戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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花咲川中学ーー
ここにはとある言い伝えがあった。
伝説の木の下で告白し結ばれると、その人と生涯大親友になれるというーー


そんな嘘のような嘘のお話ーー



思い出のアルバム〜ときめきなメモリアル〜

 

 

花咲川中学ーー

 

多くの学生が集う学舎、花咲川中学。ここには、とある言い伝えがあった。伝説の木の下で告白され、結ばれた2人は永遠に大親友として幸せになれるというーー

 

 

生徒「はぁ……それなのに私は…貴重な中学の3年間を漠然と過ごし……告白される事も、する事もなく卒業の日を迎えてしまった……。」

 

深い溜め息をつきながら教室を後にしようとしたその時だった。何処からともなく声が聞こえてきたのである。

 

?「そんなお前に、中学2年へ戻るチャンスを与えよう……。」

 

生徒「えっ!?だ、誰…?」

 

周りを見回すが、教室には生徒1人しかいない。廊下へ出て確認してみるも、人一人いない。ここにいるのは自分だけだった。

 

伝説の木「ふっふっふ……私はあなたの夢枕に生えた神………いや、伝説の木だよ。」

 

生徒「えぇ!?」

 

頭が追いつかない。困惑する生徒をお構いなしにその声は話を続ける。

 

伝説の木「あなたは"勇者部"の新人として入って、沢山の少女達と目眩(めくるめ)く素敵な時間を過ごすんだ。」

 

すると辺りが突然光に包まれ、生徒は姿を消すのだったーー

 

 

ーーー

 

 

勇者部部室ーー

 

光が収まる。生徒が立っていた場所は家庭科準備室。花咲川中学では"勇者部"という部活動がここを部室として使っていた。どうやらあの声が言っていた事は本当の事だったらしい。

 

?「ちょっと、聞いてる?新人ちゃん。」

 

突然の声で生徒は現実に引き戻された。

 

ゆり「しっかりしてね。自己紹介の最中なんだから。」

 

生徒「自己…紹介……?」

 

香澄「私、2年生の戸山香澄です!新人ちゃん、仲良くしてね!」

 

生徒「よ、宜しくです……。」

 

生徒はほっぺを抓って確認する。痛みがある。どうやら夢では無いようだった。しかし生徒は再び驚いた。香澄の自己紹介が終わると、何とその後ろから、今自己紹介した香澄と全く同じ顔をした2人の少女が現れたからである。

 

高嶋「私は高嶋香澄でーー」

 

赤嶺「私は赤嶺香澄だよ。」

 

高嶋・赤嶺「「戸山ちゃんと間違えないようにね♪」」

 

生徒「えぇ………。」

 

再度抓ってみた。じんじんする痛みがやはり現実だという事を教えてくれる。

 

有咲「しかし、こんな時期に新しい"勇者"だなんてな。足引っ張らないように気をつけろよ。」

 

彩「"巫女"の丸山彩です。これから、宜しくね。」

 

生徒「"勇者"………"巫女"……?」

 

次々に知らない単語が飛んできてしまい、そっけない反応を返してしまう。

 

六花「興味ありますか?良かったら明るい校庭から、今度一緒に念を送りましょうね!」

 

生徒「はぇ……?ちょっと意味が…。」

 

燐子「あの…勇者部で分からない事があったら…遠慮せずに何でも聞いてくださいね…。」

 

自己紹介が次々と進んでいく中、生徒は段々と今自分が置かれている状況を理解し始めていった。

 

生徒(勇者部……。そっか…私は今から、中学2年の時をやり直すんだ……!でも、こんな可愛い子ばっかの部活で、誰かと大親友になれるかな…。)

 

そんな事を思いながら生徒は香澄を見ていると、1人の少女が話しかけてくる。

 

中沙綾「さっきから香澄を見つめて何かあった?」

 

生徒「あっ、いや……。」

 

中たえ「大丈夫?緊張してる?」

 

イヴ「ここは優しい人ばかりですので、心配する事はありませんよ。」

 

花音「そうだよ。時々は怖い事もあるけど、少しずつ慣れて危険を回避してね?」

 

生徒「怖い事あるんですか!?」

 

千聖「花音、あんまり怖がらせないの。新人さん、良ければこれから一緒に鍛錬なんかどうかしら?」

 

赤嶺「ズルいですよ、千聖さん。まずは私と一緒にトレーニングしよ?」

 

日菜「ズルいズルい!私もるんっ♪て来ちゃったから、一緒にお喋りしよーよ!」

 

夏希「お喋りより、私達小学生組と一緒に外で遊びませんか?」

 

生徒「し、小学生!?」

 

ここに来て何度驚いただろうか。此処は中学校である。それなのにどうして小学生が混じっているのか。冷静になりかけた頭の中がまたもや混乱し出した。

 

小沙綾「説明を聞いていなかったんですか?勇者部には私達もいるんですよ。」

 

小たえ「もしかして居眠りしてましたか?私と一緒ですね!」

 

生徒(随分変わった部活なんだなぁ……。)

 

友希那「まあ、いきなり溶け込むのは無理だとは思うわ。徐々についてくればそれで良いから。」

 

生徒「は、はい……!」

 

話しかけてくれた友希那に一瞬目移りしてしまう生徒。だが、そこに鉄壁の壁が立ち塞がる。

 

リサ「友希那は……あげないからね?」

 

生徒「え………。」

 

その言葉、語尾に一瞬の寒気を感じるのだった。

 

美咲「君子危うきに近寄らず。この言葉覚えてた方が良いよ。」

 

ゆり「まぁ、こんな賑やかな部活だけど、気負わないで頑張ってね。」

 

生徒「はい…頑張ります!」

 

生徒(頑張る……青春を取り戻すんだ!)

 

 

ーーー

 

 

花咲川中学、渡り廊下ーー

 

それから数日が経った。新入部員として勇者部に入った生徒は勉強も鍛錬も頑張り、部員の人達とも少しずつ打ち解けていった。

 

生徒「今日の放課後は何をしようかな……って、うわ!?」

 

考え事をしながら廊下を歩いていると、前から走って来たあことぶつかってしまう。

 

あこ「おわぁっ!?ごめんね、大丈夫?ちょっと急いでるからじゃあね!」

 

生徒「き、気をつけてね…。」

 

あこが走って行った方向を見ていると、またしても誰かとぶつかってしまう。

 

蘭「うっ、なんだ新人か。」

 

生徒「ごめんなさい…。」

 

蘭「まぁ良いけど。これから畑に行くんだけどどう?」

 

生徒「そっか、美竹さんは野菜作りが趣味なんだっけ。」

 

モカ「らーん、いきなり誘うのは迷惑だよ。うちの蘭がすみませんねー。」

 

ここで生徒にとある考えが浮かんだ。

 

生徒(廊下でぶつかるのって、ラブコメとかの王道的な展開だよね……。もしかしたらここから関係が発展するかも…。)

 

生徒「あの…私も畑に……わわっ!?」

 

蘭からの誘いを受けようとした瞬間、また誰かとぶつかってしまう。これで3度目だ。今度ぶつかって来たのは薫だった。

 

薫「やぁ、子猫ちゃん。海に行かないかい?」

 

同時に2人に誘われ戸惑ってしまう生徒。悩んだ結果、生徒は2人の誘いを断ってしまう。

 

生徒「あ……また今度で…。」

 

蘭「なんだ。じゃあまたね。」

薫「了解した。また今度声をかけさせてもらうよ。」

 

生徒(え、選べないよぉ……。)

 

 

ーー

 

 

放課後、校庭ーー

 

2人の誘いを断ってしまった事に悩んでいる中、生徒は校庭に沙綾の姿を見かける。

 

生徒「あっ、山吹さんだ。山吹さーん!」

 

中沙綾「お疲れ。どうしたの?」

 

意を決して声をかける生徒。するとそこへ香澄と高嶋の2人がやって来る。

 

香澄「さーやに新人ちゃん!2人とも今帰り?」

 

生徒「そうなんだ。良かったら一緒に帰らない?」

 

香澄・高嶋「「うん、良いよ♪」」

 

生徒「じゃあ、帰ろっか。」

 

これは完全に僥倖だった。最初は沙綾に声をかけるつもりだったが、香澄達なら大丈夫だろうと生徒はそう考えたのだ。

 

中沙綾「…………………。」

 

香澄達と校庭を後にする生徒。すると一瞬、ほんの一瞬だが背中に寒気を覚えた。殺気とでもいうのだろうか。

 

香澄「よーし、競争だよ!」

 

高嶋「良いね!負けないよ!」

 

しかし急に駆け出す香澄達を見て、生徒も駆け出す。走り出した時、既にその事は頭から消えていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中沙綾「………。」

 

1人残された沙綾。そこへ隠れて見ていた紗夜がやって来る。

 

紗夜「…………新人…。」

 

 

ーーー

 

 

生徒の自宅ーー

 

家に帰り一息ついていると、スマホに着信が入った。

 

生徒「誰からだろう…。」

 

電話の主は花音だった。花音はか細い声で話し出す。

 

花音『花音です。ちょっと言いにくいんだけど……新人ちゃんの事で悪い噂が流れてるんだ…。』

 

生徒「えっ!?」

 

花音『普段の言動に気をつけてね!それじゃあね。』

 

それだけ言うと電話は切れてしまう。

 

生徒「どういう事だろう…。」

 

今までの事を思い出すが、思い当たる節は見当たらなかった。取り敢えず生徒は花音の助言を頭に入れ、慎重に行動する事を心掛ける。

 

生徒「積極的に掃除でもして、みんなに信頼してもらおう。」

 

 

ーーー

 

 

翌日、勇者部部室ーー

 

生徒は朝早く部室に来ていた。まだ誰もいない時間を見計らって部室を掃除し、みんなの信頼を得ようとしたのだ。早速取り掛かろうとすると、部室のドアが開き彩がやって来る。

 

彩「おはよう!掃除するの?それじゃあ私も手伝うよ♪」

 

生徒「丸山さん!おはよう。」

 

彩「新人さんも掃除が好きなんだね!私もそうなんだ!」

 

生徒(早く来て良かったなぁ……。)

 

そんな事を思いながら、生徒は2人で部室の掃除をするのだった。

 

 

ーーー

 

 

その日の夜、生徒の自宅ーー

 

今日の事を思い返していると、再び着信がなった。電話の主はまたも花音だった。だが今回は以前とは違い大分慌てているようだ。

 

花音『新人ちゃん!色々とマズイ事になってるよ!?』

 

生徒「えっ!?」

 

花音『人間関係にはもっと気を配らなきゃダメ!危ないし危険だよ!じゃあね!』

 

生徒「どういう事だ……?」

 

花音が言っている事がさっぱり分からない生徒。頭の中は伝説の木の下で告白し大親友を作る事でいっぱいになっていた。

 

生徒「勇者部の人達はみんな良い人ばっかりで選べないなぁ……。みんなと順番にデートして仲良くなって、それから1人に絞るのは大丈夫かな?うん、それが良い!明日も頑張ろう!」

 

 

ーーー

 

 

それから1年があっという間に過ぎた。勇者部での奉仕活動や課外清掃。みんなとお喋りしたり遊んだりと生徒は出来る限りの事をやっていった。だからこそ生徒は迷っていた。

 

生徒(私は誰が1番好きなんだろう?誰を大親友に選べば良いんだろう?)

 

そして生徒は意を決した。ある日の休み時間、とある人の机の中に手紙を入れたのだ。自分の想いを込めた手紙。それを読んでくれる事を願って。

 

 

ーーー

 

 

伝説の木の下ーー

 

手紙の最後に書いたのは"伝説の木の下で待ってます。"手紙を読んでくれれば、その人はきっとここに来てくれる筈。そう思い生徒は1人、伝説の木の下で待っていた。そしてその時がやって来る。

 

香澄「あれ?新人ちゃん?もしかして、この手紙は新人ちゃんが書いたの?」

 

生徒「香澄ちゃん、来てくれたんだね!嬉しい……。」

 

香澄「あはは。どうしたの?そんな真面目な顔して。」

 

一先ず胸を撫で下ろし、生徒は香澄の目を見て話す。

 

生徒「この1年、勇者部でホント楽しかった。先輩に後輩、同級生に囲まれてさ。」

 

香澄「うん、私も!新人ちゃんと仲良くなれてすっごくキラキラドキドキした1年だった!」

 

生徒「あ、ありがとう。それでね……香澄ちゃん。私、あなたともっと仲良くなりたいんだ。だから、この伝説の木の下で告白します!私っ、勇者部で1番あなたの事がすーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だったーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「おのれーーーーっ!!」

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

謎の場所ーー

 

 

 

 

 

突然大きな音が鳴り響き、目の前が真っ暗になってしまう。生徒が周りを見回すがそこは伝説の木の下ではなく、何も無い真っ暗な空間。

 

生徒「……………………え?」

 

暫くすると、辺りが少しずつ明るくなり、空間が光に包まれる。光が収まると、そこは色とりどりの根で覆われている謎の場所。広大なその場所の奥には、微かに大樹の様なものが見える。

 

生徒「ここは……?」

 

呆気に取られていると、頭の中に以前聞いた声が聞こえてくる。

 

伝説の木「どうやら失敗………いや、爆発しちゃったようだね。」

 

生徒「爆発……?」

 

伝説の木「勇者部の人間関係にもっと気を配って、上手く立ち回るべきだったんだよ。」

 

生徒「そんな……じゃあ、私は結局誰とも大親友になれないまま終わるんですか!?」

 

伝説の木「可哀想に………それじゃあ、私と結ばれる?」

 

生徒「えっ?」

 

その言葉と共に、生徒の体が光に包まれる。

 

 

 

 

 

 

伝説の木「さぁ………いらっしゃーーい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

体験版のご利用ありがとうございました。

完全版の"ときめきの章"では、あなたが1年生として入学する所から始まります。

 

あなたは勇者部の一員として3年間過ごし、誰か1人と大親友になってください。

 

永遠の関係になるため、目眩く時を有意義に使い、思う存分にときめきましょう。

 

 

ーーー

 

 

 

 

勇者部部室ーー

 

紗夜「何なんですか、このゲームは!!」

 

紗夜の怒号が部室に響き渡る。

 

高嶋「紗夜ちゃん、どうしたの!?」

 

紗夜「これだから恋愛シミュレーションという物は………。」

 

燐子「どんな内容なんですか…?」

 

紗夜「それがですねーー」

 

紗夜は体験版のゲームで起こった事を一通り説明するのだった。

 

 

ーー

 

 

友希那「紗夜がそういったジャンルを遊ぶのは珍しいわね。」

 

紗夜「手を出した私が愚かでした……。」

 

つぐみ「人生はゲームとは違いますからね。」

 

日菜「おっ、御先祖様はきっと恋愛経験も豊富なんだろうね♪」

 

つぐみ「えっ………?」

 

日菜「違うの?」

 

六花「そうだったんですか!?それは聞き捨てならないです!」

 

赤嶺「そうだねぇ……つぐちん、あるの?」

 

つぐみ「うっ……………!?」

 

顔が赤くなったつぐみは部室から駆け出す様に出て行ってしまう。

 

赤嶺「あっ!待ってよ、つぐちーん!」

 

今日も騒がしい勇者部。こんな日がずっと続けば良いなと思った香澄達なのだった。

 

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