イ、イノシシだぁ〜!!」
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幼稚園にイノシシが突撃する少し前、美竹農園--
蘭とモカは勇者部の依頼とは別で自身の畑の手入れをしていた。
蘭「モカ、随分作業の手際が良くなってきたね。」
モカ「まぁ、蘭に付き合ってずっとやってきたからね。」
蘭「食べ物が少ない冬、作物を狙うイノシシ対策にも抜かりはないよ。」
畑の周りには2人の背丈よりも高く頑丈な柵が周りを囲っている。
蘭「でも、本当なら柵なんて作らないで畑をどんどん広げたかったけどね。土を休ませる事も出来るし種類も増やせるし。それが私の夢だから。」
モカ(どんな時代、どんな場所でも、蘭は変わらないんだね。)
その時だった。
?「フゴフゴ!」
蘭「ちょっとモカ、笑わないでよ。しかも、フゴフゴって。」
モカ「えー。フゴフゴなんて笑う人間いないよぉ。」
2人が辺りを見回すと、そこにいたのは大きなイノシシ。あろう事か柵の下の土を掘って柵を潜り抜けて侵入してきたのである。
蘭「ジャガイモに人参まで…。早く追い払わないと!これ以上の狼藉は許さないよ!」
鍬を持ち何とか追い払おうとする2人。しばらく格闘した後、イノシシは観念したのか唸り声を上げて逃げて行ったのだった。
モカ「畑酷いありさまになっちゃったね。」
蘭「気にする事ないよ。野菜ならまた作れば良いんだから。」
モカ「蘭…。」
蘭「それにしても、好き放題やって街の方に走って行ったね。…あのイノシシ、有咲達に教えとかないと。」
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街外れの橋--
有咲「…どうやら蘭の畑がイノシシに荒らされたそうだ。」
りみ「そんな…。」
有咲「イノシシはずんぐりむっくりした見た目に反して、すばしっこいから注意が必要だな。」
日菜「猪突猛進って言葉があるくらいだし、頭は悪いんじゃない?何処かに追い込んじゃえば、袋のイノシシだよ!」
千聖「それが出来たら1番だけどね。」
4人は猟友会の人達と連携を取る為、イノシシが良く目撃される場所で待ち伏せをしていた。
りみ「わぁ!?」
千聖「どうしたの、りみちゃん?」
りみは何か素早く駆け抜ける何かを見た様だった。
有咲「まさかイノシシ!何処だ!?」
見回すも近くにそれらしい動物は見られない。
日菜「りみちゃんの見間違いじゃない?」
すると、
犬「ワンワン!」
1匹の犬が有咲の後ろから飛びかかり有咲の顔を舐め回したのである。
有咲「ひゃう!?どっから湧いて出た……この犬!?…あぁもう、そんなにじゃれつくなぁ〜!」
犬「ワンワンワン!」
有咲の抵抗虚しく犬は有咲にじゃれつき続ける。
千聖「もしかして、りみちゃんが見たのってこの子じゃないかしら?」
りみ「かもしれないです。」
有咲「そんなに舐めるなって……!もういきなり出てきて、何なんだよ…。なんかお前、香澄に似てるな。かすみって名付けてやろうか…?」
日菜「これ以上香澄を増えても困るなぁ。」
有咲「んなっ!?私、そんな事言ってないし……!」
日菜「しっかり言ってたよ。」
犬「ワンワンワン!」
日菜「ほーら、ワンちゃんも言ってたって言ってるよ。」
有咲「ただ吠えてるだけだろうが!」
りみ「あはは…。」
有咲「はぁ、でもこれで緊張は解れたみたいだな。」
りみ「そうかも…。」
有咲「りみ、お前のワイヤーはイノシシ捕獲の最終兵器だ。だからゆりに言ってイノシシ捕獲組に引き抜いたんだぞ。」
りみ「う、うん!」
有咲「期待はしてるけど、緊張し過ぎは良くない。私達もフォローするぞ。」
日菜「そうそう!日菜ちゃんにドーンと……ん?」
そう日菜が言いかけた時だった。
?「フゴフゴ…!」
日菜「ちょっと千聖ちゃん、スカートを引っ張るのやめてよー。」
千聖「あら、私は何もしてないわよ?」
日菜「じゃあ一体誰なの?」
日菜の目線が下へ向く。そこにいたのは--
イノシシ「ゴフーーぅうう…!!」
日菜「イノシシだぁーー!!」
有咲「まずは逃げられない様にするぞ!いくぞ、みんな!」
4人は逃げるイノシシを囲う様に追いかけて行く。
--
路上--
りみ「はぁ…はぁ…。ごめんなさい…中々捕まえられなくて…。」
千聖「想像以上にすばしっこい……野生動物とずっと追いかけっこはキツいわね…。」
イノシシ「ゴフゴーフ!ンゴゴゴゴー!」
息が上がる面々を嘲るかの様にイノシシは4人に向かって鳴き声をあげる。
日菜「むかっ!なんかあのイノシシ遊んでるようで腹が立ってきたよ!」
有咲「初めにいた場所から結構移動させられたな……。」
日菜「あれ?ここって…。」
イノシシが逃げた先の風景に日菜は見覚えがあった。
日菜「花音ちゃん達が手伝ってる幼稚園の近くじゃない?」
イノシシ「……ゴフ!フゴフゴフゴフゴ〜!」
そしてイノシシは何かを見つけたのか再び走り出した。
有咲「ちょ!?何処行く気だあのイノシシ!?」
りみ「あっ!畑だよ!幼稚園に畑が!」
千聖「マズイわ……子供達が!今すぐ逃げて!」
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幼稚園--
千聖の叫びで友希那達もイノシシの接近に気が付く。
友希那「くっ…依頼が来ていたイノシシね!」
すると普段は一目散に逃げる筈の花音が前へ歩み出したのだ。
紗夜「松原さん?前に出て何をする気ですか!?」
花音(こ、怖いけど……わ、私が守らないと…今度こそ……。)
そして前に出た花音は意外な行動に移る。
花音「い、今から……ちょっとしたクリスマスの余興を始めるよ!す、凄いの見せちゃうよ!」
紗夜「そういう事ですか……。みなさん、このお姉さんが今からマジックショーを見せてくれるみたいですよ。」
友希那「危ないから、じっとして見ていましょう。」
2人も花音の考えている事を察したのか、花音に合わせ園児達を下がらせる。
イノシシ「ゴフゴフゴフ〜!!」
イノシシは花音目掛けて真っ直ぐに突っ込んでくる。
花音(……今!やるしかない!!)
花音「いっくよー!えーーーいっ!!」
次の瞬間、花音は防人へ変身し護盾を構えたのである。
園児達「「おおぉぉ〜!かのんすご〜い!!」」
一瞬で花音の服装が変わったのを見て園児達が歓喜の声を上げた。
イノシシ「…フゴ!?」
突然視界が遮られた事によりイノシシも動揺して動きが止まってしまう。
有咲「怯んでる今がチャンスだりみ!」
りみ「絶対に捕まえる!えーい!」
りみのワイヤーがイノシシを怪我しない程度に雁字搦めにして捕まえる事に成功。イノシシは駆け付けた猟友会の人へと引き渡されたのだった。
--
友希那「あれは良い機転だったと思うわ。」
千聖「花音のお陰でイノシシも捕まえられて余興も好評だったわね。」
花音「えへへ……そうかなぁ。でも、2度目は絶対に嫌だからね!」
そこへ園児達が目を輝かせて花音の元へとやって来た。
園児C「かのんー!さっきのもう一回見せてー!」
花音「えっと…さっきのマジックは何度も出来なくてまたやるには何日もパワーを溜めないとダメなんだ。」
園児D「えー。ケチケチするなよー、かのん。」
先生「2人とも。花音じゃなくて、花音お姉さん。我儘言って困らせたらダメでしょ?ケーキを分けるからこっちおいで。勇者部の皆さんもどうぞ。」
園児C「かのん、こっちこっち!」
日菜「すっかり園児達の人気者だね、花音ちゃん。」
千聖「今回はそれだけの事をしたから同然よ。」
花音「ふえぇぇ…!みんな引っ張らないでぇーー!」
こうして全ての依頼を完遂させた勇者部。揉みくちゃにされる花音だが、園児達の笑顔を見る事が出来て、内心嬉しさが込み上げてくるのだった。
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勇者部部室--
花音「ただいまぁ……疲れたよぉ…。」
あの出来事の後、散々幼稚園で園児達に揉みくちゃにされた花音はヘロヘロで部室へと戻って来た。花音が扉を開けた瞬間、沢山のクラッカーが部室中に鳴り響く。
花音「ふえっ!?銃声!?」
美咲「あはは…花音さんの叫びがガチ過ぎて、メリークリスマスって続けられる雰囲気じゃないですね…。」
夏希「やっぱりこのリアクションが来ましたね。」
ゆり「さぁ、勇者部お疲れ様クリスマス会を始めるよー!」
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彩「花音ちゃん、ジュースのお代わり持ってこようか?」
花音「まだ大丈夫だよ。それより、彩ちゃんこそ食べてる?ちょこちょこお代わり聞いたりしてるけど。」
彩「食べてるよ。とっても美味しい!」
しばらく歓談が続いた頃、ゆりが話し出す。
ゆり「さて、みんな一息ついたところで今日の勇者部MVPを発表しちゃうよ。報告してもらった内容を吟味して、公平に部長の独断と偏見で決定しました!」
りみ「そこは普通に公平に選ぼうよ、お姉ちゃん。」
ゆり「りみ、覚えておいて。これも勇者部部長の役目!自分の直感を信じるんだよ。」
りみ「もし私が部長になったら、公平にみんなで選ぶよ。」
ゆり「未来の部長資質も確認出来たところで発表です!今日の勇者部MVPは……松原花音ちゃんだよ!」
花音「ふえっ!?私……?」
ゆり「そうだよ。幼稚園に侵入したイノシシからみんなを守る為、前に出て、それが捕獲の役にも立ったんだから。」
有咲「そうだぞ。苦戦してた捕獲が上手く行ったのはその勇気ある行動のお陰だ。」
花音「あれはたまたまで……。」
友希那「その後、しっかり子供達に飾り付け作りの指導もしてくれたわ。」
花音「あれは園児達に弄ばれたとも言える状況で……。」
ゆり「例えそうだとしても、十分な成果。誇って良いよ!花音ちゃんのMVPを祝して……。」
全員「「「かんぱ〜い!!」」」
みんなが今日のMVPに話しかける。
高嶋「凄いよ花音ちゃん!おめでとう!」
夏希「ではでは、MVPの花音さんにインタビュー!今のお気持ちを教えてくださーい!」
花音「い、インタビュー……?特に無いかな……。」
夏希「何でも良いですから!」
花音「それじゃあ……今日は凄く頑張ったから、これからも健気な私を守ってください!」
薫「うん……いつもの花音だね。」
香澄「大丈夫です!みんなで守りますよ!」
花音「ありがとぉ……香澄ちゃん!その言葉忘れないよ!」
そう言って花音は香澄に抱きつくのだった。
全員「「あははっ!!」」
--
全員が笑っている中、1人だけ笑顔が無い人物がいた。
リサ「…………。」
そしてリサは険しい顔で気付かれない様に部室を後にする。
友希那(リサ……?)
その様子を見ていた友希那は一抹の不安を抱くのだった。
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大赦、修練場--
ここは大赦にある修練場。ここには巨大な滝が流れており、巫女が修行の為滝に打たれる場所である。リサはパーティを抜け出し1人この場所に来ていた。
リサ「………ふぅ。」
そしてリサは轟々と流れる滝へ歩み出す。その目は覚悟に満ちていた--