次々に倒れていく勇者達。残されたのは千聖含めたった4人。
絶対絶滅のその時、千聖に新たな力が宿る。
樹海--
有咲「このぉーーーっ!!」
千聖「消えなさいっ!!」
広範囲に渡る襲撃を受け、勇者部は4班に別れてバーテックスを迎撃していた。
日菜「ここ最近は落ち着いてたけど……っ!中立神も容赦しなくなってきたね…っと。」
イヴ「おらおらおらぁ!来るなら来いよ!片っ端から消し炭にしてやらぁ!!」
花音「ふぇええええっ!?死んじゃう!死んじゃうよぉ!!」
今この場でバーテックスを迎え撃っているのは防人組と有咲。"遠距離型"の砲撃を掻い潜り、千聖と有咲が"遠距離型"を先に潰す為に日菜達とは離れて行動している。
千聖「見えた!」
有咲「ああ。だけど、"遠距離型"を守ってるバーテックスがうようよいるな。」
千聖「ここまで接近すれば狙撃される心配は無いわ。それに、あの程度の数で手も足も出なくなる有咲ちゃんじゃないでしょ?」
有咲「当たり前だ!完成型勇者だからな。」
千聖「ふふ。じゃあお手並み拝見といきましょうか。」
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有咲「行くぞ"鬼童丸"!」
"鬼童丸"の能力で"蟷螂型"を縛り上げ動きを封じる。そこへ"尊氏"を憑依させた千聖が節を一気に両断。バーテックスの数は着々と減ってきていた。
有咲「残りは"遠距離型"だけだ。一気に行くぞ。」
千聖「ええ。」
有咲・千聖「「はぁぁぁぁっ!!」」
根元から"遠距離型"を斬り伏せ、イヴ達に雨の様に降り注いでいたレーザー攻撃も止み、辺りに静かさが戻る。
千聖「これでこの辺りのバーテックスは全て殲滅出来たかしら?」
有咲「警戒を怠るなよ。索敵しながらイヴ達と合流だ。」
千聖「ええ。」
樹海が解けそうな雰囲気は無い。即ちまだバーテックスが残っているという証拠にもなる。樹海の根を飛び移りながら周りを警戒していると、突如端末に花音から連絡がはいる。
花音『ち、千聖ちゃん!?』
千聖「どうしたの、花音!」
花音『バ、バーテックスが、こっちに……っ!ふぇええええっ!!!』
直後端末越しに爆発音が聞こえ、前方からも爆風が発生。花音からの通信が途絶えてしまった。
千聖「花音……花音!返事しなさい、花音!」
狼狽る2人に追い討ちをかけるかの様に、更に彼方から複数の爆発音が樹海に響き渡った。
千聖「あの場所は……他のみんなが戦ってる場所だわ…。」
有咲「一体何が起こった……。兎に角急ぐぞ!」
千聖「ええ!」
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数分後--
千聖「花音!イヴちゃん!日菜ちゃん!」
2人が戻り目にしたものは、戦衣がボロボロになり樹海に倒れている3人の姿だった。
有咲「このありさまは……"爆発型"が爆発した跡なのか……。」
イヴ「うぅ………うっ!」
日菜「はぁ……はぁ……っ!」
通常の爆発なら戦衣がボロボロになっている理由も納得がいくが、倒れている3人は一向に目を覚まさず苦しそうに呻き声をあげ続けている。
千聖「3人の様子がおかしい。ただの爆発じゃないわ。」
目の前の状況に混乱している2人。その時、別の場所で戦っていた沙綾から連絡が入った。
千聖「沙綾ちゃん?」
小沙綾『あっ、千聖さんは無事だったんですね!』
千聖「落ち着いて、沙綾ちゃん。何があったの?」
小沙綾『夏希や他の皆さんが倒れたまま動かないんです!勇者装束がボロボロになってて……苦しそうに唸ってて目を覚まさないんです!』
有咲「こっちと同じ状況だな……。」
千聖「取り敢えずそこを動かないで辺りを警戒しておいて頂戴。今からそっちに向かうわ。」
小沙綾『わ、わかりました!』
次に千聖は部室にいるリサに連絡し、状況を説明してこちらに来てもらうよう頼んだ。一度に全員を運ぶ事が出来ないので"カガミブネ"で運んでもらう為である。
リサ『分かった、すぐそっちに行くよ。他の2箇所でも同じ事が起きてるみたい。無事なのはつぐみと美咲だけだって。』
千聖「辺りにバーテックスはいないと思うけど気をつけて。」
通話を切ろうとしたその時だった--
有咲「っ!?やばいっ!」
有咲は何かに気が付き咄嗟に千聖を思いっきり突き飛ばした。
千聖「きゃあ!?何するの有咲ちゃ……っ!?」
直後、大爆発が巻き起こり、その爆発に有咲が巻き込まれてしまう。
千聖「有咲ちゃん!!!」
有咲「が………はっ………!」
装束はイヴ達同様ボロボロになり、うつ伏せに倒れ苦しそうな声をあげながら動かなくなってしまう。
千聖「私を庇って……。」
千聖は焼け野原になった樹海を見回す。そこには有咲同様倒れたまま動かないイヴ、日菜、花音。この光景は、幾度となく犠牲ゼロを掲げて戦ってきた千聖の心を折るのに充分過ぎる程だった。
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有咲が倒れてから数分が経ち、リサが息を切らしながら千聖の元へやって来る。リサは大赦が開発した"羽衣"を改良したものに身を包んでいる。
リサ「そんな……有咲まで………。何が起こったの!?」
千聖「……………。」
リサの問いかけに答える気力も無く、千聖はその場で動かない。そんな呆然と立ち尽くす千聖の頬をリサは思い切り叩いた。
リサ「しっかりして!」
千聖「リサちゃん………でも…私は……守れなかった…。」
リサ「まだそうと決まった訳じゃない!息だってしてるし、目を覚ます可能性も充分にある!まだ犠牲は出てないんだよ。」
叩かれた跡がヒリヒリと痛む。だが、そのお陰で千聖は幾分か冷静さを取り戻す。
千聖「そうね……まだ何とかなる。取り敢えずまずは他のみんなと合流しましょう。」
リサ「だね!」
倒れてる4人を近くで寝かせ"カガミブネ"で部室に運ぶ2人。有咲を運ぼうとした時、千聖は有咲の手に端末が握られている事に気がついた。
千聖(私がリサちゃんと連絡を取っていた時には、有咲ちゃんは持っていなかった筈だけれど……。)
深く考える事は後に回し、千聖は有咲の端末を回収する。そして沙綾、つぐみ、美咲達が待機している場所へと"カガミブネ"で出立するのだった。
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勇者部部室--
倒れた勇者達はすぐさま大赦の病院へと運ばれ、モカと六花が付き添いとして向かった。
リサ「何とか撤退出来たみたい……。バーテックスの侵攻も止まったって神託が。」
彩「みんなに何が起こったの?」
千聖達は情報の擦り合わせをする為、各場所で起こった事の情報を出し合った。
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全ての情報が出揃ったが、挙がった情報に新しいものは無く、爆発が起こり、ボロボロになって倒れてしまい苦しい声をあげながら動かなくなってしまうという全く同じ状況だった。
小沙綾「私が後方で星屑と戦っていた時に前衛で大爆発が起こったんです。」
美咲「精霊バリアがあるのにあそこまで深傷を負うなんて……。ただの攻撃じゃないですね。」
つぐみ「今までに同様な状況はあったんですか?」
千聖「一度も無かったわ。"爆発型"とは何度も戦ってきたけど、ここまで傷を負わせるとなればかなり巨大でないと無理よ。」
リサ「"乙女型"は?アレも爆弾を飛ばすけど…。」
千聖「確かに"乙女型"であればあそこまでの威力を叩き出す事は出来ると思うわ。だけど、攻撃を受けた全員が目を覚まさず苦しんでるのは不可解よ…………っ!」
平行線を辿る中、千聖は有咲が持っていた端末の事を思い出す。
千聖(もしかしたら………。)
端末を操作する千聖は、その中に不可思議なメモを発見した。
千聖「これは………。」
千聖はそのメモをみんなに見せた。そこには2つの単語"けむり"と"やぎ"の文字。
小沙綾「………攻撃を受けた皆さんは煙を吸ったって事でしょうか。」
美咲「……それくらいしか無いだろうね。多分その煙に何か毒みたいなのが入ってたんだと思う。」
つぐみ「でもこの"やぎ"って単語は……。」
千聖「十中八九"山羊型"でしょうね。確かあのバーテックスは可燃性のガスを撒く事が出来た筈よ。他にも様々な効能を持ったガスを撒けても不思議じゃないわ。」
彩「じゃあ今回の親玉は"乙女型"と"山羊型"の2体って事だね。」
敵は2体の"完全型"バーテックス。しかし、千聖は何か腑に落ちない点があった。
千聖「敵が2体だったら、もっと広範囲に煙を撒けば良いと思わない?それならもっと簡単に私達を行動不能に出来た筈よ。」
美咲「……それもそうですけど…。」
千聖「それに辺りにバーテックスの姿は見えなかった。そんな遠距離から何らかの毒ガスを撒けば私達ならすぐ気付くと思うわ。」
リサ「それってつまり……。」
ここまでの情報と状況を分析した千聖は1つの答えを導き出す。
千聖「敵は1体。"乙女型"と"山羊型"の"融合型"じゃないかしら。ベースは"乙女型"で発射される爆弾に毒ガスが詰まってる。それが爆発して爆発のダメージと共に煙を吸い込んだ者の動きを封じてしまう。これなら全部辻褄が合うわ。」
状況を分析し早速対策を練り始めようとする4人だが、中立神は待ってはくれない。再び樹海化警報が鳴ったのだ。
つぐみ「早い……。まだ対策立ててないのに…。」
美咲「爆弾に気をつけるしかないですね。行きましょう。」
彩「無事に帰ってきてね、千聖ちゃん。」
千聖「勿論よ。犠牲は出さない。必ず帰ってくるわ。」
彩の頭を優しく撫で下ろし、4人は樹海へと消えていった。
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樹海--
小沙綾「敵は"融合型"1体。辺りに星屑や他のバーテックスは見られません。」
千聖「沙綾ちゃんと美咲ちゃんは遠距離から援護して頂戴。私とつぐみちゃんで攻めるわ。1箇所に集まらない様に注意して。」
美咲「ラジャー。」
つぐみ「うん!」
千聖とつぐみは端末で敵の位置を確認しながら樹海をジグザグに移動。敵に自分達の位置を気取られないようにする為である。"融合型"は約10メートル先で動かずに勇者達を待ち構えていた。
千聖「随分と余裕があるみたいね。沙綾ちゃん、美咲ちゃん、まもなく会敵するわ。」
美咲『了解です。』
端末で連絡を取り合い遂に2人は"融合型"を目の当たりにした。外見は"山羊型"をベースとしており、尻尾と思われる箇所に"乙女型"が持つ爆弾を発射する器官が備わっていた。"融合型"は千聖達を見つけるや否や爆弾を無差別に発射し始める。
つぐみ「来るよ!」
千聖「散開して!」
着弾した箇所が大爆発を起こし、それと同時に紫色の煙が巻き上がる。この煙が皆を戦闘不能にさせた根源なのだろう。しかし当たらないと判断したのか爆弾を飛ばす事を止め、頭頂部にある突起から雷撃を撒き散らし始めた。
つぐみ「うわっ!」
千聖「くっ!ならその源を断つまでよ!」
"尊氏"を憑依させ、銃剣で狙いを定め千聖は雷撃の発生源である突起を打ち抜いた。
美咲「怯んだ隙は逃さないよ!」
小沙綾「はい!」
攻撃が止まった隙を突き、沙綾と美咲の遠距離攻撃が"融合型"の頭部に直撃。後ろに後退するが、傷は回復してしまう。
美咲「威力が足りないか……。」
千聖「動きが止まれば充分よ!食らいなさい!!」
"融合型"の体を駆け上がった千聖は首の比較的細い箇所を銃剣で斬り落とした。
小沙綾「一刀両断!?凄いです千聖さん!」
千聖「少しはみんなの痛みが分かったかしら?
切り落とされた首が樹海に落ちる。しかし斬られた筈の首から再び頭部が再生し、更に斬り落とされた首からは逆に体が生えてきたのである。
つぐみ「分裂した!?」
千聖「まずい!一旦離れて!」
2体に増えた"融合型"は再び尻尾から爆弾を発射。しかし先ほどの爆弾とは違い、着弾した次の瞬間に巨大な火柱が立ち昇る。
千聖・つぐみ「「きゃあああああっ!!」」
美咲「可燃性のガスで爆発の威力が!」
小沙綾「千聖さん!つぐみさん!」
千聖「2人とも来ないで!言った筈よ、1箇所に纏まるのは危険だって!」
小沙綾「でも……!」
美咲「"コシンプ"!白鷺さんに力を貸して!」
美咲は"コシンプ"を召喚し、千聖に憑依させる。"融合型"は次の攻撃に備えている。じっとしていたら袋のネズミだ。2人は体に鞭打ち立ち上がる。
千聖「つぐみちゃん……まだ行ける?」
つぐみ「全然……このくらい、香澄ちゃん達が受けた傷に比べればへっちゃらですよ…!」
千聖「私の攻撃じゃ数を増やすだけになってしまう…。つぐみちゃん、片方は私が引き付けるから、もう片方をお願い。」
つぐみ「はい。願うは消滅……行くよ"玉藻前"!」
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つぐみが"融合型"と1対1で戦っている最中、千聖、そして美咲と沙綾は加勢させないようもう1体の"融合型"を足止めする。
千聖「何処を見ているの!お前の相手は私よ!」
分裂させないよう最小限の攻撃でつぐみが倒し終わるまでの時間を稼ぐ3人。爆弾を飛ばしたらすかさず、銃弾や矢を飛ばして着弾させる前に爆発させる。千聖は今全神経を張り巡らせていた。
千聖(元の時代を思い出すわね……。今出来る事を精一杯やり切る。だけど、今は1人じゃない……。共に肩を並べて戦う仲間がいる!)
千聖「っ!?」
小沙綾「千聖さん……凄い…!」
美咲「私達も足手まといにならないよう頑張るよ。」
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一方、つぐみは徐々に"融合型"を追い詰める。"玉藻前"を宿した精霊刀での攻撃では"融合型"の分裂能力は発動せず、体力は持っていかれるが、終始優位に立っていた。
つぐみ「はぁ…はぁ……。これで、トドメ!」
精霊刀を投げつけ、刀身が"融合型"に深々と突き刺さりそこを中心に魔法陣が展開された。
つぐみ「破滅の一撃!くらえっ!」
そして柄を掴み真横に一閃。"融合型"は真っ二つになり、切り口から赤黒い炎が迸り分裂せずに消滅するのだった。
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小沙綾「つぐみさーん!」
美咲「大丈夫ですか!?」
ふらふらと立ち上がるつぐみの元へ沙綾と美咲がやって来る。
つぐみ「ちょっと力使いすぎちゃったけどね……。」
美咲「だけどこんな状態じゃ、後1体はどうやって……。」
つぐみ「大丈夫……まだ行けるよ!」
千聖「無理しないでつぐみちゃん!」
つぐみ「でも、このままじゃ……。」
美咲は千聖から何かを察知したのか、つぐみを後ろに下がらせ"コシンプ"の憑依を解いた。
美咲「任せて良いんですね……。」
千聖「ええ、任せて頂戴。絶対に帰ってくるから。」
そう言うと美咲はつぐみに肩を貸し、千聖と距離を置くのだった。
小沙綾「本当に大丈夫なんでしょうか…。」
美咲「大丈夫だよ。私の予想が当たってれば、このままあそこにいたら、私達が足を引っ張っちゃうから。」
つぐみ「まさか、千聖ちゃんも……。」
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美咲達が危険の及ばない場所まで下がった事を端末で確認した千聖は深呼吸して気持ちを整える。
千聖「………こうやってバーテックスと面と向かって戦うのはいつぶりかしらね……。正直うんざりしていたのよ。神か何だか知らないけれど、試練だとかで私達防人を別の樹海に飛ばしたりして自らは高みの見物。天の神もそうだけど、神って存在は傲慢なのよ!私は神を許さない!元の世界でもそう!罪のない人が犠牲になる歪な世界は……この私が壊す!」
そう言い放ち、千聖は戦衣の右肩にある薺の紋様に手を置き叫ぶ。
千聖「…………"満開"!!」
樹海全体から緑色の光が千聖に集まり、戦衣がその姿を変える。その光は遠く下がった美咲達の目にも鮮明に映っていた。
小沙綾「この光は……。」
つぐみ「千聖ちゃんが"満開"を!?」
この異世界では防人のシステムも勇者と同様に最新型にアップデートされており、精霊も追加されている。そしてシステムが同じという事は"満開"も勇者同様に備わっているという事。千聖は1人で"融合型"を抑えている際、薺の紋様が光った事に気が付き"満開"が出来ると悟ったのである。
千聖(力が湧いてくる……。これなら、届かなかった所にも手が届く気がするわ…。)
勇者達の満開とは異なり、戦衣に身を包んだままだが、ヘルメットがなくなり、結んだ髪が顕となっている。そして両手には大型化した銃剣が二丁握られている。
千聖「みんなが受けた痛みを味わいなさい!」
左手に持った銃剣から黄緑色のレーザーが"融合型"向けて撃ち放たれ、轟音と共に"融合型"の左半身が消し飛んでしまう。それでも動きを止めず"融合型"は爆弾を撒き散らし幾つもの炎の柱が樹海に立ち上り反撃をしてきた。
千聖「なりふり構ってられないようね。だけど、まだこんなものじゃないわよ!」
炎の柱を避けながら空中に浮かび上がる千聖。そして今度は右手に持った銃剣を横に薙ぎ、斬撃を飛ばす。その斬撃は炎の柱を切り裂きながら"融合型"に向かっていき、爆弾を飛ばす尻尾を切り落とした。
千聖「これで翼をもがれた鳥も同然ね。」
しかし、それでも動き続ける"融合型"は最終手段に出たのか、身体中から紫色のガスを撒き散らし始めたのである。
千聖「悪足掻きも甚だしいわね。逃げて回復の時間を稼ぐつもりかしら?これで終わらせるわよ。」
二丁の銃剣の銃口を"融合型"に定め、千聖は今必殺の一撃を放つ。
千聖「消え去りなさい!"雷霆放如"!!」
稲妻の如き轟音と速度で銃口から発射された光は、ガスを吹き飛ばし"融合型"を飲み込み爆発。その姿を一瞬で散らせるのだった。
千聖「放ちたるは雷霆の如し……ってね。」
--
満開を解いた千聖の元に美咲達が駆けつける。
つぐみ「千聖さん、凄いです!」
美咲「やってくれると思ってましたよ。」
千聖「ありがとう、私の考えていた事が伝わってたようで助かったわ。さぁ、みんなの事が心配だから早く戻りましょうか。」
---
勇者部部室--
千聖達が戻るや否や、彩が千聖に抱きついた。
彩「無事で良かったよ千聖ちゃん!」
千聖「言ったでしょ、必ず帰ってくるって。」
リサ「さっきモカ達から連絡があったよ。みんなも意識が戻ったって。取り敢えず数日は検査も兼ねて入院するけど、身体の方には問題ないってさ。」
小沙綾「良かった……。」
美咲「いやー、一時はどうなるかと思いましたけど、一件落着ですね。」
千聖「そうね。でも、中立神の動きも増してきてる感じがするわ。そろそろ前みたいに中立神本体がやってくるんじゃない?」
その時だった。以前と同じ様に部室がキラキラと光り出したのである。
つぐみ「これは……。」
リサ「どうやら千聖の言う通りかもしれないね。間も無く中立神の試練が終わる合図……。」
彩「そのうち神託も降りるかもしれないね。」
千聖「ええ…。私達はここまでやって来れた。この先も誰も犠牲を出さずに乗り越えてみせるわ。」
最後の試練が間も無く動き出そうとしていた--