別な所で戦う勇者の登場です。
彼女は"いつも通り"頑張っています。
病院--
高嶋「みんな、体調は大丈夫だった?」
紗夜「ええ、問題ありません。精霊の力の疲労感が残っているくらいです。」
あこ「あれ、りんりん。友希那さん知らない?」
燐子「友希那さんは、早めに検査が終わったから、いつもの"アレ"をしに戻ったよ…。」
高嶋「じゃあ、私達も戻ろうか。」
4人は丸亀城へと戻った。
丸亀城通信室--
友希那が通信装置の電源を入れる。
友希那「こちら香川より湊よ。」
三年前のバーテックス襲来以降、地の神々達は1つとなり神樹へと姿を変えた。そうして四国の周りには神樹の根の壁が発生し、守られているのである。だが、日本にはまだ--
蘭『諏訪より美竹です。定時の勇者連絡を始めます。』
そういう地域がいくつか残っている--
友希那「よろしくお願いするわ。そちらの状況はどう?」
蘭『交戦がありましたが、人的被害は出ていません。結界は問題なく維持されてます。そちらはどうですか?』
友希那「昨日、結界内にバーテックスの侵入があったわ。以前よりも力は増してる感じに思える。精霊の力でこちらも被害は出ずにすんだわ。」
蘭『それは良かったですね。とは言えこちらは、以前は諏訪湖全域が結界内だったのに対して今は…厳しい状況ではありますね。』
友希那「…そのようね。」
蘭『でもまぁ、3年前から厳しくなかった事なんて無いんですけどね。私達は"いつも通り"やっていくだけです。』
諏訪の勇者、美竹蘭は通信機越しに微笑んだ。
友希那「そうね。」
美竹蘭--
彼女はたった1人で諏訪の守護を担っている勇者である。巫女の青葉モカと一緒にこれまで大きな人的被害を出さずにここまで戦い抜いてきたのだった。
蘭『湊---さん--聞こえて---か?』
友希那「ごめんなさい、ノイズが入ったみたい。」
蘭『最近多くなってきましたね…。この通信もいつまで続けられるか…。』
少しの沈黙の後、
友希那「美竹さん。そろそろいつものをやらない?」
蘭『…そうですね。今日こそ雌雄を決しましょう。』
友希那・蘭「『うどんと蕎麦、どちらが優れているか!』」
丸亀城食堂--
6人はご飯を食べていた。
友希那(結局今日も論争に決着はつかなかったわ…。)
友希那はそんな事を思いながらうどんをすする。
あこ「それにしても、毎日毎日訓練ばっか。何であこたちはこんな事しなきゃいけないんだろう。」
燐子「敵に対抗出来るのが、勇者だけだからだよ…。」
あこがこう思うのも当然の事である。他の人達は勇者の活躍こそ大社が報道した情報で知っているが、普段の彼女達の事は知らずに生きている。勇者、たったそれだけの事が違うだけで後は他の人達となんら変わりのない年頃の少女なのだから。
あこ「でもでも、普通中学生って言ったら…友達と遊びに行ったり、恋…とかしちゃったり。そういう生活をしてるんじゃないのかな。」
あこの疑問に友希那が答える。
友希那「今は有事よ、あこ。だからこそ神樹様を奉っている対バーテックス機関の"大社"が台頭し、戦う私達の為に丸亀城を改築して提供してくれるの。」
あこ「……。」
友希那は冷静に続ける。
友希那「授業で何度も聞いているでしょ。私達が努力しなければ人類はバーテックスに滅ぼされてしまう。私達が人類の矛となって…。」
あこ「分かってます!!」
友希那に対しあこが声を荒げてしまう。
あこ「分かってます…けど…。」
気まずい空気が食堂に流れる。そんな時だった、
高嶋「ぷはぁー、ご馳走さま!!今日も美味しかったね。」
香澄が流れを断ち切った。
高嶋以外「「「………。」」」
高嶋「あれっ?みんなどうしたの?」
高嶋以外「「「はあっ…。」」」
5人が一斉にため息を吐く。
高嶋「大丈夫だよ。みんなで頑張れば何とかなるよ!!」
香澄は知ってか知らずかこの場の雰囲気を和ませたのだった。
あこ「うどんに夢中になってた香澄に言われても説得力無いよー。」
高嶋「あこちゃん、美味しいものは仕方ないよ。」
次の日、通信室--
友希那「私はリーダーには向いてないのかしら…。」
蘭『どうしたんですか、いきなり。』
友希那は今日も諏訪の蘭に定時連絡をしていた。
友希那「…仲間に私の考えを押し付けてしまった。敵との戦いに不安を抱く気持ちは私にもよく分かっていたはずなのに…。」
蘭『……。』
通信機のノイズが響く。
蘭『その心配もいずれは無くなると思いますよ。』
友希那「!?」
蘭『戦いの現実というものは、想像以上に重いですから…。』
そして、再びバーテックスの進行があり、辺りは樹海へと変化していった--
樹海--
友希那達は順調にバーテックスを殲滅していた。
あこ「それにしても、樹海のお陰で安心して戦えるね、りんりん。」
燐子「でも、気をつけて…。樹海が過度の損害を受けると、現実世界において、災害や事故の形で影響が出るし…長時間の樹海化で神樹様の霊力が枯渇すると、霊力による恵みで自給自足している四国の人々が生活できなくなるんだよ…。」
友希那「そう。みんなで協力して迅速に敵を打ち倒す必要があるのよ。」
友希那が付け加え、そう言うと再びバーテックスの群れへと飛び出して行く。
紗夜「……。」
その姿を紗夜は何か思いつめた表情で見ていた。そこへ、友希那が突っ込んだのとは別のバーテックスが4人の元へ現れる。
紗夜「くっ!挟み撃ち!!」
高嶋「しかも、"進化型"に姿が変わった。」
その"進化型"は以前の角が特徴の奴では無く、ムカデの様な節足型の姿をしている。
燐子「以前と、姿が違います…。」
あこ「友希那さんは!?」
あこがスマホを確認すると、5人とは大分離れた所で戦っていた。
紗夜「私達でやるしかありません、高嶋さん!」
高嶋「オッケー紗夜ちゃん。2人は下がってて。」
高嶋「行くよ、"一目連"!」
紗夜「来なさい、"七人御先"!」
2人は精霊をその身に宿し"進化型"へと立ち向かう。
あこ「りんりん!あこ達も。」
燐子「ちょっと待って、あこちゃん…。」
加勢しようとするあこを燐子が静止する。
あこ「どうしたの、りんりん?」
燐子「私達は知っておかなきゃならない…。」
燐子は2人が戦う姿をまじまじと観察していた。
燐子「精霊を憑依させるという事…。それがもたらす事を…。」
高嶋「紗夜ちゃん!アイツを動き回らせない様に動きを止めて!」
紗夜「分かりました!」
紗夜は6人の自分で"進化型"を押さえつけ、動きを止めた。
高嶋「いっくよー!必殺、千回勇者パーンチ!!」
香澄は目にも止まらぬ高速の勇者パンチを連続で叩き込む。"進化型"は砕け散り、光となって消える。そして、同じ頃友希那もバーテックスを殲滅し終え樹海が元に戻った--
丸亀城--
勇者達は天守閣へと転送され、リサがみんなを労う。
リサ「みんな、お疲れ様。」
だが、紗夜が友希那へと詰め寄ってきたのだった。
紗夜「友希那さん!少しは周りも見てください。あなたは"リーダー"なのですから。」
友希那「…そうね、ごめんなさい。」
高嶋「まあまあ、紗夜ちゃん。倒せたんだから万事解決でしょ。」
香澄が紗夜をなだめた。
紗夜「高嶋さん…。そうですね。」
こうして6人は寮へと戻っていったが、
燐子「………。」
燐子だけはまだ何かを考えている様だった。
その夜--
友希那の部屋のドアをノックする音が。
友希那「こんな時間に誰かしら。」
開けるとそこには、
リサ「ゆーきな。来ちゃった。」
リサがクッキーを持って訪ねてきたのだった。
リサ「気にしてるの、紗夜の言葉?」
友希那「リサに隠し事は出来ないわね。」
リサ「当たり前。何年一緒にいると思ってるの。」
友希那「"リーダー"って何なのかしらね。」
落ち込む友希那にリサは友希那の頬を摘んだ。
友希那「!?」
リサ「笑顔笑顔。友希那は笑ってる顔が1番なんだから。答えはそのうち見つかるはずだよ。」
友希那「もう…リサはいつもそんな感じね。」
リサ「いつもの事でしょ。さっ、クッキー食べよ。」
リーダーの資質、それは今後の出来事に大きく関係していく事を、この時は誰も知る由もなかったのであった--
--勇者御記--
香澄の前向きな姿はこの世界では得難いものだ。
◾️◾️は不安定な面が見えるが……。
2018年8月 湊友希那 記
特別に強い敵と戦うための切り札、"精霊"。
でも、それは-------を
---------のです。
2018年8月 白金燐子 記
私としては、力が強化されるのも欲しいかな、
"----"いつか試してみたいと思います。
2018年9月 高嶋香澄 記