総勢27人。3人から始まった勇者部も気付けば9倍の人数になりました。
勇者部部室--
モカ「そろそろ赤嶺さんのお仲間が到着する頃ですね。」
赤嶺「つぐちんにロック…。久しぶりだなぁ。」
赤嶺達が夜の樹海から帰還し、元の時代での赤嶺の仲間がやって来ると言われてから数週間が経つが遂にこの時がやって来た。
有咲「それなんだけど、1つ良い?」
有咲が部室を見回して言う。
有咲「ここに後2人が来るんだよな?」
部室として使っている家庭科準備室には今勇者部メンバー全員、計25人がすし詰め状態になっている。正直もう限界に近い。
有咲「このままいけば部室壊れるぞ?」
イヴ「それはそうですね…。新しい部屋を探すのもありなんじゃないでしょうか?」
あこ「中々にぎっしりだから手を伸ばしたら誰かに当たっちゃうよ。」
そう言ってあこは手を伸ばすと近くにいた日菜に触れる。
ゆり「確かにね。夏場は暑くなるかも。」
四国の夏は暑い事で有名だ。比較的盆地な為夏場は下手したら40度を超える事もある。人口密度が高い部室はサウナになってしまうだろう。
彩「あはは、私は賑やかで好きだな。」
高嶋「そうだよ!工夫すれば後2人なら全然入れるよ。」
そう言いながら高嶋は紗夜の膝に座る。
紗夜「ここまで来たんです。同じ部室で行動していけば良いでしょう。」
薫「そうだね。前はおんぶをしたけれど…こうやってするのも良いんじゃないか?」
薫はたえを抱き抱えた。
小たえ「お姫様抱っこだ!」
花音「私もこのままで良いかなぁ。話す相手がいっぱいいるし、強い人がいる安心感もあるよ。」
有咲「まぁ、みんながそう言うならそれで構わないけど。りみもそれで良いか?」
りみ「大丈夫。」
そうこうしているうちに、巫女達が神託を受け取る。
リサ「っ!?この感じ。来たみたいだよ。」
そう言った途端、部室が光輝き出した。新たな仲間がやって来る前兆である。
赤嶺「っ!」
香澄「ようこそ、勇者部へ!」
遂に赤嶺が待ち望んでいた瞬間がやって来るのだ。
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?「………。」
光が収まると香澄達の目の前に茶髪でショートの少女が現れた。すると、日菜が目を輝かせてその少女に近づいた。
日菜「はぁ〜!るんっ!てきたよ!間違いなく私の御先祖様だ!」
りみ「わぁ…綺麗な人ですね。」
燐子「そうですね…!」
赤嶺「つぐちんっ!」
日菜続いて赤嶺もその少女に抱きついた。
あこ「おお、赤嶺が駆け寄ってるよ。」
美咲「仲良しなんだねぇ。」
彼女こそ神世紀72年での赤嶺のライバル兼親友--
?「赤嶺ちゃん、元気にしてたみたいだね!」
赤嶺「うんっ!」
氷河つぐみその人である。
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つぐみ「皆さん、氷河つぐみです。今の状況はこっちの巫女を通じて大体聞いています。中立神の試練、私も手伝います。宜しくお願いします。」
そう言ってつぐみは深々と頭を下げた。
日菜「おぉ〜。礼儀正しい…。」
ゆり「名前からしてのイメージだね。」
千聖「日菜ちゃんとは似ても似つかない性格だわ。」
つぐみ「あなたが私の子孫ですね。初めての出会いにこれをどうぞ。」
日菜「うん!氷河日菜だよ!わぁ…ありがとう!」
つぐみが渡した包みの中には手作りのクッキーが入っていた。受け取った後2人は握手を交わす。
夏希「日菜さん良いなぁ!」
つぐみ「まだあるからあなたにもあげますね。どうぞ。」
夏希「おぉ…。ありがとうございます!」
小たえ「良いなぁ、夏希。」
つぐみ「うふっ、あなたにもどうぞ。」
少し笑って、つぐみはたえにもクッキーの包みを手渡す。
小たえ「花園家の家宝にします!」
夏希「食べないの……?」
つぐみ「花園…。あなたは花園家の人なんだね。」
小沙綾「あの……お話中のところすみません。もう1人いるんですけど…。」
みんなが楽しそうに話しているところを遮り、沙綾が部室のとある箇所を指差す。
つぐみ「皆さんに私と赤嶺ちゃんのもう1人の友達を紹介しますね。彼女は朝日さんです。」
つぐみがもう1人の少女、朝日六花を紹介し六花は勇者部に挨拶する。
六花「初めまして。朝日六花と申します。羽丘中学の3年で巫女をやっています。」
高嶋「生まれはここなんですか?」
六花「いいえ。生まれは岐阜です。」
リサ「宜しくね!いやー巫女がもう1人欲しいと思ってたから大歓迎だよ!」
六花「えっと、あなたは確か……リサさんでしたよね。写真で見るよりお綺麗です。」
リサ「あはは…なんか照れるなぁ。」
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一頻り感動の再会を堪能した後--
ゆり「赤嶺ちゃん、友達は全員揃った?」
赤嶺「はい。これで羽丘中学組は全員集合です。」
千聖「それじゃあ、みんな順番に自己紹介していきましょうか。」
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彩「--以上、丸山彩でした!宜しくお願いします。」
持ち時間1人5分、それでも全員の自己紹介が終わるまで125分。約2時間かかってしまったが、2人は顔色一つ変えずに全員の話を真剣に聞いていた。
香澄「いきなり全員覚えるのは大変だと思うけど、少しずつ……。」
つぐみ「心配ありがとう。でも大丈夫だよ、香澄ちゃん。」
香澄「凄い!もう覚えたんですね。」
六花「2人は御役目上、名前と顔はパッと覚えないといけませんから。勿論私も覚えましたよ。」
あこ「じゃあじゃあ私の名前は?」
六花「宇田川あこさん。」
あこ「凄ーい!正解!」
そんな時、全員の端末から警報が鳴り響く。
小沙綾「敵襲です!」
日菜「いきなりだけど御先祖様、出陣だよ。」
つぐみ「任せて。どんな所でもやってみせるから。」
両拳をギュッと握って気合を入れる。
赤嶺「出た、そのポーズ。つぐちん、今日もつぐってるね。」
六花「初めが肝心です。2人とも、頑張ってください。」
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樹海--
赤嶺「つぐちん、これ見て、これ。せーの!」
樹海に着いた途端、赤嶺はつぐみに自分の勇者装束を見せる為に変身する。
赤嶺「ばーん!」
全身くまなく見せる為赤嶺はその場でシャドーボクシングをして見せた。
つぐみ「っ!絵になってるよ、赤嶺ちゃん!それが勇者の衣装なんだね。」
赤嶺「そうだよ!ここでは私達は"鏑矢"じゃなくて"勇者"。つぐちんにも同じ力が宿ってる筈だよ。」
つぐみ「成る程……。じゃあ私も変身するよ!」
つぐみも端末のアプリを起動し勇者へと変身する--
赤嶺「おぉ…!」
白を基調とし、差し色に青が入っている勇者装束。強いて言うなら友希那の装束と近いものがある。その凛々しくも可憐な姿はまるでカサブランカの花のよう。
高嶋「綺麗だね!」
夏希「その武器は何ですか?……ただの柄?」
手にしているものは剣の柄の様なものであり、刀身は存在しない。果たしてこれが彼女の武器なのであろうか。だとしたらどう使うのだろうか。
つぐみ「……成る程ね……こうっ!」
柄を持つ手に力を込める。すると、柄から突然紫色の光を帯びた刀身が姿を現したのだ。
紗夜「エネルギーの刃!?まるで映画の武器ですね……。」
つぐみ「精霊の力を刃に変える……。名付けて"精霊刀"ですね。」
赤嶺「つぐちんカッコいい!」
つぐみ「赤嶺ちゃんの手甲も似合ってるよ。っ!?」
彼方からバーテックスが接近してくるのを勇者達は確認する。
つぐみ「あれが人類の敵を模した存在だね。」
赤嶺「どうつぐちん?いきなり凄い光景だと思うけど、戦える?」
つぐみ「大丈夫。戦う相手が人じゃない分、やりやすいよ。」
千聖「つぐみちゃんも赤嶺ちゃんと同じで対人に特化してたのよね。」
高嶋「そっか。バーテックスとか見るの初めてなんだよね。無理せずに……。」
精霊刀を握る手に力が入る。初めて見る異形の姿に恐怖はなかった。隣にはいつも笑ってくれる仲間がいるから。
つぐみ「………はぁ!」
いの一番につぐみは接近する星屑相手に精霊刀を突き刺し一閃。
日菜「さすが氷河家の御先祖様。全然恐怖感じてないね。」
赤嶺「つぐちん全然臆してないや。」
千聖「前へ突っ走るところは似てるみたいね。」
イヴ「全くだ。」
つぐみ「さあ来なよ、バーテックス。私が相手してあげる。」
つぐみはどんどんと前へ進みながら星屑をまるで豆腐を切るかの如く次々と精霊刀で切り裂いていく。その姿を見て、燐子は既視感を抱いた。
燐子「この太刀筋……友希那さんに似てる…?」
薫「この様子だと変身してない時でも強いだろうね。」
美咲「やる事きっちりやるタイプだろうね。」
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つぐみ「……っと、ざっとこんなものかな。」
やってくる星屑を粗方倒し終え一息ついているところに赤嶺がやって来る。
赤嶺「さすがつぐちん。あっという間に環境に合わせて調整したね。」
燐子「緊張を解かないでください…。まだ敵が来ます…。」
息つく暇も無く、バーテックスは勇者達へと向かってくる。星屑や"新型"に混ざって"蟷螂型"や"蜘蛛型"のバーテックスがその名の通り虫の様にやって来る。
つぐみ「はっ!」
赤嶺「せいっ!」
総勢24人の勇者がバーテックスと戦う場面は戦国時代の合戦である。
つぐみ「…ふう、埒が開かないかも。」
終わりが見えない戦いを終わらせる為、つぐみは天に手を翳し叫ぶ。
つぐみ「…力を貸して"玉藻前"。」
精霊の名前を叫んだ途端、樹海が禍々しい空気で満たされ、そこにいるバーテックスを含めた全ての命あるものが動きを止め、つぐみの方に目線を動かした。そしてつぐみはその"玉藻前"をその身に宿す。精霊憑依である。
紗夜「なんなのでしょう、あの精霊は…。どこか懐かしい様な…。」
日菜「御先祖様からは全然似つかわしくない。るんってこない精霊だ…。」
"玉藻前"を目の当たりにしたバーテックス達は目の前で相対している勇者達を他所につぐみ目掛けて動き出す。他の勇者には目もくれないのだ。本能で誰を1番先に倒すべきか考えたのだろう。
赤嶺「つぐちん危ないっ!」
何十匹もの"蟷螂型"がつぐみ目掛けて鎌を高速で振り下ろす--
しかし、次の瞬間--
何十匹もいた"蟷螂型"の姿はそこに無かったのだ。切られた訳ではない。爆発した訳でもない。文字通りにその場から消え去ったのだ。
中沙綾「い、今何が……。」
友希那「バーテックスが一瞬で消えるなんて……。」
"蟷螂型"が消えた場所にはつぐみがただ1人立っているだけ。"玉藻前"を精霊憑依したつぐみの装束は西安時代の貴族の様な着物を見に纏った妖艶な姿に変化しており、中でも最大に変化したところは尻尾が生えているところである。
燐子「九尾の狐……。」
燐子の例えが言い得て妙だ。尻尾は一本では無く九本生えていたのだから。
つぐみ「さぁ、まだまだこれからですよ。」
そんな事を呟きながらつぐみはほくそ笑み残っているバーテックスへと突き進んで行くのだった。