戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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ゆゆゆのゲームアプリのサービス終了が決まりましたね………。5年も続いたのは大成功と言っても過言じゃ無いですよね。

最期の思い出として2話、書き残して終わりにしたいと思います。


思い出のアルバム〜思い出の味〜

 

 

大赦ーー

 

大赦神官「こういう案件が民間企業から上がって参りまして、協議を重ねた結果…………勇者様方にどうかと。」

 

大赦神官「内容を見る限り、これは勇者様の精神に負担をかける恐れも………しかし、我々としてはその…。」

 

神妙な言葉遣いで、神官たちが話し始める。手に持っているのは数枚の資料。渡された資料をたえとリサはじっと読み進めていった。

 

リサ「何?はっきり言って良いよ。アタシとたえに打診する理由をね。」

 

大赦神官「皆様が記憶を残す手がかりを探している事は承知しております。ですが………。」

 

中たえ「ですが、何?良いよ、言葉を選ばなくて。」

 

大赦神官「ですが、手がかりが見つからず、ここで過ごしてきた記憶が消えてしまうとなったら………問答無用で全てを取り上げられてしまうのは、余りにも理不尽なのではないかと………。」

 

記憶を持ち帰えれる可能性は見つかった。だが、それが成功するかは分からない。ここで過ごしてきた思い出が全て無くなってしまうのを、大赦神官たちも理不尽な事だと思っていたのである。

 

大赦神官「元の世界では勇者様方の姿を見る事の無かった我々が、今は度々生身の勇者様方のお姿を拝見させて頂いており………それ故、無に帰す事に対し、見ぬ振りを通すのは……………心が痛むのです。申し訳ありません。」

 

大赦神官「ですから、我らのみで論決するのではなく、此度は御二方に判断を仰ごうと相成りました。」

 

2人は顔を見合わせ、一つの結論を下した。

 

 

 

 

 

 

勇者部部室ーー

 

リサは部室に全員を集合させる。総勢27人が集まると、部室はすし詰め状態である。

 

リサ「集まってくれてありがとう。実は、勇者部に大きな依頼が来たんだ。」

 

あこ「大きな依頼?何なの、リサ姉。」

 

中たえ「詳しくは後で言うんだけど、依頼は大赦からなんだ。」

 

千聖「これはまた意外な所からね。」

 

リサ「で、ここからなんだけど、大赦が今回の依頼の前御礼って事で食事会を開いてくれるんだって。」

 

夏希・あこ「「食事会!?」」

 

2人の目が突如として輝いた。

 

香澄「ですけど、それならメールとかで伝えれば良かったんじゃないですか?」

 

リサ「そうなんだけど、そこでアタシは考えたんだ。食事会の料理は私たちが作ろうってね。」

 

中たえ「今まで私たちは勇者部として色んな人の役に立ってきたけど、大赦の人たちにはあんまり出来てないなって。」

 

りみ「それ良いですね!」

 

みんなが賛成する中、彩が一つの案を出す。

 

彩「私も賛成!だったら、いつものご飯はどうかな?」

 

千聖「いつものって、私たちが毎日食べてるような食事って事かしら?」

 

彩「私ね、普段みんなが作る料理が大好きなんだ!」

 

美咲「けど、華やかさには少し欠けちゃいますよ?」

 

彩「ずっと大赦にいた私にとって、ここでの普段のご飯がキラキラドキドキの思い出が詰まった特別な味なんだ。だから、アルバムみたいに思い出の味を楽しみながら昔を振り返るのも楽しいんじゃないかなって。」

 

紗夜・イヴ「「思い出の味………。」」

 

中たえ「彩さん………賛成です。」

 

リサ「アタシも。記憶の中にあるみんなの味を共有出来るのって楽しそうだし。」

 

蘭「なら決まりだね。その食事会では私たちが各自の思い出の味を振る舞うって事で。」

 

そして数日後、大赦にて各々の思い出の味がみんなに、そして大赦神官たちに振る舞われる事となったのだった。

 

 

 

 

 

大赦大広間ーー

 

小沙綾「それでは、以前に決めた通り、今日の料理は各自がこれだと思って作った思い出の逸品になります。」

 

中沙綾「それらを順番に味わいながら、どんな感慨が込められているかを聞いていきたいと思います。」

 

小たえ「あ、因みに大赦の神官さんたちは別室で食べてもらう事になってます。」

 

一番初めに机に並べられたのは骨つき鶏の"ひな"と"おや"。これを作ったのは友希那とあこだ。

 

あこ「"ひな"と"おや"の違いに注目してみんな味わってね!」

 

いただきますの掛け声と共に、みんなが一斉に骨つき鶏に齧り付く。

 

美咲「モグモグ…………うわっ!ひなの方凄くジューシーだ!」

 

薫「おやも美味しいね。歯ごたえがあって、噛めば噛むほどに儚い味が広がっていくよ…。友希那たちはどうしてこの料理を?」

 

友希那「元の時代で、私の不甲斐なさでみんなを傷付けてしまった事があったの。そして仲間との連携を深める為に、あことコスプレショップに行ったのよ。」

 

あこ「うんうん!その帰りに友希那さんと一緒に食べたのがこの骨つき鶏だったんだ!食事って凄いよね!うどんでも骨つき鶏でも、一緒に食べると一緒に楽しくなれるんだから。」

 

友希那「一緒に食事をする事で深まる絆もある。私はそれを学んだわ。」

 

千聖「確かに2人の言う通りね。同じ釜の飯を……なんて言葉もあるくらいだもの。」

 

みんなが骨つき鶏を食べ終わり、次に出てきた料理はおにぎり。これを作ったのは高嶋だった。

 

高嶋「次は私!ちょっと恥ずかしいけど、頑張って作ったんだ。」

 

出てきたおにぎりには、海苔でそれぞれの顔と名前がくっ付けられていた。

 

りみ「めっちゃカワイイ♪」

 

高嶋「私ね、幼稚園の頃、どうしてなのかお弁当のおかずばっかり食べて、ご飯は残しちゃってたんだ。そしたらお母さんが、小さなおにぎりをこうやって可愛く作って持たせてくれて……。それからは楽しく一回も残さないでお弁当を食べられたんだ。」

 

つぐみ「お母さんはちゃんと食べてもらえるように、一生懸命努力したんだね。」

 

高嶋「この世界に来てから、自分でもお弁当を作る機会あると頑張って作ろうとしたんだけど、海苔で文字を作るのって本当に大変でね、作る度に"お母さん、ありがとう"って思うんだ。」

 

そう話している中、紗夜の様子がおかしい事に何人かが気が付く。

 

紗夜「は…はぁぁ………あぁぁぁぁっ……。」

 

身を捩りながら悶える紗夜。おにぎりをよく見ると、そこには"紗夜ちゃん♡"の文字が海苔で作られていた。

 

紗夜「あぁぁぁぁっ〜〜〜た、食べられません……勿体無くてとても!!」

 

六花「そこは食べましょうよ……。」

 

高嶋「あははっ♪」

 

 

 

 

 

 

蘭「次の料理は………うん、カレーの良い匂い。これは燐子さんですか?」

 

次に出された料理は燐子が作ったカレー。だがライスは付いてなく、ルーのみのカレーだった。

 

日菜「ライスが無いね?」

 

燐子「はい…私の思い出のカレーには、ライスもパンも無いんです…。私はあこちゃんとこれまで何度もキャンプに行きました……。今は慣れたんですけど、初めの頃は気持ちが昂って…教えてくれた事も上手く出来なくて失敗ばかりしてたんです……。そんなある時、飯盒でご飯を炊く事を任されたんですが…火加減を間違えて焦がしてしまったんです。」

 

日菜「それじゃ、あこちゃん怒っちゃうよ。」

 

燐子「そう思いました…。だけど、あこちゃんは少しも慌てずに…カレーシチューが出来てるから一緒に食べよって……笑顔で言ってくれたんです。私はそれまで入院生活が長くて外で食べるご飯の美味しさなんて知りませんでした…。勿論失敗した時の起点の利かせ方なんかもです……。だから、その時のあこちゃんの優しさと頼もしさが凄く印象に残ったんです……。」

 

あこ「むふふー。でしょでしょ!あこカッコいいでしょ?」

 

燐子「うん……あこちゃんは私のヒーロー。また、私をキャンプに連れてってね……。」

 

アツアツのシチュエーションの中、次に料理を出したのはリサだった。

 

リサ「次はアタシの番だよ。さ、みんな食べて食べて。」

 

目の前に運ばれたのは質素なお粥。リサにしては意外な料理だった。

 

モカ「これはお粥…ですよね…。」

 

一口食べると、塩味が口の中に一気に広がり、水分が欲しくなる程だった。

 

六花「これは…その……少ししょっぱいですね…。」

 

巫女たちの評価はイマイチだったのだが、

 

千聖「そう?私には丁度良いわよ。」

 

有咲「そうだな。白粥だから見た目は地味だけど、味はしっかりしてる。」

 

勇者たちにとっては丁度良い塩加減で美味しいとの声が沢山上がったのだ。そして友希那はある事に気が付くのだった。

 

友希那「このお粥は……リサ…。」

 

リサ「そう。このお粥は、アタシが友希那のお婆ちゃんから教えてもらった料理なんだ。友希那は小さい頃からお婆ちゃんに朝から晩まで鍛錬をつけられてたんだ。」

 

友希那「思い出すわね……その頃は体力も無くて、夜にはフラフラでそのまま床に倒れ込んでしまった事ばかりだったわ。」

 

リサ「そんな時、固形物なんか喉を通らないし、かと言って何も食べないのもダメだからって……アタシが狼狽えてたらお婆ちゃんがこのお粥を持ってきてくれたんだ。」

 

友希那「大量に汗をかいた身体に染み渡る塩分と水分。そして後から感じるお米の甘み………懐かしいわ。思えば、あんなに小さい頃からリサは私を気遣ってくれたのよね。」

 

つまり、運動をあまりしない巫女たちにとっては塩辛く感じてしまうお粥だが、勇者たちにとってはこの上ない栄養食だったのである。

 

中沙綾「愛情が深すぎる……。」

 

紗夜「とても私には真似出来ないわ。」

 

友希那「久しぶりにこれを食べて思い出したわ、リサ。今の私がいるのはあなたのお陰よ。ありがとう。」

 

リサ「気にしないで。友希那が元気なら、それだけでアタシは幸せなんだから。」

 

ゆり「はぁ………今日は何回ご馳走様って言わなきゃいけないんだろうね…。」

 

 

 

 

 

 

香澄「次の料理は誰ですか!?お粥のお陰でお腹も絶好調!」

 

紗夜「次は私です。」

 

そう言って準備が出来た紗夜が出した料理は野菜サラダだった。

 

蘭「うん、良い野菜ですね。」

 

紗夜「正直に言って……私は家庭の味なんて知りませんし、思い出の味もありません。ですから、記憶にある味だという事ならカップうどんでも出そうかと思っていました。私にはそれが口にした事のある味の全てでした。簡単に作れますし、美味しいですし………。ですが、初めてこのサラダを前にした時、ふと湧いた感情が忘れられないんです。あれは、2年生が林間学校へ行ってしまった時の事でした。」

 

 

ーーー

ーー

 

 

牛込宅、リビング--

 

紗夜「こ、これは…。」

 

ゆり「お腹が減っては笑顔になれぬ!さ、いっぱい食べてね!」

 

紗夜「料理上手なのは知っていましたが、これは……凄いですね。」

 

りみ「いくらなんでもこれは作りすぎだよ、お姉ちゃん。私も紗夜さんも少食なのに。」

 

ゆり「私が食べるから大丈夫!紗夜ちゃん、手は洗った?」

 

紗夜「え、ええ…。」

 

ゆり「なら、オッケー!冷めないうちに食べてね。」

 

 

 

 

りみ「あ、紗夜さん。ドレッシング取ってもらえますか?」

 

紗夜「はい、どうぞ…。」

 

ゆり「口に合うかな?」

 

紗夜「ええ……美味しいです。………家族の食卓って、こんな感じなんですね。騒々しいですが………なんだか楽しいです。」

 

 

 

 

紗夜「いつか……高嶋さんとも……こんな感じになれたら…良いですね…。」

 

ゆり「またいつでも来てね。今度は高嶋ちゃんと一緒に。」

 

紗夜「………ええ、是非。フフッ。」

 

 

ーー

ーーー

 

 

紗夜「こんな何気ないやりとりが家庭の食卓で、家庭のご飯で………そう漠然と思いました。知らない事なのに、妙に納得してしまったんです。だってそれが、とても心地良かったから。その時は他に色々な料理をいただいたのですが、私が作れるのはこの野菜サラダくらいでした。皆さんには申し訳ないですが、これが私の初めて知った温かい食事だったんです。」

 

美咲「そんな素敵な事があったんですね、林間学校の裏で。こっちはある人のお陰で大変でしたけど。」

 

香澄たちが一斉に沙綾の方を見る。

 

中沙綾「えっ………はい…。」

 

蘭「はいはい、今度は私の番。私の思い出の味はこの辛味蕎麦だよ。」

 

そう言って提供されたのはいつものざる蕎麦に大根おろしが薬味としてトッピングされた蕎麦だった。

 

小たえ「大根おろしと一緒に食べるんですね……モグモグ……っ!?辛〜〜〜〜い!!」

 

花音「ふえぇぇ〜!!鼻にツーンと来るよぉ!」

 

蘭「私も小さい時はそう思ったよ。この辛味蕎麦は両親の好物だったんだ。小さい頃に食べた時は辛すぎてダメだったんだけど……今こうして自分で蕎麦を作ると、なんだかこの味が美味しく感じるんだ。それだけ大人になった、遠くに来たって証拠なんだろうね。」

 

リサ「うん………美味しいよ、蘭。家族団欒の風景が浮かんでくるよ。」

 

蘭「これで私の話は終わり。蕎麦は時間が命だからね。モカにバトンタッチするよ。」

 

モカ「ほいほーい。私はねー、諏訪の名物のくるみ餅だよ。学校帰りのおやつにお婆ちゃんがよく出してくれたんだ。」

 

出されたのはくるみで作った餡がたっぷりかかったお餅。

 

蘭「畑仕事してた時とかにも色んな人が作ってくれたっけ。」

 

モカ「そう。だからこれは私と蘭との思い出の味でもあるんだ。沙綾が自分でチョココロネ作ってるのを見て、私も自分で作って見たいなって思ってたんだけど、割と上手く出来た割にはなーんか味が違うなーって気がして。」

 

燐子「そうなんですか…?充分美味しいですけど…。」

 

モカ「うーん……作り方はお婆ちゃんに教えてもらった通りなんだけどなぁ。」

 

モカが悩んでいると、沙綾が声をかけた。

 

中沙綾「それはね……。」

 

紗夜「何か気が付いたのですか?」

 

中沙綾「ふふっ、後で教えますね。」

 

何やら含んだ笑顔を見せる沙綾。そうこうしている内に、美咲の番が回ってくる。

 

美咲「次は私だね。」

 

日菜「何これ?」

 

イヴ「これは……豚肉に赤みがかったソースがかかってますね。」

 

美咲「これはね、チャップだよ。」

 

香澄・高嶋「「勇者ぁーーーー……。」」

 

赤嶺「それはチョップね。」

 

彩「うーん、とっても良い匂いがするよ。これにはどんな思い出があるの?」

 

美咲「ある日、お父さんが突然これを作って出してきたんだ。普段料理なんてしないのに。理由を聞いたら、居酒屋で食べたのが美味しかったから作ってみたんだって。それで初めての手料理として出したんだよ。」

 

ゆり「モグモグ……この味付けは…ケチャップと……なんだろう。この甘辛いタレはどこかで……。」

 

美咲「これ焼き鳥のタレなんですよ。笑っちゃいますよね。だけどこれが意外にハマりまして。それから毎週日曜になると、毎回チャップ作ってって、ねだったんです。」

 

美咲の気持ちは他のみんなが分かるようだった。あれだけ料理を食べたのにも関わらず、みんなの手は止まることなくチャップを食べ続けていたのだから。

 

あこ「本当にこれ美味しいよ!」

 

美咲「だよね。だけど、肉を炒めてケチャップとタレを絡めただけのこんな簡単な料理を………良く手料理って言えたものですよ。なのに……モグモグ………やっぱ美味しいや。」

 

食べている美咲の目から、一粒の涙がこぼれた。

 

美咲「最後にこれ食べたのはいつの日曜日だったっけ……。あの化け物が来たのは何曜日だったっけか……。1人になりたい時に、よくこれを作っては食べてた。簡単に作れちゃうのって問題ですよね………いつでも思い出せちゃうんだから。」

 

有咲「簡単なのに問題って……訳が解んねーよ。モグモグ……訳解んねーのに…美味しい。」

 

六花「本当に美味しいです。良いお父さんだったんですね。」

 

美咲「バカですね……私の感傷に付き合うことなんてないのに……冷めないうちに食べてくださいね。」

 

次に薫の番となり、薫はガサゴソと大きな袋を取り出し、中から大量の植物の茎を取り出してみんなに手渡した。

 

薫「私からはこのサトウキビを。儚い甘さを是非ご堪能あれ。」

 

皮を歯で剥き、茎をしゃぶって甘い汁を啜る光景は、さっきの感動シーンとは真逆の滑稽さを若干醸し出していた。

 

ゆり「ぐぎぎぎ………甘い。これが薫の思い出の味?」

 

薫「ああ。それと紅芋が私のおやつだったのさ。」

 

有咲「ならせめて芋の方を出してくれよ……。」

 

薫「大きなサトウキビ畑でこころとはぐみと遊び、時には畑仕事を手伝ってね。そのお礼にサトウキビをよくいただいたものさ。そして甘さに飽きてしまったら海で魚を取る毎日………。この世界でも、波の音を聞けばあの海を思い出し、目を閉じれば瞼にあの光景が浮かぶのさ…。」

 

ゆり「沖縄かぁ……良い所なんだろうなぁ。」

 

薫「あぁ。とても良い所さ。」

 

赤嶺「わ、私も沖縄由来の物を作ってみました!つぐちんとロックに手伝ってもらってだけど……。」

 

六花「最初は何がしたいのかさっぱりでしたけど…。」

 

つぐみ「"何でもとにかくいっぱい"だけじゃ分からなかったですしね。」

 

そう言われながら出された物は、具がたっぷり入ったお味噌汁だった。

 

赤嶺「沖縄のお味噌汁ってこんな感じなんだ。だから初めてこっちのを見た時は、みんなお腹空かないのかなって思っちゃったくらいだよ。お姉様もそうですよね?」

 

薫「確かに……だが、今はゆりが作ってくれた味噌汁が一番好きさ。」

 

ゆり「毎回ワカメ持って来るからよ。全く……。」

 

紗夜「はい、ご馳走様です。」

 

 

 

 

 

 

つぐみ「私とした事がまさかの失態でした……。」

 

出した料理は具無しのお粥。リサのものと全く同じだったからである。しかも味も同じく塩味が強いものだった。

 

つぐみ「本当だったらこのまま下げるのが妥当なんだけど、少し昔話をするね…。これは私が鏑矢として訓練してた時、香澄ちゃんと一緒に毎日絶え間ない特訓をしてたんだ。とある教官のもとで。」

 

赤嶺「覚えてるよ。つぐちんは一日のノルマをクリアしても、もっともっとと食い下がった。」

 

六花「そんなだから、教官もこれでもかってくらいつぐみさんを指導してました。」

 

つぐみ「その訓練はとても過酷で、終われば床に倒れて動けなくなる程に。無力感で打ちひしがれてたそんな時だった。教官がこのお粥を差し出して言ったんです。これさえ食べられなければ死んでしまうわと。そうして食べたこのお粥は、これまで食べてきたものの中で一番に美味しいものだった。だから私はこの味を絶対に忘れない……忘れちゃいけないんです。」

 

リサ「………………。」

 

千聖「羨ましいわね。それ程熱心に鍛えてくれる指導者が側にいてくれた事は。」

 

友希那「そうね。それ程までにあなたの事を慕っていたのね。」

 

つぐみ「え?」

 

友希那「ん?」

 

話が若干噛み合わない2人。それを遮るように次の料理を出したのは夏希だった。

 

夏希「私が作ったのはこれです!卵ボーロ!」

 

リサ「これはまた可愛いね。」

 

千聖「これは…赤ちゃん用のお菓子よね?市販では見たことはあるけど。」

 

夏希「自分でも作れるんですよ。」

 

薫「いただこう……これはまた儚い甘さで、赤子は喜ぶだろうね。」

 

ここで沙綾は夏希がこの料理を作った理由に気が付いた。

 

中沙綾「これは……弟のためだね。」

 

夏希「はい。離乳食なんかはお母さんが作ってたんですけど、私も何か作ってあげたくて。最初は形が上手くいかなくて何回も作っては食べてを繰り返したけど、綺麗に丸く出来た時は嬉しかったなぁ。この事があって、料理に興味が出て少しづつ色んな物を作るようになったんです。」

 

小たえ「この世界で、もう何度も一緒に色んな物を作ったよね。」

 

小沙綾「一人でするより、誰かと一緒にする方が何倍も楽しいよね。」

 

小たえ「そんな訳で、次は私と。」

 

中たえ「私の番!2人で作ったのはこれだよ!」

 

2人のたえが作った料理は相も変わらずに焼きそばだった。

 

夏希「だろうと思ったよ。」

 

中たえ「私は自分で料理するって事今まで無かったから。」

 

小たえ「夏希も沙綾も料理出来るのに、何で私だけ出来ないんだろうってショックだったよ。」

 

中たえ「でも、もうその頃とは全然違うよね。ここで色んな経験をして成長したんだから。料理だって何だって、私よりもずっと上手に出来るようになってる。2人のお陰で。」

 

夏希「だね。元の世界に戻ったら、次の日曜日に料理教える約束だったし。」

 

小たえ「そうだった!楽しみだなぁ!」

 

小沙綾「私もみっちり教えてあげるからね。」

 

小たえ「お手柔らかにぃ〜!」

 

中たえ・中沙綾「「…………………。」」

 

3人のそんな会話を聞きながら、目頭を熱くする沙綾とたえなのだった。

 

 

 

 

 

残りの料理も少なくなってきたところで、防人たちの番になった。最初に千聖が持ってきた料理はーー

 

千聖「私の料理はこれよ。」

 

有咲「………え?」

 

千聖「スルメよ。」

 

一同「「「スルメぇ!?」」」

 

千聖「ええ。これが私の思い出の味。パ………お父さんは仕事を終えるといつも七輪でスルメを焼いてビールを飲むのが日課だったわ。私はいつもその横にくっついて火で丸まっていくスルメをじっと見つめていたの。暫くして良い匂いがしてきたスルメを太い指で細く割いてくれたそれを、私も食べた………。ビールは飲めなくても、何だか大人になったような……お父さんと一緒に何か出来てる感覚があって嬉しかったわ。」

 

彩「良いお父さんなんだね、千聖ちゃん。私も会いたいなぁ。」

 

千聖「ええ。戻ったら紹介するわ。」

 

花音「それじゃ、次は私。」

 

あこ「花音はやっぱりミカン?」

 

花音「残念。私が用意したのは………お子様ランチだよ。この世界に来てから子供たちと接する機会が増えたから、また食べたいなぁって時々思ってたんだ。小さい頃、家族とお出かけしたら、デパートで毎回食べてたから。」

 

日菜「量は少ないけど、エビフライにハンバーグ、チキンライスにサラダ…結構バリエーション豊富なんだね。」

 

花音「あっ、アイスクリームだ。これは誰の料理?」

 

イヴ「私です。是非召し上がってください。」

 

薫「あぁ………これはあの時ののだね。」

 

イヴ「はい。あの時薫さんが教えてくれたものです。私も紗夜さんと同じで、家族と一緒にご飯を食べた事ありませんでした……。だから初めてゆりさんの家で食べたあの鍋が、私の思い出の味なんです。あの時の料理全てが凄く美味しかったのですが、私には到底作れなかったので、このデザートにしたんです。」

 

 

ーーー

ーー

 

 

牛込宅ーー

 

イヴ「…………美味しいです。とっても美味しくて……温かいです。」

 

ゆり「うん、美味しいは正義!みんなもどんどん食べて!」

 

りみ・紗夜・薫「「「いただきます。」」」

 

りみ「っ!この帆立甘くて美味しいです!サザエもコリコリでめっちゃ美味しい!」

 

紗夜「本当ですね。お刺身も新鮮で歯応えがあります。瀬田さんに感謝ですね。」

 

薫「みんなで囲む食卓に温かい食事……この時をみんなで味わう事が出来て私も嬉しいよ。」

 

りみ「イヴちゃんイヴちゃん!ご飯の後はデザートもあるからね!」

 

イヴ「……はい!」

 

ゆり「そうだね。デザートを食べながら映画でも見て今日はリビングに布団敷いてみんなで雑魚寝だね。」

 

イヴ「?あの………どうして私はここに泊まるんですか?」

 

りみ「今日からイヴちゃんも名誉姉妹だからだよ!」

 

イヴ「名誉姉妹………ですか?」

 

紗夜「私もそうなんです。どんどん増えますね…牛込さんの家族。」

 

イヴ「家族?血が繋がっていないのにですか?」

 

薫「血縁なんて小さな事さ…。」

 

イヴ「そうなんですか?」

 

薫「ああ。この世界では………これが本当の家族でも別に良いんじゃないかい?」

 

イヴ「これが………本当の…………。あ、あの………!」

 

ゆり「ん?どうしたの、イヴちゃん。」

 

イヴ「私………私は……また…ここに、帰って来ても良いんですか?」

 

ゆり「……当たり前でしょ?ほらほら、もっと食べて!おかわりは?」

 

イヴ「…………はい!いただきます!」

 

 

ーー

ーーー

 

イヴ「ゆりさんたちが私の家族………血が繋がってなくても家族なんだと、心がじんわりしました。」

 

りみ「うちのご飯が一番の味かぁ………。」

 

ゆり「うん、良いんだよ。今はそれで。」

 

日菜「はいはーい、次はこの日菜ちゃんの番だよ!」

 

日菜が出した料理がカツオじゃなかった事で、再び一同が驚いた。

 

花音「カツオじゃないの!?」

 

高嶋「これは……白っぽい…何だろう?」

 

日菜「これはね、"ぐる煮"だよ。」

 

ぐる煮とは、根菜類やこんにゃく等をサイコロ状に切って煮た高知県の郷土料理の事である。

 

日菜「良く家では食べてたんだけどね、防人になってからこのぐる煮を食べてるとふと思うんだ。このじっくり煮込んだぐる煮みたいに、旨味というパワーをその身に閉じ込めて、いつか羽ばたいて氷河家復興の夢を叶えてみせる!ってね。」

 

つぐみ「うん!流石は日菜さんです!その夢が叶う事を私も願ってますから!」

 

日菜「御先祖様………うん、ありがとう!」

 

有咲「次は私が行く。」

 

千聖「あら?順番的には彩ちゃんじゃないの?」

 

彩「あ、私はもう少し後にするよ。」

 

彩を後に回し、有咲が出した料理はスパゲッティのミートソースだった。そして少し顔を赤らめながら有咲は話し出す。

 

有咲「私も花音と同じでさ……小さい頃に家族で行ったレストランの光景が思い出深かったんだ。ほら、あるだろ。食品サンプルでフォークがスパゲティを持ち上げてる形のヤツが。それを私はさ……魔法か超能力かだと思っちゃってた訳。それで自分にも出来るかもって、注文した後に延々と真似したんだ。巻き取っては、空中でフォークを離して、何度も何度もさ。当然凄く怒られたよ。それでもめげずに、家でもスパゲティをねだっては試して失敗して、また叱られて……。親も呆れてたけど、兄だけが最後まで付き合ってくれて…バカだよな。」

 

中たえ「有咲のお兄さんは今でもやってるよ?別室で。妹を笑顔にしたいから………ってね。」

 

有咲「はあぁぁぁっ!?嘘だろ!?良い歳して何やってるんだよ!!」

 

中たえ「あははははは!本当だったら面白かったのにね!」

 

有咲「ちょまっ………!花園たえーーーー!!!本当だったら奇行すぎて大赦クビになるわーーー!!」

 

 

 

 

 

 

香澄「はい!次は私だよ!じゃじゃーん!アメリカンドッグ!」

 

あこ「ん?香澄にしては珍しいね。てっきりフライドポテトかと思ってたけど。」

 

香澄「それも迷ったんだ〜。このアメリカンドッグはね家ではクリスマスに作ってもらってた物なんだけど、私も有咲と同じで、これをお母さんが作ってる時に魔法使いだ!って思ってたんだ♪私にとってクリスマスはお母さんがキラキラドキドキな魔法を使う日。サンタさんより素敵な魔法使いの日なんだ。」

 

燐子「メルヘンチックで素敵な話ですね……。」

 

中沙綾・小沙綾「「次は私たちです。いつも通りなんですけどね。」

 

大方の予想通り沙綾が出した物はチョココロネ。

 

小たえ「勇者部の定番のおやつだ!」

 

中沙綾「私がチョココロネを作り始めたのは香澄と出会ったのが切っ掛けでした。」

 

蘭「そうなんだ。」

 

中沙綾「正確にはそれまでも試した事はあったんだけど、自分が納得する出来栄えにはならなくて。」

 

小沙綾「そうなんです。実家でも何度か試したんですけどね。」

 

中沙綾・小沙綾「「でも、上手くいかなくて諦めてしまった……。」」

 

小沙綾「その時は自分がまだ子供だったからと思ってましたが、どうしてまた挑戦を?」

 

中沙綾「香澄がチョコが好きって言ってくれたから。」

 

美咲「切っ掛けは分かったけど、それだけで出来なかった事が出来るようになったの?」

 

中沙綾「再挑戦して気付いたんだけど、お菓子作りは優しい気持ちで拵えないと美味しい甘さにはならないんだ。例えば怒りながら大根おろしを擦ると辛くなったりするんだけど………。甘い物も一緒。作り手の気持ちや感情を反映するんだよ。」

 

小沙綾「そうか……そうだったんですね。誰の為にどんな思いで作るかが、料理には最も重要…。」

 

香澄「さーやのチョココロネが美味しいのは、私がさーやの事が好きで、さーやがその想いに応えてくれたからなんだね!」

 

ハグをする2人を見ながら、一同は思った。このチョココロネは甘すぎる、と。

 

有咲「甘さに大満足だな。で、次は誰だ?」

 

りみ「はい、私だよ♪」

 

りみの一言で会場全体に緊張が走るのだったーー

 

 

 

 

 

 

まだ料理を出してない人はりみと彩だけとなった。皆が緊張な面持ちの中、次に料理を持ってきたのはりみだった。

 

蘭「…………。」

 

有咲「…………。」

 

花音「……………。」

 

みんなが息を呑む。

 

りみ「私が用意したのはこれです。」

 

りみが持ってきた料理を見て、一同は驚く。何故なら、お皿の上は空で料理が乗っていなかったのだから。

 

あこ「え?………空?」

 

りみ「私の思い出の料理は、もうみんなが何回も食べてるお姉ちゃんのご飯です。両親が亡くなってから、ずっと毎日お姉ちゃんが料理を作ってくれました。だけど、一度だけ。たった一度だけ、お皿が空で出てきた事があったんです。」

 

ゆり「……………あっ。」

 

りみ「その日、何が気に入らなかったのか、お昼ご飯の時に……絶対に言っちゃいけない事を言っちゃったんです。食べたくない。お母さんの味と違う…………って。そしたらその日の夜、ご飯は出てこなかった。」

 

ゆり「ぁ………私は私で腹立てて…でも怒ってた訳じゃ…。自分が不甲斐なかったんだ。その頃は両親を奪った大橋の事故とか、大赦の態度とかにもイライラしてて。でも、りみの為に頑張らなきゃ、耐えなきゃって思って踏み止まってた気持ちが爆発しちゃって……。」

 

りみ「だけど、その次の日からお姉ちゃんの指には絆創膏が増えて……増え続けていって……でも暫くすると今度はその絆創膏が一枚ずつ減っていって、とうとう無くなって……傷も消えて……そうしたら、ご飯が………お母さんの味になってた。ただのワガママだったのに……お母さんの味…に………。」

 

りみの話にみんなが涙を流している。

 

りみ「お姉ちゃん、ごめんね。私…あの時の事ずっと後悔してて……謝りたくって…。」

 

ゆり「良いんだよ……良いの。ほら、もう泣かない。そんな事とっくにお見通しなんだから、お姉ちゃんは。」

 

りみ「うぅ………皆さんこんな思い出でごめんなさい…。」

 

香澄「謝る事なんてないよ、りみりん。とっても素敵な姉妹の思い出だよ。」

 

ゆり「私はね、思うんだ。沙綾ちゃんが言ったように、手を通して料理に移る想いは凄く大切なものなんだって。紗夜ちゃん。イヴちゃん。あなたたちがうちのご飯を良い物だって思ってくれて私は嬉しい。美味しいって言ってくれて、健康でいてくれるだけで私は嬉しいんだから。」

 

リサ「ゆりさんの想いは、りみもアタシたちみんなもちゃんと解ってます。」

 

ゆり「なんか湿っぽくなっちゃったけど、最後は私と彩ちゃんから。」

 

イヴ「そう言えば、彩さんの料理は後回しになってましたね。」

 

彩「前にも言ったように、私にとってはここでのご飯が全部キラキラドキドキした素敵な思い出なんだ。」

 

ゆり「だから私たちからはみんなが今まで食べてきた素敵な料理を大放出だぁ!!」

 

一同「「「えぇ〜〜っ!!?」」」

 

彩「ふふっ、実は内緒で調理班の人たちにお願いして作ってもらってたんだ。」

 

つぐみ「彩さんだって手伝ってくれましたよ。さぁ、マイクをどうぞ。」

 

つぐみからマイクを受け取った彩は、一呼吸置いた後に話し出した。

 

彩「えっと……今まで貰ってたばかりの私が、料理に興味を持ったのは…みんなの食べてる時の顔がキラキラに輝いてたからです。私にも料理が出来たら、一緒に食べるだけじゃなくて、作ってみんなを楽しませてあげられる。そんな自分になりたいって思ったのが切っ掛けでした。そして、やっと今日……私、デザートを一人で作れたんだ!イチゴムース!良かったら食べてみて!」

 

みんなが用意された沢山の料理を食べながら、ゆりが今回の本題である大赦からの依頼内容について口を開いた。

 

ゆり「さて、じゃあ食べながら今回の依頼内容について話していこうか。」

 

薫「そう言えば、本題はそれだったね。」

 

リサ「りょーかい。これは元々民間企業から大赦に来てた案件でね、それを勇者部で受けてはどうかって相談されたんだ。」

 

蘭「珍しいね。どんな内容なの?」

 

中たえ「簡単に言うと、VRシステムの開発におけるサンプルテスト……って言ったところかな。」

 

紗夜「それはゲームですか?」

 

中たえ「残念ながら違います。神世紀のVR技術はゲームより医療の方面に特化してて、既に様々な医療に活かす実用に向けての実験が繰り返されてるんです。」

 

例えば、手が動かない人に自分の手が動く映像を見せて、脳を錯覚させる。そうして現実での機能改善を図ったり、脳に障害を負ったり、認知症になった人に失ってしまった記憶を追体験させる事で、脳機能を復活させたり等である。

 

中沙綾「記憶……。」

 

リサ「だけど、成果を上げるのはかなり難しくて…実用化にはまだ一歩足りないんだよ。」

 

赤嶺「聞いただけで難しそうな内容だけど、私たちで何か役に立てるの?」

 

リサ「先方が研究してるのは、指定されたあらゆる映像をVR上で具現化して体験させる事なんだ。」

 

中たえ「私たちの望んだ妄想でも現実でも、とにかく映像化して見せる実験をして、データを取りたいんだって。大人だとどうしても発想に自分でブレーキをかけちゃって、実験データとしては不十分……。」

 

リサ「でも、アタシたちなら行きたい所や、したい事が現実非現実問わずに無限に出てくるでしょ?出来る事、出来ない事を見極めて、仮想体験をした人の脳や身体にどんな影響があるのか、それがかなり大事な要素になってるって聞いてる。」

 

ゆり「正直難しい話だけど、それが医療の発展に役立つなら受けても良いかなってね。」

 

香澄「私たちが困ってる人を助けられるんですね!頑張って期待に応えようよ、みんな!」

 

満場一致で、今回の依頼を受ける事が決定する。

 

千聖「それで、具体的に私たちは何をすれば良いのかしら?」

 

リサ「まず、何組かに分かれて"見たい世界"を詳細に教えて欲しいんだ。」

 

りみ「見たい世界?平和な世界とか楽しい世界とかですか?」

 

中たえ「それだとちょっと漠然としすぎかな。もっと細かい方が良いよ。」

 

薫「海の中とかかい?」

 

中たえ「そうです。もし見たい世界が過去の現実なら、昔の写真や映像を送ってくれても良いそうです。」

 

蘭「それが現実みたいに再現出来るなんて……神世紀はやっぱり未来だね。」

 

紗夜「ですが、そのくらいなら西暦の時代にも出来たと思いますが……何が違うのでしょう。」

 

中たえ「あっ、後出来れば着たい服とか持ち物も細かく具体的に教えて欲しいって。」

 

あこ「服も!?」

 

リサ「あこが持ってる物だって良いし、雑誌の切り抜きでも良いんだって。」

 

彩「見たい世界っていうのは、アニメや絵本の世界でも良いの?」

 

中たえ「大丈夫ですよ。」

 

有咲「へぇ〜にわかには信じ難いな。そんなのプログラムするだけで何年もかかりそうなのに。」

 

リサ「それが短期に出来る程の……世が世なら国家機密レベルの特許技術らしいよ。」

 

日菜「国家って言っても一つしか無いのにね。」

 

小沙綾「では、グループに分かれるならある程度、希望の統一が必要ですね。」

 

小たえ「そうだね。同じ世界を見たい人同士で相談しないと、変な世界になりそう。」

 

夏希「なら沙綾は今回私と一緒のチームね。」

 

燐子「珍しいね……何かアイデアが?」

 

夏希「はい。ちょっと思いついちゃったんです。まだ内緒ですけど。」

 

各々がグループを作り始めたり、どんなアイテムを揃えようかと話し始め、会場が賑やかになってくる。そんな姿を見ながら、少し離れた所でリサとたえは安堵していた。

 

リサ「…………良かった。今の所はみんな楽しんでくれてるね。」

 

中たえ「はい。きっと最後の良い経験になります。そう信じましょう。」

 

こうして、勇者部一同は自分たちの考えを形にしながら、依頼日当日を迎えるのだった。

 

 

 

 

 

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