戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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例えそれが偽物でも、私たちはこの思い出をきっと思い出す。

強く、深く心に刻まれているんだからーー


思い出のアルバム〜偽りの記憶と本物の幸せ〜

 

 

 

寮、談話室ーー

 

よく晴れたある日の事、寮の談話室で小学生の三人が物陰から何かを観察していた。

 

小沙綾「………やっぱり、こんなの良くないんじゃない?」

 

夏希「すっごい!!あんな技初めて見た!」

 

覗き見に罪悪感を示す沙綾を横目に、夏希はテレビの画面を目を輝かせながら見ている。

 

小たえ「二人とも、静かに。」

 

そしてそんな二人に声をかけながらメモ帳にペンを走らせているのがたえだ。三人の目線にある光景とはーー

 

 

 

 

 

高嶋「わわっ!紗夜ちゃん、助けて!!」

 

紗夜「すぐ行きます、高嶋さん。任せてください!」

 

鮮やかなコントロール捌きで次々とゾンビを打ち抜き倒れていく。紗夜と高嶋がテレビゲームをしている光景だった。

 

高嶋「ありがとう!流石は紗夜ちゃんだね!」

 

紗夜「これくらいなんて事ありません。回復薬をどうぞ。」

 

 

 

 

小たえ「さらさらさら………と。出来た♪」

 

二人がテレビに釘付けになっている間にたえは書き終えたのか、書き上げたメモを二人に見せた。

 

 

 

 

『神を讃美する女神。その存在に胸の高鳴りを抑える事が出来ないが、知られる訳にはいかない。これは心に留めておかなければならないのだから。』

 

 

 

夏希「…………何これ?」

 

小沙綾「新しい曲の歌詞とか?」

 

小たえ「そう!そんな感じ!」

 

夏希「けど、この内容って……。」

 

小沙綾「だね…若干高嶋さんと紗夜さんに似てるような…。」

 

普段は興味が色々と移り気なたえだが、このメモ帳に何かを書く時だけは異様な集中力を見せている。だから気が付かなかった。三人の後ろに高嶋が近寄ってきていた事を。

 

高嶋「何してるの?」

 

小沙綾、小たえ、夏希「「「うわぁっ!!」」」

 

高嶋「なになに………女神に手出しする事は何人たりとも許されず、犯せば大鎌でその身が塵と化す……?」

 

その声は当然紗夜の耳にも届く。

 

紗夜「大鎌……?っ!?わ、私の事ですか!?」

 

ゲームをしらながらも紗夜の肩と声はカタカタと震えていた。

 

高嶋「え?これって私達の事なの?」

 

夏希「わーーっ!!これは違います!!あのー…そのー……なーんて♪でーーす!!」

 

夏希は即座に二人の腕を掴みながら談話室を一目散に出ていった。嵐が去った後のように静まり返る談話室。

 

高嶋「…………なーんて♪かぁ。」

 

残されたのは笑顔の高嶋と顔面蒼白な紗夜、そしてゲームオーバー画面だけだった。

 

 

 

 

 

海岸ーー

 

夏希「はぁはぁ……何やってるの、おたえぇ……。」

 

小たえ「でも、メモ帳の意味解ってくれた?」

 

どうやらこのたえの行動は、普段持っているメモ帳の使い方講座のようなものだったらしい。

 

小沙綾「解んないよ!それに、夏希もこんなとこまで走るなんて…。」

 

人気の無い場所を目指して走った夏希は無意識に海まで来てしまったようだ。三人は息を整えながら周りを見渡す。すると三人の少し先から何かを打ち合っている音が聞こえた。

 

有咲「甘いぞ、千聖!」

 

千聖「それはこっちの台詞よ、有咲ちゃん!」

 

相も変わらず有咲と千聖が鍛錬をしている姿だった。だが、この場には似つかない人物も今日はそこにいた。

 

有咲「りみも遠慮しないでどんどん打ち込んでこい!」

 

りみ「そ、そんな事言われても、全然隙が無いよぉ!」

 

そこにいたのは、オロオロしながら木刀を持って狼狽えているりみだった。

 

 

 

 

『好きに打ち込む。それは好きな人の方にって意味なのか。私の気持ちに気付かない愚かな魚。』

 

 

 

 

夏希「急にどうしたの!?」

 

即座にメモを取るたえに夏希がツッコむが、たえの眼差しは既に違う標的を捉えていた。

 

ゆり「おっ、何か手応えが!」

 

薫「大丈夫かい、ゆり。手を貸そう。」

 

その目線の先には、釣り竿を握るゆりを後ろから支える薫の姿が。

 

 

 

『竿を握らないとお前を養えない。竿を握ったままだとお前を抱きしめられない。』

 

 

 

小沙綾「唐突!でも、そう書かれると、そんな感じに見えなくも……。」

 

夏希「……あの二人だもんね。」

 

二人から見れば、中三でも立派な大人なのだ。そんな中で鍛錬の方に動きがあった。

 

彩「千聖ちゃん。冷たい飲み物持ってきたよ!頑張ってね!」

 

千聖「ありがとう、彩ちゃん。」

 

有咲「余所見してる場合か!」

 

その僅かな隙を見逃さない有咲を、たえは見逃さない。

 

 

 

 

『天使を見るなら私を見て。釣りだってそう。釣るなら私を釣って欲しい。』

 

 

 

 

夏希「これはもう巫山戯てるよね?」

 

小沙綾「おたえには有咲さんがどう見えてるの?」

 

小たえ「うーん……やたらと気が多い人?」

 

疑問形で答えるたえ。それを聞いた二人は有咲をまじまじと見つめ声を揃えて叫んだ。

 

小沙綾、夏希「「有咲さんも頑張ってくださーい!!」」

 

有咲「ちょっ!?へ?お、おう……!」

 

後輩達の声援に頬を赤らめた有咲は隙丸出しになるが、千聖は含みのある笑みを浮かべ攻撃の手を止めて待っているのだった。

 

小たえ「さぁ、場所を変えよっか。二人には私のメモ帳の使い方をマスターしてもらわないと。」

 

夏希「おーっ!」

 

小沙綾「はぁ……。」

 

やれやれとため息をついた沙綾。夏希は解らないなりに乗っているが、沙綾はうんざりしているようだった。だが、先に歩き出した二人に置いて行かれたくないので結局ついて行く事には変わりない。

 

 

 

 

---

 

 

 

 

美竹農園ーー

 

小たえ「大物がありそうな予感がする。」

 

小沙綾「私は嫌な予感しかしないよ……。」

 

案の定そこにいたのは蘭とモカの二人。

 

蘭「見てよモカ。トマトが沢山採れたよ。」

 

モカ「ホントだねぇ。」

 

 

 

『王と王妃。二人は仲睦まじくトマトの様な赤い頬をツンツンし合う。』

 

 

 

夏希「あ、これは割と事実だね。」

 

小たえ「事実は小説よりも……だからね。」

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、三人が歩いていると、公園のアイスクリーム屋が目に入った。偶然そこでは日菜と花音、イヴの三人がアイスを買っていた。

 

日菜「たまにはこんな店にフラッと寄って食べるアイスも美味しいね。」

 

花音「そうだね。何かこう、特別感があるよ。」

 

イヴ「友達と食べれば、どんな物でも特別感があります。……っ!」

 

イヴ「冷てぇ!頭がキーンてくるぜ!」

 

アイスクリーム頭痛がキッカケでもう一人のイヴと交代する。

 

イヴ「こんな時はラーメンが食いてぇな!熱々の!」

 

花音「ふえぇぇっ!それは順番が逆じゃないかな!?」

 

日菜「あははっ!るんっ♪てくるねぇ、イヴちゃん!良いじゃん!行こうよ!」

 

騒がしい会話を聞きながら夏希はたえに尋ねる。

 

夏希「流石にこれは無いよね?」

 

小たえ「ふっふっふ……甘いよ、夏希。」

 

既にたえはその使命を終えた後だった。

 

 

 

 

『本当は貴女というラーメンを啜りたい。だけど二つは無理。お腹がいっぱいになっちゃうから。』

 

 

 

 

小沙綾「何だか私まで頭痛が………。」

 

 

 

 

 

 

 

花咲川中学、倉庫ーー

 

一方その頃、倉庫では美咲達が今まで催しもの等で作ってきた衣装の虫干しを行っていた。とは言え、それ用の衣装は新しく買う為の生地の割引と引き換えに殆どが美咲によって生地屋に提供されており、そうでなければまた別の衣装に作り替えられたりしていたので大掛かりな作業ではなかった。その為手伝いに来ていたあこに燐子、そして六花が時折コスプレと称して着たりして暇を弄んでいた。

 

あこ「どう、りんりん。似合う?」

 

燐子「ちょっと大きいけど、似合ってるよ…あこちゃん。」

 

六花「馬子にも衣装って感じだよ!」

 

あこ「えへへ……そうかなぁ!」

 

燐子「朝日さん…それは褒め言葉じゃないです……。」

 

あこ「んなーーー!!!」

 

この世界に来た当初なら、この騒がしさに煩わしさを感じていたかもしれないが、今の美咲はこの騒がしさが程よく心地良かった。

 

六花「………ん?美咲さん、それは何ですか?」

 

六花は美咲が持っていたクッキーの空き缶に入れられていた布切れを見て尋ねた。

 

美咲「衣装を自作した時に余った布の切れ端だよ。こればっかりは引き取ってもらえないし、何かに使えるかもって取っておいたんだ。」

 

六花「凄い枚数ですね。」

 

差し詰めそれは勇者部の辿って来たこれまでの思い出そのもの。着飾る勇者たちの花びらの様なもの。

 

美咲「私、これをタイムカプセルに入れようと思ってるんだ。」

 

その言葉を聞いて、六花は少し前に香澄が言っていたという計画を思い出す。

 

 

ーーー

ーー

 

 

勇者部部室ーー

 

香澄「タイムカプセル埋めてみたい!」

 

勇者部「「「えっ!?」」」

 

あこ「タイムカプセルって何?」

 

燐子「タイムカプセルはね…思い出の物を入れた容器を地面に埋めて…何十年か後にまた掘り出して昔を懐かしむって物だよ……。」

 

高嶋「それ聞いた事ある。卒業記念とかでやるやつだよね?」

 

香澄「そうそう!それそれ!」

 

ゆり「それは分かったけど…どうして急に?」

 

香澄「昨日、テレビで観たんです!」

 

ゆり「そ、そうなんだ……。」

 

夏希「私もその番組観ました!」

 

薫「私もだ。」

 

花音「結構感動的な話だったよね。」

 

 

ーー

ーーー

 

 

六花「その話、リサさんから聞きました。結局、その後に中立神の試練が始まって、私達が来て先延ばしになってたんですよね。」

 

美咲「先延ばしなのは良いんだけど、いつになるんだろーねぇ……。」

 

大切そうにクッキー缶に蓋をして独りごちていると、満足したのか燐子達も話に加わってきた。

 

燐子「実行のタイミング……難しいですよね…。」

 

あこ「だよね…。また人数増えるかもしれないし、その度に埋め直ししないとだし。…………なら個別で埋めるのはどう?」

 

六花「それだと学校が穴だらけになっちゃうかも。」

 

倉庫に笑い声が響くが、一瞬で静けさが周りを包んだ。

 

あこ「でも、あこ……埋め直しが大変でも、ここでの思い出残したいよ…。」

 

燐子「そうだね…出来る事なら戸山さんが言ってくれたみたいに……。」

 

 

ーーー

ーー

 

 

香澄「そしたら、このアルバムを見た私は、きっといっぱい考えると思う。まるで私が作ったみたい。ひょっとしたら私が作ったのかな?って。それできっと、もしかしたら…………ううん!絶対に思い出すと思うんだ。この花は誰で、こっちは誰で………それで、みんなが……大勢の友達が、私の側にいたんだって事を。絶対に!!」

 

 

ーー

ーーー

 

 

あの時香澄は言った。"絶対に思い出す"と。その力強い言葉は、今でもみんなの原動力になっている。

 

 

 

 

 

夏希「………まだ時間あるよね?決戦まで。」

 

小沙綾「それは……分からない。」

 

倉庫の外で、沙綾達が膝を抱えて座り込んでいた。外から戻ってきた三人は倉庫から賑やかな声が聞こえた為足を運んだのだが、思わぬ方向に話が進んでいった為、中に踏み入るタイミングを損なっていたのだ。

 

小たえ「こればっかは流石にね……。」

 

夏希「タイムカプセル……早くやった方が良いのかもね。急に最後の戦いが来たら、私達ならすぐに倒しちゃうだろうし!」

 

精一杯の空元気で話す夏希だが、沙綾の顔は晴れない。

 

小沙綾「戦いは終わって欲しい……でも…。」

 

言葉が続かない。中立神を倒せば各々は元の時代に戻る。それは同時に、これから起こる過酷な運命と再び向き合わなければならないという事だ。

 

小たえ「沙綾……。」

 

夏希「…………あーーやめやめ!考えてもしょうがない!頭より身体を動かしに行こう!」

 

夏希は元気に立ち上がる。二人が悲しむ顔を夏希は見たくないから。そしてその事を二人も知っている。三人は体育館へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

体育館ーー

 

小沙綾、小たえ、夏希「「「えぇ………。」」」

 

元気よく体育館へ向かった三人は絶句した。何故ならそこには仁王立ちの友希那と、その前で正座をしている中学生のたえ。更に赤嶺とつぐみ、香澄と中学生の沙綾までいたのだから。

 

リサ「おっ、三人ともどうしたの?」

 

後ろからリサの声が聞こえてきた。状況が状況なだけに、今はその笑顔が何故だか不気味に感じてしまう。

 

夏希「あの……これはどういう…。」

 

友希那「いつかのバレンタインの時もそうだったけど、どうしてメモを取るのかしら?」

 

静かに怒る友希那の言葉で三人はこの状況の理由に検討がついてしまった。

 

赤嶺「そうだよ、たえ。私がつぐちんと友希那さんの仲を疑ってヤキモチを焼くなんて有り得ない!だよね?つぐちん。」

 

つぐみ「そうだね、赤嶺ちゃん。」

 

中学生のたえは小学生のたえの二年後の姿。当然メモ帳も年季が入っている。

 

中沙綾「おたえ、流石に今日はーー」

 

香澄「うんうん、おたえは流石だよ!さーやの家に隠し部屋があって、壁一面に私の写真があるなんて!」

 

中沙綾「それは嘘だよ、香澄!!」

 

香澄「解ってる♪それってさーやが犯人のミステリー小説でしょ?夜な夜な私の家に忍び込んで何時間も寝顔を観察するなんて、絶対に有り得ないし♪」

 

中沙綾「そ、そうだよおたえ……私がそんな事する訳無い無い!」

 

友希那「熟年夫婦とはどういう意味かしら?花園さん。私たちはまだ中学生よ?」

 

小沙綾、夏希、小たえ「「「そこ!?」」」

 

三人が一斉にズッコケた。

 

リサ「あははっ!まぁまぁ良いじゃん、友希那。それ程アタシ達が馴染んでるって意味だよ。」

 

リサが笑って友希那を宥める中、好機と見たたえが反撃に出る。

 

中たえ「私はメモには誰の名前も書いてないんですけど、どうしてみんなは自分達の事だって思ったの?」

 

友希那達「「「なん………だと……!?」」」

 

この言葉に全員が言葉を失い、怒りと羞恥心が頭を駆け巡り思考停止で言葉が出なくなってしまうのだった。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

寮、夏希の部屋ーー

 

小沙綾「あの逃げ方は狡いよ。おたえもたえさんも内容は出鱈目だけど、誰だか解るように書いてるんだから。」

 

カオスに陥った体育館から逃げ出した三人は、夏希の部屋で今日の出来事を振り返っていた。

 

小たえ「特定の名前を書いたら歌詞じゃないからね。」

 

夏希「バレた時の言い訳用じゃないの?」

 

小たえ「そう。"最初"はね。」

 

小沙綾、夏希「「最初?」」

 

含みのある言い方に二人は困惑する。

 

小たえ「でもあの日……タイムカプセルを埋めようってみんなで決めたあの日。私とたえ先輩は思ったんだ。名無しでしかも内容が事実と違うメモなら、神樹様も残してくれるんじゃないかって。」

 

小沙綾、夏希「「あっ………。」」

 

あるはずの無い記憶を呼び覚ます事が出来る方法。それもあの時の話し合いで導き出されていた一つの希望的推論だった。

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

中たえ「なら、神樹様にとってだけ、くだらない物を入れるっていうのは?」

 

彩「神樹様にとってだけ?」

 

中たえ「例えば、このお菓子は、神樹様から見れば単なるお菓子だけど、あこや夏希にとってはそうじゃないと思うんだよね。」

 

香澄「それだよ!私達とか戦いとかと直接関係は無いけど、少しの思い出っていう物だったら、もしかすると………!」

 

友希那「そうね……神樹の目溢しがどれだけのものかは不明だけれど。」

 

高嶋「やろうよ!未来に残せる可能性がゼロじゃ無いんだから!」

 

 

ーー

ーーー

 

 

 

小沙綾「そんな手間をかけてまでどうして……。」

 

小たえ「みんながどんなに仲良しだったか、どんなにみんなが愛情に溢れた人たちだったか………それが消えちゃうなんて嫌だから。どんな形でも残したかったから……。」

 

小沙綾「おたえ……。」

 

夏希「けど、いつもはたえさんとやってたのに、何で今日は私たちとなの?」

 

小たえ「二人にも書いて欲しくって。」

 

たえは悟っていたのかもしれない、もうすぐこの世界が終わってしまう事を。だからたえは自分だけでなく、二人にも二人から見た大切な思い出たちの姿をタイムカプセルに入れたかったのかもしれない。

 

小たえ(そうすれば絶対……!)

 

小たえ「思い出すよ、私。メモを見れば花園たえは絶対に思い出す。沙綾と夏希と、勇者部のみんなで過ごした毎日を。これはその為の嘘。だけど本当の大切な記憶。」

 

悪ふざけで書いていたメモにこんなにも真摯な想いが込められていたとは誰が思っただろうか。

 

小沙綾「……書くよ、私も。」

 

一番に言い放ったのは意外にも沙綾だった。

 

夏希「ええっ!?真面目な沙綾が!?」

 

小沙綾「馬鹿にし過ぎ。私だって本気を出せばちゃんと真面目に巫山戯られるんだから。」

 

小たえ「ありがとう、沙綾。」

 

夏希「………よし、だったらこの私も一肌脱がなきゃね!」

 

悪戯な笑みを浮かべながら、夏希はたえを抱きしめた。

 

夏希「人のばっかりじゃなくて、たえの事も書かれてないとダメでしょ?愛してるよ、おたえ♪」

 

小たえ「私もだよ、夏希♪さぁ、沙綾!書くなら今だよ!早く早く!!」

 

小沙綾「えっ!?ちょっと待って………もう、二人だけなんてずるい!!」

 

焦る沙綾が自分もと、ズッ友の間に笑顔で挟まった。くっつき合って笑う仲良しの三人組。

 

 

 

 

山吹沙綾ーー

 

海野夏希ーー

 

花園たえーー

 

 

 

彼女たちは過酷な運命を背負った特別な少女である。

 

 

 

だがこれは、何処にでもいる様な子供同士の戯れであり、友達同士の何処にでもある幸せな姿だった。

 

 

 

 

例え三人が勇者であっても、きらめく笑顔は永遠に心から消える事は無いだろうーー

 

 

 

 

 


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