戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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この世界で2回目となるリサの誕生日。時間は流れていないので歳は変わらないが、ここで過ごした時間は確実に彼女達の力になる事でしょう。




思い出のアルバム〜プレゼントは真心を込めて〜

 

花咲川中学、体育館--

 

友希那「………………。」

 

1人体育館で座禅を組んでいる友希那。しかし、ある事が頭に浮かんでは消えを繰り返し、中々集中出来ないでいた。

 

友希那「…………まただわ。瞑想しているのに余計な雑念はいらない……。」

 

再び目を瞑るが、今度は声が聞こえてくる。

 

リサ「ゆーきな。」

 

友希那「リサ?そこにいるの?」

 

周りを見回すも、そこにリサの姿はない。

 

友希那「幻聴?まだまだ私も修行不足ね。もう一度最初から………。」

 

しかし、意識しないようにすればする程、頭の中にリサの声が次々と響いてきてしまう。

 

友希那「やればやるだけリサの声が聞こえてきてしまう………。はぁ……きっともうすぐリサの誕生日なのが原因かしらね。」

 

8/25日はリサの誕生日。1番の幼なじみである友希那がそわそわしない筈が無かったのだ。

 

友希那「だけど、今は修行中。リサの事は忘れて無心に………………ダメね。考えれば考える程にもう顔まで浮かんでしまう。………もう人は無心になる事は出来ないという事なのかもしれないわね。」

 

無心になる事を諦めた友希那は、今度は反対に有心、湧き上がる思念を受け入れる事へと切り替える。

 

友希那「溢れ出る思念を受け止める………。」

 

そんな中、たえが友希那を探して体育館へとやって来た。

 

小たえ「御先祖様、凄く集中してる……心の修行中かなぁ?」

 

友希那「………そこにいるのは誰?」

 

小たえ「たえです。小の方の。何をしてたんですか?」

 

友希那「少し考え事をしてたの。………近くにいる人を集めてもらって欲しいのだけれど…。」

 

小たえ「分かりました。」

 

すぐさまたえは部員を呼びに体育館を飛び出して行った。

 

 

--

 

 

数分後--

 

たえに呼ばれ何人かが、体育館に集まった。

 

ゆり「どうしたの、友希那ちゃん。」

 

友希那「突然の呼び出しごめんなさい。実は、意見を貰い事があるの。」

 

美咲「意見ですか?珍しいですね、友希那さんが私達に聞くなんて。」

 

紗夜「………今井さんの誕生日の事ですか?」

 

友希那「紗夜の言う通りよ。リサに贈るプレゼントの事でみんなの意見が欲しいのよ。」

 

すると友希那はみんなから少し離れ、木刀を手に持ち剣舞を披露する。

 

一同「「「……………。」」」

 

友希那「……どうかしら?これを贈ろうと思うのだけれど。」

 

一同「「「それは無い。」」」

 

友希那「ダメかしら……。」

 

紗夜「全くです。私なら高嶋さんにもっとマシな物をプレゼントします。」

 

友希那「リサへなのだけれど……。」

 

小たえ「因みに紗夜さんなら、高嶋さんにどんなプレゼントをあげますか?」

 

紗夜「ポエムです。」

 

りみ「ちょっと、重いです………。」

 

美咲「私は熊の羊毛フェルトですかね。」

 

ゆり「私ならやっぱり鍋焼きうどんかな。」

 

友希那「………相談相手を間違ってしまったようね…。」

 

 

---

 

 

花咲川中学、廊下--

 

友希那達はゆりの提案で、学校を探索していた。

 

友希那「急に校内を探索だなんて、どうしたんですか?」

 

ゆり「私達だけでダメなら、他の人の意見も聞いてみるのがベストでしょ。あっ、おーい!」

 

見つけたのは日菜と赤嶺の2人。ゆりは2人に事情を説明する。

 

日菜「リサちーの誕生日プレゼント?ならやっぱりカツオだよ!高知のカツオは美味しいもん!」

 

ゆり「日菜ちゃんはブレないね……。」

 

赤嶺「筋肉体操のDVDしかないよ!」

 

ゆり「ここにも趣味全開の人がいたね……。」

 

友希那「そうかしら?剣舞もカツオもDVDも名案だと思うのだけれど…。」

 

すっかり迷宮に迷い込んでしまった友希那。するとそこに彩がやって来た。

 

彩「話は聞かせてもらっちゃったよ。リサちゃんの誕生日のお祝いは私にとっても他人事じゃないよ。リサちゃんが喜ぶプレゼントを一緒に考えさせて。」

 

その一言で友希那は見失っていたものに気がつく。

 

友希那「はっ……!リサが喜ぶプレゼント……。そうね、1番大切な事を忘れるところだったわ。」

 

赤嶺「そうだね。貰う相手が1番喜ぶ物。プレゼントの基本だもんね。」

 

方向性が見えたところで、友希那達は更なるアドバイスを求めに部室へと足を運ぶのだった。

 

 

---

 

 

勇者部部室--

 

中沙綾「あれ?どうしたんですか?こんなに大勢で。」

 

ゆり「実は、リサちゃんの誕生日プレゼントの事で相談があるんだ。」

 

中沙綾「成る程……これまでの流れは大体分かりました。なら答えは1つです。」

 

友希那「それは……。」

 

中沙綾「パンです!」

 

ゆり「やっぱり!?」

 

中沙綾「というのは冗談で、リサさんが1番喜ぶプレゼント………友希那さんを贈るのが1番なんじゃないですか?」

 

友希那「私自身……それよ!これが正解だったのね。」

 

目を輝かせて飾り付けの紐を探す友希那を全員が必死で止める。

 

りみ「落ち着いてください、友希那さん!」

 

ゆり「そうだよ。みんなに止められるのがオチだよ!」

 

友希那「難しいわね……私自身がダメなら一体どうすれば…。」

 

りみ「少し原点に立ち返ってみたらどうですか?探すのはリサさんが喜ぶプレゼントですよね?だとしたら、気持ちを込めて手作りしたものなら、リサさんはどんな物でも嬉しいんじゃないですか?」

 

りみの言葉に全員がハッとする。

 

ゆり「りみ……成長したね。頭を撫でてあげる。よしよし。」

 

友希那「ありがとう、牛込さん。お陰で目が覚めたわ。早速行動に移しましょう。」

 

ゆり「え……?」

 

 

--

 

 

勇者部部室--

 

友希那「………ふぅ。大まかな形はこれで大丈夫かしら?」

 

美咲「はい。中々手際が良いですよ、友希那さん。まさか熊の羊毛フェルトを教える事になるなんて思ってませんでした。」

 

ゆり「友希那ちゃん!手打ちうどんの材料も揃ったよ!」

 

友希那「今行くわ。」

 

日菜「友希那ちゃん、今朝漁師さんと一緒に釣ったカツオが届いたよ!」

 

友希那「助かるわ。」

 

友希那が導き出した1つの答え。それは今までに出た案を全て自分の手で作り用意し、リサへのプレゼントにする事だった。

 

りみ「まさかみんなの提案全部をやるなんて……。」

 

中たえ「一度やると決めたら最後までやり通す……流石御先祖様だね。」

 

紗夜「ポエムも最初はどうなるかと思いましたが、意外と悪くない出来でした。」

 

赤嶺「どの提案にも真剣に取り組んでるんだね。筋肉体操のDVDも中々の出来栄えだったな。」

 

彩「どれも友希那ちゃんの愛情がたっぷり詰まってる素敵だけど、まだ何か悩んでるように見えるよ。」

 

友希那「羊毛フェルト、うどん、カツオ、DVD、ポエム………全てに全力で取り組めば、その先に私でしか到達出来ない答えが見つかると思い、取り組んではみたものの……何故かしら…リサの望む答えがまだ見えないわ………。」

 

悩む友希那。するとそれを察知したかのように樹海化警報が鳴り響いた。

 

友希那「………そう。そうだったのね。バーテックス……バーテックスが私の答え!お前をリサに捧げてあげるわ!」

 

ゆり「ちょっと待って!それだけは絶対に違うよ、友希那ちゃん!!」

 

樹海へと駆け出した友希那をゆり達は必死で後を追いかけ、友希那を何とか宥めたのだった。

 

 

---

 

 

誕生日当日、寄宿舎、リサの部屋--

 

朝早くリサは窓の外から聞こえる音で目を覚ました。

 

リサ「………窓に手紙?何だろう。」

 

書かれていた内容は至極シンプルなもの。手書きの地図と"この場所に来て頂戴"という一文のみ。リサは早速地図に記されていた場所へと足を運んだ。

 

 

---

 

 

旅館--

 

リサ「友希那ってば、こんな時に全然連絡つかないんだから……。結局1人で来ちゃったけど、本当に大丈夫かな……。」

 

内心ビクビクしながらも、リサは旅館の戸を叩いた。

 

リサ「すみませーん。手紙を貰って来ました今井です。」

 

すると戸が開き、中から出てきたのは友希那だった。

 

友希那「よく来てくれたわね、リサ。待っていたわ。」

 

リサ「友希那!?友希那がどうして……?これって、まさか。」

 

友希那「早速入って頂戴。会場に案内するわ。」

 

リサは友希那に案内された場所のふすまを開くと、勇者部が総出でリサの誕生日を祝った。

 

一同「「「お誕生日おめでとう!!」」」

 

リサ「わぁ………!」

 

友希那「リサの誕生日パーティーよ。まずはこれを受け取って頂戴。」

 

取り出した箱をリサに手渡す。

 

リサ「これは……。」

 

美咲「前に張り切って狩ってたバーテックスって事はないよね?」

 

りみ「大丈夫。バーテックスは倒したら消えちゃうから……。」

 

箱を開けると、中から出てきたのは大きなドンブリに入った具沢山の筑前煮。

 

リサ「友希那………私の為にわざわざ用意してくれたの?」

 

友希那「リサが好きなものでしょ。みんなに手伝ってもらって作ったの。食べて頂戴。」

 

リサ「ありがとう!早速いただきます。あむ……うん!味がちゃんと染み込んでて最高に美味しいよ、友希那!」

 

友希那「良かったわ。リサが好きそうな味付けを私なりに考えたから口に合うか不安だったのだけれど……。」

 

リサ「全然!流石友希那だね。私の好みをちゃんと理解してるよ。」

 

友希那「ふふっ……。これでもリサとはずっと一緒だったから。」

 

リサ「ありがと、友希那。」

 

香澄「リサさん、プレゼントはこれだけじゃないよ!」

 

夏希「じゃじゃーん!これは友希那さんと美咲さんが一緒に作った熊の羊毛フェルトです!」

 

中沙綾「友希那さんと私で作ったパンも沢山ありますよ。」

 

高嶋「これ、友希那ちゃんがリサちゃんに宛てたポエムだよ!私と紗夜ちゃんで額に入れたの!」

 

蘭「湊さんが日菜さんと釣ったカツオも、私が作った野菜を添えてカルパッチョにしました。」

 

赤嶺「友希那ちゃん考案の筋肉体操のDVDだよ!2人でやってみてね!」

 

リサ「みんな………。心のこもったプレゼント、本当にありがとう。友希那のお陰で最高の誕生日になったよ。これからも宜しくね!」

 

また1つ勇者部に掛け替えのない思い出が増えた。それは勇者達に大きな力を与えてくれるだろう。

 

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