そして最後に外伝第3部に登場する人物の情報もーー
外伝も残すところは3部のみ、この物語で私が今まで書き記してきた"戸山香澄は勇者である"は終わりとなります。
その前に以前と同様2部の時代背景と登場人物の紹介を載せておきます。それに伴い"勇者達の軌跡その六"も更新致します。
〈終末戦争〉
・西暦2018年〜2019年にかけて起こったバーテックスと勇者達の戦いの総称。"7.30天災"を機に勇者の力を手にした湊友希那達"5人"の勇者はその命を賭して人類を天の神の脅威から守り抜いてきた。
しかし、バーテックスの力は人類の想像を上回るものであり勇者達は1人、また1人とその命を散らしていく。最終的に湊友希那を除く全ての勇者が死亡、高嶋香澄はその身を捧げ偶発的に神樹と神婚を行い四国を覆う結界が強化。バーテックスの侵攻は一時的に収まった。
大社は天の神から赦しを得る為、その名前を大赦へと変更し奉火祭の実施を敢行。生け贄として今井リサ、戸山明日香らが選ばれるが、6人の巫女が自ら志願し、その命と引き換えに人類は勇者の力を手放す事を条件の元、天の神から赦されるのだった。
〈神世紀29年〜30年〉
・外伝第2部と4部の舞台。そんな終末戦争から約30年、終末戦争の傷跡は漸く癒えようとしている。大赦は終末戦争時の記録を全て検閲し、情報を統制。四国内には終末戦争を知らない世代も増え勇者は空想上の存在になりかけていた。
終末戦争の悲惨さを実感してきた人々、そしてその見た事も無いバーテックスと勇者の戦いという"迷信"を信じている人々が入り混じる歪な世界。この時代は酷く中途半端であり、閉じられた箱庭だったのだ。
〈芙蓉香澄〉
・中学2年生
伝説の勇者である高嶋香澄と同じ"香澄"の名を持ち、姿も瓜二つな少女。日本人の父と外国人の母を親に持つハーフであり、本名は芙蓉"リリエンソール"香澄。
幼少の頃は芸能人として活躍しており、四国内では顔の知れた人物。現在は芸能界を辞めてしまったが、その容姿は端麗。しかし背が低い為、所謂"そっち"の気がある人にかなり人気がある。
月ノ森中学で"勇者部"を立ち上げる為、屋上から自作のチラシをばら撒いたり等の奇行により学校でもそれなりに名は知られている。そのチラシを同じ香澄の名を持つ倉田香澄が目にした事により、物語は大きく動き始める。
読書が好きで、良く話し言葉に四字熟語を使いがち。更にオカルトも好きで西暦時代の出来事や終末戦争についてもブログを立ち上げ、ネットを駆使しながら独自で調べ上げている。
幼い頃、母親が壁の外から来た人物だという事だけを理由に人々から虐げられ、その中で病気に罹りそれを"バーテックスの呪い"等と揶揄され、弱り亡くしてしまうという悲劇を目の当たりにし、それに対し何も出来なかった自分にも、この閉じられた世界そのものも憎む様になってしまった。
自分で見もしないものを簡単に信じてしまうこの世界の現状を撃ち破る為、芙蓉は"勇者部"を立ち上げ壁の外の世界を見る為に奔走する。
同じ香澄である倉田香澄と会った事で、幾度となく倉田を勇者部へ誘うも断られてしまう為、芙蓉はアルバイトと称して勇者部の活動を倉田に手伝ってもらう事に。
倉田香澄とは何もかもが正反対であり、頭脳明晰であるが身長が低く、また運動神経も悪い。芙蓉の作戦は悉く失敗に終わり、遂には危険を冒してまでも丸木舟を作り海を渡ろうとする。当然この作戦も失敗し、丸木舟も倉田によってチェーンソーで真っ二つになってしまう。しかし、ここまでの行動で倉田も芙蓉の決意を目の当たりにし、この世界が酷く歪で中途半端な存在だという事に気が付き、芙蓉に手を差し伸べる。
実は芙蓉は生まれた時からずっと"香澄"の名を持つという理由で大赦から監視されており、今までの壁越えと称する行動も全て知られていた。そして芙蓉達はずっと2人を監視し続けてきたリサと友希那の手により壁の外の景色を目の当たりにする。それは言われていた通りの残酷な世界だった。
しかし、芙蓉は絶望する事はなく、寧ろずっと迷信だと思っていた事が真実だったという答えを得られた満足感に満ちていた。外の世界を知った芙蓉は勇者部を解散しようとするが、倉田の言葉により存続を決意。"世界をなるべくだけ良くする事"を目標に活動していくのだった。
外伝後日談でも登場。倉田の母親伝いでアポを取った西暦の出来事を知っている和奏レイを訪ねにやって来る。そこに偶然来ていた詩船からレイが当時高嶋香澄と一緒に行動していた事を知り、目を輝かせながらレイにインタビューをする。
外伝第4部では"勇者部"としての活動に迷いながらも、突如自作の香澄SNSに深沼香澄なる人物からのメッセージが届いていた事に気付いたことから、倉田と一緒にその人物を探すことになる。
持ち前の頭の良さを駆使しSNSを探し遂にその人物の元に辿り着くも、深沼香澄の正体は以前尋ねたレイの娘である広町七海だった。
うどんを食べながら七海と初めて出会った事を回想していく内に、芙蓉は七海を"勇者部"へと勧誘。七海はこれをすぐに了承するのだった。
その後は情報収集の為、七海の力を借りながら香澄SNSの知名度を上げる為に様々な動画を投稿、知名度もそこそこ上がった頃一人の女性からのメッセージを受け取る。待ち合わせ場所で出会った人物はかつて高嶋とレイに助けられた牛込るりと名乗る女性だった。
るりは芙蓉の母親と親しく、芙蓉に母親から預かっていた日記を渡す為に現れたのだが、渡す為の交換条件として高屋神社での御百度参りを課すのだった。
倉田と七海の協力もあり、何とか御百度参りをこなした芙蓉。受け取った日記には母親の壮絶な過去が書き記されていた。
母親の過去を知った芙蓉。母親もかつて娘の幸せを願って病の体で御百度参りを行っていた事を知り、母親が成し遂げられなかった事をやり遂げた満足感に浸っている最中、突如現れたリサに気が動転するも、リサの"語部になってほしい"という願いを承諾し、"勇者部"として次の目標を見つけ、母親に自分は今とっても幸せだと言うことを呟くのだった。
〈倉田ましろ〉
・中学2年生
本名は倉田"香澄"。母親は有名な翻訳家で父親は幼い頃に亡くしてしまっている。幼い頃の経験から自分の"香澄"をという名前にコンプレックスを抱いており、普段はましろと名乗っており、月ノ森の友達をその思いを汲んでいる。普段はアルバイトと称し様々な部活の助っ人をしている生活を送っていたが、ある日学校で"勇者部"募集のチラシを拾った事から倉田の運命が大きく動く事となった。
倉田は力を持つ事を望んでおり、同じ香澄の名を持つ芙蓉にも何かしらの力がある事を踏んで接触するも、チラシを見て来たという背景から"勇者部"に勧誘される。乗り気ではなかった為断るが、アルバイトとして雇われる事で仕方なく勇者部の活動を手伝っていく事となった。
芙蓉香澄とは何もかもが正反対であり、頭は悪いが高身長、また運動神経も抜群である。芙蓉と一緒に行動していく中で、彼女の行動原理に触れ次第に芙蓉の力になってあげたいと思うようになる。そして自らも前へ進む為に、母親から父親の死の真相尋ねる。
父親は西暦の時代に天空恐怖症候群に罹っており、母親と暮らしていく中で徐々に症状は改善されていったのだが、それでも時折発症してしまう。天恐を良く思っていない者も四国内には一定数おり、自分のせいで家族が冷たい目で見られる事を避ける為、自ら命を絶ったのだった。
正反対の2人だったが、親を亡くした理由は似たようなものだった。父親と芙蓉の母親の死因を知り、この世界の中途半端さに気が付いた倉田は遂に芙蓉の手を取り、芙蓉に壁の外を見せると断言。今まで芙蓉から貰ってきたアルバイト代を全て使って壁を登る計画を立てる。
登っている途中、落ちそうになった倉田を友希那が助ける。実は当初は監視対象外だったのだが、倉田が芙蓉と接触した事で対象となり大赦に監視されていた。ヘリコプターで壁の上へ移動している最中、倉田は自分の力の無さについて友希那に吐露するが、友希那から力の在り方について説かれ、神世紀になって誰もなしえなかった事をやってのけたと倉田の力を讃えられる。
そして遂に壁の外の景色を目の当たりにする。世界を救う事が出来なかったと自分達の無力さを嘆くリサを見て、あの勇者ですら大層な力は持っていなかったんだと認識するに至り、以前よりは自分の"香澄"という名を許せるようになった。
勇者部は解散する事になる筈だったが、元々存在してなかった事を芙蓉に伝え、改めて2人で勇者部として活動していく事となる。今度はアルバイトとしてではなく、正式な部員として"世界をなるべく良くする"事を目標に活動していくのだった。
外伝後日談では芙蓉の付き添いで和奏レイの元へ訪ねた。そこで自分の名前のルーツをレイから知る事となる。
外伝第4部では"勇者部"としての活動に迷いながらも、突如自作の香澄SNSに深沼香澄なる人物からのメッセージが届いていた事に気付いた芙蓉から連絡が届き、一緒にその人物を探すことになる。
深沼香澄の知り合いを見つけた二人だったが、倉田はその名前に見覚えがあった。以前バスケの試合で自分を打ち負かし、"香澄"という名に負い目を感じる事となった遠因であった八潮瑠唯その人だったからだ。
深沼香澄なる人物を教える条件として1on1で勝つ事を条件として提示する瑠唯。倉田は再び瑠唯と相対し、あの時の気持ちを互いに吐露する。倉田は勝負に勝ち、瑠唯は深沼香澄を呼びに行ったが、その正体は以前尋ねたレイの娘である広町七海だった。
うどんを食べながら七海と初めて出会った事を回想していく内に、芙蓉は七海を"勇者部"へと勧誘。七海はこれをすぐに了承するのだった。
その後は情報収集の為、七海の力を借りながら香澄SNSの知名度を上げる為に様々な動画を投稿、知名度もそこそこ上がった頃一人の女性からのメッセージを受け取る。待ち合わせ場所で出会った人物はかつて高嶋とレイに助けられた牛込るりと名乗る女性だった。
るりは芙蓉に母親から預かっていた日記を渡す為に現れたのだが、渡す為の交換条件として高屋神社での御百度参りを課す。倉田は七海と共に芙蓉の御百度参りを監視も兼ねて最後まで付き合うのだった。
倉田と七海の協力もあり、何とか御百度参りをこなした芙蓉だったが、想像を絶する内容が記されていた為途中で読む勇気がなくなってしまう。部活にも来なくなってしまった芙蓉を心配し、七海と共に芙蓉を探しに行くのだった。
日記に書かれていた芙蓉の母親の過去を知った倉田は、芙蓉に自分が今まで見てきた母親の姿が本当の姿だと言って聞かせ、3人で日記の続きを読み進めていく。
全てを読み終えた倉田は帰り道、旧世紀と神世紀の狭間の時代の事を母親に聞いてみようと思うのだった。
〈和奏レイ〉
・中学2年
外伝3部に登場する人物。出身地は奈良県であり、同郷である高嶋香澄、そしてその香澄を見出した都築詩船と共に四国へと旅をする事となる。
特技は絵とベース。
"7.30天災"の際に両親を目の前で星屑に食い殺されており、その事が激しいトラウマとなり血をみるとその時の出来事がフラッシュバックしてしまう。
自分の事を何の能力も持たない普通の人間だと知覚しており、実際に詩船からも平凡な人間だと言われる。
高嶋香澄を見出した本当の巫女であり、バーテックスの存在を察知出来る存在。スケッチブックを活用し簡易地図を作成しバスを四国まで安全に移動するのに使っている。
中盤、幾度の進路変更や食糧難などのストレスによって苛立つ人たちから暴力を振るわれてしまうが、それでもレイは暴力はいけない事だと必死で訴え、法も秩序も無くなってしまったこの世界でただ一人自分の信念を貫き通していく。だが、その信念が詩船を凶行へと誘う原因にもなってしまう。
終盤、四国へは向かわずこのまま旅を続けようとする詩船を止められなかった高嶋にかわり、詩船と相対する。抵抗できず返り討ちにされ、結束バンドで拘束されてしまうが、機転を効かせて脱出し、詩船の腕を持っていたボールペンで突き刺し血へのトラウマに抗いながらも詩船を止める事に成功する。
詩船を説き伏せ四国が目前まで迫る中、一向を待っていたリサ率いる大社神官たちと邂逅。勇者となってしまった高嶋に待ち構える過酷な運命を知り、高嶋を大社から引き離そうとするが、高嶋は自らの意思で大社に行く事を決意。最後まで高嶋を心を変える事が出来ず、巫女としてこの過酷な運命に耐えられないと危惧した詩船により、詩船が巫女と偽ることでレイは巫女としてでは無く、一避難民として四国に入り戦線離脱する事となる。
その後は大社から引き離された生活を送るも、詩船には毎年一冊自作の絵本を送っている。
外伝後日談では神世紀29年に再び詩船が会いにいく形で登場。この物語の中で唯一結婚しており、養子である七海と共に平凡な家に暮らしている。詩船が訪ねてきた少し後に、西暦の話を聞きに芙蓉と付き添いの倉田も訪ねてきた。その中でレイは倉田の本名である香澄の名の由来を話した。
全てが終わった今になってもレイは高嶋の大社入りを止めなかった詩船のことを快く思っていないが、そこは年相応の対応をしている。
帰る詩船を見送る中、幸せかと尋ねる詩船に対し、以前とは違う真っ直ぐに幸せだと語るレイの言葉で外伝は幕を下ろす。