戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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以前に香澄達に会った事のある花音。ふと花音は部室にいた香澄、沙綾、たえの3人に、自分が会う以前のたえが勇者部に入部した時の事についてを尋ねるのだった。




思い出のアルバム~新入部員花園たえ~

 

勇者部部室--

 

香澄「戸山香澄、ただいま到着でーす!」

 

中沙綾「今日も元気だね、香澄。」

 

中たえ「そうだね。私初めてここに来た時もそんな感じだった。」

 

花音「そうだったんだぁ。私、香澄ちゃん達とは会った事あったけど、たえちゃんが入部した時ってどんな感じだったの?」

 

千聖「私も気になるわ。」

 

香澄「うーん…今なら他に誰もいないから話しちゃっても大丈夫だよね?」 

 

中沙綾「大丈夫だよ。」

 

香澄「それじゃあ--」

 

香澄はたえが勇者部にやって来た時の事を話し始めるのだった。

 

 

---

 

 

神世紀300年秋--

 

香澄達勇者の活躍によって、"融合型"は倒され当面の危機は去った。神託からも暫くはバーテックスの侵攻は収まると確認されている。大赦は沙綾によって壊された壁を修復し、香澄達勇者も散華によって捧げられていた身体機能も徐々に取り戻し、世界に休息の時が訪れる。

 

文化祭でのバンドも大成功し、勇者達はいつもの日常を取り戻した。

 

 

--

 

 

文化祭から数日後--

 

香澄と沙綾はいつもより早く家を出て、通学路を歩いている。

 

香澄「うーん!気持ちのいい朝だね!さーやのフットワークも機敏になったから、朝起きが捗るよ!」

 

沙綾「香澄には沢山助けてもらったから、少しでも恩返しして行かないとね。」

 

香澄「そんなそんな!私は今でもさーやに助けられっぱなしだよ。」

 

沙綾「香澄、身体の具合は大丈夫?」

 

香澄「うん、時々クラっとするけど、大丈夫だよ。」

 

1人だけ回復するのが遅かった香澄。"御霊"に直に触れた事によって身体の多くを散華してしまい、戻ってきた機能がまだ身体に上手く馴染んでいない為だ。

 

沙綾「変化があればすぐに言ってね。悩んだら相談だよ、香澄。」

 

香澄「さーやもね。悩んだら相談。」

 

沙綾「……うん。」

 

香澄「……。」

 

突然沙綾の事をじっと見つめる香澄。

 

沙綾「……私の頭に何か付いてる?」

 

香澄「ううん!何でもないよ。…さーやと立って並んだ時の目線が斬新っていうかね。」

 

そんな時だった。2人の前に黒い高級車が1台止まる。サイドには大赦の印が付いている。

 

沙綾「……。」

 

沙綾は息を呑んだ。沙綾はあの時に壁を破壊した。後に修復されたが、大赦からはその事で一切のお咎めが無かったから。ドアが開くと、沙綾に耳馴染みの声が聞こえてくる。

 

?「こんにちは、2人共。」

 

香澄・沙綾「「っ!?」」

 

たえ「じゃじゃーん!花園さんちのたえだよ!驚いた?」

 

花園たえが花咲川中学の制服を身に纏い立っていた。

 

たえ「今日から同じクラスメイトだよ。よろしくね!」

 

沙綾「おたえ…。」

 

たえ「へいへい、沙綾。たえだよ!」

 

沙綾「おたえっ!」

 

沙綾はたえに抱き着いた。

 

たえ「驚いてる驚いてる!サプライズは大成功だね!」

 

 

---

 

 

花咲川中学、教室--

 

たえ「Zzz……。」

 

教室に入るや否や、たえは早速寝息を立てていた。

 

沙綾「転入初日に寝ちゃうなんて、やっぱり本物のおたえだね。」

 

有咲「はぁっ!?ど、どーなってんだ!?」

 

少し遅れてやって来た有咲もこれには驚く。

 

香澄「やっぱり有咲も知らなかったんだね。さーやも聞いてないんだって。」

 

クラスメイト1「それにしても美人だね…。」

 

クラスメイト2「小学校はあの神樹館だよ?お嬢様だよ。」

 

クラスメイト3「っていうか、山吹さんも神樹館だったんだね…。」

 

 

---

 

 

放課後、勇者部部室--

 

部室には既に全員が集まっていた。そこへたえがやって来る。

 

 

 

たえ「勇者部に入部希望の花園たえです。2年前、大橋の方で勇者やってました。改めて、よろしくお願い致しまーす。」

 

りみ「わぁ。」

 

有咲「何で伝説の勇者がこんな所に!?」

 

たえ「リハビリが済んで、ある程度動けるようになったから、通学する事にしたんだ。だったらこの花咲川中学を希望するしかないよね。」

 

有咲「そんな理由かよ!」

 

たえ「後私、小学校中退だしねー。」

 

有咲「そんな重い事をしれっと!?」

 

沙綾「またおたえと勉強出来るようになるなんてね。」

 

たえ「授業中に寝ちゃってたら注意してね。」

 

沙綾「しない様に気を付けなさい。」

 

ゆり「御役目から解放された花園さんは普通の生活に戻る事を大赦に要請したの。」

 

ゆりが経緯を説明する。

 

たえ「まさか普通の生活に戻れるなんてね。」

 

ゆり「偉大な先輩勇者を歓迎します、花園さん。」

 

たえ「花園とかたえで良いですよ。ゆり先輩。よろしくね、有咲。お兄さんとは大赦で何度も会ったよ。」

 

有咲「おっ、おう…。」

 

たえ「後は…りみに香澄だね。」

 

香澄「よろしくね、おたえ。」

 

りみ「こちらこそよろしくね、おたえちゃん。」

 

たえ「……確かに似てる所あるね、夏希に。」

 

沙綾「…そうだね。散華した時も、自分より私達の事を心配してくれたんだ。そういう所も似てるよ。」

 

有咲にかつての仲間だった夏希の面影を見たたえ。

 

たえ「あっ、それでねーこの子がオッちゃん。」

 

たえは持ってきたウサギのぬいぐるみ兼枕を紹介する。

 

りみ「不思議な人だね、お姉ちゃん。」

 

たえ「そっかー。みんなこんな風に青春してたんだね。」

 

香澄「おたえ。」

 

たえ「ん?」

 

香澄「勇者部へようこそ!」

 

たえ「うん、これから私も青春するんだ。」

 

 

---

 

 

かめや--

 

勇者部の6人は、歓迎会と称し景気良くかめやでうどんを食べていた。

 

たえ「うーん。やっぱりうどんはいつ食べても美味しいな。」

 

香澄「味が分かるのってやっぱり最高だよ!」

 

たえ「だね。」

 

有咲「たえは、何処から通ってるんだ?」

 

たえ「駅の近くのマンションを大赦が借りてくれたんだ。だからそこに住んでるよ。」

 

りみ「おたえちゃん、実家は大橋の方だもんね。1人暮らしになるの?」

 

たえ「お手伝いさんが来てくれるから大丈夫だよ。」

 

沙綾「おたえも供物が返ってきたから、もう祀られてる訳じゃないんだよね?」

 

たえ「うん。でも家が家だし、勇者の素質アリだし。だけどみんな良くしてくれてるよ。」

 

有咲「そりゃ、花園家は大赦の最高権力を持ってんだからな。そうだ、大赦から何かメッセージとか来てるか?」

 

たえ「"今まで通りに生活を。"だって。」

 

有咲「そっか。私の方もそんな感じだったな。」

 

香澄「そういえば、おたえの精霊って何だったの?」

 

たえ「"鴉天狗"だね。後は"枕返し"とか"獏"とかいっぱいいたよ。」

 

ゆり「……さ、流石に先代勇者ともなると格が違うね…。」

 

精霊の多さは散華の多さ。それだけで大橋での戦いがどれだけ悲惨だったかという事が分かる。

 

たえ「まぁまぁ。今はそんな事は気にせずうどん食べましょう。」

 

ゆり「そうだね。じゃんじゃん食べるぞー!」

 

おかわりしつつの、長い歓迎会になるのだった。

 

 

---

 

 

山吹宅--

 

歓迎会の後、たえは沙綾の家に来ていた。香澄も沙綾とたえに気を使い2人を送り届けて帰って行った。

 

たえ「何ていうか……沙綾らしい部屋だね。」

 

沙綾「そんなに変わった所は無いと思うんだけどね…。」

 

この後2人は積もりに積もった話をした。

 

 

今までの事--

 

 

そして、かけがえのない友達の事--

 

 

そして、沙綾はたえが知ってる限りの大赦情報を聞く事が出来た。いずれ時期が来たら話す事になる、これからの事についても。

 

それは暗い話題では無いとはいえ、急速時期の今、慌ててみんなに話す必要は無かった。

 

神世紀300年の秋。新たな仲間が加わった勇者達は普通の中学生としての束の間の生活を過ごすのだった。

 

 

---

 

 

勇者部部室--

 

花音「へぇ……何だか素敵だね。」

 

中たえ「そう。沙綾や香澄。有咲にりみ、ゆり先輩。みんなに会えて、私すっごく幸せなんだ。」

 

千聖「幸せね……分かるわ、その気持ち。それに、私の知らなかった有咲ちゃんの様子が知れた事も中々の収穫ね。」

 

中沙綾「あはは。まだこれはほんの一端に過ぎないんですよ。」

 

有咲の事について話そうとした時、部室のドアが開きみんなが次々に入ってくる。

 

ゆり「あれ?みんなここに居たんだ。結構探しちゃったよ。」

 

香澄「どうしたんですか、ゆり先輩?」

 

ゆり「新しい依頼が来たからみんなに召集をかけたんだ。」

 

中たえ「ホントですか!頑張っちゃいます。」

 

ゆり「たえちゃんがそこまでテンション上がるなんて珍しいね。何かあったの?」

 

中たえ「ふふ…内緒です。」

 

中たえ(私…この部活が……みんなが大好き。)

 

 

 

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