戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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中立神の御役目が終わりに近づく中、これまでの自分達を労う為に、前と同じくパーティを開く勇者達。その中で勇者達はここまで歩んできた軌跡、紡いできた絆を振り返るのだった。




紡いだ軌跡の諧調

 

 

勇者部部室--

 

ゆり「いつの事だったか、思い出してみて。」

 

中たえ「あんな事や、こんな事が。」

 

中沙綾「てんこ盛りにあったよね。」

 

神妙な面持ちで話し続ける神世紀勇者部の6人。

 

有咲「嬉しかった事や、面白かった事。」

 

りみ「いつになったって、忘れないよ。」

 

香澄「という訳で、ドジャーーーン!」

 

あこ「あれ?これって………デブジャだ!」

 

燐子「デジャブだよ、あこちゃん……。でも、確かに前もこんな事があったような…。」

 

千聖「造反神の御役目がもうすぐ終わる頃にやったパーティと同じ話しの切り出しかたじゃないかしら?」

 

美咲・花音「「それだ!」」

 

イヴ「千聖さん、良く分りましたね。」

 

千聖「勿論よ。だってあの時は私達防人組がドレスを着たんだもの。」

 

労いの意味も込めてやったパーティ。千聖の心には今でもその思い出が残っていた。

 

彩「そうだったね。確かにあの時のみんなはとっても綺麗だったよ。」

 

高嶋「うん!それに赤嶺ちゃんのもね!」

 

つぐみ・六花「「え?」」

 

その話をされた途端、赤嶺の顔がみるみるうちに真っ赤になりだした。

 

赤嶺「ぁ……い、いやその……いいでしょ、昔の話は!」

 

千聖「ゆりさん、中立神の御役目も終わりが見えてきました。ですから、これを機にまたパーティを開きませんか?」

 

ゆり「そうだね。赤嶺ちゃん達羽丘中組も加わった事だし、それも兼ねてまたやるつもりだよ。」

 

香澄「はい!今回は赤嶺ちゃん達を中心にやっていきましょう!」

 

友希那「そうね。造反神の御役目では敵対していたけれど、今となっては赤嶺さんも勇者部の一員。感慨深いわね。」

 

赤嶺「き、気持ちは嬉しいけど…恥ずかしいな。」

 

六花「でも、私達だけでなく、皆さんと一緒にお祝いしましょう。」

 

つぐみ「そうだね。ここまで頑張って来れたのはみんなの力があってこその事だから。」

 

あこ「もっちろんだよ!御馳走で大盤振る舞いだよ!」

 

内容ば前回のパーティと同じ形式、基本は崩さず今まで通りにやっていく事が決まった。

 

薫「そういえば、前は商店街でパレードがあったが…。」

 

りみ「それなんですけど、今年は日程が合わなくて一緒に出来ないみたいなんです。」

 

モカ「それは残念。」

 

蘭「意外だね、モカ。モカの口からそんな言葉が出るなんて。」

 

モカ「やっぱみんなの笑顔を見てたらね。またやりたかったなって。美咲ちんが作ってくれた衣装もエモかったし。」

 

美咲「嬉しい事言ってくれるね。じゃあ今回も何か張り切らないと。」

 

日菜「見て見て、御先祖様。これが前に私達がドレスを着た写真だよ。」

 

そう言うと、日菜は端末から撮った写真をつぐみに嬉しそうに見せる。

 

つぐみ「うわぁ……すっごい綺麗だね!」

 

イヴ「今回は赤嶺さん達がドレスを着る番です。」

 

赤嶺「わ、私は前に着たからもう大丈夫だよ。ロックとつぐちんだけでどうぞ。」

 

燐子「赤嶺さんの写真はないんですか…?」

 

中沙綾「写真?それなら……。」

 

沙綾が端末から以前に撮った赤嶺のドレス姿の写真を探し始めるが、

 

赤嶺「撮ってないよ!撮らなかったんだぁ。だから写真なんて無い無い!」

 

香澄・高嶋「「でもすっごく可愛かったよ?」」

 

中沙綾「そうだね。」

 

紗夜「確かに、見惚れてしまうくらいでした。」

 

つぐみ「沙綾ちゃんと紗夜さんは見たんですね。」

 

中沙綾「うん、ちょっとした事があってね。」

 

千聖「でも、パレードが無いとするならその代わりに何かするのかしら?」

 

前回は商店街の人々に勇者部からの感謝を表す為に商店街主催のパレードに参加したのだ。勇者部全員が衣装を着て商店街を練り歩く。とても好評だったそうだ。

 

香澄「今回もそういう事が出来たら良いんだけど…。」

 

燐子「取り敢えず…パーティとパレードは分けて考えてみませんか…?」

 

千聖「そうね。勇者部内々のお祝い事と周囲への感謝は別物だもの。」

 

美咲「1部は羽丘中組のドレスアップ。第2部だけ考えれば良いんですよね。」

 

イヴ「お三方とも、それでよろしいでしょうか?」

 

六花「はい、楽しそうなので私は構いませんが、赤嶺さんはそういう事苦手ですよね?」

 

赤嶺「うん…。それに私は前に着たし、今年は裏方で準備を手伝いたいな。」

 

小たえ「ええ〜?」

 

つぐみを私は赤嶺ちゃんにドレス着て欲しいなぁ。」

 

赤嶺「な、何言ってるのつぐちん。私は裏方やりたいんだってば!」

 

高嶋「赤嶺ちゃん、気持ちは嬉しいけど、準備は私達に任せてくれない?」

 

香澄「そうだよ。今年こそちゃんと、みんなにもドレス姿をお披露目しないと!」

 

しかし頑なに赤嶺はドレスを着る事を香澄達と敵対していた事を理由に拒んでしまう。

 

紗夜「そんな事を考えていたんですか…。何というか驚きです。」

 

六花「はい。赤嶺さんは変なところ律儀なんです。」

 

蘭「色々あったけど、今はもう立派な仲間じゃん。償いなんて誰も求めてないよ。」

 

友希那「そうよ。だから、何も気にせず楽しめば良いわ。」

 

赤嶺「だけど、それじゃ私の気持ちが……。」

 

ゆり「仕方ないか。あの手を使おう。」

 

香澄達がここまで行っても渋る赤嶺に痺れを切らしたゆりは前にもやった作戦に打って出るのだった。

 

ゆり「部長命令!香澄ちゃん、高嶋ちゃん!赤嶺ちゃんを力尽くでドレスショップに連れていきなさい!」

 

香澄・高嶋「「ラジャー!」」

 

赤嶺「えぇ!?またぁ!?」

 

つぐみ「凄い。すばしっこい赤嶺ちゃんを見事にロックして連れて行っちゃった。」

 

六花「感心してる場合じゃないですよ。私達も行きましょう。」

 

 

---

 

 

ドレスショップ--

 

六花「す、凄いです……ここはまるで異世界ですね…!」

 

赤嶺「はぁ……また来ちゃった…。」

 

とうとう観念したのか、赤嶺も連れてこられた途端に抵抗するのをやめてしまった。

 

香澄「それじゃあ、後は任せたよ!」

 

赤嶺「え、帰っちゃうの?」

 

高嶋「うん。本番の楽しみにしたいから。素敵なドレスを選んでね!」

 

そう言って2人の香澄はドレスショップを後にする。

 

赤嶺「もぅ……。」

 

六花「さてと、これで水入らずですね。」

 

つぐみ「香澄ちゃん、さっきからどうしたの?」

 

六花「敵だった頃の事を思い出してたんですか?」

 

赤嶺「勇者部の人達、みんな良い人だから。本気で全部許してくれてるとは思うんだけど。」

 

つぐみ「みんなが良いって言ってるんだから、みんなの気持ちを疑うのはそれこそ失礼に当たっちゃうよ?」

 

赤嶺「え?」

 

つぐみ「私はこう思うな。贖罪するならみんなの願いに反するよりも、みんなの願いを叶えてあげる方が良いんじゃない?」

 

赤嶺「つぐちん……。そんな事で本当に良いのかな…。」

 

六花「そうですよ。あの皆さんに深読みはダメです。素直になりましょう。私達は現世での御役目が御役目でした。悪い癖がついてしまってるんです。疑いに慣れすぎたらよくありません。」

 

赤嶺「そっか……。私、まだまだ勇者部員にはなりきれてなかったみたいですね……。ありがとう!勇者部のお祝い、私、全力で頑張るよ!」

 

2人が説得してくれたお陰でやる気を取り戻した赤嶺。そんな3人を先に帰った筈の2人が店の外からこっそり覗いていた。

 

香澄「赤嶺ちゃん、やる気になってくれたみたい。心配する事なかったね。」

 

高嶋「うん。やっぱり同じ香澄仲間だよ。」

 

滞りなく進む事を確信した2人は改めてその場を後にする。

 

 

 

 

 

しかし、2人が覗いていた事を赤嶺達は気が付いていたのである。本当に帰った事を確認した3人は目の色を変えて話しだした。

 

赤嶺「ふぅ………。やっと本当に帰ったかぁ。何とか誤魔化せたみたいでホッとしたよ。」

 

つぐみ「ここまで……お互いに絆を深め合うのには充分過ぎる時間だったよね。」

 

六花「その勇者達の安心しきった微笑みが焦燥に変わるまで、後もう一踏ん張りですね……。」

 

赤嶺「少し予定が狂ったから、計画を練り直そう。失敗は許されないよ…。」

 

 

---

 

 

勇者部部室--

 

一方その頃、残ったみんなは赤嶺の頑なに拒む態度について話し合っていた。

 

りみ「赤嶺さん、本当に大丈夫かなぁ。あのままだったらどうしよう……。」

 

有咲「香澄達がついて行ったから大丈夫だろ。」

 

中たえ「もしかして、祝われるのが好きじゃないのかな?」

 

あこ「そんな人いるの?」

 

美咲「少数ながらもいるんだよ。自分が中心になるのが苦手な人がね。気を遣っちゃうんだと思うよ。」

 

小沙綾「折角のパーティなのに、そんな気分のまま無理させるのは本末転倒じゃないでしょうか……。」

 

紗夜「やはり、何か他の事を考えた方が良いのではないでしょうか…。」

 

みんなが赤嶺に対して思い悩む中、沙綾が一つ赤嶺の態度に違和感がある事を口にする。

 

中沙綾「でも、あの態度はちょっと不自然じゃないかな。」

 

リサ「確かに。ドレスが苦手ってのは本当だと思うんだけど、それで裏方をやりたいって言うのは何か腑に落ちないんだよねぇ。」

 

燐子「ストリートダンスが趣味で…人前に出るのも好きな人なのに……変ですよね…。」

 

疑問が残る中、香澄達がドレスショップから帰ってくる。

 

香澄「香澄と香澄、ただいま帰還しました!」

 

ゆり「お疲れ様。どうだった?」

 

高嶋「問題ないです。つぐみちゃんと六花ちゃんのお陰で、赤嶺ちゃんもやる気になってくれました。」

 

香澄達からの報告を聞き、杞憂だったと判断した勇者達は気を取り直してパーティの準備に取り掛かる。

 

蘭「それじゃあ、料理で使う野菜を収穫してくるよ。」

 

千聖「防人組は集合して頂戴!私達はパーティで使うテーブルクロスや食器の準備よ。」

 

友希那「あこと海野さん、瀬田さんは私と来て頂戴。美竹さんの畑を手伝いに行くわよ。」

 

中沙綾「他の人達は2班に分かれて献立の組み立てと、買い出しに取り掛かろう。」

 

ゆり「あぁ……この連帯感と流れるような連携プレー。ここで過ごしていくうちに築き上げてこられた最高のチームプレーだよ。私もスピーチ原稿書かなくちゃ。」

 

紗夜「今度は最後まで聞いてもらえると良いですね。」

 

 

 

---

 

 

ドレスショップ--

 

六花「幸い、記念パーティで勇者達は心の底から浮かれてます。隙だらけですね……。」

 

赤嶺「当初の計画が頓挫しかけて少し焦ったけど、戸山ちゃん達が上手く立ち聞きしてくれた。」

 

つぐみ「これで今頃勇者部のみんなは嬉々として準備に取り掛かってるだろうね。」

 

赤嶺「驚くだろうなぁ…あの子達。だってもうすっかり私達の事………。」

 

六花「信じてますからね……。ふふっ…!」

 

赤嶺「ロック…クールに行こうね。裏切りの舞台に笑いは必要無いから………。」

 

 

---

 

 

パーティ会場--

 

赤嶺達の裏切りに誰も気付く事なく、パーティ当日を迎える勇者達。今舞台ではゆりがマイクチェックを行っている最中である。

 

有咲「入念にやり過ぎだな…。」

 

あこ「うぅ……。あこは朝から何も食べずに来たんだよ。早く始めてくれないと、また野獣になっちゃうよ!」

 

香澄「赤嶺ちゃん達、どんなドレスを選んだんだろう。すっごく楽しみだよ!」

 

今回のパーティの主役である羽丘中の3人を心待ちにしながら、パーティ開始の時間となった。

 

ゆり「えー……只今より、勇者部による記念パーティを始めたいと思います。それでは、いきなりですが、本日のメインメンバーであ羽丘組の3人の登場です!」

 

盛大な拍手に包まれる中、突如として会場の照明が全て消えてしまい、会場は暗闇に包まれてしまう。

 

千聖「っ!?照明が消えた?まさか、停電!?」

 

 

 

 

 

その時だった。暗闇から突如赤嶺の声が会場に響き渡る。

 

赤嶺「勇者部のみなさーん、注目だよー。」

 

その声を合図に消えていた照明が元に戻り、舞台に赤嶺達羽丘中の3人が立っていたのだ。勇者装束と巫女服の姿で。

 

一同「「「えっ!?」」」

 

高嶋「赤嶺ちゃん、つぐみちゃんに六花ちゃんもその格好は……。ドレスはどうしたの……?」

 

赤嶺「悪いけど、これが私達の正装だよ。ドレスじゃ戦えないからねぇ。」

 

モカ「戦う?今からパーティなのに。敵の気配でも感じ取ったかなぁ?」

 

何が起こったのか理解出来ない勇者達に赤嶺達は冷たく言葉を言い放った。

 

六花「何言ってるんですか……。私達が戦うのは、あなた方ですよ。」

 

燐子「ど、どういう事ですか……?まさか戦闘訓練ですか…?」

 

赤嶺「訓練?違うよ。これから始めるんだ。本当の戦いってやつを、私達とあなた達で。」

 

彩「どうしてそんな!?仲間同士で戦うなんて……!」

 

つぐみ「いつから仲間だと錯覚してたの?」

 

中沙綾「錯覚…?」

 

つぐみ「この世界にどうして私達が召喚されたのか分からない?あなた達勇者を、徹底的に殲滅する為だよ!」

 

美咲「………それじゃあ、今までのは、私達に溶け込む為の演技だったって事?」

 

勇者達の顔が徐々に青ざめたものへと変わっていってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筈だったのだが--

 

六花「……良い顔です。焦り、驚き、怒りの入り混じった何とも言えない表情ですよ……ふふっ。」

 

つぐみ「驚くがいい!私達の足元に跪き許しを乞うんだよ!泣け喚け!ヒヒンと嘶け!!」

 

小沙綾・小たえ・夏希「「「え?えぇ……。」

 

六花「ぷっ………あはは!ヒヒンって…!馬ですか……!」

 

赤嶺「ダメだこりゃ。ロックが限界だ。さぁ………始めるよ!」

 

次の瞬間、赤嶺達が装束と巫女服を脱ぎ捨て、赤嶺は赤と黒を、つぐみは青と白、六花は黄色を基調とした華麗に着飾ったドレス姿へと早変わりしたのである。

 

赤嶺・つぐみ・六花「「「なーんてね!」」」

 

一同「「「はあああああ!?」」」

 

赤嶺「驚いた?サプライズだよ。」

 

つぐみ「私達が本当に裏切ると思った?甘いよ。蜂蜜漬けの砂糖菓子の様に甘いよ。」

 

有咲「ドッキリかよ……ま、まぁ!私は最初から気が付いてたけどな!!」

 

中には腰を抜かして立てなくなってしまう人もいた。

 

りみ「び、びっくりしましたぁ……。兎追いし花園よりも何倍も……。」

 

イヴ「な、なんて事しやがる……。俺が出ちまう程驚いたじゃねーか…。」

 

六花「あはははっ!大成功ですね!」

 

赤嶺「ごめんねぇ。どうしても何か1発やりたかったんだぁ。驚いたでしょー。」

 

香澄「ううん、ぜーんぜん!赤嶺ちゃんの事信じてるもん。ドレス姿、とっても綺麗だよ!」

 

赤嶺「ありがとう。でも残念。やっぱり戸山ちゃんは騙せなかったかぁ。」

 

リサ「ホントにもう、驚かさないでよ!でも、3人ともすっごく綺麗だよ。」

 

友希那「やってくれたわね……。流石というか何というか。心臓に悪いわ。」

 

あこ「でも、思いもよらないど迫力のパフォーマンスだったよ。じゃあ役者も揃った訳だし、みんなでかんぱーーい!!」

 

一同「「「かんぱーーい!!」」」

 

乾杯する一同。その中で1人がとある事を思い出す。

 

ゆり「って、私のスピーチは!?折角徹夜で原稿書いたのにーーーー!」

 

そんな事は誰一人気にせず、勇者達はこれまでの自分達を労うのだった。

 

 

--

 

 

パーティ会場--

 

赤嶺達のド派手な余興から始まったパーティもそろそろ終盤へと差し掛かろうとしていた頃。

 

夏希「ふぃ〜。お腹いっぱいだぁ。」

 

あこ「デザートはまだかなぁ。」

 

燐子「あこちゃん…まだ食べるの…?」

 

食事も殆ど食べ終えた頃、赤嶺達が元の制服に着替えて戻ってくる。

 

香澄「赤嶺ちゃん達もう着替えちゃったんだ。」

 

六花「食べ過ぎてドレスがキツくなってしまって…。もうお腹パンパンです。」

 

つぐみ「よくこんなに沢山料理が用意出来たね。」

 

中沙綾「手伝ってくれる人達の腕も上がってきたから、手早く沢山作れるようになったんです。」

 

小沙綾「最初に比べたら、私達もかなり楽させてもらってます。」

 

六花「最初って言うと、ここに来てすぐの頃ですか?それじゃあ、この料理はこの世界での経験の集大成って事ですね。」

 

六花のこの言葉で香澄達はこの世界に来てからの様々な出来事を思い出していた。

 

モカ「思えば、ここに来てから随分と時間が経ったよねぇ。」

 

蘭「そうだね。長いようであっという間だった気がする。」

 

高嶋「御役目は辛い事もあったけど、毎日が楽しくてすぐ1日が終わっちゃう感じだもんね。」

 

友希那「時々、騒がしくなる時もあるから退屈しない毎日だわ。花園さん?」

 

中たえ・小たえ「「え?」」

 

リサ「2人には感謝してるんだよ?友希那も、私も。それにみんなも。」

 

ゆり「そうだね。なんだかんだ言っても、常に笑いが絶えない毎日だし。」

 

つぐみ「みんなの話を聞いてて思うんだけど、勇者部のみんなは最初からこんなにドタバタしてたの?」

 

りみ「そ、そうだね…。」

 

美咲「私、ここに来た当初は警戒してたんだけど、過ごしていくうちにコロっといっちゃいました。」

 

六花「それ、分かります。」

 

薫「勇者部のみんなは、海のように美しく暖かい。だから私達は強くいられるんだ。」

 

紗夜「心の安定が強さに直結すると、私はここへ来てそれを学びました。」

 

千聖「心の安定……そうね。思えば訓練生時代に私が足りなかったものは、きっとそういう所なのかもしれないわね。」

 

イヴ「解るぜ、白鷺。お前は昔より今の方がずっと強えぇ。強くなったんだ。ここでな。」

 

千聖「イヴちゃん……。」

 

次第に思い出話へ変化して、しんみりした空気になってしまう。

 

リサ「中立神の御役目もそろそろ終わりを迎えるし、ゆっくりと過去を振り返るのも良いかもね。」

 

赤嶺「そうだね。私もみんなをずっと監視してた訳じゃないから、思い出話、聞きたいな。」

 

花音「私も!私達が合流する前の事とか聞きたかったんだ。」

 

香澄達はこの世界での今までの思い出を振り返る事にするのだった。

 

 

--

 

 

中沙綾「最初は、神世紀花咲川中組の私達がいる所に突然、樹海化警報が鳴ったんだよね。」

 

ゆり「私達の御役目は終わった筈なのに、突然端末からアプリが起動した時は本当に焦ったよね…。」

 

 

--

 

 

花咲川中学、勇者部部室--

 

りみ「こ、このアラームって…お姉ちゃん!」

 

ゆり「な、なんで…もう勇者に変身するアプリはみんな持ってない筈なのに……。」

 

有咲「ゆ、夢じゃないよな…。この眺め、完全に樹海だぞ。」

 

沙綾「いつのまに端末が…。どう思う、おたえ。……おたえ?」

香澄「おたえがいないよ!」

 

 

--

 

 

中たえ「それに最初は私の端末が調整中だったから変身出来なくて、みんなに迷惑かけたよね。」

 

有咲「そんな中で、最初に合流したのがリサだったな。巫女って存在が加わったのは大きかった。」

 

りみ「神世紀では巫女は大赦に常駐で傍にいなかったですから、最初は少し戸惑っちゃいました。」

 

 

--

 

 

勇者部部室--

 

リサ「みんな、御役目ご苦労様。私は今井リサ、宜しくね。」

 

有咲「んなっ!?今井って…!大赦の巫女の中でも最高の発言力を持ってるって言うあの"今井家"!?」

 

たえ「あっ、そう言えばそうだね。見落としてたよ。」

 

有咲「おいおい…"今井家"と"花園家"は大赦のツートップだろうが。」

 

 

--

 

 

リサ「そういえばあの時、勇者部の新人は隠し芸を披露するのが当たり前だって言ってたっけ。」

 

その言葉に友希那が過剰に反応する。

 

友希那「隠し芸!?リサがやったの!?」

 

リサ「さぁ、どうだろうね?」

 

つぐみ「成る程…。最初は西暦からリサさんだけが1人で来てたんだね。」

 

ゆり「そして小学生組が来て、次に西暦組、そして諏訪組が来たんだよ。」

 

美咲「そしてその次に私と薫さんが来たんです。あの時は自分の他に勇者が大勢いると知って驚きました。」

 

薫「それはそれは儚かったよ…。」

 

夏希「私、最初は西暦組の人達に緊張してました。何たって初代勇者、西暦の風雲児ですし!」

 

あこ「あこも夏希と初めて会った時の事は良く覚えてるよ。」

 

高嶋「私はやっぱり戸山ちゃんにびっくりしたかな。自分でも双子かと思ったもん!」

 

紗夜「2人が入れ替わったりした事もあったけれど、私と山吹さんの目は誤魔化せなかったです。」

 

 

--

 

 

勇者部部室--

 

?「目隠しをしてるのはどーっちだ?」

 

紗夜(これは……外せません!)

 

紗夜「この手は………高嶋さんですね?」

 

高嶋「正解!!」

 

友希那「……さすがは紗夜ね。」

 

中沙綾「次は私の番だよ!」

 

香澄「良いよ!手加減しないよ、さーや!」

 

中沙綾「分かった。この手は香澄だね。」

 

香澄「凄い!!正解だよ、さーや!」

 

 

--

 

 

友希那「そして私は、声しか聞いた事が無かった諏訪の勇者である美竹さんとここで対面する事が出来たわ。」

 

蘭「あの時は、夢じゃないかと思いました。感激でした。あなたに会えて……湊さん。」

 

 

--

 

 

勇者部部室--

 

友希那「この声……まさか、美竹…さんなの?」

 

蘭「私を知ってる?その声は……まさか。」

 

友希那「湊……友希那。湊友希那よ!美竹さん!!」

 

蘭「本当に…湊友希那さん…。うどんと蕎麦、優れてるのはどっち?」

 

友希那「うどんよ。」

 

蘭「間違いなく、湊さん…!!こうした形で会えるなんて。」

 

 

--

 

 

思い出話は募りに募っていく--

 

高嶋「夏には紗夜ちゃんの水着がバーテックスに奪われちゃったんだよね!プンプン!」

 

 

--

 

 

水着を買った帰り道--

 

中沙綾「きゃっ!何、今の!?」

 

紗夜「っ!?ありません!買ったばかりの水着が……!」

 

香澄「あーーーーっ!!あそこ!すっごく早い敵が逃げていく!!」

 

ゆり「バーテックスが……バーテックスが……水着泥棒!?」

 

 

高嶋「何で紗夜ちゃんの水着盗ったの!?返してよーーーーっ!!」

 

 

--

 

 

紗夜「そ、その話は……はっ!?」

 

その時、紗夜の視線が赤嶺の元へゆっくり動いた。

 

紗夜「まさかあれは赤嶺さんの指示ではないでしょうね?」

 

赤嶺「えぇっ!?み、水着泥棒って……知らないよ、そんなの!」

 

ゆり「その後の海での戦いじゃ、薫が珍しく熱くなってたよね。」

 

薫「あの時はつい我を忘れて連携を乱してしまったね……。友希那まで突き飛ばして、すまない。」

 

友希那「あの時は、私も瀬田さんを信じ切れてなかったと反省してるわ。」

 

 

--

 

 

樹海--

 

薫「はぁ…はぁ…。次は誰だい…?」

 

中沙綾「気合いが入り過ぎて、怖いくらいだね。」

 

香澄「薫さんは大好きな海を守りたいんだよ。だから、この戦いはすっごいやる気なんだ。」

 

りみ「そうだったんだ。道理で…。」

 

薫「そこっ!!」

 

友希那「待って、瀬田さん!前に出すぎよ!」

 

薫「どいてくれ!」

 

友希那「うっ!」

 

高嶋「友希那ちゃん!」

 

薫「あっ…す、すまない…。」

 

友希那「良いのよ。普段は冷静なあなたがここまで我を忘れるなんて、余程の事なのでしょう?」

 

薫「それは……。」

 

友希那「だけど、少し考えて。あなたの後ろには仲間がいる。共闘すれば敵を取り逃がしたりはしないわ。」

 

高嶋「そうだよ、薫さん。私達にも手伝わせて。同じ勇者なんだから、気持ちは一緒だよ。」

 

薫「気持ちは…一緒…。」

 

友希那「1人で突っ込めば隙が生まれてしまう。ここは、チームプレイで確実に当たりましょう。」

 

薫「……友希那の言う通りだ。少し頭に血が昇っていたようだね……。」

 

 

--

 

 

千聖「みんなでも息が合わない事があったのね…。今では考えられないわ。」

 

香澄「ここで過ごしていく内に互いの事が少しずつ分かってきて、喜びや悲しみ……色々な気持ちを共有していく事が出来たから今の私達があるんです。」

 

ゆり「他にも色々な事をやって来たよね…。」

 

夏には--

 

 

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神社、境内--

 

香澄「わああ……。」

 

リサ「……掛まくも畏き、恐み恐み白す……。」

 

モカ「……諸々の禍事、罪、穢れを有らむをば、祓い給へ、清め給へ……。」

 

中沙綾「……幸え給へと白す事を、聞こし食せと、恐み恐みも白す……。」

 

ゆり「これが……、巫女の力…。」

 

香澄「さーや……綺麗。」

 

 

--

 

 

香澄「夏祭りでのさーやの巫女姿、本当に綺麗だったよ。」

 

中沙綾「香澄ってば……。」

 

 

--

 

 

神社、境内--

 

高嶋「紗ー夜ちゃん!」

 

紗夜「あ…あぁ……ま、眩しい…です。」

 

高嶋「えへへ。」

 

紗夜「た、高嶋さん…!来てくれたんですね。」

 

高嶋「約束したでしょ?遅れちゃってごめんね!」

 

紗夜「いえ…。それよりも…その浴衣は…?」

 

高嶋「戸山ちゃんが貸してくれたんだ!着付けは沙綾ちゃんが。」

 

紗夜「そうだったんですね…。それより、お腹…空いてませんか?」

 

高嶋「もうペッコペコだよ!みんなが言ってた物みんな食べちゃいたいくらい!」

 

紗夜「ふふっ…。私もです。高嶋さん…あのっ!」

 

高嶋「ん?どうしたの?」

 

紗夜「浴衣……とても似合ってますよ。」

 

高嶋「ありがと!紗夜ちゃん!!」

 

 

--

 

 

紗夜「高嶋さんの浴衣姿も、とても眩しくて……良く似合ってました。」

 

高嶋「ありがと、紗夜ちゃん。」

 

そして秋--

 

 

--

 

 

勇者部部室--

 

香澄達全員「「「ハッピーハロウィン!」」」

 

夏希「あ、あれ⁉︎サプライズの筈だったのに!」

 

小たえ「お菓子がいっぱいだ!」

 

有咲「あれだけカボチャがどうの、ハロウィンがどうの言ってれば、バレバレだっつーの。」

 

ゆり「今日は年下組を目一杯甘やかすよ!お菓子も手作りだからね!…………お疲れ、りみ。」

 

りみ「お姉ちゃん………!うん!思いっ切り甘えるね!」

 

香澄「さーやちゃん、そのコスプレすっごく可愛いよ!」

 

あこ「確かに、闇の力が凄そう!」

 

美咲「大胆だね、こりゃ。」

 

薫「ああ……儚い!」

 

小沙綾「うぅ………!」

 

中沙綾「4人とも、今日は思いっ切り楽しんでね。」

 

 

--

 

 

小沙綾「最初は少し抵抗がありましたけど、やってみるととっても楽しかったですね。」

 

リサ「そういえば殺人事件もあったよね。」

 

花音「ふ、ふえぇ〜!?誰か殺されたの!?」

 

有咲「あれは事故だ!不慮の事故でバーテックスと接触しただけだ!」

 

 

--

 

 

旅館、厨房裏口-- 

 

ゆり「あ…あぁ…ぁ…ぁ……。」

 

りみ「お姉ちゃん?」

 

美咲「さっきのリサさんと同じ対応……まさか!?」

 

ゆり「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!あこちゃんが……あこちゃんが死んでるーーっ!!」

 

夏希「あ、あこさん!?嘘だ!あこさんが!あこさんが……!!」

 

燐子「あこちゃん!しっかりして、あこちゃん…!!」

 

友希那「燐子!息はしてるの!?怪我は!?」

 

燐子「え…?何…これ…?あこちゃん、なんか濡れ…て…。」

 

高嶋「そ、それって……血!?」

 

小沙綾「あこさん、何処かに傷を!?」

 

燐子「………これって…本当に呪い……?そ、そんな……!いやぁああああああーーーーーっ!!!」

 

 

--

 

 

あこ「たまたまあこと有咲ちゃんの2人が犠牲になっただけで何でもないんだよ!」

 

燐子「摘み食いはダメだよ…。あの時はすっごく心配したんだから…。」

 

香澄「有咲は飛び蹴りに失敗して頭を打っちゃったんだっけ?」

 

有咲「香澄はなんでそんな事ばっか詳細に覚えてるんだ!?」

 

そして冬が来て--

 

 

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花咲川中学、校庭--

 

夏希「よーし!それじゃあ行くよ、おたえ!!」

 

小たえ「任せて!」

 

夏希「よいっしょー、よいっしょー!!」

 

小たえ「ぺったんぺったん!」

 

夏希「よいっしょー、よいっしょー!!おっ、段々餅っぽくなってきたよ。」

 

小たえ「ぺったんぺったん!夏希、そろそろ味見してみようよ。」

 

夏希「……美味しい!!これがつきたてのお餅の味かぁ!」

 

小たえ「……ホントだ!何も味が付いてないのにほんのり甘い。お米の甘さがしっかり出てるよ。」

 

 

--

 

 

夏希「あの時に突いたお餅は最高に美味しかったです!」

 

小たえ「またやりたいなぁ。」

 

小沙綾「お正月には晴れ着を着ましたね。」

 

イヴ「はい。でもあの時は焦りました…。」

 

 

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寄宿舎、夏希の部屋--

 

夏希「……でも、みんなも着物だから恥ずかしくは無いかな。と言うか、イヴさんが凄く美人だ!おたえ、やるじゃん!」

 

小たえ「それ程でもあるかな。」

 

イヴ「皆さんもとっても似合ってます。」

 

小沙綾「私達に付き合ってもらってありがとうございます。」

 

夏希「強引に話を進めちゃってすみません。」

 

イヴ「とっても楽しかったですよ。……神樹館でも、もっとこうして夏希さん達と遊べてたら良かったです…。」

 

夏希「これからやれば良いんですよ!この先もまだまだ楽しい事はたくさんあるんですから!」

 

イヴ「……そうですね。」

 

 

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赤嶺「みんなマメだねぇ。年中行事をちゃんとやってて。その上、落ち葉履きや幼稚園へサンタとして出向いたりやってたんでしょ?」

 

りみ「どうして赤嶺が知ってるんですか!?」

 

赤嶺「監視はしてなかったけど、チラ見はしてたから。だから"兎追いし花園"になれたんだから。」

 

つぐみ・六花「「"兎追いし花園"?」」

 

それはエイプリルフールの出来事だった--

 

 

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花咲川中学、屋上--

 

中たえ・小たえ「「正体を現せーー!!」」

 

兎追いし花園「うわっ!」

 

赤嶺「く……っ!」

 

全員「「「えーーーっ!!!」」」

 

薫「あ、赤嶺香澄………!」

 

赤嶺「あーあ、バレちゃったかぁ。」

 

ゆり「な、なんでこんな事を!?」

 

赤嶺「勇者部って、いつも何かしらイベントやってるでしょ。だから、私も真似してみたんだ。でも残念。勇者同士が相打ちになれば、この先バーテックスを派遣する手間が省けたのになぁ。」

 

あこ「こんな事考える方がよっぽど手間かかるよーーーーっ!」

 

中たえ「そうだねー。ちょっとやりすぎだよ。」

 

赤嶺「そう?花園さんをずっと観察してそれを忠実に真似してみたつもりなんだけど。」

 

中たえ「うーん。こういうのは微妙な匙加減とセンスが必要なんだよ。」

 

有咲「お前がそれを言うのか……。」

 

香澄・高嶋「「でも、とっても楽しかったよ!」」

 

彩「赤嶺さん。もし良かったら、これからも一緒に、色んなイベントを楽しんでみない?」

 

赤嶺「は、はぁ……?な、何言ってんのかな……。こんなの、もうやらないよ。じゃあね……。」

 

 

--

 

 

日菜「懐かしいねぇー!悪役になってみんなと戦ったよね。」

 

夏希「"兎追いし花園"は赤嶺さんがたえさんの変装をした時の名前なんです。」

 

リサ「あれは見事な演技だったよね…。」

 

高嶋「演技って言えば、今日のも!3人ともすっごく演技が上手だったよ!」

 

赤嶺「当初はあんなに芝居がかった事をする予定なんて無かったんだ。ね、ロック。」

 

六花「そうですね。赤嶺ちゃんが素直に裏方になってれば、パイ投げとかタライ落としとかで済んでたんですけどね。」

 

赤嶺「そういうのを仕込むのは私なら簡単に出来るから。でも、私までドレスを着る流れになっちゃって…。しょうがないから計画を変更して、少しブラックな感じにしたんだ。」

 

六花「あの演技は今しか出来ないですから。」

 

薫「どうしてだい?」

 

六花「私達との間に信頼関係が深まってしまうからです。」

 

長く一緒に居れば居る程に赤嶺達と香澄達に絆が芽生えてしまう。だからこの世界に来て、勇者部の仲間になったばかりでないとこの芝居は出来ないのだ。

 

美咲「流石は対人関係のプロですね……。痛い所突いてくる。人が悪いですよ。」

 

そして勇者部が赤嶺達の芝居に引っかかってしまったのは、まだ仲間になってから日が浅い3人の事を心の底から信じ切れていないからこそ引っかかってしまったのである。

 

美咲「今の段階じゃ、心の何処かに"やっぱり"って疑う気持ちがどうやったって少しは生まれちゃうんだよね。」

 

友希那「くっ……恥ずかしい事ね。口では仲間だと言っておきながら、私にもそんな気持ちがあったなんて…。」

 

紗夜「危険なジョークですね。私達の誰かが怒り出したらどうするつもりだったんですか?」

 

その心配ですら、六花は見透かした様に論破してしまう。

 

六花「怒られませんよ。勇者は騙された事よりも、疑った自分の気持ちを恥じる人達ですから。」

 

夏希「すっごい……。」

 

彩「でも、赤嶺ちゃんは計画を変更したのにあまり怒ってないんだね。」

 

赤嶺「そんな事は…無いけど……。」

 

段々と赤嶺の顔が赤くなっていく。

 

リサ「赤嶺も本当は3人でドレスを着られて嬉しかったんだよね?」

 

赤嶺「うぐっ……!?」

 

どうやらリサの図星のようである。

 

あこ「結構可愛いところもあるんだね、赤嶺ちゃんって!ツンデレって事?」

 

燐子「騙されたからって、煽るのはダメだよ……。」

 

ゆり「安心して、あこちゃん。勇者部はやられたままじゃ終わらないんだから。」

 

赤嶺「え?」

 

ゆり「この借りは絶対的な信頼を築く事で取り戻すんだから!」

 

香澄「感動しました、ゆり先輩!」

 

ゆり「うぅ……スピーチ。徹夜の原稿…うぅぅ…。」

 

中沙綾「あぁ、ゆり先輩!しっかりしてください。部長の威厳が台無しです!」

 

赤嶺「あはははっ!やっぱり勇者部って凄いや!」

 

つぐみ「うん!この勢いで最後まで御役目をやり切ろう!」

 

六花「そうですね。私達なら、絶対に出来る筈ですから。」

 

違う時代と場所から集まって来た勇者達と結んできた、確かな絆が今ここにしっかりと存在している。きっとそれは赤嶺達3人にも固く結びつく事になるだろう。

 

 

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