戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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最近巷で噂になっている謎のヒーローについて調査する事になった勇者部。その時、香澄はとある人物に出会うのだった--

舞台が同じだからこそのコラボ?でしょうか。




思い出のアルバム〜謎のヒーロー〜

 

 

花咲川中学--

 

香澄「授業も終わったし、部室に行こっ……ん?」

 

教室を出ようとした時だった。何やら廊下が騒がしい事に気がつく香澄。廊下に出てみると、何やら掲示板に人が集まっているようだった。

 

香澄「何の人だかりだろう………?」

 

遠目から掲示板を覗く。どうやらみんなの視線は、張り出されている校内新聞にいっているようだ。この新聞は新聞部が毎月掲示しているもので、勇者部も何度も取り上げられており学内でも有名な新聞だ。覗いたものの、遠目からだった為、肝心の内容まで見る事は出来なかったのだが、

 

生徒A「また現れたらしいよ?」

 

生徒B「またって、何が?」

 

生徒A「知らないの正義のヒーローだよ!」

 

生徒B「正義のヒーロー!?ヒーローって、あの悪者と戦うあの?」

 

生徒A「そうそう!これでもう3回目だよ。今回はひったくりを捕まえたんだって。」

 

香澄の隣にいた生徒2人の話から香澄は新聞の内容を理解する。

 

香澄(へぇ……私達の他にもそんな事してる人がいるんだ……って、部活に遅れちゃうよ!)

 

そんな事を考えている内に時間が押していた為、香澄は踵を返し部室へと急いだのだった。

 

 

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勇者部部室--

 

香澄「戸山香澄、ただ今到着です!」

 

結局ギリギリ時間に到着した香澄。これで全員が部室に集まった。

 

りみ「珍しいね香澄ちゃん。遅かったけど、何かあったの?」

 

香澄「ごめんね、りみりん!あのね--」

 

香澄はさっき見聞きした内容をみんなに伝えた。

 

 

--

 

 

リサ「正体不明の謎のヒーローねぇ……。」

 

あこ「ヒーロー!?カッコいい!!」

 

美咲「その新聞私も見たよ。何か結構信憑性に欠けるけど。」

 

中沙綾「でも、実際に助けられた人がいるって話だよ?」

 

香澄から聞いた事で議論する勇者部。するとゆりがみんなの話を遮り声を上げる。

 

ゆり「丁度良かった。今回の部活内容はまさに香澄ちゃんが言ってくれた事についてだよ。」

 

香澄「謎のヒーローについてですか?」

 

ゆり「そう。正確には新聞部の手伝い。今新聞部はそのヒーローについての情報を集めててね、勇者部にもその情報収集を手伝って欲しいんだって。」

 

燐子「人海戦術という事ですね……。」

 

ゆり「取り敢えず、何組かに分かれて聞き込みをしよう。何人かは情報整理の為に部室で待機してて。それで情報が集まったら逐一連絡。2時間後に一旦集まろう。良い?」

 

香澄「了解です!」

 

こうして四国を守るヒーローについての調査が始まるのだった。

 

 

---

 

 

商店街--

 

香澄達は商店街で聞き込みを開始する。しかしこれといって有力な情報は集まらなかった。

 

イヴ「あまり情報は得られませんでした……。」

 

友希那「そろそろ約束の2時間ね。一旦部室に戻りましょう。他の人達が情報を得ているかもしれないわ。」

 

香澄「そうですね。じゃあ、戻る前に連絡……っと。」

 

香澄は待機している沙綾に連絡をした。

 

香澄「もしもし、こちら猫さんチーム。さーや?」

 

中沙綾『お疲れ、香澄。何か手掛かりは得られた?』

 

香澄「それが商店街はさっぱりだったよ……。人が多いから何か知ってる人がいるかと思ったんだけど。」

 

中沙綾『これまで謎のヒーローは3回現れてる。そのどれもがひったくりだった……だから逆にあんまり人が多い所には現れないのかも。』

 

香澄「成る程……それじゃあ一旦部室に戻るね。」

 

中沙綾『はーい、お疲れ様。』

 

友希那「連絡も済んだ事ですし、戻りましょうか。」

 

イヴ「はい。」

 

友希那とイヴが歩き出し、香澄も2人を追って行こうとしたその時、香澄は誰かに呼び止められた。

 

?「おい、落とし物だ。」

 

香澄「へ?あっ、本当だ!」

 

香澄が落としたハンカチを拾い手渡そうとしてきたのは青年だった。その青年は背が高く、ジージャンを着て、額にバンダナを巻いた少し古風な格好をしている。

 

香澄「このハンカチ、友達から貰った大切な物だったんです。あっ、私戸山香澄って言います。花咲川中学の2年生です。拾ってくれてありがとうございました!………えっと…。」

 

?「霞………のジョーだ。」

 

香澄「ノジョウさんですね!ありがとございます!この御恩は忘れません!さよなら!!」

 

ジョー「霞のジョーだ!………って、もう行っちまったか。」

 

その青年が訂正する間も無く、香澄は走って行ってしまった。

 

ジョー「…………あの少女……いや、俺の気のせいか。」

 

 

---

 

 

勇者部部室--

 

香澄達が戻ると、先に戻っていた人達が既に状況整理を行なっている。戻ってないのは有咲達のチームだけだった。

 

中沙綾「皆さんから集まった情報を纏めると……。」

 

中たえ「ひったくられた直後に男性に話しかけられた、一瞬当たりが光に包まれる、物凄く速くて黒い何かがひったくりをやっつけた。こんな感じですね。」

 

香澄「知ってる人達いたんだね。こっちは収穫ゼロだったよぉ……。」

 

千聖「それはしょうがないわ。」

 

有咲「遅れてごめん!今戻った。」

 

少し遅れて有咲達のチームが戻ってきた。

 

紗夜「何か情報はありましたか?」

 

六花「はい。あのですね--」

 

 

--

 

 

有咲達から話を聞いたものの、先に上がっていた情報とほとんど似たようなものだった。

 

高嶋「これだけの情報じゃ、少なすぎるね。」

 

有咲「……………あっ!」

 

すると有咲が何かを思い出したかのように声をあげる。

 

中沙綾「どうしたの?」

 

有咲「そういや、ここに戻ってくる間際に聞いたんだけど、ひったくりが起こった周辺で白いライダースーツを着てた男を見たって言ってたな……。」

 

彩「それって結構重要な手掛かりだよ!」

 

ゆり「お手柄だよ、有咲ちゃん!」

 

有咲「ま、まあな!」

 

ゆり「よし、それじゃあ明日はその手掛かりをもとに男の人を探しながら情報をもっと集めよう。」

 

香澄「了解です!」

 

 

---

 

 

翌日、住宅街--

 

友希那「それじゃあ、手分けして情報を集めましょうか。」

 

香澄・イヴ「「分かりました。」」

 

 

--

 

 

数分後--

 

香澄「あれ……あの人は確か…。」

 

住宅街を捜索していると、香澄は見覚えのある人を見かける。その人は昨日ハンカチを拾ってくれたあの人だった。

 

香澄「あのー!ノジョウさん?」

 

香澄の声でその青年は後ろを振り返った。

 

ジョー「ん?あんたは確かあの時の…。」

 

香澄「はい、戸山香澄です!覚えててくれたんですね。」

 

ジョー「まあな。あんたは特別だからな……。」

 

香澄「特別?」

 

ジョー「いや、気にするな。こっちの話さ。そんな事より俺の名前は霞のジョーだ。」

 

香澄「カスミ・ノジョウさんですよね?私も香澄なんですよ!親近感湧きますよね!」

 

ジョー「はぁ……好きにしろ。そんな事より何か俺に用なのか?」

 

香澄はこれまでの経緯を伝え、白いライダースーツを着た男性について質問するのだった。

 

ジョー「成る程な……大体解った。」

 

香澄「え?」

 

ジョー「その男なら見覚えがある。"コウタロウ"って名前だった筈だ。」

 

香澄「本当ですか!?ノジョウさんはその人について何か知ってますか?」

 

ジョー「大体な。あいつは根が真面目なんだ。困ってる人を見ると放っておけないんだろう。」

 

香澄「どうしてコウタロウさんはそんな事をしてるんですかね?」

 

ジョーはそう言う香澄を見つめ、答える。

 

ジョー「多分だが………あんたと同じだと思うぞ。」

 

香澄「え、私?」

 

ジョー「香澄はどうして勇者部に入ったんだ?」

 

香澄「それは……何かキラキラドキドキ出来そうって思ったから…。」

 

ジョー「まぁ、初めはそんなもんだろうな。だけど、今は違うだろ?」

 

香澄「………はい。困っている人を助けたい。人の為になる事を勇んでやる!これが私達勇者部のモットーです!」

 

ジョー「あいつもそういう奴なんだ。誰かを救う為なら自分を犠牲にする。全く……危なっかしいったらありゃしない。」

 

香澄「凄い人なんですね!まるで勇者みたい!」

 

ジョー「勇者?」

 

香澄「あっ、例えですよ。例え。」

 

ジョー「…………。」

 

香澄「それで、そのコウタロウさんは何処にいるかノジョウさんは知ってますか?」

 

ジョー「さあな。風の向くまま気の向くまま、もしかしたら"この世界"にはもういないかもしれないな。話はそれで終わりか?それじゃあ俺は行くぞ。」

 

香澄「……あなたは一体誰なんですか?」

 

ジョー?「だから言っただろ。俺は霞のジョー……………いや、通りすがりの"仮面ライダー"だ。」

 

そう言い残し、ジョーは去って行ってしまった。

 

香澄「あっ………行っちゃった…。」

 

友希那「戸山さん、ここにいたのね。」

 

去りゆく背中を見つめていると、そこへ友希那とイヴが戻ってくる。

 

イヴ「特別新しい手掛かりは見つからなかったので、一先ず部室に戻りましょう。」

 

香澄「友希那さん……イヴちゃん…。」

 

友希那「ボーッとしてるけど、どうかした?」

 

香澄「ううん、何でもありません。じゃあ戻りましょうか。」

 

イヴ「そうですね。」

 

香澄(何だか不思議な人だったな……。あの時は気に留めなかったけど、あの人、首からカメラをぶら下げてた。写真家の人だったのかな………。)

 

そんな疑問を抱きつつ、3人は花咲川中学へ戻っていくのだった。

 

 

---

 

 

勇者部部室--

 

戻ってきた香澄は、住宅街で体験した事をみんなに伝えた。

 

蘭「何かその人凄く怪しい雰囲気なんだけど。」

 

紗夜「ですが、その人は謎のヒーローの知り合いだという事は間違いないんじゃないでしょうか?」

 

高嶋「だよね。これだけ探しても手掛かりが見つからなかったのに、その人は詳細な事まで知ってたんだもん。」

 

花音「でも何だか隠れて人助けをするって格好良いよね。」

 

千聖「あら?それなら私達だってやってるじゃない?」

 

友希那「そうね。バーテックスから人々を守る為、私達も日々戦っているわ。」

 

モカ「それなら、私達もその謎のヒーローって事になるよね?」

 

薫「そうだね。世に潜み悪を倒す正義のヒーロー………中々に儚い響きじゃないか。」

 

ゆり「調子に乗らないの。それじゃあ取り敢えず活動はこれくらいにして、この情報は新聞部に伝えようか。」

 

全員「「「了解です!!」」」

 

活動を終え、皆解散する中、香澄は1人窓の外を見つめ感慨に耽っていた。

 

中沙綾「どうしたの、香澄?窓の外をボーッと見つめちゃって。」

 

香澄「あっ、さーや。今日会ったノジョウさん、何か不思議な感じがしたんだよね。なんか言葉では言い表せないけど。」

 

中沙綾「へぇ……私も会ってみたかったかも。その人に。」

 

香澄「また会えるかなぁ………。」

 

 

---

 

 

同時刻、花咲川中学校門前--

 

香澄が耽ってたのと同じ頃、霞のジョーも花咲川中学へ訪れていた。

 

ジョー?「此処が花咲川中学……"勇者"がいる学校か……。」

 

そう呟き、首からかけていたカメラで学校の写真を撮る。現像された写真はぼやけており、お世辞にも上手いとは言えない。

 

ジョー?「この世界には勇者がいる。だから俺達のような存在は必要ないだろうな……。あの香澄とか言う少女、何処となくアイツに似ていた。……………確か結城友奈って奴だったか…。」

 

写真を撮り終えた青年が手をスッと上げると、目の前に灰色のカーテンが出現。その青年はカーテンの中へ消えてしまった。カーテンを潜った直後、青年はジージャンにバンダナという格好から、一瞬にしてスーツに着替えていた。

 

士「俺はまだ旅の途中。また何処かで会えると良いな、勇者戸山香澄………。」

 

 


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