戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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3章クライマックスです。


安芸先生は当初まりなさんの予定でしたが、1章で出していた事をすっかり忘れていました。





命の選択

 

 

世界を救う為に自分を犠牲にする事を決めた香澄であったが、他の5人がそれは違うと香澄を否定する。自分に残された時間はあと少ししかない事で考える余裕が無く、自暴自棄になった香澄は部室から飛び出してしまった--。

 

 

 

 

 

たえ「はあっ…。いないね。隠れちゃったのかな?」

 

沙綾「端末を見たら、香澄の自宅に反応が…!」

 

たえ「行ってみよう。」

 

沙綾とたえは勇者に変身し、香澄の家に急ぐ。

 

 

 

 

 

たえ「ただ、こっちも一気に話すと、香澄が落ち着けないだろうから…冷静に行こう。」

 

沙綾「そうだね…。」

 

沙綾の精霊"青坊主"が香澄の部屋に侵入し鍵を開け、2人は部屋に侵入した。沙綾は机の上にあるスマホを見つける。

 

沙綾「香澄…。レーダーの反応はこれだったんだ。」

 

沙綾が勇者御記を開くと、

 

 

香澄("1月18日 みんな、色々ごめんなさい。私は行きます。")

 

 

たえ「今日の日付だ。」

 

沙綾「端末を置いてどこに…。っまさか……!」

 

その時、たえのスマホに着信が入った。

 

沙綾・たえ「「っ!」」

 

着信先は大赦からだった。

 

 

 

 

 

崩壊した瀬戸大橋。その近くにある、英霊之碑で一人の大赦の神官が待っていた。そこへ沙綾達がやってくる。

 

神官「勇者様に最大限の敬意を。」

 

沙綾「やめてください。」

 

沙綾がそう言い、神官の元へ歩き出す。

 

神官「ここは、歴代の勇者と巫女が祀られている場所。」

 

有咲「香澄がここにいるってのか?」

 

神官「香澄様はここにはいません。この場所は話をするのには静かだと思ったので。」

 

沙綾「私達は香澄に会いに来たんです!」

 

ゆり「香澄ちゃんはどこにいるんですか!?」

 

神官「今は大赦におられます。」

 

ゆり「じゃあ、大赦に乗り込みましょう。」

 

沙綾・りみ・有咲・たえ「「「うん。」」」

 

ゆりがそう言い、4人が背中を向けようとしたその時、

 

神官「香澄様から話を聞かれたかと。」

 

神官が話し出した。

 

神官「世界を救う方法は神婚しか残されていません。」

 

ゆり「ええ!聞かされたわよ!!」

 

ゆりが怒り口調で神官に話す。

 

神官「急ぐ必要があった。ご存知かと。香澄様の寿命はあと僅か。」

 

りみ「香澄ちゃんの祟りを祓う方法は本当に無いんですか?」

 

りみが神官に尋ねた。

 

神官「我々は探りました。香澄様を救う方法を……。」

 

 

 

 

 

その頃、香澄は大赦の中で身を清めていた。

 

 

 

 

 

神官「しかし、無かったのです。外の炎がある限り、香澄様は祟られたまま。」

 

有咲「じゃあ、外の炎をどうにか出来ないのか!?」

 

神官「いくつかのプランはありました。」

 

ゆり「っ!ならそれを!!」

 

神官「しかし、不可能だと分かったのです。」

 

有咲「どうして勝手に決めるんだよ!?」

 

神官「もう時間が無いのです。香澄様は、これより神婚の儀に入られます。」

 

ゆり「ふざけるな!止めてやる!!」

 

ゆりはスマホを取り出すが、神官は淡々と話しを続ける。

 

神官「歴代の勇者様の多くが、御役目の中で命を落とされました。2年前には人類を守る為に、海野夏希様が落命。」

 

沙綾・たえ「「っ!!」」

 

沙綾とたえは夏希の最後の姿を思い出す。

 

神官「夏希様は人類を守ろうと懸命に戦い、見事御役目を果たされ、英霊になられました。香澄様もまた、戦い方は違えど皆の為にその身を捧げようとされています。それこそが勇者であると理解して…。」

 

沙綾「だから、私達にも…。納得しろと……?」

 

ゆり「歴代の勇者と巫女…みんな…私達と同じくらいの年齢って訳でしょ……。いつだって子ども達を犠牲にして生き延びてきたって事でしょ。そんな歪な世界ってあるの!?」

 

沙綾やゆり、ここにいる全員、大赦の言い分には納得するはずがなかった。

 

神官「それしか方法が無いならば…全てを生かす為にはやむを得ないのです。それが、この時代における人の在り方。」

 

ゆり「やむを…得ない?」

 

神官「そうよ……。」

 

少しの間沈黙が続いたが、

 

 

 

たえ「いつも私達を見てくれていた…。」

 

たえが唐突に神官に話し出した。

 

沙綾「っ!!」

 

その言葉で沙綾も気付いたようだった。

 

たえ「でも、私達の事を第一に考えてくれてた…。すっごく厳しいけど、ふとした時に見せるチャーミングな所が、私は好きだった…。」

 

 

たえ「でも今は、昔の安芸先生じゃないんだね。」

 

 

沙綾が続けて話しかける。

 

沙綾「夏希の時、一緒に悲しんでくれたのに…。その辛さを知っているなら、もう1人も犠牲なんて!!」

 

 

その神官--

 

 

安芸先生が話し出す。

 

安芸「あなた達のクラスメイトは、その友達は、家族は…。もうすぐ来る春を待ち遠しく思いながら、家でうどんを食べて、暖かい布団で寝て、今日も平和な日常生活を送っている…。少しの犠牲。このやり方で大部分の人達が幸せに暮らしているのです。」

 

ゆり「それなら…。それならあなた達が人柱になればいいのに!!」

 

ゆりは安芸先生に怒りをぶつける。

 

安芸「出来るものなら、そうしています。だが、私達では神樹様が受け入れない。」

 

 

その時だった--

 

 

 

―特別警報発令―

 

 

 

全員「「「っ!?」」」

 

5人のスマホが一斉に鳴り出した。

 

ゆり「何なの…これ……。」

 

そして、急に地震が起き、地面が揺れる。

 

安芸「もう来るとは…。」

 

安芸先生は何か知っているようだった。

 

有咲「ちょ、ちょっと、何なんだよこれ!?」

 

安芸「あなた達の出番です。」

 

沙綾「っ!?」

 

安芸「天の神は。人間が神の力に近付いた事に怒り、裁きを下したと言われています。人間が神婚するなど、以ての外……。」

 

ゆり「バーテックスが来る……!?」

 

安芸「いいえ。」

 

空が段々と暗くなり始める。

 

ゆり「これ、何…?」

 

学校のみんなや街の人達も異変に気付き空を見上げる。

 

 

 

空が割れていく--

 

 

 

全員「「「っ!?」」」

 

 

外の世界から何か巨大なものが侵攻してきたのだった--

 

 

ゆり「現実の世界に敵!?」

 

りみ「て、敵なの!?お姉ちゃん。」

 

有咲「何なんだよ……あれ…。」

 

 

空を埋め尽くす、敵--

 

 

 

 

 

外の異変に大赦にいる香澄も気付く。

 

香澄「怖くない…怖くない……。」

 

 

 

 

 

安芸「神婚は、香澄様が神樹様の元へ行き、人々の願いの礎となる事で契られ、成立します。神婚が成立すれば、人はもう神の一族。人で無ければ襲われない。これで皆は神樹様と共に平穏を得ます。」

 

 

 

安芸「これが、最後の御役目…。敵の攻撃を、神婚成立まで防ぎ切りなさい。」

 

 

 

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