戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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次回、第3章最終回--


物語はエピローグからその先へと--





君ありての世界

 

 

有咲、りみ、たえが戦っている頃、沙綾とゆりは香澄の元へと向かっていた。

 

ゆり「沙綾ちゃん、あれ!」

 

遠くの方に香澄が見える。

 

沙綾「香澄…!」

 

だが、そこへ天の神から雷の様なものが迸り、"獅子型"の攻撃である炎を纏った幼生バーテックスが大量に出現した。

 

ゆり「次から次へと…。」

 

沙綾「ゆり先輩!」

 

沙綾は船を反転させ、主砲のエネルギーをチャージ。

 

沙綾「飛び降りてください!」

 

ゆり「分かった!」

 

2人は船から飛び降り、船は攻撃をチャージしながらバーテックスの群れへと突き進む。

 

 

そして大爆発--

 

 

バーテックスの群れを蹴散らし、沙綾の満開が解除される。

 

沙綾「はあ、はあ、はあ……。」

 

ゆり「沙綾ちゃん…。」

 

だが、そこへ"天秤型"と"魚型"のバーテックスが2人の行く手を阻む。

 

ゆり「すんなりここを通してはくれないって事ね…。」

 

"魚型"が地面に潜り、"天秤型"は回転しながら近づいて来る。

 

沙綾「"魚型"は私が相手します。ゆり先輩は"天秤型"をお願いします!」

 

ゆり「任せて!」

 

沙綾は"魚型"、ゆりは"天秤型"へと立ち向かって行った。

 

 

 

 

 

香澄はその頃、神樹へ辿り着く。香澄は上着を脱がされ、周りを白ヘビが囲む。そして、その白ヘビが香澄に迫ってくる--

 

 

 

 

 

大赦--

 

祠で大赦の大神官が祈りを捧げている。そして、大神官の体が砂になり、周りの神官たちも次々と砂になっていった。そして、砂の中から芽が出てきて、芽は黄金の稲となった。

 

 

 

 

 

沙綾サイド--

 

"魚型"は出たり潜ったりを繰り返しながら沙綾へと近付いて来る。

 

沙綾(前の戦いでもそうだったけど、スナイパーライフルじゃ不利だ……。)

 

前回の"獅子型"との戦いでは"魚型"が潜る度に地面が揺れる為狙いが付けられなかった。

 

沙綾「それなら!」

 

沙綾はスナイパーライフルを肩で担ぎ、空いている手には小型の銃を持ちながら戦いを始めた。

 

沙綾「バーテックスは大きいから、無理に狙いを付けなくても当たるはず!」

 

"魚型"が飛び出してきたところを沙綾は狙い打つ。が、硬すぎて弾き返されてしまった。

 

沙綾「くっ!威力が足りない。なら!」

 

沙綾は目を閉じ、集中する。

 

沙綾(想いの力で私の銃は威力が上がる…。)

 

沙綾は力を溜める。そして目を閉じて敵の居場所を耳で感じ取っているのだ。

 

沙綾「そこ!」

 

 

沙綾は目を開け、"魚型"に向かって銃を発射、攻撃は"魚型"に命中した--

 

 

筈だったのだが、攻撃を受けた"魚型"は水になって消えてしまったのだった。

 

沙綾「水の分身!?」

 

その時、沙綾の左側から"魚型"が現れ突進してきたのだ。

 

沙綾「っ!?きゃあ!!」

 

沙綾は咄嗟に銃を前に構え防御したが、吹っ飛ばされてしまった。

 

沙綾「くっ…この力、"魚型"だけの力じゃない……。」

 

次の瞬間、"魚型"は口から水の玉を吐き出したのだった。沙綾はそれを躱し、気付いた。

 

沙綾「"水瓶型"の技…。このバーテックス"魚型"と"水瓶型"の融合体!」

 

そう、以前の戦いでも"獅子型"が融合したのだが、今回は天の神が、"魚型"と"水瓶型"を融合させてきたのだ。"融合型"は水で自身の分身を作りながら、沙綾に襲いかかってくる。沙綾は1体1体分身を銃で撃ち落としていくが、力を溜める事が出来ずに本体にはダメージが通らない。

 

沙綾「くっ、どうすれば…。」

 

 

 

 

 

ゆりサイド--

 

ゆりは回転する"天秤型"に攻撃するが、大剣が弾かれてしまう。

 

ゆり「ダメか、真正面からじゃ攻撃が通らない…。せめて動きを止めないと。」

 

そこへ天の神が"山羊型"の攻撃である紫色の煙で援護してきた。

 

ゆり「うっ、毒ガス!?」

 

前が見えず困惑するゆりを"天秤型"は分銅が付いた触手で攻撃してきた。

 

ゆり「うわっ!!」

 

ゆりは壁に吹っ飛ばされる。

 

ゆり「うっ!!」

 

ゆり「香澄ちゃんがすぐそこにいるのに…。」

 

ゆりは立ち上がり、

 

ゆり「満開!!」

 

満開し、大剣を更に大きくする。

 

ゆり「これで、どうだぁ!」

 

ゆりは大剣を団扇の様に扱い、毒ガスを吹き飛ばす。そして、そのまま"天秤型"に斬りかかっていった。

 

 

 

 

 

再び沙綾サイド--

 

"融合型"の突進攻撃を受け続け、沙綾の体はボロボロになっていた。

 

沙綾「はあ…はあ……。満開を使ったからバリアが張れない…。」

 

沙綾は既に満身創痍だった。

 

沙綾「香澄を助けないといけないのに…。ここで諦めなきゃいけないの……。」

 

そして沙綾は倒れてしまう。

 

 

ーーー

ーー

 

 

?(…あや。さ……あや。)

 

意識の底で誰かが沙綾を呼んでいた。

 

?(沙綾!)

 

目を覚ますとそこには夏希がいた。

 

沙綾「な…つき……?」

 

夏希「そうだよ。元気してた?」

 

沙綾「うん。でも何でここに?」

 

夏希「ここは沙綾の意識の中、私は死んだ後に神樹様と一体となったんだ。そして神樹様の力が弱って、香澄って子に気を取られてる間に沙綾に呼びかけたって訳。」

 

沙綾「香澄はもう神樹様の所に!?急がなきゃ!だけど、私じゃアイツを倒せない…。」

 

夏希「沙綾なら出来るよ。昔を思い出して。」

 

沙綾「2年前……。」

 

夏希「そう。みんなで厳しい訓練だってしてきた。今の沙綾ならどんな事だって乗り越えられる筈だよ。」

 

沙綾「夏希……。」

 

夏希「自分を信じて!私も力を貸すよ。」

 

 

ーー

ーーー

 

 

"融合型"はトドメを刺そうと沙綾を押し潰そうとするが、寸前のところで沙綾は目を覚まし、それを躱した。

 

沙綾「こんな所で止まってる訳にはいかない…お前を倒して、香澄を救うんだ!!」

 

沙綾は武器を銃から弓矢にチェンジした。この弓矢は沙綾が2年前に使っていた武器である。

 

沙綾(今の私には誰にも負けない思いがある……。それをこの矢に乗せる!)

 

沙綾は"融合型"の攻撃を躱しながら力を溜める。

 

沙綾「そこだ!」

 

沙綾は矢を放った。"融合型"は水の玉を前方に固めて壁を作るが、沙綾が放った矢はそれを軽々と貫通し、"融合型"にダメージを与える。

 

沙綾(回復してない…。融合してるから力の代わりに回復力を犠牲にしてるって事か。)

 

"融合型"は苦し紛れに水の玉を放つが、沙綾は矢でそれを割っていった。

 

沙綾「これで決める!」

 

その瞬間、沙綾の左手に斧が出現する。そう、この斧は2年前夏希が使っていたのと同じもの。沙綾はその斧を弓にセットし力を、想いを込める。

 

沙綾(夏希…力を貸して!)

 

 

 

直巴の文様が火を放ち、沙綾が斧を発射する。

 

 

 

沙綾「いっけぇぇぇぇっ!!」

 

 

 

"融合型"は水鉄砲を放つが、斧が炎をまとい水を蒸発させていく。

 

沙綾「私と夏希の想い……そんなちっぽけな水で消せると思わないで!」

 

斧はそのまま"融合型"を貫き、そのまま光となって消滅、斧も一緒に消滅した。

 

沙綾「夏希…私これからも頑張るからね……。」

 

沙綾はそのままゆりの元へと駆け出した。

 

 

 

 

 

再びゆりサイド--

 

未だにゆりは決定的なダメージを与える事が出来ずにいた。

 

ゆり「くっ…!満開を保ってられる時間がもう僅かしかない…。」

 

"天秤型"の回転は加速度的に速くなり嵐が巻き起こり、ゆりは身動き取れずにいた。更にその風は刃となりゆりに襲いかかる。

 

ゆり「うわっ!!」

 

勇者装束はボロボロになり立っているのもやっとであった。

 

ゆり「何なの…まるで台風じゃない……。」

 

その直後、ゆりは閃いた。

 

ゆり「一か八かだけど、やってみるしかないか…。」

 

ゆりは大剣を再び団扇代わりに使い、風の威力を弱める。

 

ゆり「私の女子力…舐めないでよっ!!」

 

次にゆりは大剣を棒高跳びの要領で空高くて舞い上がった。

 

ゆり「お前の攻撃が台風の様なら、その中心は安全って事でしょ!!」

 

奇しくもそれはやり方は違えど、2年前と同じ作戦であった。

 

ゆり「散々やってくれたお礼だよ!私の女子力…喰らいなさい!!」

 

ゆりは大剣を振り上げ、力の限りに振り下ろして"天秤型"を御霊ごと一刀両断する。

 

"天秤型"も光となって消え去り、直後沙綾が合流する。

 

沙綾「はあ、はあ…ゆり先輩!」

 

ゆり「沙綾ちゃん、お疲れ様。」

 

沙綾「先輩こそ、お疲れ様です。香澄はもう神樹様の元に辿り着いています!急ぎましょう。」

 

だが、突然触手が2人の行く手を遮った。

 

沙綾・ゆり「「っ!?」」

 

2人は避けながら前へ進む。

 

沙綾「まさか神樹様に妨害されてる!?」

 

ゆり「そんな事関係ない!例え神樹様でもね…今回だけは譲れないのよ!!」

 

神樹の妨害が激しくなる中2人は進んでいくが、先を壁で覆われてしまった。

 

沙綾「道が!?」

 

ゆり「何が何でも通さない気だね。」

 

その時、上空の天の神に祟りの刻印が浮かび、樹海に向かって光を照射。爆音と共に樹海が燃やされていった。

 

沙綾「あれは…。」

 

ゆり「っ……。」

 

ゆりは自分の太腿のオキザリスの刻印を見る。光っている花びらは後1枚、満開がもう解けてしまう。

 

ゆり「沙綾ちゃん、やれる?」

 

沙綾「必ず助け出します。」

 

ゆり「なら、道は……。」

 

ゆりは最後の力を振り絞り残った力を全て解放する。

 

ゆり「私が!!」

 

大剣が超巨大になり、

 

ゆり「切り開く!!!!」

 

壁に向かって思いっ切り振り下ろし、大剣で道を作った。

 

沙綾「ゆり先輩!ありがとうございます!!」

 

沙綾は大剣の上を走り抜け神樹へと辿り着いた。

 

 

 

 

 

沙綾「はっ!?」

 

気が付くと沙綾は見知らぬ空間の中にいた。

 

沙綾「ここは…?何て所だろう……。精霊の力でも帰れるのかな…。」

 

沙綾「っ!?」

 

沙綾は下に白ヘビに巻きつかれた状態の香澄を発見する。しかし既に、魂と身体が分離していた。

 

沙綾「えっ!?」

 

魂の状態の香澄が叫んでいるが、声が聞こえない。多くの人々の思念の様なものが手の形となって、徐々に香澄の魂を消していっていた。

 

沙綾「香澄!!」

 

香澄「っ!?さーや、どうして…?」

 

沙綾「帰ろう、香澄!迎えに来たんだよ!」

 

沙綾が香澄に近付こうとするが、その手の様な思念が沙綾の腕に、足に巻き付いた。

 

沙綾「っ!!」

 

沙綾は足を見る。段々と足が凍り付いてきていたのだった。

 

沙綾「そうまでして…渡したくないんだね。香澄!今助けるから!!」

 

香澄「でも……私が、私がやらないと…世界が……世界が消えちゃう…。これは誰かがやらないといけないんだよ。」

 

外では樹海が炎に飲み込まれていく--

 

香澄「なら、私が…。」

 

天の神が神樹に迫って来ていた。

 

沙綾「香澄が…。誰もやる必要なんか無い!!」

 

沙綾「大切な人を……。」

 

沙綾は夏希を思い浮かべる。

 

沙綾「もうこれ以上奪われたく無いんだよ!!」

 

香澄の魂は太腿まで消えかかっている。

 

香澄「私が我慢すれば、それで良いから……。」

 

沙綾「香澄!!!」

 

香澄「っ!?」

 

沙綾「本当の事を言ってよ!!」

 

沙綾の足も凍り続けていく。

 

沙綾「怖いなら怖いって、私には言ってよ!!友達だって言うなら……助けてって言ってよ!!!!」

 

 

香澄の手が動く--

 

 

香澄の魂は叫んでいるが、声が出ない。

 

 

香澄「イヤ、だよ……。」

 

沙綾「っ!」

 

 

香澄の目から涙が溢れる。

 

香澄「怖いよ……。でも、言っちゃダメで…。でもそんなの…。死ぬのはイヤだよ……。みんなと別れるのは、イヤだよっ!!!」

 

香澄は初めて思いの丈を叫んだ。

 

沙綾「香澄…。」

 

 

 

香澄「私達、一生懸命だったのに…。それなのに何で……。」

 

 

香澄の魂は胸まで消えていた。

 

 

香澄「イヤだよ…。ずっと…ずっと……。ずっとみんなと一緒にいたいよ!!」

 

 

沙綾「香澄!手を伸ばして!!」

 

香澄は沙綾に手を伸ばす。

 

香澄「さーや!助けて!!」

 

沙綾「香澄!」

 

香澄「さーや!!」

 

手を伸ばして近付こうとする2人だが、思念は2人の手を取らせまいとして迫ってくる。

 

 

2人の手があと少しで届く--

 

 

 

が、その瞬間2人の間を青白い光の壁が遮った。

 

香澄・沙綾「「っ!?」」

 

精霊達が見守っている中で、2人を隔てる壁が生まれてしまったのだった。

 

沙綾「そんな…ここまでして……。」

 

香澄「さーや…。」

 

沙綾「っ!?香澄!!」

 

香澄「たす……けて………。」

 

 

香澄が沈んでいく--

 

 

沙綾「香澄……香澄!!!」

 

香澄「さー……………や………。」

 

遂には香澄は気を失ってしまった。

 

沙綾「あっ…ダメ……。」

 

思念の手が沙綾から離れ、突如現れた壁の上に倒れてしまった。

 

沙綾「あぁっ……ぁ…あぁ……。」

 

遂に沙綾の体は殆どが凍った状態になり、動かなくなってしまった。

 

 

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