戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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日常回の後編です。

原作の3人には幸せになって欲しかったですね……。
アプリでは束の間の幸せを楽しむ3人の姿が見られますよ。





ゆうしゃたちのきゅうじつ〈後編〉

 

 

次の日、プール--

 

沙綾達3人はプールに来て休日を満喫していた。

 

夏希「ほーらほら、行くぞたえ!押しちゃうぞー!目指せ竜宮城!」

 

たえ「あはは!はやいはやーい!」

 

たえと夏希はプールの中ではしゃいでいるが、

 

沙綾「いち、に、さん、し。に、に、さん、し。」

 

沙綾は準備体操に余念がない。

 

夏希「おーい、沙綾。いつまで準備体操してるんだよ。」

 

沙綾「水の事故って怖いんだから。ちゃんと準備運動しないと心臓がビックリしちゃうよ。」

 

夏希「貸し切りなんだから遠慮なくガッツリ遊ぼうよ。」

 

するとたえが、

 

たえ「ねぇねぇ、もし今敵が来たら、私達って水着で出撃するのかな?」

 

突拍子も無い事を言い出した。

 

夏希「それは嫌だよなー。まぁ、イレギュラーなんてそうそう起こらないけだろうけど。」

 

そんなたえの言葉を呑気に受け流す夏希。

 

沙綾「1体目だって早く来たんだから、気を緩めるのは良くないよ。」

 

沙綾が注意し、プールに入る。

 

沙綾「ねぇ、夏希。競争しない?」

 

夏希「面白い。その挑戦受けた。」

 

たえ「この後オリエンテーションの作業があるから、飛ばしすぎないでね。」

 

沙綾・夏希「「よーい、ドン!!」」

 

2人は勢いよく飛び出した。

 

たえ「あはは…聞いてないかー……。」

 

 

 

 

 

 

午後、教室--

 

夏希「だふー…。あふー…。だふー……。」

 

夏希はプールで飛ばしすぎたのか、疲れながら作業をしていた。

 

沙綾「あんなにプールで飛ばすから…。」

 

夏希「なんの!もうひと踏ん張り!」

 

たえ「当日が楽しみだねー。」

 

 

 

 

 

 

オリエンテーション当日--

 

たえ「ポン、ポン、ポン。」

 

夏希「みんなー集まってー。」

 

夏希が1年生を集める。その手にはギターが。

 

たえ「これから私達はライブをします。楽しんで聞いていってねー。」

 

たえの手にもギターが。

 

沙綾「それじゃあ最初の曲、いってみよう。」

 

沙綾はドラム。

 

全員「「「Be shine, shining!」」」

 

 

~~~~~~~♪

 

 

 

1年生「「「「わーーーーーーー!!!!」」」」

 

1年生達は大盛り上がりである。

 

夏希「メンバー紹介しまーす!ギター、花園たえ!」

 

たえがギターをかき鳴らす。

 

沙綾「ドラム、山吹沙綾!」

 

沙綾がドラムを叩く。

 

夏希「そして、ギターボーカルの海野夏希!」

 

夏希もギターをかき鳴らした。

 

夏希「私達………。」

 

全員「「「CHiSPAです!!!」」」

 

夏希「それじゃあ次の曲いってみよー!!」

 

こうしてオリエンテーションは大成功に終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

日曜日、山吹宅--

 

沙綾は母親にお茶を淹れていた。

 

沙綾「お茶が入ったよ。」

 

沙綾母「ありがとう。でも、沙綾。あまりお手伝いさんの仕事とらないであげてね。」

 

沙綾「何かしてる方が落ち着くからつい…。」

 

沙綾母「せっかくの日曜なんだから花園さん達と遊ばないの?」

 

沙綾「夏希が用事があるっていうから、自由行動なんだ。」

 

沙綾母「なら、沙綾も自由に動いていいのに。」

 

沙綾「もしかしたら、夏希の予定が終わったら遊ぼうって連絡が来るかなって思って…。おたえも、前みたいにいきなり家に来るかも…。」

 

沙綾母「ふふ…。良い友達が持てたのね、沙綾。」

 

その時、スマホの連絡アプリが鳴る。

 

 

 

 

 

 

(夏希)「駅前で買い物中。」

 

(たえ)「私はその辺ぶらぶらしてるよー。」

 

(沙綾)「おたえは迷子になったら名前を連呼してね。夏希はお疲れ様。」

 

(たえ)「花園たえです。」

 

(たえ)「花園たえです。」

 

(たえ)「花園たえです。」

 

 

 

 

 

 

沙綾「既に迷子!?」

 

沙綾はたえを探しに行った。そこには夏希も合流していた。

 

夏希「結局3人集まっちゃったな。」

 

たえ「勇者同士は自然と惹かれ合うんだね。」

 

沙綾「もう、夏希が拾ってくれたから良かったよ。」

 

たえ「夏希のご両親に挨拶しなくて良いのかな?」

 

夏希「良いって。父さんと母さんは知ってるでしょ。っていうかそういうの苦手。」

 

たえ「お休みの日に家族でお買い物なんて素敵。」

 

沙綾「そうだね、おたえ。」

 

夏希「いやー、知り合いに会うのは恥ずかしいな。」

 

沙綾・たえ「「ふふ。」」

 

夏希「用事も済んだし、こっからは2人と一緒に行動するよ。あっ、でもちょっと待ってて。」

 

そう言うと夏希は下の弟の方へ駆け出した。

 

夏希「ほら、マイブラザー。お姉ちゃんがもてるからっていじけないの。よしよしー。ほーら、笑って笑って。ははは…。」

 

弟をあやしている夏希の様子を2人は微笑みながら見ていた。

 

 

 

 

 

 

夕方--

 

夏希「あーぁ、もうすぐ休養期間も終わりか―。」

 

夏希がため息をつく。

 

たえ「警戒態勢復活だね。」

 

沙綾「気を引き締めていかないと。」

 

夏希が振り返り2人に話す。

 

夏希「オリエンテーションのバンド、楽しかったな。」

 

沙綾「そうだね。」

 

たえ「確かに、楽しかった。」

 

夏希「もし御役目が終わったら、3人でバンド組むってのも良いかもしれないな。」

 

たえ「時間はたっぷりあるんだから、色んな事をしていこうよ。」

 

沙綾「まだやってない事いっぱいあるしね。秋や冬の行事もいっぱいあるよ。」

 

夏希「そうだな、今からが楽しみだよ。おっと、私だけ違う道か。」

 

夏希だけ変える方向が途中から違うのだ。

 

夏希「またね。」

 

沙綾「っ……!」

 

帰ろうとした夏希の手を沙綾が掴む。

 

夏希「っ?」

 

夏希を止める沙綾。

 

夏希「沙綾?」

 

沙綾は下を向いてぎゅっと夏希の手を握った。

 

沙綾「あ………ごめんね。」

 

夏希「いや、気持ち分かるよ。」

 

たえ「休みが終わっちゃう。そう思ったんだよね。」

 

沙綾「私、休むのに自信あるって言ったけど…。やっぱ御役目だけに、そこまでリラックス出来るかなって思ってた。」

 

たえ「でも。」

 

たえも2人の手を握った。

 

夏希「うん。3人でいれば要らない心配だったよ。」

 

沙綾「夏希……。」

 

たえ「私もだよ。」

 

沙綾「おたえ……。」

 

たえ「とっても楽しかったもん。沙綾もそうだよね?」

 

沙綾は2人に微笑む。

 

夏希「ああ、これはそうだと言っている顔だな。」

 

沙綾「うん!!」

 

夏希「バーテックスが神樹様を壊したら、こういう楽しい日常が吹っ飛ぶんだよな。そんな事絶対にさせない。なっ?」

 

夏希は2人の顔を見る。

 

沙綾・たえ「「うん!」」

 

3人は両手を重ねる。

 

沙綾「もちろん、同じ気持ちだよ。」

 

たえ「頑張ろうね。」

 

夏希「ああ!ってこれじゃあ帰れないな。解散解散。」

 

たえ「あっそうだー。いっそお泊り会しようか!」

 

沙綾「それ、良いね。夏希の家で。」

 

夏希「うち!?弟2人居るんだぞー。」

 

束の間の休息は終わり、再び勇者の御役目が始まる。3人は気持ちを新たに御役目をやり遂げる事を誓い合ったのだった。

 

 

 


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