刀使ノ巫女に登場する三女神の親は"素戔嗚尊"。つまりはこちら側の世界で言う造反神の子供という事です。
勇者部部室--
部室へと戻ってきた勇者達をリサ達が出迎える。巫女達も神託によって再び刀使がやって来た事を察知し、今までの記憶を取り戻していたのだった。
リサ「みんなお帰り。そしてまた刀使のみんなに会えるなんて思ってなかったよ。」
彩「本当だね。何で今まで忘れてたんだろう。」
中たえ「多分この世界から出て行ったからだと思う。前に造反神を倒す前に赤嶺さんが言ってたでしょ?"御役目が終われば元の世界に戻れる。ここでの記憶を全て失って。"ってね。」
勇者達がずっと模索してきた最大の問題である元の世界に戻れば記憶を失ってしまうという点。刀使がこの異世界を離れた為に今の今まで勇者達は共に戦ってきた記憶を失っていたのだ。
燐子「でも…こうしてまた思い出す事が出来たという事は…。」
あこ「記憶を残す事は出来なくても、思い出す手段はあるって事?」
中たえ「多分ね…。」
刀使が再びやって来た事により一筋の光明を見出す事が出来た勇者部一同は早速詳しく探ろうとするが、
六花「あの……質問なんですけど、刀使とはなんなのでしょう。」
つぐみ「私もさっきから気になってました。」
香澄「そっか。2人は初めて会うんだよね。紹介しなくちゃ!」
香澄達は事情を知らない2人に前に出会った事について説明をするのだった。
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つぐみ「成る程…さっきの荒魂は元々は可奈美ちゃん達の世界の敵って事なんだね…。」
六花「戦える巫女……巫女にも色んな種類があるんですね。」
友希那「事情を知ってもらえたところで……古波蔵エレンさんだったかしら?あなたの事を教えてもらえるかしら?」
薫「そうだね。是非とも教えてくれないだろうか。」
初めて出会う刀使、エレンは勇者部に自己紹介をする。
エレン「分かりました!皆さん Nice to meet you!私の名前は古波蔵エレンデス。好きな人はグランパとグランマで流派は"タイ捨流"デスネ!」
夏希「おたえ、"タイ捨流"ってあの大赦?」
小たえ「違うよ。タイ捨流はね、大きく言えば総合格闘術みたいなもので、"タイ"だけカタカナになってるのは"体"、"待"、"対"等色んな漢字を意味してるんだ。」
小沙綾「おたえ詳しいね。」
小たえ「ちょっと前に図書館で読んだ本に書いてあったんだ。」
可奈美「エレンちゃんは金剛身が得意でね、2人のコンビネーションは抜群に良いんだよ。」
エレン「それ程でもあったりしマス。」
益子「少しは謙遜をしろ。」
花音「金剛身って、前に沙耶香ちゃんが私に使ったものだったよね。」
沙耶香「そう…。普通なら二段目か三段目くらいまでしか出来ないけど、エレンは刀使の中で唯一金剛身が五段目まで使える…。」
千聖「それは凄いわね。花音、今度も期待してるわよ?」
不敵な笑みを浮かべ千聖は花音を見つめる。
花音「お、お手柔らかにぃ〜!」
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ある程度の思い出話も盛り上がってきた中、先程の戦闘中で何かを感じた燐子が話を変える。
燐子「皆さんは荒魂に何か思うところがありませんでしたか…?」
あこ「うーん……あこは分かんなかったけどなぁ。」
夏希「私もです。」
中沙綾「荒魂に私達の攻撃が殆ど通らなかった事……そして"ヤチホコ"が効いたという事ですか?」
燐子「その通りです…。刀使の皆さんの話によれば荒魂は"ノロ"と呼ばれる負の神和性を持っていると言ってました…。」
その言葉に何かを察した者が何人か。
リサ「"凶攻型"に似てるね…。」
燐子「そうなんです…。前に大赦へと行った時、神官さんが言ってましたよね…"凶攻型"には"未知の物質"の反応があったと…。」
香澄「確かにそう言ってましたね。」
燐子「その"未知の物質"が"ノロ"なんじゃないでしょうか…。」
一同「「「っ!?」」」
可奈美「そんな事ってあるの!?」
燐子「分かりません……。ですが、前に刀使の方々がこの世界にやって来た時は"獅子型"と"乙女型"がノロと融合しました…。その際に中立神はノロという負の神和性を持つ物質を学び、それを用いて"凶攻型"を作り上げた……。」
赤嶺「確かにそれが本当なら今までの事は全部辻褄が合うね…。」
紗夜「一体何の為に?」
日菜「私達の力を測る為じゃないかな。火事場の馬鹿力とかいうし。」
千聖「全く…神様という存在は随分と身勝手にやってくれるわね……。危うく犠牲が出るところだったわよ。」
姫和「それなら、私達はその中立神とやらが操っているノロを回収する為に再びこの世界に呼ばれたという事なのか?」
舞衣「恐らくは。今までの話から推測するとそうなると思われます。」
この世界のノロを全て回収するという事、即ちこれが成功すれば"凶攻型"が現れる事はほぼ無いという事になる。
有咲「今まで散々苦渋を飲まされてきたけど、これで最後だ。」
香澄「そうだね。俄然やる気が湧いてきたよ!」
ゆり「よし、それじゃあ大まかにやる事は決まったから取り敢えず今日は解散!決戦に備えてみんなゆっくり休んでね。」
刀使達が滞在する用の寮を案内し、勇者部一同は解散するのだった。
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翌日、勇者部部室--
寝ぼけ眼であくびをしながら益子が部室へとやって来た。どうやらエレンを探しているようだ。
高嶋「あっ、益子さんおはよう。」
益子「あぁ…。なぁ、エレン知らねぇか?」
りみ「エレンさんなら薫さんと赤嶺さんと一緒に浜辺へ出かけてますよ。」
益子「すっかり意気投合した様だな。」
その時、何処からともなく牛鬼が部室の窓の外からやって来た。
益子「うぉ!?……なんだ牛鬼か…。」
りみ「あれ?香澄ちゃんも鍛錬しに浜辺に行ってるのにどうして…。」
牛鬼はじゅるりとヨダレを垂らしながら益子の頭に乗っているねねを見つめている。
ねね「………っ!?」
益子「だぁーーーっ!齧るなよ!ねねは食い物じゃねーんだ!」
高嶋「牛鬼ダメだよ。」
叱りながら高嶋は部室にストックしてあるビーフジャーキーを取り出し牛鬼に食べさせた。
益子「牛がビーフジャーキーって……共食いだな…。」
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浜辺--
薫「………海が囁いている…。」
赤嶺「浜辺に腰を下ろし海を眺めるお姉様…カッコいいです!」
エレン「カオルは海が似合いますネ。」
薫「そうかい?沖縄の海は言わずもがな儚いけれど、四国の海も中々に儚い。エレンの世界での海はどの様な風景なんだい?」
エレン「鎌倉の海デスカ?それはそれはここに負けないくらいの美しさデス。波が穏やかなのでサーフィンをする人が沢山いて賑やかデスヨ。」
薫「そうか……。」
浜辺に目をやる。子供が砂で山を作りトンネルを掘ったり、日光浴をしている人がいる。堤防では釣りをしている人がいる。当たり前の日常、平和が薫達の目の前には広がっていた。
赤嶺「どうしたんですか、お姉様?」
薫「私達は守ってこられたんだね、この風景を…。」
赤嶺「………そうですね。」
薫「最後まで御役目を果たそう。」
赤嶺「はい…。」
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一方で薫達がいた浜辺から少し行った先では可奈美、姫和、千聖、美咲、香澄が鍛錬を行っていた。
香澄「さっき勝手に牛鬼が出てきてどっかに行っちゃったけど、どうしたんだろう…。」
美咲「何で私まで……こんな事やらないといけないんだろう。」
足場の悪い砂浜で走り込みをしながら美咲は愚痴をこぼす。
香澄「たまには良いじゃん。みんなで体を動かそう!」
可奈美「良いね、香澄ちゃん!この後模擬戦しようね。」
香澄「はい!」
可奈美「その後は美咲ちゃん相手になってくれる?」
美咲「え?私もですか?いやいや、私なんかじゃ相手になりませんよ…。」
姫和「そうか?私の見る目だと、美咲も中々にやり手のように見えるがな。明眼で見るには結構な身体能力してるぞ。」
千聖「鋭い観察眼ですね。美咲ちゃんは勇者部でも隠れた切り札なんですよ。」
美咲を弄ぶかのように千聖は笑いながら言った。
美咲「ち、ちょっと白鷺さん……!嘘ですよ!?嘘ですからね!」
香澄「謙遜しなくても良いのに。」
美咲「戸山さんまで……。」
ふと香澄は昨日樹海で思っていた事を姫和に尋ねる。
香澄「姫和さんのその御刀って……以前に違う人が使ってた事ってありますか?」
何気なくしたその質問に姫和と可奈美は驚いた。
可奈美「どうして香澄その事知ってるの!?」
姫和「刀使達が知っているのは兎も角、何故別の世界にいる香澄が知ってるんだ!?」
香澄「刀使の皆さんがやって来る少し前から見る様になった夢に女の子人が出てくるんですけど、その女の人が携えてた刀が姫和さんが持ってる御刀にそっくりだったんです。」
姫和「…………。」
千聖「この2人の反応から察するに、香澄ちゃんの言ってる事は当たってるみたいね…。」
姫和は鍛錬を中断し香澄達に小烏丸の前の持ち主、十条篝について話し始めるのだった。
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姫和「私の母、十条篝…旧姓は柊。この小烏丸の元々の持ち主は母だったんだ。私が小学生の頃に荒魂にやられ亡くなってしまったけどな。」
香澄「そうだったんだ……。」
美咲「でもその人はどうして戸山さんの夢の中に出てきたの?」
姫和「それは--」
姫和が何かを伝えようとしたその時、端末からノイズ混じりのアラームが鳴り響いた。
千聖「っ!樹海化が始まるわ。向こうに薫達がいたからそっちと合流しましょう。」
香澄「はい!」
駆け出す香澄達。その時、香澄を姫和が呼び止めた。
姫和「香澄!」
香澄「どうしたんですか?姫和さん。」
姫和「さっき香澄が話してくれた夢の内容……私には心当たりがある。」
香澄「えっ!?」
姫和「私の母はとある荒魂を鎮める為に、自らの命を賭して鎮めようとしたんだ……世界を守る為に。」
その話を聞いて脳裏に蘇るのは夢に出てきた少女、柊篝が口にしたあの言葉。
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篝(……もし、何かを守る為に…命を投げ出さないといけなかったら…………そうしないと守れないとしたら……あなたなら、どうする…?)
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香澄「………。」
姫和「何故母が香澄の夢に出てきたのか分からないが、役に立てたなら幸いだ。」
香澄「…はい。ありがとうございます!」
思うところは沢山あるが、今は目の前の事に集中する為、夢の話は一旦頭の隅に置いておき、香澄達は薫達に合流する為に走るのだった。
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樹海--
樹海では荒魂と星屑の群れが跋扈しており、それに加えて今まで見た事がない大きな岩のようなものが浮遊していた。
あこ「見た事ない荒魂がいるよ?」
舞衣「あれは
花音「岩に角と口がついてるっ!?」
勇者達を察知したのか一斉に敵が向かってくる。
可奈美「荒魂は私達に任せて!」
香澄「バーテックスの相手は私達が!」
目まぐるしく戦っていく構図はさながら戦国時代の合戦の如く。お互いの死角をカバーし合いながら戦場を駆け抜けていく。
蘭「いくら多数の戦闘が得意だからって…はあっ!この数は骨が折れそ…うっ!」
紗夜「全く持って同感です。」
圧倒的な物量が星屑が持つ最大の特徴であり、最も厄介な点だ。いくら勇者とはいえ体力にも限界がある。
あこ「りんりん!香澄!イヴ!ここで"アレ"やっちゃうよ!」
高嶋「"アレ"だね!」
イヴ「おう!」
燐子「やってみよう…!」
あこの号令で四人はそれぞれその身に精霊を宿す。"和入道"、"雪女郎"、"雷獣"、"一目連"。炎氷雷風四つの力を放出する広範囲攻撃だ。
イヴ「巻き込まれたくなかったら下がってな!」
高嶋「行くよ、必殺!」
あこ・燐子「「"
獄炎、吹雪、雷撃、竜巻と天変地異と見まごうような自然の力がバーテックスを次々と消滅させていく。
花音「ま、巻き込まれるぅ〜!?」
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一方で荒魂と戦っている刀使達。
可奈美「すっごい爆発音だなぁ。私達も負けられないよ!とぅっ!」
姫和「元からそのつもりだっ!やぁっ!!」
"鉱型"の攻撃を避ける為に常に動き回りながら攻撃を仕掛ける。"蟲型"荒魂は基本近接攻撃しか持たない為近付いてきたところをカウンターで切り裂いて倒していく。星屑と比べればそこまで数が多くないので殲滅するのに時間はかからなかった。
沙耶香「まだ何が起こるか分からない…気をつけて…。」
エレン「be carefulデス。」
舞衣「……何かがおかしいです。一度勇者の皆さんと合流しましょう。」
一度可奈美達は離れて戦っていた香澄達と合流する為に集まるのだった。
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燐子「………少し変です…。」
舞衣と同じ様に燐子も樹海に漂う違和感を感じ取っていた。
中沙綾「どうかしましたか?」
可奈美「おーい、みんなー!」
そこへ刀使達も合流する。
舞衣「皆さん、何かが起きようとしてます。」
益子「何かって何だよ。」
舞衣「それは分かりません……。ですが、警戒を怠らないでください。」
樹海化がまだ解ける様子がない。それは即ちまだバーテックスが残っている事を意味している。すると端末にバーテックスの反応が1つ、"凶攻型"だった。
友希那「みんな、本命が来たわよ。」
黒い流線型の体躯に真っ赤なコア。"凶攻型"の姿が現れた時、刀使達が持つスペクトラム計も微かに反応を示した。
姫和「反応がある……。やはりあの"凶攻型"にはノロが取り込まれてる。」
可奈美「じゃあ、アレを倒せばミッション完了だ!」
香澄「可奈美さん、コアの明滅に気をつけてください。」
可奈美「分かった、まずは私達が仕掛ける。行こう姫和ちゃん!」
姫和「ああ。」
2人は迅移で隠世へと移動。"凶攻型"を覆っているノロを切り裂き弾き飛ばす。2人の攻撃により"凶攻型"からノロが剥がされ、体の一部が黒から白へと変わっていった。
ゆり「みんな、ノロが剥がれた部分を攻撃するよ!」
薫「はっ!!」
夏希「どりゃあっ!!」
有咲「切り裂ーーーくっ!」
有咲率いる一番槍達が攻撃を仕掛けダメージを与えていく。"凶攻型"からの反撃はあこの旋刃盤と花音の護盾が退ける。
花音「怖いよぉ〜〜!!」
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可奈美「ふぅ……。」
姫和「どうだ…。」
ノロが剥がされ強固な防御力を失った"凶攻型"は全体の八割程を損壊させられてはいるが、まだ消滅はしていなかった。
イヴ「こいつしぶといったらありゃしねぇ。」
赤嶺「でもこれで終わらせる。」
一同はトドメを刺すべく身構えるが、燐子と舞衣は未だに違和感を拭う事が出来なかった。その時、端末から無数のバーテックスの反応が。
香澄「星屑があんなに沢山!?」
中たえ「どうしていきなり…。」
それと同時に反対側から先程とは比べ物にならない数の荒魂が姿を現したのである。
可奈美「荒魂も!?」
益子「何がどうなってんだ!?」
応戦する勇者と刀使だったが、星屑と荒魂はそれぞれを無視してボロボロの"凶攻型"向かって突っ込んで行ったのだ。
燐子「"凶攻型"に無数の星屑と荒魂が融合していく……。」
紗夜「これは……"凶攻型"が更に進化しようでもしてるのですか!?」
粘土の様な塊へと変化した"凶攻型"だった物体は荒魂という負のエネルギーを取り込みその姿を変化させる。更に巨大化するのではなく、圧縮--その姿は人型に近い姿と化し両手に刀、白い巫女服を纏った少女の姿に変貌する。
益子「あ、アイツは…!」
驚愕したのは勇者達ではなく刀使達だった。何故ならその姿を刀使達は知っていたのだから。
燐子「刀使の皆さんはアレを知ってるんですか…。」
沙耶香「忘れる筈がない……。」
姫和「………"タギツヒメ"。」
可奈美「どうして…分かり合えた筈なのに……。」
目の前に顕現していたのは勇者の敵では無く刀使の敵--タギツヒメだったのである。