戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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思い出の章、最終回後編です。

パーティは続いていく--

時には熱く激しく、時にはしっとりとした調べに自分達の気持ちを乗せて。
御役目を忘れ一時の楽しい時間を過ごす彼女達の笑顔は光り輝いていた--



思い出のアルバム〜想い伝える時間〈後編〉〜

パーティ会場--

 

あこ「さてさて!宴もたけなわになったけど、ここで2回目の祝電披露だよ!」

 

小たえ「勇者部の皆様、お世話になっております。近年は麺その物もそうですが、粉の消費量も右肩上がりなのは、一重に皆様の啓蒙と御尽力のお陰だと実感しています。今後とも、うどんのパワーで勉学、運動等頑張ってください。全国うどん協会一同より。」

 

ゆり・蘭・美咲「「「全国うどん協会!?」」」

 

りみ「そんな大きな所まで……。お会いした事は一度も無いのに…。」

 

友希那「これだけ揃っているんだもの。その協会に知られていてもおかしくないわ。」

 

赤嶺「次読むね……コホン。勇者部さん、部長の牛込ゆりさん、お世話になっております。皆さんの健啖ぶりと精神力、仲間を信じる心は今でも、我々の語り草となっております。またいつの日か勝負し決着を付ける事を胸に、お互い精進を重ねて参りましょう。力士代表・饂飩龍より。」

 

ゆり「饂飩龍さん……あなたも日々胃袋を磨いてるんですね…。」

 

六花「さ、流石は大食い対決でうどんを34杯食べて引き分けたゆりさん……。」

 

千聖「あれだけ食べれば、うどん協会の目に止まるのも納得よね…。」

 

イヴ「因みにですが、うどん協会からは、うどんの無料券、相撲部屋からは、ちゃんこ鍋セットが届いています。」

 

薫「次の祝電は私から読ませてもらおう。勇者部様方が召喚されて早幾年の…………"ユ"?」

 

ゆり「……あぁ、これは"よし"だね"ヨシ"。」

 

薫「成る程…… 勇者部様方が召喚されて早幾年の由、心よりお喜び申し上げます。思い返せば今井様と花咲川中学勇者部との…………。」

 

ゆり「ん?………ぁ、"かいこう"。」

 

薫「成る程……邂逅を皮切りに、神樹様の奇跡の御力で歴代の勇者様方が次々と集結されてゆき、今日(きょう)では……。」

 

ゆり「そこは"こんにち"ね。」

 

有咲「もうゆりが読めば良いだろ!!」

 

ゆり「それじゃあ……今日では総勢27名にもなる勇者様、巫女様方に世界の安寧を支えて頂いております事、誠に感慨深く。日々、我々も己の成すべき御役目に粛々と勤しんでいる次第でございます。今後とも皆様には、御精進と御研鑽を積まれ、必ずや此度の試練に打ち勝たれますようここに御祈念を申し上げ奉ります。大赦。」

 

夏希「やっぱり、やけに硬いなぁって思ってたら大赦からだったね。」

 

彩「忙しいのに、わざわざ電報をくれるなんて…。」

 

ゆり「追伸。」

 

大赦からの祝電が終わったと思いきや、まだ続きがあるらしい。

 

美咲「まだあるの!?」

 

ゆり「花園中たえ様。節目節目の完成型の御写真、有り難く拝見し。また一日千秋、お待ち申し上げております。」

 

りみ・有咲・千聖「「「え…………?」」」

 

紗夜「完成型………それはつまり…。」

 

その言葉で全員がたえの方を向いた。

 

モカ「成る程〜。この祝電を打った神官……もしかして有咲のお兄さん?」

 

蘭「良かったじゃん、有咲。」

 

有咲「ど、何処がだぁ!!!花園たえぇぇーー!!写真の横流しなんていつの間に!?」

 

顔を真っ赤にした有咲がたえを追いかける。

 

中たえ「え?だって有咲のお兄さんが"連絡をくれない"って、仮面の下で泣いてる…気がして……。」

 

有咲「だからってなぁ……はっ!?どんな写真送ったか見せろぉーーー!」

 

中たえ「大丈夫だよ?ちゃんと可愛い写真しか送ってないから。」

 

香澄「うんうん!有咲の写真って、可愛いものが多いからね。」

 

有咲「う……ぅぐわあぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

--

 

 

あこ「さぁ、いよいよライブも終盤に差し掛かってきたよ。次のバンドは……--」

 

イヴ「まて、あこ。次は俺に紹介させな。地方組、4人によるバンド……"Afterglow"だぁーー!!」

 

蘭「どうも……。」

 

美咲「いやー覚えるのホント苦労したよ…。」

 

薫「美咲なら大丈夫さ。私が保証するよ。」

 

美咲「いや、薫さんに保証されても……まぁ、良いや。」

 

モカ「モカちゃんがフォローするから任せなさい。」

 

蘭「"Afterglow"です。短いですが一曲聴いてください。"Scarlet Sky"。」

 

 

〜〜〜〜♪

 

 

モカ、薫のダブルギターによる荒々しいサウンドが響き渡る。普段の2人からは到底想像もつかない音色だった。

 

紗夜「奥沢さんは……あれはDJですか?」

 

千聖「随分珍しいわね。」

 

美咲(あはは……やっぱ物珍しげに見るよねぇ…。)

 

 

---

 

 

あこ「うんうん!本当に激しいステージだったね!皆様、ここら辺で冷たい飲み物でもどうぞ!残すところ後2グループとなりましたが、ここでインタビューです。」

 

そう言いながら、あこは水分補給をしているイヴのもとまでやって来る。

 

イヴ「ゴクゴクゴク………ん?どした?」

 

あこ「企画者であるイヴから一言お願い。」

 

イヴ「あん?………なっ!?さてはイヴ、俺が出てくる事を読んでたのか!?」

 

あこ「イヴの想いは最初に聞いてるから、ここはもう一人のイヴにお願いね。」

 

イヴ「あーーーーーっ………。」

 

全員の視線がもう一人のイヴに集まっている。顔を真っ赤にしながら、観念した様にイヴはあこからマイクを受け取り喋り出した。

 

イヴ「……わーったよ。みんな今日は、イヴの提案に乗ってくれて……あ、ありがとな。俺は、お楽しみ会なんざガキっぽくて!別に……楽しいとか………ねーけどよ。お前らが楽しかったなら、良かったんじゃねーの。あ………?バカ、テメーが言え…っ、オイ……っ!」

 

彩「イヴちゃん、どうしたのかな?」

 

薫「恐らくだが、内で揉めているんじゃないかな。」

 

イヴ「あ、あのな………イヴが…イヴがだぞ!?いや、まぁ俺もちったぁ……そう…かもだけど……。つまり何だ…イヴも俺も……テメーらが……その…えっと………だ、だ、だだ……だ…大好きなんだよーー!!!」

 

イヴ「…………はっ。やっと言えたんですね……もう一人の私。」

 

花音「ふぇ?何か今、物凄く貴重な言葉を耳にしたような……。」

 

千聖「録音しておけば良かったわね。」

 

日菜「何言ってるの?私の心にはルンっ♪て響いたよ!」

 

高嶋「イヴちゃん……あんなに真っ赤になって、一生懸命勇気を振り絞って私達に……。」

 

香澄「もう一人のイヴちゃーーーん!聞こえてるーーー?私も大好きだよーーー!」

 

彩「私もだよーー!イヴちゃんももう一人のイヴちゃんも!大大大好きーーー!」

 

イヴ「ふぇ……わ、私もですか……!」

 

蘭「私も、2人が大好きだよ。」

 

友希那「そうね。あなた達が私達を想っているのと同じくらいに。」

 

小沙綾・夏希・小たえ「「「大好きーーー!」」」

 

りみ・赤嶺・つぐみ「「「大好きーーー!!!」」」

 

中沙綾「大好きの大合唱だね。これこそ録音しておきたかったな。」

 

リサ「大丈夫だよ。いつでも言いたくて、いつでも聞ける言葉なんだから。」

 

 

--

 

 

あこ「さて、名残惜しいけど、残すところ後2グループとなってしまいました…。これから準備に入るので、皆様は再び上がった熱を冷ます、アイスクリームをどうぞー。ふぅ……。」

 

一息ついたあこの元に、燐子とリサがやって来る。

 

燐子「あこちゃん…アイス持ってきたよ…。」

 

あこ「りんりん…リサ姉……ありがとう!」

 

リサ「あこ、疲れてない?後ちょっとだから頑張って。」

 

あこ「大丈夫だよ。それより、イヴすっごい喜んでたね。」

 

リサ「そうだね。でも、あこも頑張ってるよ?」

 

燐子「ご飯あんまり食べれてないよね……。あこちゃんの分は全部取っておいてあるから…。」

 

あこ「本当に!?実はメインディッシュを食べ損ねてどうしようって思ってたんだ!あっ、準備が終わったみたいだね!それでは皆さんお待たせしました!5組目は"Pastel✽Palettes"です!どうぞー!!」

 

大勢の拍手に包まれて、ステージに"Pastel✽Palettes"の5人が登壇する。

 

彩「皆さーん!楽しんでますか?」

 

香澄・高嶋・赤嶺「「「楽しんでるよーー!!!」」」

 

千聖「残り僅かな時間だけれど、皆さん盛り上がっていきましょうね!」

 

日菜「今日も日菜ちゃんがこのステージをるんっ♪で包んじゃうよ!」

 

花音「ふえぇぇ……久々だから上手く叩けるかなぁ…。」

 

イヴ「大丈夫です。一生懸命練習しましたから、自信を持ちましょう……!」

 

彩「それではまず一曲聴いてください、"はなまる◎アンダンテ"!」

 

 

〜〜〜〜♪

 

 

大丈夫だよ背中は

温もりが私を

ぴったり守ってくれているから

猫背な心伸ばして

前向いて歩き出そう

願いが集まるその時

君の掛け声で飛び立つから

 

 

--

 

 

イヴ「聴いてくれてありがとうございます!」

 

彩「最後の曲は千聖ちゃんから発表してもらおうかな。」

 

千聖「……そうね。この歌は"象徴"を歌った曲。防人だった私達は勇者という人類の象徴に憧れていたわ。だけれど、この世界で私達もその目指していた象徴というものになれた………と言って良いのかもしれない。平和を守る気持ちは皆同じ。友希那ちゃん達西暦の勇者から始まって、赤嶺さん達羽丘組、夏希ちゃん達神樹館組から受け継がれてきた想い、それを抱えながら私達はこれからわ生きていく。聴いてください、"title idol"。」

 

 

〜〜〜〜♪

 

 

たくさんの輝き

たくさんの想い受け継ぎながら(生きてゆく)

私達は「アイドル」

それぞれの場所でそれぞれに輝け

だからこそ(終わる事は無いの)

素晴らしき(物語は続く)

タイトルが「アイドル」な限り

ずっと

 

 

--

 

 

パーティ会場--

 

友希那「白鷺さん達の思いが伝わってくる……。」

 

赤嶺「絶対に諦めない……私も…つぐちんを…。」

 

有咲「ライバルの存在か……。私も千聖がいたからここまで来れたんだ。」

 

"Pastel✽Palettes"のライブが終わり、いよいよラストの"Roselia"のライブが始まる。

 

 

---

 

 

あこ「さぁ、大トリはあこ達"Roselia"だよ!!」

 

燐子「大トリ……緊張します……!」

 

リサ「落ち着いて、燐子。深呼吸深呼吸。」

 

燐子「は、はい……。すぅー………はぁー………。」

 

あこ「どう?落ち着いた?」

 

燐子「うん…ちょっとだけ…。」

 

準備が整いライブが始まる直前、紗夜がマイクを手に取った。

 

紗夜「曲を始める前に、少しだけお時間をいただいて良いでしょうか。」

 

高嶋「紗夜ちゃん?」

 

紗夜「私も最初は皆さんと距離をとって一線を引いていました。許容範囲が狭くて、事ある毎に頑なな態度を皆さんにとったりもしました。ですが、皆さんはそんな私を決して見捨てる事はせず、それどころか私の周りに寄り添い厚い氷を溶かしてくれて……。」

 

 

--

 

 

無人島、山中--

 

 

紗夜「強く、優しく、皆に愛されるあなたが羨ましかった。私はずっと湊さんに憧れていたんです。」

 

紗夜「あなたになりたいと何度も………何度も思いました。ですが……それはもう終わりです。この世界で私はみんなに、"氷川紗夜として"受け入れてもらって、幸せになれました。あなたになれなくても……私自身を見てくれる皆さんに出会えたから………もう、満足です。」

 

紗夜「湊さん……大嫌いだったあなたが、そんなに嫌いではなくなって、いつの間にかもうとっくに…………好きになっていました。」

 

 

--

 

 

パーティ会場--

 

紗夜「やっと私は………自分でも知らなかった自分に出会う事が出来ました。ただ皆さんが私を待って……ただ、そばにいてくれたから…だから……。これからだって皆さんは、同じ様に誰の事も見守ってくれると、私は信じています。」

 

高嶋「紗夜ちゃん………凄いや。私、本当に紗夜ちゃんを好きになって良かったなぁ……。」

 

紗夜「そんな、私など…………………んっ!?!?たたたたたた高嶋さんいいいいい今今今!?!?!?」

 

友希那「…………コホン。それじゃ、気を取り直してまずは一曲聴いてください、"軌跡"。」

 

 

〜〜〜〜♪

 

 

"ありがとう"

此処で会えた貴方と私の軌跡

一つだって忘れないわ

何時までも熱いままで

 

"ありがとう"

廻る地球 貴方と私は進む

握る手離れても終わらない絆がある

 

幾千も永遠を重ね

 

 

--

 

 

パーティ会場--

 

壮大なバラードが会場を包み込む。荘厳な音色は香澄達の心を震わせた。

 

美咲「凄いね……。」

 

薫「あぁ…。ここまで一緒に手を取り戦ってきたからこそ、この曲が心に染み渡ってくる様だ…。」

 

中たえ「忘れない。忘れたくない。此処で過ごしてきた夏希との思い出を絶対…。」

 

友希那「しんみりとしてしまったけど、最後は私達らしく行くわ。貴方達、"Roselia"に全てを捧げる覚悟はある?」

 

その一言で会場が一気に湧き上がった。

 

友希那「ありがとう。それじゃあ最後の曲、聴いてちょうだい。"ZEAL of pride"。」

 

 

〜〜〜〜♪

 

 

大丈夫よ全てが

私達は此処にいる

満ち続ける心に温かさ

尊き熱の中歌と共に未来は

(解き放たれてゆく)

高みへ眩しく

(この目に映るのは)

美しき真世界

 

 

--

 

 

パーティ会場--

 

日菜「友希那ちゃん達最高だよ!!」

 

夏希「流石は風雲児です!」

 

小たえ「やっぱり御先祖様は格好良いなぁ…!」

 

蘭「流石は湊さんだね…。」

 

大歓声と共に"Roselia"のライブパートの幕が降りる。興奮の熱冷めやらぬまま、ライブはこのまま終了する筈だったが、突如香澄がステージに上がったのだった。

 

中沙綾「香澄?」

 

香澄「最後にみんなにお願いがあります。」

 

あこ「あれ?これは段取りに無かったけどなぁ……。まぁ、良いか。」

 

香澄「最後に、みんなで一曲歌いたいんです。だから、この時の為に曲を作ってきました。」

 

ゆり「香澄ちゃん、何時の間に!?」

 

香澄「えへへ……これが最後だって思ったら、居ても立っても居られなくて…。これからみんなに歌詞のカードを渡します。1番は私が歌うので、2番からはみんなで歌ってください!!」

 

そう言うと、香澄は勇者部全員に歌詞カードを手渡した。

 

香澄「これまでの思いを……気持ちを……忘れない様に。私はこの曲に込めました。いろんな時代のいろんな人が此処に集まった奇跡。その掛け替えのない時間を何時までも…ずっと……残せると願って…。行きます、"Aurora Days"。」

 

 

〜〜〜〜♪

 

 

一つ一つが

素晴らしい思い出

いつでも目に浮かぶその笑顔

一つ一つが

奇跡なんだ

此処にこうして舞い降りて来たの

So bright

 

一人一人が

掛け替えのない色

纏ってこの大地染め上げる

一人一人が

違う色で

みんな輝く事が出来るんだ

My days

 

 

--

 

 

パーティ会場--

 

香澄「…………ふぅ…。ありがとうございました!」

 

歌い終わった直後、会場に拍手と歓声が響き渡った。数十秒程続いた拍手がやがて鳴り止む。そしてそれと同時に、このイベントも遂に終わりを迎えるのだった。

 

あこ「これにて全バンドが歌い終わりましたが、どうだった、イヴ?」

 

イヴ「本当に最高でした……!勇者部は暖かい………皆さんと居られる事、私も、もう1人の私も本当に幸せです。ありがとうございました!」

 

香澄「この世界でみんなに出会えて本当に良かった!これから先、どんな事が起こっても何とかなるって気がする!」

 

友希那「最後のゴールは任せたわよ、戸山さん。」

 

赤嶺「戸山ちゃんがゴールを切るんだから。」

 

香澄「うん!でも、私だけじゃない……ゆり先輩にりみりん、有咲におたえ。そしてさーや!!それに……。」

 

千聖「私達もね。」

 

香澄「そうですね!」

 

ゆり「じゃあ、最後は全員で記念写真撮るよ!」

 

香澄「了解です!みんな、ステージまでダッシュだぁーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沢山の笑顔が集まった思い出のアルバム。最後に納められたのは今まで以上の笑顔で溢れた香澄達勇者部、総勢27人の笑顔だった。

 

 




これにて番外編は全て終了です。

残すは外伝3部が2話、最終回のその後の話が1話で物語は終わりになります。

自己満足から始まった執筆も、2年も続けられて本当に良かったです。
最後までお付き合い頂けると幸いでございます。

使用楽曲コード:22918582,22918710,23565390,25739280,25919920,71130349

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