戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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今回は物語に出てくる用語の紹介です。

裏設定って知るとなんかワクワクしますよね。




勇者達の軌跡 その3

今回はこの"戸山香澄は勇者である"で登場した用語を解説していこうと思います。

 

流し読み程度で読んで頂ければ幸いです。

 

用語をより詳しく知ると、物語が深く楽しめるかもしれません。

 

 

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〈勇者〉

 

・バーテックスを倒せる唯一の戦士。地の神に選ばれた、心優しく無垢な少女達が変身する。

 

彼女達がバーテックスと戦う事は、総じて"御役目"と呼ばれている。

 

勇者システムというアプリを使用して変身し、神の力を宿した専用の武器を携えて戦う。

 

当初は勇者装束を纏って変身するという概念が無く、私服の状態で勇者の力を振るっていたが、大社が勇者システムを開発したことにより、勇者毎に勇者装束が存在するようになった。

 

西暦の時代は四国以外にも勇者は存在したのだが、ほんの数年で四国以外の勇者は全滅、四国では神樹が展開する樹海で戦う事になった事や、やがて世界の真実が隠された事も重なり、時代が進むにつれて"人知れず戦う戦士"となっていった。

 

 

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第2章では、"神樹様の大切な御役目がある勇者"である事だけが周囲に知られている。

 

 

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第5章では"人知を超えた天災や事件が起きた時に、神樹様から力を授かって立ち向かう存在"とぼかした表現で勇者の候補生に説明されていた。

 

 

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〈勇者システム〉

 

・この物語に登場する勇者の変身や戦闘の根幹を担うシステム。神樹の力の科学的、呪術的な研究成果が形となったものである。

 

時代ごとに差異はあるが、共通してスマートフォンのアプリ"NARUKO"の形を取っており、普段はごく普通のSNSアプリとして機能しているが有事の際は専用の画面をタップする事で勇者へと変身できる。ただし変身には使用者の精神が安定している必要があり、不安定だと霊的回路が形成できず変身できない。

 

神樹の考えに背いたり、離反したりすると強制的に勇者の能力が剥奪され、変身出来ないようになるセーフティも備わっているが、これは後にある出来事がきっかけで削除されている。

 

また、勇者をサポートする存在として精霊が備わっている。

 

使用できるのは、神樹によって選ばれた勇者の素質が高い者のみで、誰が選ばれるのかは実際の戦闘が迫る直前になるまでわからない。

 

ただ、あくまでもスマホを介して認識しているらしく、既に他の勇者が使用していたものを譲渡する形ならば、神樹に選ばれるのを待つ事なく勇者になれる。故にこれを賭けて、二人の勇者候補生がしのぎを削り合う事となった。

 

勇者達の装束にはモチーフとなる花が存在する。

 

第7章にて語られた所によると、勇者システムの本体は大赦の本拠地内に存在している。

 

 

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第1章では装束のデザインが脇が露出しているという共通点がある。

 

基本性能では第2章終盤のシステムと変わりはないが、システムアンロックには戦う意志を示すだけでよくなり、専用の祝詞を唱える必要はなくなった。

 

"完全型"の弱点たる御魂を封印する"封印の儀"が可能になり、封印の際は祝詞を唱える事になっているが、必ずしも唱える必要はない。この際、御魂の分離と同時にカウントダウンが開始され、この間に御魂を破壊する必要がある。

 

樹海化警報以上の脅威が迫った場合に発令される"特別警報"という機能があり、終盤に発令された。

 

 

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第2章では、装束のデザインが黒を基調としたインナー服を纏うという共通点がある。

 

第4章から200年以上のブランクがあったせいか、以前と比べるとレーダーや樹海化警報が存在しないなど劣っている部分があるが、代わりに基礎性能、特に攻撃力の向上が見られ、変身者の回復能力を向上させる能力もある。

 

一方で防御面ではさほど進歩は見られない。

 

この時期のシステムでは初回のみ、システムアンロックには専用の祝詞を唱える必要がある。

 

ただしそれでも"完全型"を完全に倒す事は不可能であり、ダメージを与えて神樹による"鎮花の儀"で撤退させるしかない。

 

また、使用武器は変身に合わせて自動で出現するようになり、スマートフォン自体も変身中は直接携帯せず使用する時のみ呼び出せるようになった。

 

終盤にはレーダーと樹海化警報が復活した他、精霊を連れ歩く事で攻撃の補助や新たな能力の付加、致命傷となり得る攻撃を自動で防ぐ"精霊バリア"の発動が可能になり、攻撃・防御双方の弱さが解決すると共に"満開"が実装され、装束のどこかに"満開ゲージ"が追加された。

 

この精霊の力によって激しい鍛錬が必要なくなり勇者の選定の幅が広がる一方、神樹の力を大きく消費するため、勇者の数は5、6人が限界とされている。

 

 

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第4章では装束のデザインが、総じて靴のヒールが高いという共通点がある。

 

基本的なシステムはこの時点で確立されているが、武器は各地の神社に奉納されていた神の力を宿す武器であり、システム開発前から存在していたため、別に持っている必要がある。また、スマートフォンは左臀部に直接携帯している。

 

身体能力は向上するものの、初期型故に性能は決して高くなく、星屑には何とか対処できるが"完成型"の前身とも言える"進化型"への対処はそのままだと困難。

 

故に、この時代独自の機能として神樹の記録にアクセスして精霊の力を一時的に自身に宿す"切り札"が存在するが、肉体に大きな負荷がかかり、更に当初は知られていなかったが、使い過ぎると精神が不安定になりやすくなることもあり、大社からむやみな使用を禁じられている。

 

しかも、一部の超強力なものを除き、切り札である精霊を使っても"完成型"には傷一つ付けられないことも多々あった。

 

他にも、他の勇者やバーテックスの位置を示すレーダー、樹海化を知らせる樹海化警報が実装されている。

 

終盤天の神と講和を結んだ際に勇者の力を手放す事を条件とされた為、最終的にこの時代の勇者システムは封印される事となった。

 

 

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第5章では、防人が使用する、量産型の勇者システムと言えるものが登場。

 

変身手段こそ同じだが纏う装束は"戦衣"と呼ばれる共通のもの。

 

銃剣付きライフルを持った銃剣型、巨大な盾を持った護盾型、武器は銃剣付きライフルだが火力と防御力は若干高い指揮官型の3種類に分けられる。

 

戦衣のモチーフは薺で、勇者のものと比べると、どことなく鎧のような印象を与える。

 

精霊はなく集団戦を想定している事もあり性能は大きく劣るが、それでも西暦時代の勇者システム並みの能力はある様子。

 

また、灼熱の環境である壁の外での活動を前提としているため、耐久性は正式な勇者のものを上回っている。

 

 

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〈精霊〉

 

・神樹には地上のあらゆる伝承が概念的な記録として蓄積されており、その記録にアクセス、抽出することで具現化された存在が精霊である。

 

その多くは妖怪がモチーフとなっているが、稀に歴史上の人物も含まれている。

 

勇者システム自体が西暦と神世紀で仕様に違いがあるように、精霊も時代ごとにそれぞれ性質が異なるものの、勇者を何らかの形でサポートする存在である点は共通している。

 

基本的に勇者には忠実で、例え勇者同士の内輪揉めが起きようとも勇者の行動に直接干渉する事はない。

 

 

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第2章中盤までの勇者システムは当初、精霊を使役することができない仕様になっていた。しかし、勇者の戦死という事態を重く見た大赦によって、西暦の勇者である白金燐子が遺した研究結果を基にアップデートが行われ、精霊の使役が可能となった。

 

2年後の第1章と地続きの第3章に登場する勇者システムも、これとほぼ同じ仕様である。

 

西暦時代の反省を踏まえて、神世紀の精霊は勇者の肉体には憑依させず、外側に具現化し、勇者のパートナーとして戦闘をサポートする。

 

実体化した精霊はいずれもデフォルメされたゆるキャラのような外見で、体のどこかに勇者の姿に連動した花のマークがあるのが特徴。

 

精霊は任意で自分の姿を現したり消したりでき、主人の意思に反して勝手に動き回るものもいる。

 

精霊を連れ歩く事で攻撃の補助(扱う武器に対応)や新たな能力が勇者に付加され、さらに致命傷となり得る攻撃から自動的に防御する"精霊バリア"の発動が可能になっており、西暦時代の勇者に比べて攻撃力・防御力の脆弱さが解決されている。

 

一方で、勇者自身が行う自傷行為に対しても発動するため、勇者は御役目に就いている間、自殺しようとしても精霊に必ず阻止されることになる。

 

この時山吹沙綾は精霊が勇者の意思とは関係なく動いており、勇者を守るだけでなく、死なせずに御役目に縛り付けるための存在であると考察している。

 

"満開"を行った勇者には、回数に応じて1体の精霊が追加される。

 

第1章で沙綾が初変身の時点で3体の精霊を所有していたのも、かつての御役目で2回の"満開"を経験しているからであり、花園たえに至っては21体の精霊を所有している。

 

 

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第4章では勇者の"切り札"として登場。勇者本人が意識を集中させることで、神樹内にある概念データに接続して戦況に合わせ自ら選び出し、具現化する。

 

召喚した精霊は勇者の肉体に憑依することでその力を顕現させ、ある種の強化形態のように行使する。 人身に人外の存在を宿すという意味では一種の降霊術に近い。

 

しかし、これらにはどれも危険が伴い、人と人ならざる者との境界は時として曖昧になり、"切り札"はその境界の先に半身を浸すようなものである。

 

このように、精霊を身体の中に入れる行為を続けてしまうと、体内に穢れが溜まり、精神に悪影響を及ぼすというデメリットが存在する。

 

具体的には、不安感、不信感、攻撃性の増加、自制心の低下、マイナス思考や破滅的思考への系統などで、精神が不安定となって危険な行動を取りやすくなる。

 

一方でこれには個人差があるようで、作中では高嶋香澄が自身の精神力の強さで跳ね除けた。また、宇田川あこのみ精神への影響を受けた描写が見られない。

 

これらの性質は燐子が生前に遺した研究結果を書き留めたノートによって判明し、神世紀にも語り継がれている。

 

 

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〈満開〉

 

・神世紀の勇者システムに存在するようシステムであり、勇者の衣装の何処にある5段階ゲージ"満開ゲージ"を貯めることによって使用される、二段変身。

 

服装は羽衣が追加された白を基調としたものになるなど通常とは容姿が変わり、武装も更に強力なものとなる。さらに、使用の度に勇者は新たな武器の追加などで強くなっていく勇者の切り札である。

 

しかし、その強力な力にはある秘密がある。

 

第6章や最終章では神樹が作った異世界であるという理由から後述のシステムは備わっておらず、強い肉体の疲労感のみが残るだけとなっている。また、この異世界では勇者システムが神世紀と同じ最新鋭の物になっている為、"満開"システムが備わっていない西暦勇者達や夏希達、果ては勇者ですらない防人も条件が整えば"満開"を使う事が出来る。最終章までに"満開"を使った人物は香澄・沙綾・りみ・ゆり・有咲・たえ・友希那・夏希・あこ・千聖の10人。

 

 

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〈散華〉

 

・神世紀の勇者システムに隠されていた"満開"には代償がある。

 

勇者は"満開"を使用すると"散華"と呼ばれる現象を起こして身体の機能の一部を損失する。

 

どの身体機能を失うのかは実際に"散華"するまでわからない。

 

失われた身体機能は勇者達を守護する神樹に供物として捧げられる。

 

更に、散華の度に増える精霊によって、勇者は死ぬ事ができなくなる。 勇者は戦いの果てに体の機能を失っていくという生き地獄を味わう宿命が待っている。

 

それに加えて、勇者達を支え神樹様を祀っている"大赦"は、これを隠したまま勇者達を戦わせようとしていた。

 

たえ曰く、大赦なりの気遣いだったようだが、結果としては勇者達を騙して戦わせていた事になる。

 

ただ、"散華"の度に精霊が増える関係上"満開"を行う度に新たな能力を得るので、"満開"をし続けると勇者としての能力は格段に上がっていく。

 

事実、満開を20回も行ったたえは、体の大半の機能を失う代わりに強大な力を得ている。

 

また、"満開"が実装する前に戦っていた過去の勇者達は、戦闘によって多数の戦死者を出していた事を踏まえると、精霊により致命傷を負わなくなり、死ななくなる事が一概に悪いとは言えない部分もある。

 

 

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第1章では全ての戦いで全員が最後の満開をした後は散華が起こらず、その後捧げられていた身体機能も回復した。しかし、これは返されたのではなく神樹によって作り直されたものである。

 

 

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第3章では"散華"がなくなった代わりに、精霊は最初の1体のみになって増えなくなり、最初から溜まった状態の満開ゲージが精霊バリアを使うごとに消費する形式になり、満開は満開ゲージが満タンの状態(つまり精霊バリアを一度も使っていない状態)でなければ使用できなくなった。

 

逆に言えば、満開の使用後は精霊バリアが使えなくなる。しかもゲージは変身しなおしても回復しないので、満開は一回しか使えない。

 

精霊バリアは変身していない時に使用してもゲージを消費するので、牛込ゆりは交通事故に遭った際ゲージを一つ消費してしまい満開を使用できなかった。

 

終盤では、人として生きる勇者達の思いを受け取った神樹が、自ら満開・散華する事を選び、香澄に最後の力を与えた。

 

 

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〈神樹〉

 

・四国に恵みをもたらし、人類を守護する地の神の集合体。

 

西暦2015年にバーテックスを送り込み人類を粛清しようとする天の神に反した土着の神々が、残された人類を守るために集まったものであり、天孫降臨を主導した高天原側と国譲りに反抗した葦原中国側の対立構造となっている。

 

人々が生活できるのは神樹の恵みがあってこそであり、故に人々からは"神樹様"と敬われ、信仰の対象となっている。

 

しかし神と人との認識や価値観には大きな差があり、それ故勇者達が望まない行動をとったりすることもある。

 

その為か作中では神樹が必ずしも人類の味方をしているわけではないと考えている節もあるが、後述するように最後は自分の身を犠牲にしてでも人類を生かそうとしている。

 

約束を反故にされることを嫌う厳格な天の神に対し、実はどこまでも人類の我が儘につきあってくれる存在であったりする。

 

平常時はさほど巨大ではない樹木の姿をとるが、バーテックスの侵攻から四国を守るために樹海を展開する際は樹海にそびえ立つ大樹へと変貌する。

 

この物語の四国は神樹による結界に覆われて外界と隔離されている。

 

その外については表向きには"死のウィルスで覆われている"事になっており四国から見る限りでは何の変哲もない世界が広がっているように見えるが、実際は太陽の表面のごとく炎に包まれた世界が広がっており、外から見ると炎の中で神樹の姿をした結界だけがぽつりと立っている形になっている。

 

なお、四国へ恵みを与えている関係で守りに全ての力を注ぐ事はできないため、わざと結界に弱いところを作ってバーテックスを通している。バーテックスが必ず瀬戸内海側から現れるのはこの為。

 

勇者システムを介し勇者に力を与える他、巫女は神託として神樹の声を聞く事ができる。

 

神の集合体故、最終章では元は天の神側にいた強力な神が造反神となって反乱を起こす事態が発生。神樹の力そのものが大きく弱まる危機に陥り、季節こそ流れるが時間そのものは止まっている特別な空間を作りあらゆる時代から勇者を呼び寄せる事になる。

 

その寿命は数百年とされ、第3章では300年という時を経て遂に寿命が迫りその力が弱くなり始めた。

 

その対策として、人間を神の眷属とするべく香澄との"神婚"が行われる事になる。

 

しかし勇者達が人として生きる事を選んだ事で、自らを供物にして香澄に満開の力を授け、天の神を打ち破ると世界を元の姿に再生する代わりに散華し、人々の前からその姿を消した。

 

枯れた崩壊した樹体は石油となって降り注ぎ、最後まで人類に恵みを残した。

 

 

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〈大赦(大社)〉

 

・神世紀の四国を守る神樹を祀る組織。バーテックスに対抗するため、勇者システムを開発・導入し、勇者を送り込み支援しているのも大赦である。

 

その為、総理大臣をしのぐ権限を持つとされており、その気になれば中学生を留年させることも可能。

 

すなわち神世紀時代の四国は、大赦の意向が各所に影響する宗教国家となっている。

 

職員は複数の伝統ある家系と神官が中心となって構成されており、"花園家"(かつての"湊家")と"今井家"がツートップを成す。

 

神官は全員が仮面で素顔を隠している。

 

勇者を支援するとは言っても、それは最優先目的である人類の生存圏維持のためであり、目的のためには非情な処置も辞さない組織の冷徹な面が、見え隠れする。

 

組織全体の勇者に対する方針が世界を救う為の生贄というものであり、"満開"の大きな代償を勇者達に隠して戦わせていた事で、複数の勇者の暴走や反抗を招いた事もある。

 

勇者に限らず、巫女、防人らに対しても、その基本方針は変わらない。故に犠牲にされる少数のことも考えられない姿勢に対し、防人のリーダーである白鷺千聖は強く反発している。

 

徹底した秘密主義を取っており、勇者の詳しい活動内容については勇者自身にも口出しを禁じており、それを知った者は大赦に消されるという噂まで流れているほど。

 

バーテックスの存在や四国以外の世界の状況が隠されていたのも大赦の意向と思われる。

 

書物も例外ではなく、例え勇者が記した"勇者御記"であっても重要機密に関わる部分は容赦なく検閲で塗り潰している。

 

 

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第4章では"大赦"の前身である"大社"が登場する。

 

西暦時代は勇者やバーテックスの存在が一般にも知られているなど、事情が違う事もあり、神世紀時代ほど秘密主義な組織ではなかった。

 

ただ、人々の不安を煽るまいと情報操作を行ったり、勇者の神秘性を保ちたいという名目である勇者の存在を隠蔽しようとした等、この頃から秘密主義の姿勢が見え隠れしている。

 

西暦の戦いの終結時に、戸山明日香や有力な巫女達を率いて組織改革に着手した"今井家"によって現在の名に改められる。

 

これには、ほぼ降伏に近い形での和睦で人類の命脈を辛うじてつなぐことができたことから"敵に人類の存続を赦れた"という屈辱を忘れないため、という意味合いがあった。

 

しかし、長い時の中でその改名の意味が薄れ、組織が硬直化・劣化していく可能性はこの時点から危惧されており、そして大きな秘密を守らなければならないという掟が、300年という長い時間で隠蔽体質の強化に繋がり、歪になっていったのである。

 

 

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〈バーテックス〉

 

・名称の由来は全生命体の"頂点"から名付けられる。

 

その正体は、たえ曰く"天の神が人類を粛清するために遣わした存在"、リサ曰く"神樹様が人類に原因があると御告げになった"とのこと。

 

西暦2015年7月30日、突如として全世界に出現し人類の殺戮を開始。四国や長野県(諏訪)、北海道(旭川市カムイコタン)、沖縄県(南城市)など一部の地域を残して、人類を絶滅寸前にまで追いやった。この出来事は"7.30天災"と呼ばれる。

 

通常兵器は通用せず、バーテックスに応戦した陸上自衛隊の歩兵部隊と戦車部隊は全滅した。

 

また、空から襲来するバーテックスを目の当たりにした人間は"天空恐怖症候群"という精神の病を発病してしまい、記憶の混濁や自我崩壊にまで至ってしまう事もある。

 

神樹が樹海化により人々からバーテックスを隔離するのも、大赦がバーテックスの存在を隠蔽しているのも、これを防ぐ事が理由である。

 

なお、人間以外の動物や植物は攻撃の対象とはならない。

 

全世界に対する侵攻を開始してから3年後の西暦2018年に四国へ再侵攻を開始。

 

その後は一貫して神樹の破壊を目的に襲撃しており、これは神世紀においても変わらない。

 

西暦の終わりごろに行われた奉火祭によって講和が結ばれるとバーテックスは一度姿を消したが、神世紀270年ごろに再び壁の外で姿が見られるようになり、さらにおよそ30年後となる神世紀298年にて再び侵攻を開始した。

 

 

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バーテックスには様々な状態があり、それぞれ、

 

"星屑"→"進化型"→"完成型"→"完全型"と姿が変わり強くなっていく。

 

 

また、"進化型"の中にも様々な種類が存在していて、"新型"."飛行型"."爆発型"."防御特化型"."融合型"."大型"."超大型"."超超大型"と枝分かれしている。

 

最終章では更に"蟷螂型"と"長距離型"が登場した。

 

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(星屑)

 

・最初に出現したバーテックス。

 

白色の袋のような身体に、触手と巨大な口のような器官が備わっている。

 

顎の力は強力で、人間を捕食し、戦車の装甲化された砲搭をさえも噛み砕く。

 

物理攻撃が通用せず、銃弾や鋭い木片を刺しても全く手応えがない。

 

とにかく数が多く、千体以上で襲撃してくることもあり、第4章では数の多さ故勇者たちは苦戦している。

 

尚、全滅させても再び出現し、無限に増え続ける。大量に集まり融合することで"進化型"に成長する、いわばバーテックスの幼体や細胞といった存在。

 

この段階でもすでに知能はそれなりに高く、西暦の時代には"立てこもった人々をあえて襲わず籠城戦に持ち込んで内部の人間が仲間割れで自滅するのを待ち、さらにわざわざ彼らが内側から破ったバリケードの裂け目から内部に侵入し皆殺しにする"という悪辣なことも行っている。

 

 

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(進化型)

 

・複数の"星屑"が融合し形成される。鋭い槍のような物を飛ばすもの、蛇のようなもの、複数の関節を持つムカデのようなものなどがある。

 

強さは西暦勇者が頑張って一人で倒せるレベルである。

 

 

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(完成型)

 

・"進化型"と同じく無数の"星屑"が融合して形成される。

 

モチーフは"黄道十二星座"と"拷問器具"。

 

大きさは様々だが、大半が50メートル級の巨体を持ち、"獅子型"に至っては全高100メートルもある。またダメージを受けても、高い回復能力で体を修復する。

 

強さが桁違いであり、第4章では"切り札"を使った勇者二人掛かりでも傷一つ付ける事が出来ない程で、禁忌の力である"酒呑童子"を憑依させた高嶋が多大な反動を受けてやっと倒せるレベルである。

 

第5章でも登場しており、千聖クラスの指揮官型防人が囮となり他の防人達を逃す為の時間稼ぎしか出来ない程。

 

 

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(完全型)

 

・見た目は"完成型"と全く変わらないが、一番の違いは"完全型"には核となる"御霊"が存在するという点。

 

"御霊"という逆四角錐型のコアが存在しており、バーテックスを封印の儀で拘束、御魂を露出させこれを破壊するか、"満開"によって破壊する以外倒す方法はない(融合が不完全ならこの限りではないが)。

 

"御霊"は"完全型"毎に異なる特性があり、それによって"御霊"を露出させても破壊に手間取ってしまう。

 

第2章では神樹の作り出した結界である"壁"の外に追い出すので精一杯だったが、終盤で満開機能を追加、"御霊"の破壊が可能になった。

 

それにより第1章では前述の通り、"満開"を使用しない状態での御霊の破壊が可能になった。

 

 

 


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