戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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勇者達の戦い前半です。ここからの戦闘描写はオリジナル入ってます。

戦闘描写はやはり難しいです……。




それぞれの戦い

 

 

空が割れ、壁の外から敵が攻め込んでくる--

 

ゆり「現実の世界に敵!?」

 

りみ「て、敵なの…?」

 

敵は数を増し、空を埋め尽くすほどの数に膨れ上がる--

 

有咲「な、何なんだよ、あれ…。」

 

たえ「ちょっとヤバいかも…。」

 

ゆり、りみ、有咲、たえに緊張が走る。

 

 

 

 

 

同時刻、大赦--

 

大赦の祠に神官が大勢集まっていた。

 

神官「これで我ら一同、神樹様と1つになる。神の眷属として迎えられる。何と幸せな事でしょう。」

 

 

 

 

 

英霊之碑--

 

安芸「これが、最後の御役目。敵の攻撃を神婚成立まで防ぎ切りなさい。」

 

安芸先生が勇者達に命令する。

 

沙綾「やってみせる。でも香澄も返してもらう!神婚なんか絶対にさせない!!」

 

沙綾は今、決意を新たにした。天の神の目が光り、学校の生徒達や街の人々の左胸にも祟りの刻印が浮かび上がる。

 

 

壁の向こうには大きな敵--

 

 

赤く燃える敵--

 

 

崩壊した大橋--

 

 

最後の戦いに向かう為、沙綾達は勇者へと変身する--

 

 

世界が樹海化する--

 

 

 

同時刻、香澄も樹海の根を伝い神樹の元へ向かっていた--

 

 

今、世界を守る為のそれぞれの戦いが始まる--

 

 

 

 

 

天の神の目が再び光り出し、無数の針が勇者達に襲いかかる。

 

ゆり「くっ、あれは確か射手型"の…!」

 

5人は避けるが、周りの岩場が音を立てて砕け散った。

 

 

 

 

 

香澄「っ!?」

 

香澄は遠くで大きな音を聞き振り返る。

 

香澄「天の神…うっ……。」

 

刻印が痛む。

 

香澄(私の命でみんなが助かるなら…。)

 

香澄「怖くない……怖くない。」

 

香澄は神樹に向かって歩き出す。

 

 

 

 

 

天の神からの攻撃は続く。そして、さらに目の前には天の神が復活させた、"射手型""蠍型""蟹型"の3体のバーテックス。それに加え、天の神はバーテックスの攻撃を全て使えるのだ。天の神は"獅子型"の火球を放ち、勇者達を攻撃する。

 

ゆり「あいつ、無茶苦茶!」

 

有咲「ゆり!!」

 

りみ「有咲ちゃん!」

 

有咲「お前らは早く香澄の所へ!あいつらの相手は私がやっとくから!」

 

ゆり「相手って…。」

 

有咲「甘く見んな!私にはまだ満開がある!」

 

そう言うと、有咲は1人で飛び出して天の神と3体のバーテックスに立ち向かっていった。

 

有咲(香澄に謝らなきゃ…。一緒に帰るんだ……。)

 

有咲「当代無双!市ヶ谷有咲!一世一代の大暴れを!とくと見よ!!」

 

有咲は満開し、敵に向かっていった。

 

有咲「はぁーーーーーーっ!!!」

 

突っ込んで行くが、3体のバーテックスが有咲の進路を塞いだ。

 

有咲「邪魔するなぁーーーっ!!」

 

有咲は大剣で"蠍型"の尻尾を切り裂く--

 

 

 

が、尻尾はすぐに再生してしまったのだ。

 

有咲「何!?」

 

一瞬動きが止まってしまった有咲に"射手型"の無数の針と"蠍型"の尻尾攻撃が襲いかかる。

 

有咲「ぐわっ…!?」

 

両肩の4本の腕でガードするが、後ろによろけてしまう。

 

有咲(こいつら、前のバーテックスと比べて全然強さが違う…。それに、満開の力も前より下がってやがる……。)

 

今の勇者システムは散華の機能が搭載されてない。勇者が抱えるリスクは減ったが、その分満開自体のパワーも下がってしまっていたのだった。

 

有咲(くっ、だけどぜってー負けない!香澄の為に……みんなの為に!)

 

 

 

 

 

有咲が飛び出した後、

 

ゆり「有咲ちゃん、無理だけはしないで…。」

 

りみ「お姉ちゃん…。あのね、私…。」

 

りみがゆりに話しかけようとした時、

 

ゆり「りみ。ここをお願い出来る?」

 

りみ「うん。お姉ちゃんは香澄ちゃんの所に行って。」

 

りみは力強く頷いた。

 

ゆり「ええ。必ず連れ戻してくる。絶対に無事でいるのよ。」

 

りみ「うん。」

 

2人はすれ違い、ゆりは香澄の元に、りみは有咲の元へと走り出す。そこへ、満開した沙綾が現れ、

 

沙綾「ゆり先輩!乗ってください!」

 

ゆり「ありがとう、沙綾ちゃん。香澄の元へ向かいましょう。」

 

沙綾「最大船速で向かいます。」

 

2人は香澄の元へと急いだ。

 

 

 

 

 

一方で有咲--

 

回復力が上がったバーテックスと威力の下がった満開。力の差はほぼ互角と言っても良いだろう。

 

有咲「くっ!?大見得切ったけど、1人じゃマズイかもな…。」

 

 

3体のバーテックスはかつて夏希を倒し--

 

 

 

勇者部5人を苦戦させた--

 

 

 

今、有咲はそいつらに立った一人で立ち向かっている。

 

"蟹型"が反射板で叩き付けてきたが、有咲は4つの腕でガードする。だが、そこへ"蠍型"が尻尾を振り上げ有咲のガードを崩したのだ。

 

有咲「まずい…!?ガードが上げられ……。」

 

間髪入れず"射手型"が針を発射してくる--

 

 

 

有咲「っ!?」

 

有咲は残った両手の剣で何とか弾き返すが、頬を針が掠ってしまう。

 

有咲「くっ…!」

 

有咲は天の神を睨み付ける。

 

有咲「コイツのせいで…!ゆりや、香澄が悲しんだ……。ふざけるなっ!!」

 

再び"射手型"から無数の針が放たれる。

 

有咲の脚や腕に針が掠り、血が流れダメージが蓄積されていく。

 

有咲「ぐあっ…!このぉぉぉっ!!」

 

だが、有咲は4本の腕で防ぎながら針の中を進んで行く。しかし、有咲は針に紛れて気が付かなかった--

 

 

 

針の進行方向に"蟹型"の反射板がある事に--

 

 

 

"射手型"の針が反射され、有咲の背中に迫る--

 

 

 

有咲「っ!?しまっ……!」

 

 

 

 

だが、その針は有咲に届く事は無かった。

 

有咲「たえ!!」

 

たえが槍を傘の形に変化させ、有咲を守ったのだった。

 

たえ「1人で前に出過ぎちゃダメだよ、有咲。」

 

有咲の姿が夏希の姿に重なって見えるたえ。

 

たえ(今度は……ちゃんと間に合ったよ。)

 

だが、たえ針を防いでいる中今度は"蠍型"の針が2人に迫ろうとしていた。

 

りみ「させない!!」

 

りみが満開し駆けつけ、"蠍型"の尻尾を雁字搦めに絡め取ったのだった。

 

有咲・たえ「「りみ!」」

 

りみ「コイツは私に任せて、2人は他の2体を!」

 

りみは"蠍型"と対峙し、有咲とたえは"蟹型"と"射手型"へと向かった。

 

有咲「私はアイツをやるから、たえはあの針出すヤツ頼む!」

 

たえ「任されたよ!」

 

有咲は"蟹型"、たえは"射手型"を倒す為に別れた。

 

 

 

 

 

有咲サイド--

 

有咲「満開も後ちょっとで切れそうだ…時間はかけてられねぇ!」

 

有咲は4本の大剣と2本の剣で"蟹型"に斬りかかるが、"蟹型"は反射板を重ねて有咲の攻撃を防ぎきる。

 

有咲「くっ…硬てぇ。」

 

だが、有咲達の敵はバーテックスだけではない。後方から天の神が"獅子型"の火球を放ちバーテックスを援護してくる。

 

有咲「っと、危ねぇ。」

 

次に有咲は4本のうち2本で斬りかかる。"蟹型"は当然反射板でガードしてくる。

 

有咲「これなら、どうだ!」

 

もう2本の腕で更に斬りかかった。だが、これも残った反射板で防いでしまう。しかし、事は有咲の狙い通りに進んでいた。

 

有咲「これで、反射板は使えねぇ!」

 

"蟹型"の反射板は大剣をガードするのに全て使っていた。有咲の両手の剣は"蟹型"には防げない。

 

有咲「くらえ!!」

 

 

切り裂く--

 

 

しかし、致命傷にはならず再生してしまう。

 

有咲「くそっ!これだと最後の一押しが足りない……!」

 

刹那、天の神が火球を放ち、有咲はモロにそれを受けてしまう--

 

有咲「ぐああああああっ!!」

 

ゲージはゼロの為、精霊のバリアは展開されていない。背中の服は燃え尽き、火傷が痛々しく残る。

 

有咲「こんな事で…こんな事で倒れてたまるかよ…。香澄は……香澄はもっと痛いんだ…。こんなの…全然痛いうちに入んねーよ!!」

 

有咲は立ち上がる。

 

有咲(一撃だ…。一撃で終わらせる……!)

 

有咲は最後の力を込めると、4本の大剣と2本の剣が光りだす。

 

有咲「これで……決める!」

 

有咲は"蟹型"に向かって6本の剣を一斉に振り下ろした--

 

 

 

"蟹型"は反射板を重ねガードするが、剣は反射板を叩き壊し、"蟹型"を御霊ごと真っ二つに叩き切ったのだった。

 

 

 

"蟹型"が光になって消えていく--

 

 

 

有咲「はあ、はあ、はあ…倒したか……。」

 

有咲の満開が解け、樹海に落下していく。

 

有咲「はあ、はあ…。見たか、市ヶ谷有咲の実力を……。」

 

有咲は立ち上がろうとするが、足に力が入らず倒れてしまう。

 

有咲「へへっ、情けねぇ…。仕方ねーから香澄の事はゆりと沙綾に任せるか…。」

 

有咲「ちょっと休んだら、すぐ…行くから……。」

 

有咲の意識はここで途切れた--

 

 

 

 

 

りみサイド--

 

りみは迫り来る"蠍型"の尻尾をワイヤーで絡め取り切り裂いていくが、すぐに尻尾は再生してしまう。

 

りみ(この尻尾、段々スピードが上がっていってる……!)

 

そこに、援護とばかりに天の神が"牡牛型"の力を使って大きな音を響かせる。

 

りみ「くっ!!」

 

音にやられ、りみは耳を塞ぎ身動きが取れない。そこへ"蠍型"の尻尾がりみに向かって振り下ろされる。

 

りみ「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

りみは樹海に叩きつけられる。

 

りみ「くっ、あの針に当たったら絶対にダメだ……。だけど、どうしたら…。」

 

再び音が鳴り響く。

 

りみ「くっ!?」

 

りみは耳を塞ぐ。そして、すかさず"蠍型"が針を突き刺そうと尻尾で突いてきた。

 

りみ(動けないなら…これで!!)

 

りみは四方八方にワイヤーを展開して、尻尾の動きを止めた。

 

りみ(動きは止めた…。後はこの音をどうにかすれば……そうだ!これなら…!)

 

りみはワイヤーを指で弾き出した。まるで、ワイヤーをベースの弦に見立てて。

 

りみ「音楽は…人を幸せにするもの!音楽が人を傷付ける事なんて絶対にあっちゃダメなんだ!!そして、音楽は私の夢…。私の夢で……この音を止めてみせる!!」

 

りみが奏でる低音の音楽と天の神の高音が相殺されはじめた--

 

そして天の神の攻撃が止む。

 

りみ「今だ!!」

 

 

りみはワイヤーで"蠍型"を雁字搦めに巻き付け、御霊ごと細切れにする--

 

 

"蠍型"も光となって消えていった。同時にりみの満開も解ける。

 

りみ「はぁ…。お姉ちゃん、1人で倒せたよ……。確か、有咲ちゃんはこっちの方に…。」

 

りみは先に戦闘が終わった有咲を探しにふらふらになりながらも歩みを進めた。

 

 

 

 

 

たえサイド--

 

たえは傘で針を防ぎ続けていた。

 

たえ「まずいなー。これじゃあ埒が明かないよ。」

 

両者共に攻め手が無い状況だった。だが、そこへ天の神が"乙女型"の攻撃である爆弾を飛ばしてくる。たえは爆発を躱すが、周りが煙で覆われる。

 

たえ「何処から来る?」

 

飛んできた針をたえは躱す。

 

たえ(これは多分足止めだな。)

 

たえは気付いていた。バーテックスが本気で攻めて来ない事に。

 

たえ(多分ゆり先輩と沙綾のところにもバーテックスが来てるはず。ならこの3体のバーテックスは私たちが合流出来ないように足止めしてる、つまり天の神にとっては捨て駒って事か。)

 

たえ「なら、速攻だよ!」

 

たえは"射手型"に突進する。"射手型"は針を飛ばし近付けさせまいとするが、たえは避けた--

 

 

筈だったが、天の神は"乙女型"のもう一つの攻撃である触手をたえが避けた先に伸ばし、たえの腕を巻き取ったのだ。

 

たえ「嘘!?読まれた!」

 

すかさず"射手型"は針を飛ばす。たえはガードするが捕まった事で一瞬動きが遅れ、針が何発か掠ってしまった。

 

たえ「はぁ、はぁ…ちょっとマズイかも。」

 

たえは既に満開を使っている為、精霊のバリアはもう張れない。そこへ針と爆弾が同時に放たれてきた。

 

たえ「っ……!?」

 

たえは針を傘でガードするが、爆風を食らってしまった。

 

たえ「きゃあぁぁぁっ!!」

 

爆風でボロボロになるたえ。

 

たえ「香澄を助けなきゃいけないんだ…こんなところで倒れる訳にはいかないよ!」

 

体に鞭打ってたえは立ち上がる。

 

たえ(夏希……私に力を貸して…。)

 

たえは再び"射手型"へと突進した。"射手型"が針を放つが、たえはガードせず槍を回転させ針を弾いて近付いて行った。

 

たえ「天の神には分からないでしょ、この力!!」

 

 

だが、全部は弾く事が出来ずに何発か掠り、血が流れる--

 

 

たえ「これが……人間の!」

 

 

天の神は爆弾を放つが、たえは槍で爆弾を打ち返す--

 

 

たえ「気合と!!」

 

 

傷を負いながらもたえは"射手型"へと近づいていく--

 

 

たえ「根性と!!」

 

 

そして、たえは槍を前に構え、ドリルの様に回転しながら"射手型"に向かい突貫--

 

 

たえ「魂ってやつだよ!!」

 

 

たえが御霊ごと"射手型"を貫通したのだった。

 

たえ「はあ、はあ、はあ……。」

 

"射手型"も光となり消えていく。

 

たえ「少しは夏希みたいに強くなれたかな……。」

 

たえは2人を探しにボロボロのまま走り出すのであった。

 

 

 

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