本編残り4話。最後まで読んで頂けると幸いです。
勇者部部室--
千聖が"融合型"を倒した事で勇者達の体調も徐々に回復し、検査も問題無く終了。退院して部室に戻って来る。そして、香澄達はリサ達から間も無く中立神の御役目が終了する事を知らされる。
香澄「部室がキラキラ輝いてるって事は…。」
リサ「そう、造反神の試練と同じ。間も無く中立神の試練が終了する。」
有咲「確か試練の内容は神樹を守りきるって事だったよな。」
薫「ああ。確かに私達は今まで守りきる事に成功している。」
美咲「って言う事はつまり……。」
考えている事は全員一緒だった。最後の御役目、造反神と同じく、そこには中立神自らが出てくるのではないかと。
あこ「中立神ってどんな姿してるんだろう?」
千聖「前と同じ様に天の神を模した姿で出てくる可能性もあるわね。」
つぐみ「造反神の姿と力はどんな感じなんですか?」
燐子「姿形は花文鏡……鏡の様な姿でした…。」
中たえ「そしてその能力は、全てのバーテックスの技が使えるって事かな。」
六花「全てですか!?そんなに強大な造反神をどうやって鎮めたんですか?」
その時の事を香澄は思い出す。
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香澄「みんな!こんな所で諦めちゃダメだよ!!私は……私達は………勇者なんだから!!!」
一同「「「っ!?」」」
友希那「そうよね……。私達は勇者よ。例え何があってもこの世界を守り抜かなきゃいけないのよ!!」
千聖「私は勇者じゃない……勇者になれなかった…。でも、今はそんなの関係ない!ここでみんなと戦う限り、今この瞬間は私も勇者よ!!」
蘭「そうだよ……。こんな所で寝てる訳にはいかないよ……。私の夢の為にも…みんなの希望の為にも……勇者がここで諦める訳にはいかない!!」
ゆり「みんな、立って!!勇者部五箇条!!」
一同「「「成せば大抵何とかなる!!」」」
薫「これは……。」
日菜「私達の精霊が……。」
有咲「香澄の体が……。」
中たえ「これは……"満開"?」
中沙綾「違う……これは"満開"じゃない…。」
香澄「感じる……みんなの思いが、みんなの力が…。"満開"を超えた"満開"……名付けるなら、そう……"大満開"。」
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六花「"大満開"……。」
全員の気持ちが一つとなり、思いの力を具現化した奇跡の現象。それが"大満開"。
夏希「また"大満開"が出来れば敵無しなんですけどね…。」
中沙綾「それだけに頼ってちゃ中立神は納得してくれないかもしれない。」
赤嶺「私達の心の強さを見せつければ認めてくれるかもしれないね。」
最後の御役目を前に、気持ちを高め合う一同。そしてその時は訪れる。樹海化警報とは違う、特別警報がけたたましく鳴り響いた。
小沙綾「来ましたね……。」
彩「みんな……。」
リサ・モカ・彩・六花「「「行ってらっしゃい!」」」
涙は見せない。巫女達は笑って、また戻ってくる事を信じて勇者達を送り出した。
友希那「必ず戻ってくるわ。みんな、行きましょう!」
一同「「「はいっ!!」」」
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樹海--
樹海へと到着する勇者達、しかし異常事態が発生する。
りみ「……あれ?」
高嶋「そんな……。」
周りを見渡す勇者達。確かに全員で樹海にやって来た筈だったのだが、人数が足りない。
中沙綾「香澄….香澄がいない!?」
紗夜「湊さんもです!」
日菜「千聖ちゃんもだよ!」
香澄、友希那、千聖、そして蘭と夏希の5人が樹海から姿を消していた。端末を確認するも近くに5人の反応も見当たらない。何が起こったか分からない勇者達に追い討ちをかけるように、彼方から無数の星屑が勇者達に狙いを定めて襲いかかってくる。
有咲「くっ!5人を探すのは一旦後だ!今は迎撃に専念するぞ!」
赤嶺「そうだね。戸山ちゃん達はそう簡単にやられたりしない筈だよ。」
中沙綾(香澄………無事でいて…!)
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見知らぬ空間、香澄サイド--
香澄「っ!?」
一方で香澄達5人も突然見知らぬ空間にバラバラに飛ばされた事に驚きを隠せないでいた。
香澄「さーや!?ゆり先輩!?りみりん!有咲!おたえ!!みんな!!」
周りは樹海ですらない真っ暗闇の空間。360°どこを見回しても一点の光すら見つける事が出来ない。
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友希那サイド--
友希那「ここは一体……。」
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蘭サイド--
蘭「……端末もダメ…。何がどうなってるの…?」
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夏希サイド--
夏希「樹海じゃない空間…。みんなーー!!」
声を張り上げて叫んでも返事は帰ってこない。ただ虚しく虚空に消えてゆくだけ。
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千聖サイド--
千聖「くっ……これも中立神の仕業だとでもいうの……。」
香澄・夏希・友希那・蘭・千聖「「「っ!?」」」
その時、突如脳内に鮮明なビジョンが映し出される。そこに映っていたものは、樹海で戦っている他の勇者達の映像。
香澄「さーや!?」
蘭「みんな戦ってる……これは現実の映像なの!?」
一体何が起こっているか分からない5人。映像は1分程で消えてしまった。そして消えた直後、5人の前に人魂の様な淡い光が現れ今度は声が響く。5人はその声に聞き覚えがあった。
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千聖サイド--
?「ここは……我の空間………。」
千聖「この声は!?」
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夏希サイド--
?「最後の御役目を担うのは汝……。」
夏希「御役目って事は…中立神!?だけど…。」
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蘭サイド--
?「造反神の試練では汝の力を見せてもらった……。そして我はその力の源に興味を持った……。」
蘭「って事は今目の前の光は中立神って事だよね。」
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友希那サイド--
?「どんな逆境にも立ち向かい、どんな高い壁すらも乗り越える汝のその強さ……。その心の力を我は知りたい……。」
人魂が人型に姿を変える。その姿はまさに自分達と同じ姿。さっきから聞こえていた声も自分達の声だった。
友希那「その姿は…私……、いや、中立神が私の姿を模してるだけでしょうね…。」
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香澄サイド--
香澄?「汝は運命を乗り越える力を持ちうる存在……。」
香澄「それって……因子の事かな…。」
香澄?「時は満ちた……。今ここに…最後の試練を開始する……。」
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樹海--
空を埋め尽くす程の星屑が絶え間なく樹海に取り残された勇者達に襲い掛かる。
あこ「キリがないよ、この数!うわぁ!?」
赤嶺「くっ……他の人のカバーに入れない!」
ミサイルの如く突進しては撃退される星屑。命を顧みないその攻撃、圧倒的な物量で押しつぶさんとする様は、最も単純明快であり、最も勇者達に効果的な攻撃方法だった。
燐子「はぁ……はぁ…!」
りみ「私がみんなの分まで頑張らないと……!」
今この場を支えているのは、今この場にいる勇者達の中で最も攻撃範囲が広いりみと"雪女郎"を憑依させている燐子。星屑も本能でそれを察知しているのか、狙いがこの2人に集中していた。
紗夜「白金さん、無茶はしないでください!」
燐子「はい……でも、私が……頑張らないと……皆さんが…!」
つぐみ「私もカバーします!」
そう言ってつぐみは燐子に触れると、持っていた精霊刀の刀身が白く染まっていき、"雪女郎"の力を吸収して放出する。
つぐみ「これで…少しは負担が減りますから…!」
燐子「ありがとうございます……!」
ゆり「みんな!りみと燐子ちゃんを中心に纏まって!香澄ちゃん達が戻って来るまで持ち堪えるよ!」
一同「「「はいっ!!」」」
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中立神の空間--
蘭「心の強さ?」
蘭?「そう……。汝の心の強さは共に戦う仲間がいてこそ、真の力を発揮する…。その力の強さは汝が1番良く知ってるのではないか…?」
蘭「確かにね…。元の時代では絶対に有り得なかった。湊さんに会えて…色んな人と繋がり合えたから。」
蘭?「その力を知っていながらも、汝は元の時代に戻る事を選択するか…?汝は既に知っている筈…造反神の勇者だった者から汝の未来の一部を…。」
蘭「……。」
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夏希サイド--
夏希?「生きる力は偶発的に凄まじい力を齎す……。」
夏希「生きる力?」
夏希?「汝は既に知っている筈…造反神の勇者だった者から汝の未来の一部を…。」
夏希「っ!?」
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蘭サイド--
2人の脳裏に蘇るのは赤嶺から言われた言葉の数々。"自分達は元の時代に戻れば死んでしまう"。2人には絶えず死という概念が隣に立っている。
蘭「確かに覚えてる。でも言った筈だよ、薄々気付いてたって。」
蘭?「大した信念を持つ……。」
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夏希サイド--
夏希「未来なんて変えて見せる!私はそう2人に誓ったんだ!」
夏希?「だが、運命という巨大な大河の流れを、人でしかない汝に変える事は出来ない……。」
夏希?・蘭?「今汝に見せよう……その未来の一端を……。」
夏希・蘭「「っ!?」」
中立神が手を翳す。すると2人の脳内に再びとあるビジョンが映し出された。それは2人の--
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樹海--
夏希「化け物には分からないだろ、この力!!」
夏希「これが…これこそが、人間様の!」
夏希「気合と!!」
夏希「根性と!!」
夏希「魂ってやつよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
たえ「夏希が本当に追い払ってくれたんだね!」
沙綾「凄い…凄いよ、夏希!本当に…………?」
沙綾・たえ「「……………?」」
沙綾「夏希……。もうすぐ樹海化が解けるよ。そしたら一緒に病院へ行こう。ね………?」
たえ「そ、そうだよ……。お土産だって弟くんに渡さなくちゃ…。」
沙綾「あっ……………。」
たえ「うっ……………。」
たえ「私、お料理教えてもらうって…。」
沙綾「そうだよ…。っ…次の日曜日に3人でって…。ねぇ、夏希…。」
沙綾「夏希…………。」
たえ「っ……!」
沙綾・たえ「「うあああああああああああっ!!!!!」」
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諏訪大社--
蘭「モカ……。」
モカ「なに……?」
蘭「モカが一緒にいてくれたから…私は今日まで頑張ってこれたよ……。」
モカ「うん……。最期まで一緒にいるよ、蘭………。ずっとここで見てるから………。」
蘭(ありがとう………モカ……。)
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中立神の空間--
流れ終わった直後、2人は体が震えだしその場に崩れてしまう。
蘭「こ、この映像は……諏訪…!?」
蘭?「これは未来の史実……。拭い去れない絶対の真実……。」
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夏希サイド--
夏希「わ、私の死ぬ未来の………。」
夏希?「この先の汝を待っている未来……。その勇敢な強さも、実際の未来を目の当たりにすれば揺らぎもするだろう……。」
2人は返せる言葉が出ない。当たってしまっているからだ。死を目の当たりにすると、心に一本の芯として立っていた信念すらもぐらついてしまうものなのかと、2人はむざむざと中立神に突きつけられてしまう。
夏希「わ、私は………。」
蘭「くっ………!」
夏希?・蘭?「「見せてもらおう……死に行く者の……それでも尚立ち上がろうとする……勇者としての汝の心の強さを……!」」
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友希那サイド--
友希那?「始まったようだ……。」
友希那「何がかしら?」
友希那?「………さて、汝に問おう。汝の力の源は何だ?」
友希那「……共に戦ってくれる仲間達。私の帰りを待ってくれている大切な人。そして、この世界に生きる全ての人々よ。1人では勇者にはなれない……。側に誰かがいる事によって初めて、勇者は生まれる…私はそう思っている。」
独りよがりの強さでは勇者にはなれない。勇者とは称号であり、誰かに認められてこそ人は勇者へとなれる。
友希那?「繋がり……それが汝の力の源という訳だな……?」
友希那「そうよ!」
神に対し怯む事なく言い切ってみせる友希那。そして中立神は2人と同じ様に、友希那にとあるビジョンを見せるのだった。
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樹海--
あこ「えふっ……。」
燐子「がはっ……。」
友希那「っ……!?あこ………燐子………。」
高嶋「あこちゃん!!!燐子ちゃん!!!」
あこ「り…ん…り……ん…。」
燐子「あ…こ……ちゃ…ん……。」
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中立神の空間--
そのビジョンに流れている光景は、友希那にとって大切な仲間の今際の際の光景。
友希那「あこ……燐子……。」
友希那?「受け入れろ……これが汝を待ち構えている現実だ……。」
友希那「嘘よ!そんな筈は無いわ!」
崩れかけた脚で踏ん張り立ち上がる。生太刀を握り締め、まやかしだと必死で自分に言い聞かせる友希那。そんな友希那に中立神は更なるビジョンを見せつける。
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丸亀城--
紗夜「湊………さん……………。」
紗夜「私は……あなたの事が…嫌い………です……。」
紗夜「………でも……………。」
紗夜「嫌いなのと……同じくらい…あなたに……憧れて………。嫌いなのと……同じくらい…あなたの事が………。」
紗夜「好き…………でし………た……………。」
友希那「紗……夜………。」
友希那「紗夜っ……………!!」
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樹海--
高嶋「はぁ……はぁ………くっ!!」
高嶋「神樹…様……。」
高嶋「……よかっ………た………。……間に…………合っ………。」
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中立神の空間--
友希那「そん……な……。紗夜…香澄まで……。」
体に力が入らない。握り締めていた生太刀が手から離れ落ちる。
友希那?「汝の周りから人が消える……。仲間の屍の上で汝は生きていくのだ……。」
友希那「嘘よ!!嘘………よ。」
友希那?「見定めさせてもらおう……。繋がりが途切れ孤独になろうとも……それでも尚立ち上がろうとする……勇者としての汝の心の強さを……!」