戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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戦う物語には付き物の特訓回です。

拙い小説、読んでいただきありがとうございます。




ひびのたんれん

 

沙綾(私達が人類を守る勇者として初めて御役目を果たしてから半月後、2体目の敵がやって来た。)

 

今回の敵は"天秤型"のバーテックス。"天秤型"は両腕の大きな振り子を回転させ3人を風圧で吹き飛ばそうとしている。たえは槍を、夏希は斧、沙綾は夏希に掴まって何とか耐えていた。

 

夏希「身動き取れない!」

 

たえ「上から攻撃できれば何とかなりそうなんだけど!」

 

たえは攻略法を見出してはいるが、近付けない。その間にも樹海は枯れていく。

 

沙綾(まずい…何とかしないと。)

 

その時、沙綾は手をわざと放して飛ばされた。

 

たえ「あっ!沙綾!?」

 

しかし、沙綾は飛ばされながらも弓を構え矢を番えた。

 

沙綾「これでも…くらえ!」

 

矢は真っ直ぐに"天秤型"に向かって飛んでいくが、あっさりと弾かれてしまう。

 

沙綾「そんな!」

 

その時"天秤型"は反撃と言わんばかりに、両端に付いている分銅の様な物を沙綾目掛けて振り回してきた。

 

たえ「あっ!危ない!」

 

たえは咄嗟に槍を傘状に展開して攻撃を防いだ。だが、"天秤型"は間髪入れずに回転しながら攻撃を加えてくる。

 

たえ「くっ!」

 

たえは身動きが取れない。

 

夏希「っ!!」

 

その時夏希も斧で耐える事を止め、風に飛ばされていく。

 

沙綾・たえ「「夏希!?」」

 

夏希はその勢いを利用して回転切りを繰り出し、"天秤型"の右側の振り子を破壊した。

 

夏希「どうだぁ!」

 

夏希が叫ぶと、鎮花の儀が始まった。

 

 

 

 

 

 

教室--

 

安芸「まったく、ごり押しにもほどがあるでしょう。」

 

安芸先生が3人を叱っていた。

 

全員「「「はい……。」」」

 

安芸「これじゃあ、あなた達の命がいくつあっても足りないわ。御役目は成功して現実への被害は軽微で済んだのは良くやってくれたけど。」

 

沙綾「それはおたえと夏希のお陰です。」

 

沙綾が言うも、安芸先生はため息を漏らす。

 

安芸「はぁ…。あなた達の弱点は連携の演習不足ですね。まず3人の中で指揮を執る隊長を決めましょう。」

 

沙綾(隊長…。)

 

沙綾はぎゅっと手を握る。

 

安芸「花園さん。」

 

沙綾「っ!?」

 

安芸先生の予想外の答えに沙綾は身体をびくつかせた。

 

安芸「隊長を頼めるかしら?」

 

たえ「えっ?わ、私ですか?」

 

たえは沙綾を見た。

 

夏希「私はそういう柄じゃないから、私じゃなければどっちでも。」

 

沙綾(そうか…。花園家は大赦の中でも大きな地位にある。こういう時もやっぱりリーダーに選ばれるべき家柄なんだ。)

 

沙綾「私も、おたえが隊長で賛成だよ。」

 

たえ「沙綾……。」

 

沙綾(でも、私がしっかりしておかないと…。)

 

沙綾は心の中で、そう意気込む。

 

安芸「決定ね。神託によると次の襲来までの期間は割とあるみたいだから、連携を深める為に合宿を行おうと思います。」

 

全員「「「合宿?」」」

 

こうして、3人のチームワークを深める為の合宿が始まった。

 

 

 

 

 

 

合宿当日、バス--

 

沙綾「ぐぬぬ……遅い!」

 

沙綾は出発時刻ギリギリになっても来ない夏希にイライラしていた。反対にたえは、

 

たえ「すぴー。」

 

沙綾の肩に頭を持たれ掛け寝息を立てていた。そこに、遅れた夏希がやって来る。

 

夏希「悪い悪い、遅くなっちゃって。」

 

沙綾「遅いよ、夏希!あれだけ意気込んでおいて10分遅刻なんて。」

 

夏希「色々あって…。いや、悪いのは自分だけど。とにかくごめんね、沙綾。」

 

たえ「あれ…?オッちゃん、ここ何処?」

 

沙綾(やっぱり私がしっかりしておかないと…。)

 

幸先が思いやられる中、3人を乗せたバスは出発した。

 

 

---

 

 

羽丘サンビーチ--

 

安芸「御役目が本格的に始まったことにより、大赦は全面的にあなた達をバックアップします。家族や学校の事は心配せず、頑張って。」

 

全員「「「はい!」」」

 

砂浜には幾つかの装置、高台にはバスが見える。

 

安芸「準備はいい?この訓練のルールはシンプル。あのバスに無事に海野さんを到着させる事。お互いの役割を忘れないで。」

 

たえ「行くよー。」

 

夏希「2人とも、上手く守ってくれよ。」

 

砂浜にはたえと夏希。少し離れた所に沙綾が位置に付いている。

 

沙綾「私はここから動いちゃダメなんですかー。」

 

沙綾が遠くから安芸先生に質問する。

 

安芸「ダメよー。」

 

沙綾は動かずに2人のサポートをしなくてはならない。

 

安芸「はい、スタート。」

 

訓練開始の合図が出る。それと同時に、たえが槍を傘に変化させ夏希を守りながら進んでいく。機械からボールが発射され、たえは夏希を守りながら走っていく。沙綾も遠くから矢を放ちボールを打ち落として、2人の経路を確保していく。次々と矢を放ちボールを貫いていく沙綾だが、一発外してしまい外れたボールが夏希に当たる。

 

夏希「あたっ!」

 

安芸「アウト―!」

 

安芸先生が叫びやり直しになる。

 

沙綾「ご、ごめんね、夏希。」

 

夏希「ドンマイ、ドンマイ。」

 

安芸「はい、もう1回!ゴールできるまでやるわよ!」

 

その後も3人のトレーニングは続いていく--

 

 

 

 

 

 

夕方、旅館--

 

安芸「この合宿中は3人一緒に行動する事。1+1+1を3ではなく10にするのよ。」

 

そう安芸先生から教えられ、3人は客室で夕食を食べていた。

 

 

 

 

 

 

次の日ーー

 

夏希「だあああっ!あだっ!」

 

ボールが当たり、倒れる夏希。

 

安芸「アウトー!もう1回!」

 

 

---

 

 

安芸「こうして、神樹様はウイルスから人類を守る為に…。」

 

安芸先生の講義を真面目に聞いている沙綾に対し、

 

夏希(くっ…合宿なら勉強しないで済むと思ったのに…。)

 

座学に頭を抱える夏希。

 

安芸「ところで何が起こったのか…。」

 

たえ「すぴー………。」

 

たえに関しては寝ていた。

 

安芸「花園さんは答えられる?」

 

たえ「はい、バーテックスが生まれて私達の住む四国に攻めてきたんです。」

 

安芸「正解です。」

 

沙綾・夏希((あれ、聞いてたんだ……。))

 

 

 

 

 

 

今日も砂浜での演習。

 

夏希「おっしゃあ!これでどうだ!あたっ。」

 

安芸「アウト!」

 

 

 

 

 

 

座禅の訓練--

 

たえ「すぴー。」

 

たえは案の定寝ていて、沙綾はしっかりとやっているが、夏希は我慢できずに倒れてしまう。

 

 

 

 

 

 

砂浜の演習--

 

沙綾が的確に矢を放ってボールを打ち落としていき、遂に夏希がバスへたどり着く。

 

夏希「うおおおおおおっ!」

 

回転して竜巻を生み出し、バスを破壊する。

 

全員「「「やったーーーーー!!」」」

 

ついに砂浜の演習を完遂したのだった。

 

 

 

 

 

 

温泉--

 

温泉で疲れを癒す3人。

 

夏希「毎日毎日バランスの取れた食事、激しい鍛錬、そしてしっかりと睡眠。勇者というかスポーツマンの合宿だよね、これ。なんかこう、バーンと超必殺技を授かる様なイベントはないのかね、沙綾。」

 

沙綾「今回は連携の訓練だから仕方ないよ。」

 

たえ「なんだか私、さらに筋肉ついてきたかも。」

 

夏希「強くなるのは良いけど、これから成長する女の子がこなすには色んな意味で苦しいメニューだよな。」

 

 

 

 

 

 

就寝前--

 

夏希「ふふん。君たち、合宿の最終日に簡単に寝られると思っているのかね?」

 

たえ「自分の枕を持ってきてるから簡単に寝られるよ。」

 

夏希「その名前って何だっけ?」

 

たえ「オッちゃんだよ。よしよしー。」

 

たえと夏希は話に花を咲かせているが、

 

沙綾「とにかくもう寝よう。夜更かしなんてしないで。」

 

夏希「沙綾はマイペースだな。」

 

沙綾「言う事を聞かない子には…夜中迎えに来るよ…。」

 

沙綾はお化けの真似で2人を驚かせようとするが、

 

夏希「そんなホラーは止めて好きな人の言い合いっこしようよ。」

 

夏希がそう提案してきた。

 

沙綾「好きな人って、夏希はどうなの?」

 

夏希「そうだな、あえて言うなら……。弟とか!」

 

たえ「家族はずるいよー。」

 

沙綾「私もいないからおあいこね。おたえは?」

 

たえ「ふっふっふ。私はいるよ。」

 

沙綾「っ!?」

 

沙綾が息をのむ。

 

夏希「おおー!恋バナキター。」

 

沙綾「だ、誰?クラスの人?」

 

沙綾は意外と興味津々に聞いてくる。

 

たえ「そう!沙綾と夏希だよ。」

 

沙綾・夏希「「……だと思った。」」

 

2人は肩を落とす。

 

沙綾「はいはい、これでおしまい。早く寝ましょう。」

 

たえ・夏希「「おやすみー。」」

 

こうして3人は就寝した。

 

 

 

 

 

 

帰りのバス内--

 

沙綾「ぐぬぬ…遅い!」

 

沙綾はまたも遅れている夏希にイライラしていた。

 

一方たえは、

 

たえ「すぴー……。」

 

案の定行きと同じように、沙綾の肩を枕代わりにし寝ていた。

 

夏希「ごめんごめん、野暮用で…。」

 

遅れて夏希がやって来た。

 

沙綾「野暮用?」

 

沙綾(なんか、怪しい。)

 

沙綾は毎回遅れてくる夏希を怪しみながら、バスは帰路に着いたのだった。

 

 

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