戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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第2章最終話です。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

そして物語は第3章に続きます。




かたすみのしあわせ

 

 

沙綾「おたえは絶対に私が守るから。」

 

たえ「沙綾も必ず私が守るからね、約束。」

 

沙綾「うん、約束。必ず一緒に帰ろう。」

 

 

 

 

 

 

世界が樹海へと変貌していく--

 

闇からやって来たのは"牡牛型""魚型""獅子型"の3体。

 

たえ「また3体…。」

 

沙綾「…そういう事か。」

 

沙綾は何かに気が付いた様だ。

 

たえ「何が?」

 

沙綾「前々回の戦いの時もバーテックスは3体だった。その時に私は考えてたの。バーテックスには知識があって、あの時のやつらは確実に私達を倒してから神樹様に辿り着くつもりだったんじゃないかって。」

 

たえ「どうして?」

 

沙綾「あの3体は明らかに連携していた。わざと針を自分に刺してからそれを利用して攻撃の威力を上げていた…。だけどあの時は夏希が…命をかけて追い払ってくれた。」

 

たえ「でも、それって変だよね?」

 

沙綾「そう。こちらの戦力は下がってしまった。だけど、前回の襲撃はたった1体だけだった。次も複数で襲撃すればバーテックスが神樹様に辿り着く可能性は大いにある。」

 

たえ「バーテックスはこっちの戦力を測ってたって事?」

 

沙綾「それしか考えられない。1体減らしてまでもこちらの戦力を測り、この襲撃で確実に神樹様に辿り着くつもりだ。」

 

沙綾はバーテックスの知能の高さに恐怖を覚える。が、たえは違った。

 

たえ「でも、私達もバージョンアップで強くなった。見せてあげようよ、私達の力を。」

 

沙綾「おたえ…。そうだね、夏希が守ったこの世界を壊させやしない!」

 

2人は勇者システムを起動する。武器と勇者装束もバージョンアップに伴い変化している。加えて沙綾には左胸に朝顔、たえは腹部に青薔薇の刻印が刻まれていた。

 

沙綾「バックアップは任せて!」

 

たえ「じゃあ、私はフォワードだね!」

 

たえは飛び上がった。

 

沙綾はスナイパーライフルを構え、先行している"魚型"に1発打ち込み動きを止める。そして更にもう1発追撃しダメージを与えた。

 

たえ「やあああっ!!」

 

たえは上空から槍を伸ばし、"魚型"の頭に突き刺した。

 

たえ(武器の威力は段違いに上がっている。これなら…。)

 

沙綾「あっ、おたえ気を付けて!!」

 

たえ「っ!?きゃあ!!」

 

"牡牛型"が、後方から電撃をたえに向かって放ってきたのだ。

 

たえ「…あれ!?痛くない。」

 

しかし、たえにダメージはない。たえの精霊である"烏天狗"がバリアを張り守っていたのだ。

 

たえ「これが、精霊の力…。ありがとう、ドロちゃん。」

 

ふと、たえが腹部の刻印に目を落とすと、花びらが1枚光っていた。間髪入れずに、体制を整えた"魚型"が黒い煙を吐き出し攻撃してくる。

 

たえ「何これ!?何も見えない…。」

 

沙綾「目眩し…いや、これはガス…?まさか!」

 

沙綾が気付くも時すでに遅く、"牡牛型"が電撃を放ち、ガスに引火。

 

樹海が、炎に包まれる--

 

沙綾・たえ「「きゃあああっ!!」」

 

精霊のバリアでダメージはないが、凄まじい爆風で身動きが取れない。2人の刻印が4枚目まで光りだす。動けない2人に"魚型"は突進してくるが、バリアで阻まれる。

 

そして、2人の刻印の花びらが全て光り輝き、2人は何かを感じた--

 

沙綾「これが、勇者の新しい力…。」

 

たえ「きたきたきたー!行くよ!」

 

 

2人は神の領域に足を踏み込む--

 

 

 

沙綾・たえ「「満開!!」」

 

 

 

2人の花が光り輝き、樹海から光が集まる。その影響からか樹海から色が失われていった。光の中から現れた沙綾は勇者装束が更に変化し、巨大な8門の砲塔を持つ船に乗っていた。たえの服装も変化し、無数の羽根が付いた箱舟に乗っている。

 

直後"牡牛型"が沙綾に電撃を放つも全く効いていなかった。

 

沙綾「お前達の攻撃はもう届かない!」

 

沙綾は全砲塔からビームを照射、"牡牛型"を貫き、爆発。"牡牛型"が消滅し、無数の光が空へ昇っていった。一方でたえの方では"魚型"が口を開けて飛び上がり、飲み込もうと迫ってきた。

 

たえ「おおー!潰しにきたね!」

 

たえは羽根を突き刺し、吹き飛ばした。そして、

 

たえ「ふふーん。」

 

指を鳴らすと、"烏天狗"が出現。無数の羽根を"魚型"の周りに展開し、

 

たえ「よいしょ!」

 

手を合わせると、羽根が一斉に"魚型"に突き刺さり、消滅した。

 

沙綾「これで、後1体…。ぁ……。」

 

たえ「沙綾!あっ、あれ……!?」

 

その時2人の満開が解除され、2人は地面に落下してしまう。2人は地面に激突するが、落下のダメージはバリアが防いでいた。

 

沙綾「っ!?」

 

沙綾(何…立てない!?)

 

沙綾は起き上がれない。両足が全く動かないのだ。

 

沙綾「足が……。」

 

沙綾の勇者装束に謎のパーツが追加される。

 

たえ「あれ…?目が……。」

 

たえは右目が見えなくなっていた。そして目を補うパーツが追加される。沙綾は補助パーツのお陰で立ち上がる事が出来た。

 

沙綾「っ!?」

 

残りの1体"獅子型"がゆっくり接近してきた。

 

沙綾「もうここまで…え!?」

 

"獅子型"は無数の炎を纏った幼生バーテックスを飛ばしてきたのだ。

 

たえ「わぁ!?何かいっぱい来たよ!」

 

沙綾「くっ!」

 

必死に撃ち落とす沙綾だが、数が多すぎて全て捌ききれていない。

 

沙綾「まずい…数が多すぎ…きゃあ!」

 

幼生バーテックスの体当たりを食らってしまう沙綾。再び刻印のゲージが溜まり始める。たえは幼生バーテックスを切り裂き割いていたが、

 

たえ「数が多すぎるよ!きゃあ!!」

 

たえのゲージも溜まる。

 

沙綾は刻印を見つめる。足が動かなくなった事を思い出して、使うのを躊躇ってしまう。

 

沙綾「っ……。」

 

沙綾(でも、今はやるしかない!)

 

沙綾「おたえ!!」

 

たえ「うん!!」

 

沙綾・たえ「「満開!!」」

 

2人は再び満開した。樹海から色が再び失われる。2人は満開の力で幼生バーテックスを次々と撃退していく。それでは倒せないと悟ったのか"獅子型"は炎を一点に集め、巨大な火の玉を生み出した。色を失った樹海が崩壊していく。放たれた火の玉が樹海を破壊しながら向かってきた。

 

沙綾「はっ!?しまっ…!」

 

たえ「沙綾ー!!」

 

たえは羽根を使って盾を作り、沙綾を後ろに下がらせた。

 

沙綾「ああっ!」

 

たえ「きゃあ!」

 

攻撃を受けたたえの満開が解除されてしまう。

 

沙綾「おたえ!!」

 

たえ「はっ…そんな……!?」

 

"獅子型"の攻撃で大橋が破壊されてしまう。

 

沙綾「大橋が…。」

 

再び"獅子型"は炎を纏った幼生バーテックスを放ち始めた。

 

たえ「くっ、腕が痺れて…。」

 

たえの左腕が動かなくなり、それを補助するパーツが追加される。

 

たえ「あっ……。」

 

たえの目に映るのは次々と迫り来るバーテックスをたった1人で迎撃している沙綾の姿。しかし、捌ききれずにバーテックスが1体沙綾に迫ろうとしていた。

 

沙綾「っ!?しまっ…!」

 

しかし、すんでのところでたえが駆けつけバーテックスを槍で貫く。

 

沙綾「おたえ、無事だったんだね。」

 

たえ「ねぇ、沙綾。何か変だよ。こんな戦い方で良いの?」

 

身体機能が失われていく事に疑問を感じたたえは沙綾に尋ねた。

 

沙綾「分からない…。でも今は、神樹様をお守りしないと、私達の世界がなくなっちゃう。」

 

たえ「そ、そうだね…。」

 

"獅子型"は再び炎の玉を生み出し放ってきた。

 

たえ「さっきの攻撃…。」

 

沙綾「やらせない!」

 

今度は沙綾が前に出て全パワーを砲門に込める。

 

この時、沙綾の中にある記憶が駆け巡る--

 

 

ーーー

ーー

 

 

沙綾「これからも私と仲良くしてくれる?」

 

たえ・夏希「「もちろん!!」」

 

夏希「沙綾にはこれからも頼りにしてるんだぜ。」

 

たえ「そうだよ。沙綾は私達の参謀なんだからね。」

 

 

 

 

 

沙綾「違うの。私…ごめんなさい…。次からは始めから息を合わせる。頑張るから。」

 

夏希「うん、頑張ろうね。」

 

たえ「はい、沙綾。」

 

沙綾「ありがとう…。おたえ…夏希…。」

 

 

 

 

夏希「いやー、家族って良いもんだから普通に家庭を持つのもありかなって…。でも、そうなると将来の夢が…お、お嫁……さん。」

 

沙綾・たえ「「わぁ…!」」

 

沙綾「夏希なら直ぐに叶うよ。」

 

たえ「ドレス姿が楽しみだね。」

 

夏希「なんだよ、つつくなよー。」

 

 

 

 

 

夏希「もし御役目が終わったら、3人でバンド組むってのも良いかもしれないな。」

 

たえ「時間はたっぷりあるんだから、色んな事をしていこうよ。」

 

沙綾「まだやってない事いっぱいあるしね。秋や冬の行事もいっぱいあるよ。」

 

夏希「バーテックスが神樹様を壊したら、こういう楽しい日常が吹っ飛ぶんだよね。そんな事絶対にさせない。なっ?」

 

沙綾・たえ「「うん!」」

 

沙綾「もちろん、同じ気持ちだよ。」

 

たえ「頑張ろうね。」

 

 

 

 

 

夏希「これからもダチ公として宜しく!」

 

沙綾「こちらこそ!」

 

たえ「宜しく!」

 

 

 

 

 

沙綾「夏希…1人じゃ…。」

 

夏希「私に任せて沙綾とたえは休んでて。」

 

夏希「またね。」

 

 

ーー

ーーー

 

 

沙綾「もう…誰も……!!」

 

両者発射。火球と光球、それぞれがぶつかり合い、爆発が起こる--

 

爆風に2人が曝された。

 

沙綾「あっ…。」

 

沙綾の満開が解け始める。

 

たえ「沙綾!!」

 

沙綾「おたえ…後をお願い。あいつを止めて……。」

 

たえ「うん!任せて、沙綾!!」

 

たえは沙綾の船から飛び立ち--

 

たえ「満開!!」

 

三度目の満開を行った。沙綾の満開が解除される中、光がたえに向かって集まっていく。満開したたえの姿を沙綾は見送り、地上へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

満開したたえはそのまま"獅子型"に向かって突撃する。"獅子型"はたえを近付けまいと幼生バーテックスを生み出し壁を作るが、

 

たえ「どいてえええええええっ!」

 

その壁を難なく突き抜け、"獅子型"に激突した。

 

たえ「ここから……出て行けぇぇぇぇぇぇ!!」

 

"獅子型"を壁まで押し返す。

 

たえ「何あれ!?」

 

"獅子型"は御霊の姿に戻り、壁の外へと逃げて行き、逃げた御霊は闇の中に溶けていった。

 

たえ「待て!」

 

たえも御霊の後を追いかけようとするが、

 

たえ「うっ!」

 

満開が解除され、地上に落ちる。

 

たえ「がはっ!がはっ…。はーっ…!はーっ……。一瞬心臓が止まったかと思った…。逃がさないんだから。」

 

たえは御霊の後を追い、何かを通り抜けた。そこで、たえが見たものは--

 

 

たえ「っ!?」

 

 

 

全てが燃え尽きた炎の世界--

 

 

 

そして大きな樹--

 

 

 

たえ「っ……?」

 

周りには再生中のバーテックス。そして、"獅子型"の御霊にも無数の幼生バーテックスが集まり出し--

 

たえ「何、これ……。」

 

ふと、たえは自分の胸に手を当てた。

 

たえ「あれっ?心臓……動いてない………。」

 

そしてたえは全てを悟ったのだ。

 

たえ「ああ…私、分かっちゃった……。」

 

"獅子型"は再生が完了し、無数のバーテックスがたえに迫って来る。

 

たえ「っ!」

 

 

 

 

 

 

その頃、沙綾は--

 

傷付き変身が解け、周りを見回していた。

 

沙綾「はあ、はあ、はあ…。」

 

沙綾の右手にはたえから貰ったリボンが握りしめてあった。

 

沙綾「はあ、はあ…街は…?」

 

沙綾は戸惑っている。そこへ、

 

たえ「沙綾ーー!!」

 

たえが戻って来た。

 

たえ「大変だよ、沙綾!外の壁がね!!」

 

沙綾に必死で今見た光景を説明しようとするが、

 

 

 

 

 

沙綾「誰……ですか?」

 

たえ「えっ!?」

 

沙綾「なんなんですか?一体……。そうだ、夏希は!?」

 

たえ「沙綾…?」

 

たえは戸惑いを隠せない。

 

沙綾「夏希はどこ!?」

 

たえ「っ!?沙綾!!」

 

沙綾は記憶を無くしてしまったのだ。壁の外から無数のバーテックスの群れが現れる--

 

たえ「っ……!」

 

大量のバーテックスを前に、たえは決意する。

 

沙綾「?」

 

たえ「大丈夫。後は私が何とかする。」

 

 

 

 

たえ「私は花園たえ。あなたは山吹沙綾。あの子は海野夏希。」

 

たえは沙綾の手首に自分が預けたリボンを結ぶ。

 

たえ「3人は友達だよ。ズッ友だよ。」

 

たえ「私は死なないから。また後で会えるから。」

 

沙綾「っ……。」

 

たえ「だから、ちょっと行ってくるね。」

 

沙綾「っ!」

 

手を伸ばす沙綾。しかし、触れる事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

無数のバーテックスの群れに飛び込んで行くたえ。

 

たえ「満開!!」

 

4度目の満開を行い、箱舟の上でたえは覚悟を決める--

 

たえ(何度死んだって良い。だって、絶対に死ねないんだから…。)

 

刃が集まりその全てがピンク色に輝く無数の羽根に変化していく--

 

たえ(私達は生かされている…。)

 

鳥の様な姿に変わるたえの満開--

 

 

対面には進行してくるバーテックス--

 

 

沙綾は何故か涙が止めどなく流れ、そのまま気を失ってしまった--

 

 

 

そして、たえはたった1人でバーテックスの群れへ飛び込んで行く--

 

 

 

 

 

 

 

沙綾「……?」

 

沙綾は病室で目を覚ました。

 

沙綾「ここは…?」

 

右手首には覚えの無いリボンが結ばれている。

 

沙綾「私は…。」

 

 

 

 

 

 

同時刻、大赦の特別病室--

 

大赦の神官達がベッドを運んでいた。その横を通り過ぎる女性の神官。その神官、安芸先生は眼鏡を外し、仮面を付けながら病室を後にしていった。

 

 

 

 

 

 

街では連日大橋での大事故のニュースが報道されていた。

 

ニュース「大橋の事故による行方不明者は4名。重軽傷者は多数。死者も出ているようです。身元が確認出来る者は現在2名、牛込ご夫妻とみられます。なお、大赦発表によりますと…。事沿岸工場地帯で発生した火災は化学薬品への引火によるものと…。昨夜、山にて発生しました火災は未明までに鎮火され、周辺に影響はありませんでした。」

 

 

 

 

 

 

病室--

 

季節は桜の芽がでる頃、沙綾の体調は大分良くなっており退院が決まった。そして、それに伴い引っ越しする事も決定した。

 

退院は明日だと聞かされ、沙綾は病室のベッドで眠りについた--

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな家の前にいる車椅子の少女。

 

沙綾「わぁ…大きい。うちってここまで大金持ちだったっけ?」

 

沙綾(新しい生活、ここで始まるのか…。)

 

 

 

その時、

 

 

 

 

?「こんにちわー。」

 

沙綾「っ!?」

 

突然女の子が入って来たのだ。見た目は沙綾と同じ年頃の少女、そして猫の耳の様な特徴的な髪型をしていた。

 

?「もしかして隣に引っ越して来た人?」

 

沙綾「えっ、はい……。」

 

香澄「私の名前は戸山香澄。お隣さん同士これから宜しくね!」

 

香澄は手を差し出した。

 

沙綾「私は山吹沙綾。戸山さんこれから宜しくお願いします。」

 

沙綾も手を差し出し、2人は握手する。

 

香澄「香澄で良いよー。あと敬語も無しね!そうだ、この街を案内してあげるよ…。」

 

新しい場所、新しい生活。そして、新しい友達に出会い、沙綾は強く生きていく--

 

 

 

 

 

 

 

体を神樹様に、---しながら戦い続ける事。

それはとても素敵な事らしく……。

私の両親は泣いていたという。

--……私より軽度で良かった。

また辛い---が始まるだろうけど挫けないで。

きっとまた会えるから。

 

 

 

勇者御記 298年10月11日

 

 

 





これにて第2章"山吹沙綾は勇者である"は終了になり、物語は"第3章〜勇者の章〜"へと続いていきます。


西暦編で出てくるバンドリの人物は既に乗せています。人数的にどうやってもアフロの3人とハロハピ3人は出せませんでした。それに伴い姉妹設定も無くなってしまいます。

拙い文章ですが、これからも暇な時にでも読んで頂けると幸いです。


これからもどうぞよろしくお願い致します。

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