戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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諏訪の勇者システムは四国よりも脆く、精霊も存在しておりません。

そんな中、たった1人で守り抜いてきた蘭は本当に凄い勇者でした。




嵐の前の静けさ

 

 

西暦2018年11月--

 

リサが大社本部から戻り、そこで受けた神託を4人に話していた。香澄はまだ入院中である。

 

友希那・紗夜・あこ・燐子「「「総攻撃…!?」」」

 

リサ「うん。今回の神託で明らかになったんだ。まもなく四国にバーテックスの総攻撃が来る…。かつて無い程の規模で…。」

 

リサは正直そのままこの事を言うのを躊躇っていた。みんなの士気を下げてしまうのではないかと思っていたからだ。だが、4人の返答でリサの心配はすぐに消えてしまう。

 

あこ「心配ないよ!あこに任せといて、リサ姉。」

 

燐子「私も、頑張ります…。」

 

紗夜「勇者の力をバーテックスに見せつけるだけです。」

 

そして友希那がリサの肩に手をおき答える。

 

友希那「きっとみんなで力を合わせれば大丈夫よ。」

 

リサ「……そうだね!」

 

リサも笑顔で答えた。

 

リサ「あっ、そうだ。もう1つ良いニュースもあるんだった。」

 

あこ「なになに?」

 

リサ「明日香が教えてくれたんだけど、ここや諏訪以外にも生存者の反応があるみたいなんだ。」

 

燐子「本当ですか…。」

 

リサ「うん。どうやら北と南の端にそれぞれ反応があったんだって。」

 

紗夜「沖縄と北海道ですか。」

 

あこ「あこ達以外にも頑張っている人達がいるんだね!」

 

燐子「そうだね…。こっちも負けてられないね…。」

 

希望が見えた4人は近く来る総攻撃に備え特訓を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

丸亀城寮、リサの部屋--

 

その夜、友希那はリサの部屋へと足を運んでいた。

 

友希那「諏訪以外にも生存者の反応があったとはね…。」

 

そこにリサがココアを入れてやって来る。

 

リサ「確定じゃないんだけど、大社も時期を見て調査するって言ってたよ。」

 

友希那「そう…。なら、生き残っているかもしれない人々の為にも四国を潰させるわけにはいかないわね。」

 

リサ「………答えは見つかったんだね。」

 

リサが友希那の顔を見ながら言った。

 

友希那「えぇ。時間は掛ったけど、本当の意味で自分の弱さに気付く事が出来た。」

 

リサ「そっか。」

 

友希那「私を信じてくれたリサのお陰ね。」

 

リサ「何言ってるの。自慢の幼馴染の為じゃん。」

 

友希那「……ありがとう。」

 

友希那(もう、私は1人で戦ったりしない。リーダーとして為すべき事を為す。力を合わせて戦い抜く為に…。)

 

友希那はもう一度、みんな1人1人と向き合う事を決めたのだった。

 

 

 

 

 

 

次の日--

 

燐子は四国の地図を見ながら、来る総攻撃の為に作戦を考えていた。

 

燐子「どうすれば…。」

 

そこへ友希那がやって来る。

 

友希那「作戦を考えてたの?」

 

燐子「はい…。やはり問題は、敵が分かれて攻撃を仕掛けてきた時ですね…。」

 

友希那「そうね。前回の様な戦力の分散は避けないと。」

 

燐子「でも敵の方に数の利がある以上は…。」

 

真剣に作戦を考えている燐子を見て友希那は思った。

 

燐子(知識の多さや咄嗟の機転に関しては、勇者の中で燐子が一番ね…。)

 

燐子「ここをこうして…そうすると、こっちから来るだろうから…。」

 

燐子は友希那がいる事も忘れて作戦を真剣に練っている。

 

友希那「ありがとう、燐子。」

 

燐子「急にどうしたんですか…。作戦会議ならいつも…。」

 

友希那「いや…今の事だけじゃないわ。この前落ち込んでいた時、声を掛けてくれたでしょ?」

 

燐子「はい…。」

 

友希那「あの時は信じていた正しさが分からなくなって…。全く答えが見えなかった。だから、話しかけてくれた時は本当に助かった。」

 

燐子「友希那さん…。」

 

友希那「燐子…。」

 

燐子「友希那さんって、実は結構甘えん坊だったりしますか…?」

 

友希那「え…な、何を言ってるの燐子!!わ、わわ私がそそそそんな事ある訳ないじゃない…。」

 

友希那は明らかに動揺している。

 

燐子「ふふっ…。今井さんが優しくしている理由が少し分かった気がします…。」

 

友希那「分からないで良いわ…。」

 

その時、燐子が何かを思いつく。

 

燐子「そうだ…。」

 

友希那「どうしたの、燐子?」

 

燐子「良い案を思いついたんです…。」

 

友希那「それは…?」

 

燐子「"陣形"です…。友希那さんを中心にみんなが纏まるなら、そういう戦い方も出来るかもしれません…。確か図書室にあったはず…。すみません…ちょっと探してきますね…。」

 

そう言うと燐子は小走りで図書室に向かって行った。

 

友希那「頼りにしてるわ…。」

 

 

 

 

 

 

次に友希那はあことコスプレショップへとやってきていた。

 

友希那「ここが、あこが行きたいところなのね…。」

 

あこ「そうなんです!ここには何でも揃ってるんですよ。悪魔の角とか堕天使の翼とか…。」

 

友希那「そ、そうなのね…。」

 

あこ「それにしても、友希那さんからあこが行ってみたい所に一緒に行きたいって言ってくれるなんて思ってませんでした!」

 

友希那「みんなの事をもっと知らないとリーダーにはふさわしくないと思ってね。」

 

あこ「そうなんですね!じゃあ思いっ切り楽しみましょう!」

 

そう言うとあこは来てみたいコスプレを次々と選び出し、試着室へと入っていった。

 

あこ「じゃーん!!我が右目が疼き…こう…アレが……バーンってなって…。」

 

友希那(なんなのかしら…。)

 

あこ「じゃあ、次は友希那さんの番です。これなんか良いんじゃないですか?」

 

そう言うとあこは友希那に服を渡し試着室へと押し込んだ。

 

あこ「何かカッコいいセリフを言って出てきてくださいね!」

 

友希那「カッコいいセリフって言われても…。」

 

 

 

 

 

 

10分後カーテンが開き、

 

友希那「古より眠りし歴戦の王の魂よ…今こそ我に宿りその力を貸すがいい!!」

 

店内に沈黙が訪れる。

 

友希那(なんなのかしら、なんなのかしら…。)

 

あこ「か………カッコいい!!」

 

あこが目を煌めかせて友希那の手を握る。

 

あこ「さっすが友希那さんです!今度あこにもカッコいいセリフ教えて下さい!!」

 

友希那「え…ええ。機会があったらね。」

 

あこ「それじゃあ、今度はコレとコレとコレと…。」

 

無邪気にコスプレを選んでいくあこを見ながら友希那は思う。

 

友希那(あこの勢いの良い性格や私の固い性格…。どちらにも良いところはある……。勇者も同じ事なのね。)

 

 

 

 

 

 

 

次に友希那は紗夜とネットカフェに来ていた。

 

紗夜「まさか、湊さんがネットゲームを教えて欲しいなんて言ってくるなどとは思いませんでした…。」

 

友希那「紗夜の事をもっと知りたくてね。それならコレが一番かと思ったの。」

 

紗夜「そうですか…。では行きましょう。」

 

 

 

 

 

 

ゲーム内--

 

紗夜「では、最初は簡単なクエストからやってみましょうか。」

 

友希那「……。」

 

紗夜「湊さん?」

 

友希那「nihonngogasyaberenai」

 

紗夜「はぁ…これでは先が思いやられますね…。」

 

こうして1時間程かかって2人は最初のクエストをクリアした。

 

 

 

 

 

 

帰り道--

 

紗夜「どういう風の吹き回しだったんですか?」

 

友希那「ゲームには協力プレイって言うものがあるそうね。1人で出来ない事でも協力すればクリア出来る。私はそれがどういう事なのかを知りたかったの。」

 

紗夜「協力…ですか……。」

 

友希那「そうよ。」

 

紗夜「本当に変わったんですね…。」

 

紗夜が小さく呟いた。

 

友希那「えっ?」

 

紗夜「何でもありません。湊さんも最初はどうなる事かと思いましたが、最後の方は私のサポートをしつつ、要所要所で適格な攻撃が出来ていましたね。」

 

友希那「そう…それは良かったわ。」

 

紗夜「湊さんにはゲームの才能もあるみたいですね。」

 

そういって紗夜は友希那にゲームを手渡す。

 

友希那「これは…。」

 

紗夜「さっきやったゲームの携帯版です。これならいつでも私とゲームが出来ます。頑張って練習してくださいね…。」

 

友希那「ありがとう、紗夜。やってみるわ…。」

 

そうして、2人は別々の帰路へ着いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

病院、香澄の病室前--

 

友希那は紗夜と別れたその足で香澄のお見舞いに来ていたが、中々扉を開けれずにいた。

 

友希那(私のせいで怪我をした彼女にどんな話をすれば良いのか…。)

 

だが、意を決しドアノブに手を掛ける。

 

友希那(いや…決めたはず。リーダーとして為すべき事は、もう一度みんなと向き合う事。そうすれば結束力が深まり、敵の総攻撃だって乗り越えられるはず…。)

 

友希那は病室へ入る。

 

高嶋「あっ、友希那ちゃん!」

 

そこには香澄が元気にシャドーボクシングをしている姿があった。

 

友希那「香澄、もう大丈夫なの?」

 

高嶋「うん!明日退院出来るんだって。」

 

友希那「そう……良かった。」

 

高嶋「なまってるから、戻ったら身体を鍛え直さないと。」

 

友希那「無理だけはしないでね。」

 

高嶋「分かってるよ。」

 

友希那「そうだ、香澄。何かしてほしい事はないかしら?」

 

高嶋「急にどうしたの?」

 

友希那「退院祝いってやつよ。」

 

高嶋「そうだなー……。」

 

香澄から返ってきた言葉は意外なものだった。

 

高嶋「じゃあ、怪我しないで。」

 

友希那「えっ?」

 

高嶋「無事でいる事!それが私からのお願いだよ。自分の事もちゃんと守って。そうでなきゃ守れるものも守れなくなっちゃうから…。」

 

友希那(そうか…香澄は私の愚行を誰より近くで見ていたものね…。)

 

友希那「分かったわ…その約束、必ず守る。」

 

高嶋「うん!絶対だよ!」

 

友希那は香澄と握手し病室を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

友希那が丸亀城に帰ったちょうどその時、リサが慌てて友希那の元へとやって来た。

 

リサ「友希那!大変だよ!!」

 

友希那「どうしたのリサ?そんなに慌てて。」

 

リサ「諏訪の蘭から緊急通信が入ったの!!急いで通信室に行って!」

 

そうリサが言うと、友希那は急いで通信室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

丸亀城通信室--

 

友希那「美竹さん!?美竹さんどうしたの!?」

 

蘭『はぁ…み、湊さん…良かった繋がって……。』

 

友希那「何かあったの!?」

 

蘭『はぁ…はぁ…ち、ちょっと手強いバーテックスを退けましてね……。な、何とか犠牲者は出さずに済みましたが…。もう……。』

 

蘭の声が少しずつ小さくなっていく。声を聞いて友希那は察知する。

 

友希那「死なないで、美竹さん!ここや諏訪以外にも生体反応があったの!私達も必ず助けに行くから、希望を捨てないで!!」

 

友希那の目から涙が零れる。

 

蘭『そう…ですか…。まだ希望はあるんですね………。』

 

友希那「そう…そうよ……だから、死なないで……。」

 

蘭は通信機越しに微笑み、

 

蘭『湊さん………。私の大切な友達…………。◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️。』

 

 

蘭はそう言い残し、通信は切れノイズだけが通信室に広がる。

 

 

 

友希那「美竹さん……。美竹さんっ……!美竹さん!!!!」

 

 

 

友希那「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

丸亀城に友希那の慟哭が響き渡った--

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、諏訪--

 

モカ「言いたい事は言えた?」

 

蘭「うん。私の意思は湊さんが継いでくれるよ…。」

 

モカ「そうだね…。」

 

蘭「モカ…。」

 

モカ「なに…?」

 

蘭「モカが一緒にいてくれたから…私は今日まで頑張ってこれたよ……。」

 

モカ「うん……。最期まで一緒にいるよ、蘭……。ずっとここで見てるから……。」

 

 

蘭「ありがとう………モカ…………。」

 

 




--勇者御記--

もしかしたら……いや、きっと。
……ううん、絶対!
私達の他にも生きている人達は、いる。
そうに決まっている。
たとえば◾️◾️◾️は、希望が高いみたい。
その人達の為に、私たちはくじけない。


2018年11月 高嶋香澄 記





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