戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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因子を受け継ぎ、神に愛される少女である"香澄"。御役目に選ばれた世界を守る為に戦う少女も、普段は年相応の女の子。

その笑顔の裏に、とてつもない苦難が待っているとは、誰も想像出来ないだろう。




思い出のアルバム〜香澄達の休日〜

 

 

海沿いの道ーー

 

季節は春、空は晴天。戸山香澄は海沿いの道をスキップしながら駆けていた。今日は前から約束をしていてずっと待ち望んでいた日だったからだ。

 

香澄「今日は初めてのトリプルデートだ!待ち合わせ場所はもうすぐそこ!楽しみだなぁ♪」

 

 

---

 

 

待ち合わせ場所ーー

 

香澄「お待たせー!」

 

高嶋「ヤッホー戸山ちゃん♪」

 

赤嶺「遅い遅い。」

 

香澄「えっ、ホント?待たせちゃった?」

 

高嶋「ううん。赤嶺ちゃんも数秒前に来たばっかりだよ。」

 

香澄「高嶋ちゃんは?」

 

高嶋「私は………えへへ、10分前に着いたんだ。」

 

香澄「えー!ごめんねー!」

 

高嶋「良いんだよ。私が勝手に興奮して早く出ちゃっただけだから。」

 

香澄の待ち合わせ相手は高嶋香澄と赤嶺香澄。何の因果かこの異世界で出会い、同じ香澄の名前を持ち、瓜二つな3人の少女。

 

赤嶺「にしても、トリプルデートってさぁ……3組でじゃなく3人でなんだね。」

 

香澄「組?あっ、もしかして赤嶺ちゃん、つぐとデートしたかった?」

 

赤嶺「そ、そうは言ってないでしょ!?」

 

高嶋「え?じゃあ、他の誰を想像したの?」

 

赤嶺「もう…高嶋先輩の意地悪……。」

 

香澄・高嶋「「あはは!!」」

 

世界には同じ顔を持つ人間が3人いると言う。側からこの光景を見ると、それが本当だと勘違いしてしまうのは想像に難くなかった。

 

赤嶺「それで、これから何処へ行く?」

 

香澄「あれ?決めてなかったっけ?」

 

高嶋「私は決めてないよ?」

 

赤嶺「戸山ちゃんが決めてたんじゃないの?」

 

香澄「え?私そんな事言ってたっけ?」

 

高嶋「言ってはいないと思うけど、何となく?言い出しっぺだから?」

 

香澄「でも決めてないし、どうしよっかぁ?ハイ、みんなで提案提案!」

 

赤嶺「ジムなんかはどう?それかアスレチック公園!」

 

高嶋「ショッピングとか、映画は?」

 

顔は似ているのに、嗜好や趣味は三者三様な香澄達。

 

香澄「どれも楽しそう!じゃあ、棒が倒れた方に行かない?」

 

高嶋・赤嶺「「うん、良いよ♪」」

 

高嶋「けど戸山ちゃん、棒は?」

 

香澄「あっ……棒無いや!」

 

香澄・高嶋・赤嶺「「「あははは!!!」」」

 

 

---

 

 

ゲームセンターーー

 

結局その後、香澄達は誰も提案しなかったゲームセンターへ最初に立ち寄った。

 

赤嶺「何でゲームセンター?」

 

香澄「あれ?誰か言ってなかった?」

 

高嶋「言ってないと思う。あっ、でもちょっとは言おうと思ったよ。」

 

香澄「そっか、紗夜さんがここ来るの好きなんだもんね。」

 

赤嶺「ふーん。高嶋先輩もよく来るの?」

 

高嶋「そんなにだけどね。」

 

香澄「赤嶺ちゃんは、つぐとゲームセンター来る事ある?」

 

赤嶺「無いねー。ゲームってあまりしないかも。やってもどうせ、つぐちんが勝つし。」

 

香澄「つぐって上手いんだね。」

 

赤嶺「最初は私の方が上手いんだけど、つぐちんは何でもすぐ上達しちゃうから。」

 

高嶋「へぇ〜!でも、それって良い事だよね?」

 

赤嶺「良くないよ。だって私、勝てないと悔しいし。」

 

高嶋「紗夜ちゃんも上手くて、私勝てないけど、それでも楽しいよ?」

 

赤嶺「高嶋先輩はそうかもしれないけど……。」

 

高嶋「えへへ。ゲームしてる紗夜ちゃんはね、とってもカッコいいんだよ!」

 

赤嶺「堂々と惚気すぎだよ……。」

 

香澄「さーやもカッコいいよ!」

 

高嶋・赤嶺「「ゲームで?」」

 

香澄「うん!何回もズバーーってゾンビを全滅させてたんだ!」

 

高嶋「あー、そういうの得意そう!」

 

赤嶺「中学生なのに、どうしてあそこまで銃の扱いが上手いんだろうね……。」

 

そんな惚気話しに花を咲かせながら、ゲーセン内を歩き回っていると、ふと香澄の目にプリクラの機械がとまった。

 

香澄「あ、ねえねえ。プリントシール撮ろうよ!」

 

高嶋「賛成!トリプル香澄ズ初めてのプリシーだね♪」

 

 

ーー

 

 

撮影前ーー

 

赤嶺「ど、どんな顔すれば良い?」

 

高嶋「え?どんなってどんな!?」

 

赤嶺「変顔とか、キメ顔とかあるでしょ!?早く早く!カウント始まってるよ!」

 

香澄「じゃあじゃあじゃあ!えーっと……お、美味しい物食べた時の顔!3.2.1ーー」

 

香澄・高嶋・赤嶺「「「オーーイシーー!!」」」

 

 

---

 

 

フードコートーー

 

楽しい時間は過ぎるのが早い。あっという間にお昼の時間になり、香澄達はフードコートへ寄っていた。

 

高嶋「3人で食べると美味しいね♪」

 

赤嶺「あはは!2人とも、プリシーと同じ顔して食べてる。」

 

香澄「そういえば、つぐって料理上手いよね!」

 

赤嶺「山吹さんだってそうじゃん。」

 

高嶋「2人とも凄いよ。どこで勉強したのかなぁ。」

 

今度は料理談義に花を咲かせる香澄達。

 

赤嶺「独学じゃない?拘りが強い人って、何でも突き詰めちゃうみたいだから。」

 

香澄「紗夜さんは?高嶋ちゃんは紗夜さんとお弁当交換とかする?」

 

高嶋「交換はしないなぁ……。」

 

赤嶺「交換"は"って…だったら高嶋先輩が作ってあげちゃってるとか?」

 

高嶋「うーん………えへっ♪」

 

少し考えて、笑顔で高嶋ははぐらかす。

 

赤嶺「あ、誤魔化す。ズルいんだ〜。」

 

高嶋「じゃなくてじゃなくて!1食丸ごとは作ってあげた事無いなーってだけだよ!おかずあげたりはしょっちゅうしてるけど。私、そんなに料理出来る訳じゃないしね。」

 

香澄「でも、作ってあげたらきっと喜ぶよ!」

 

高嶋「でも、何か悪いし………。」

 

赤嶺「悪いって、何が?」

 

高嶋「だって、紗夜ちゃん優しいから、不味くても無理して美味しいって言いそうでしょ?」

 

さりげなくまた惚気る高嶋。これには香澄と赤嶺も口元が緩んでしまう。

 

香澄・赤嶺「「えへへ…。」」

 

高嶋「へ?」

 

赤嶺「またそうやって、さりげなく惚気るぅ。」

 

高嶋「だって本当の事だもん♪」

 

香澄「あはは!じゃあ、今度3人でお弁当会しよっか!」

 

高嶋「面白そう!私達3人で、紗夜ちゃんと沙綾ちゃんとつぐみちゃんに、お弁当を作る日!」

 

香澄「あー!どうしようどうしよう!中身は何にしようかなぁ。」

 

赤嶺「ブロッコリー!」

 

高嶋「と?」

 

赤嶺「鶏肉?」

 

高嶋「え?調理法は?」

 

赤嶺「茹でる?」

 

香澄「だけ?味付けは?」

 

赤嶺「塩?」

 

暗雲立ち込める矢先、高嶋が手を挙げ提案をする。

 

高嶋「隊長!本屋さんへ行く事を提案します!私達には今、料理の本が必要であります!」

 

香澄「その提案を許可しま……許可?議決?決定しるであります!シルじゃないスル!」

 

高嶋・赤嶺「「あははは!!」」

 

香澄「えへへ…。」

 

お昼ご飯を食べ終えた香澄達は、その足で本屋へ向かうのだった。

 

 

---

 

 

洋服店ーー

 

香澄達は無事本屋で料理の本を買い、次に洋服店へとやって来ていた。

 

高嶋「戸山ちゃん、それすっごく似合う!可愛いよ!」

 

香澄「本当?て事は……2人にも似合うって事だね!」

 

赤嶺「同じ顔ってこういう時便利だよね。けどさぁ、私達の普段着ってあんまり被ってないよね。」

 

高嶋「そうだね。どうしてかなぁ?」

 

香澄「やっぱり、少しずつ違うから?」

 

高嶋「育ってきた環境が違うから?」

 

赤嶺「好き嫌いは否めないしねぇ…。」

 

赤嶺のファッションは動きやすさに重点が置かれており、香澄は手軽さ重視の服装が多い。対する高嶋はーー

 

高嶋「私は……何だろ?」

 

赤嶺「あー。また言うんでしょ?"紗夜ちゃんに合うの重視"って。」

 

高嶋「い、言わないよー!」

 

香澄「あはは!」

 

高嶋「でも……そういうのって大事?」

 

赤嶺「そういうのって?」

 

高嶋「一緒にいる人に合わせるの。」

 

そう言いながら高嶋は思い出していた。紗夜の事を。そして、かつて自分を四国まで送り届けてくれた恩人と故郷である奈良で出会ったあの少女の事を。

 

高嶋(詩船さん……レイヤちゃん……。)

 

香澄「えー!?勇者部全員と合う服って難しそう!」

 

赤嶺「何で全員と合わせようとするの!?戸山ちゃんは山吹さんとだけ。」

 

香澄「さーやと一緒かぁ……。別にそれはいいかな。」

 

高嶋「え、どうして?」

 

香澄「何かの記念日とか、バンドをする時とか、特別な時にお揃いを着るのが大好きだから。だから普段は我慢我慢!」

 

高嶋・赤嶺「「おぉ〜!」」

 

香澄「あ、でも小物とかはいつでも良いかも!お揃いの筆箱とか。」

 

高嶋「あー、例えばこんな感じのシュシュとか?」

 

香澄「わぁ!それ可愛い!買っちゃう!」

 

高嶋・赤嶺「「じゃあ、私も。」」

 

3人は好きなシュシュを手に取った。3人とも別々な色のシュシュ。だけど香澄達の手にはそれぞれ2つのシュシュが握られていた。

 

香澄「あれ?2人とも2個ずつ?」

 

赤嶺「そういう戸山ちゃんだって、自然に2個持っちゃってるじゃん。」

 

香澄「えへへ…1個はさーやへのお土産♪」

 

高嶋「私も紗夜ちゃんに♪」

 

赤嶺「私は……つぐちんが欲しがるかも…だし…。」

 

香澄「赤嶺ちゃんは照れ屋だね。」

 

高嶋「耳まで真っ赤だよ♪」

 

香澄・高嶋・赤嶺「「「あはははは!!」」」

 

香澄「あー笑い過ぎて楽しいよ!もしかしたらこの先、私達以外にもまた同じ顔をした香澄に出会えるかもしれないね。」

 

赤嶺「そうなったら勇者部のみんながもっと困惑しちゃうよ。」

 

高嶋「でも楽しそうだね♪」

 

香澄「これからも時々3人で集まって何処か行こうね。」

 

高嶋・赤嶺「「うん、約束♪」」

 

香澄「約束!」」

 

店内に3人の、全く同じ声が響き渡るのだった。

 

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