戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

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第1章が1番バンドリ要素強いかもしれません。

バンドを絡めるとやっぱ書くのが大変です。




心の痛みが分かる人

 

 

7月、ある日の放課後--

 

牛込りみは教室でベースの練習に励んでいた。

 

りみ「うーん。中々上手に出来ない…私が一番下手だから頑張って練習しないと。」

 

 

 

 

 

 

勇者部部室--

 

香澄「うーん……。」

 

掲示板とにらめっこをしている香澄。

 

香澄「この写真は…ここ!……うんうん、バッチリだー。」

 

春の勇者部活動の記事を貼っていた。沙綾はパソコンで作業中で、勇者部のホームページは本日も沢山閲覧されていた。

 

沙綾「あとはここに子猫の写真と学校の連絡先を載せれば…完成!」

 

香澄「さーや完璧!」

 

一方でゆりは、

 

ゆり「うーん…もう……。歌詞が中々思いつかない…。」

 

文化祭でやる曲の歌詞作りに苦戦していた。

 

香澄「そういえば有咲ー。」

 

有咲「何だ―。」

 

香澄「飼い主探しのポスターは出来たー?」

 

有咲「ん、そんなのもう作ってあるぞ。」バーン

 

香澄「さすが有咲!……あっ。」

 

ポスターの下に書いてある絵に香澄と沙綾が気付く。

 

香澄・沙綾「「えっと、妖怪?」」

 

有咲「猫だあぁぁぁーーー!!」

 

そこへ、

 

りみ「はぁーーーーー。」

 

大きなため息を付きながら、りみが部室に戻ってきた。

 

ゆり「どうしたの?りみ。ため息なんかついて。」

 

りみ「あ、えっと…。ベースの練習をしてるんだけど中々上手く出来ないんだ…。このままじゃ、みんなの足引っ張っちゃう……。」

 

ゆり「大丈夫だよりみ。まだ文化祭まで時間あるんだから。お姉ちゃんと一緒に練習しよう。」

 

香澄「そうだよ、りみりん。勇者部5箇条"成せば大抵なんとかなる"だよ!」

 

有咲「そんなもんかぁ?」

 

香澄に有咲がツッコミを入れる。

 

ゆり「実際りみはそんなにベース下手な訳ではないんだ。多分大勢の前で演奏する事を考えて緊張しちゃってるだけだと思うの。」

 

香澄「じゃあ、今からみんなで練習しに行こうよ。」

 

香澄がみんなに提案する。

 

 

 

 

 

 

勇者部5人がやって来た所はライブハウス「CIRCLE」

 

ゆり「よし、じゃあ取り合えず簡単な曲からみんなで演奏してみましょうか。」

 

ゆりが4人に言い演奏を始める。

 

 

 

〜〜〜♪

 

 

 

一曲目が終わり、

 

りみ「はぁ……間違えちゃった。」

 

ゆり「やっぱりちょっと硬いかなー。」

 

ゆりがりみに伝える。

 

有咲「重症だなこりゃ。」

 

香澄「大丈夫だよ、りみりん。今はただの練習なんだし楽しんで演奏すればいいんだよ!私だって間違えちゃったところあったもん。気にしない気にしない。」

 

りみ「香澄ちゃん…。」

 

香澄「さぁもう一回やろう!」

 

その時だった。

 

ゆり「っ!?ちょっとお手洗いへ行ってくるね。」

 

ゆりがいきなり出て行ってしまう。

 

有咲「……。」

 

その様子を怪しみ有咲も出て行った。

 

 

 

 

 

 

化粧室--

 

ゆりがスマホを確認していると、そこに有咲が入ってきた。

 

有咲「大赦から連絡?」

 

ゆり「ええ。」

 

有咲「ったく、私には何も言ってこないのに…。」

 

ゆり「……。」

 

有咲「内容は想像つくさ。バーテックスの出現には周期がある。今の奴らの現れ方は当初の予想と全く違ってる。」

 

ゆり「最悪の事態を想定しろだって。」

 

有咲「怖いのか?」

 

ゆり「っ……!」

 

有咲「あんたは統率役には向いてない。私ならもっと上手くやれる。」

 

ゆり「これは私の役目で、私の理由なの。後輩は黙って先輩の背中を見てなさい。」

 

そう言ってゆりは化粧室から出て行った。

 

有咲「…ふんっ。」

 

 

 

 

 

 

5人は練習を終え帰宅していた。

 

香澄「あー今日は楽しかったね、さーや。」

 

沙綾「本当だね。歩いて帰るの何だか久しぶり。」

 

ゆり「……。」

 

ゆりは大赦からの連絡を気にしていた。

 

りみ「お姉ちゃん、大丈夫?」

 

ゆり「ん?何?」

 

香澄「ゆり先輩何かありましたか?」

 

香澄が心配そうに尋ねてきた。

 

ゆり「ううん、何でもないよ。りみはもう少し練習と対策が必要かな。」

 

りみ「………。」

 

そう言って誤魔化すゆりをりみは見つめていたのだった。

 

 

 

 

 

 

牛込宅--

 

部屋でベースの練習をしているりみ。

 

りみ「はぁ……。」

 

そこにりみの精霊である"木霊"が現れる。心なしかりみを気に掛けているようだった。

 

りみ「大丈夫だよ、木霊。」

 

再びベースを弾き始めるりみ。その音は弾むような音色を奏でていた。すると、

 

ゆり「やっぱ上手いじゃん、りみ。」

 

突然ゆりが部屋に入ってきた。

 

りみ「お、お姉ちゃん聞いてたの!?」

 

ゆり「全く。りみはもっと自信持っていいのに。ちゃんと出来る子なんだから。」

 

 

 

 

 

 

その夜、りみは考えていた。

 

りみ(小学生の頃、知らない大人達が家にやって来た事があった…。私はお姉ちゃんの背中に隠れているだけで、後でお姉ちゃんがお父さんとお母さんが大橋での事故で死んじゃったって教えてくれた…。)

 

りみ(あの日から、お姉ちゃんはずっとお姉ちゃんで…。お母さんでもあって…ずっとお姉ちゃんの背中が一番安心できる場所で…。お姉ちゃんがいれば、私、何だって出来るよ。でも、私1人じゃ…。)

 

 

ーーー

ーー

 

 

沙綾「ずっと黙ってたんですか……。」

 

ゆり「やっぱり、怒るよね…。」

 

 

ーー

ーーー

 

 

りみ(お姉ちゃんは勇者部の事をずっと1人で抱え込んでいた…。もし…もし私がお姉ちゃんの後ろに隠れてる私じゃなくて、隣を一緒に歩いて行ける私だったら……。)

 

 

 

 

 

 

ゆり「…み。り…。りみ、起きなさ―い。」

 

りみ「……。」

 

ゆり「よっと。」

 

りみ「うーーーん…。」

 

ゆり「りみ。朝ご飯出来たから着替えて顔洗ってきてね。」

 

りみ「うーん…。」

 

ゆりはリビングに戻りスープの味見をする。

 

ゆり「うん。今日も上出来。」

 

そこへまだ寝ぼけ眼のりみがやって来た。

 

りみ「おはよう、お姉ちゃん。」

 

ゆり「おはよう。もうスープも出来てるから、先にトースト食べてて。」

 

りみ「うん……。」

 

りみはトーストにマーガリンを塗り、ゆりはスープをよそう。

 

ゆり「ん……?」

 

りみの寝癖を見てゆりは微笑み、ポケットからブラシを取り出し、

 

ゆり「ちょっと動かないでね。……よし、今日もりみは可愛いぞ。」

 

りみの髪を梳かしてあげたのだった。

 

ゆり「元気ないね。どうかした?」

 

りみ「あのね、お姉ちゃん…。」

 

ゆり「うん。」

 

りみ「ありがとう。」

 

ゆり「どうしたの?急に。」

 

りみ「なんとなく言いたくなったの。この家の事とか勇者部の事とか、お姉ちゃんばっかりに大変な事させて…。」

 

ゆり「そんな事無いよ…。私なりに理由があるからね。」

 

りみ「理由って?」

 

ゆり「っ!ま、まぁ簡単に言えば、世界の平和を守る為、かな。だって勇者だしね。」

 

りみ「でも…。」

 

ゆり「何だって良いよ。どんな理由でもそれを頑張れるならさ。」

 

りみ「どんな理由でも……。」

 

ゆり「はいはい!シリアスな雰囲気はここまで!冷めないうちに食べて、学校へ行きましょう。」

 

りみ「っ……。」

 

こうしてりみはゆりが言っていた事を気にしつつ学校へ向かった。

 

 

 

 

 

 

花咲川中学校--

 

りみ(どんな理由でも頑張れるのなら…。だったら…私は…?勇者になったのも部に入ったのも、お姉ちゃんの後ろについて行っただけ…。私、理由なんて何もない……。)

 

先生「はい、今日の授業はここまで。」

 

クラスメイト「起立。礼。神樹様に拝。」

 

りみ「はぁ…。」

 

そんな時NARUKOに連絡が入る。

 

 

 

 

 

 

ゆり「こちら部長、本日のミッションは2手に分かれて行動します。」

 

ゆり「飼い主探しの依頼が来てた仔猫のうち、2匹の貰い手がつきました。」

 

ゆり「各依頼主の家へ行き、仔猫を引き取ってください。」

 

沙綾「分かりました。」

 

香澄「りょーかいです。」

 

 

 

 

 

 

香澄、沙綾、有咲組--

 

有咲「えーっと…。沙綾ここ、どこだ?」

 

沙綾「この住所なら、あっちだよ。」

 

有咲「わ、分かってたよ。ちょっとまだこの辺りの地理に慣れないだけだし!」

 

香澄・沙綾「「ふふ…。」」

 

 

 

 

 

 

牛込姉妹組--

 

ゆり「うーーーん、確か…ここだね。…すいません。花咲川中勇者部です。仔猫を引き取りに来ました。」

 

すると家の中では--

 

女の子「絶対ヤダ!この子をあげるなんて…。」

 

ゆり・りみ「「っ!?」」

 

女の子「私が飼うから…。」

 

母親「でもね、うちでは飼えないのよ…。」

 

女の子とその母親が仔猫をめぐって口論をしている最中であった。

 

りみ「もしかして仔猫連れて行くの嫌だったのかな?」

 

ゆり「あちゃー…。もっと確認しておけばよかった。」

 

りみ「どうしよう?この家の子、泣いてるみたい…。」

 

ゆり「……大丈夫。お姉ちゃんが何とかする。」

 

りみ「え?何とかって?」

 

ゆり「失礼します。花咲川中勇者部の者ですけどー。」

 

 

 

 

 

 

帰り道--

 

りみ「あの家のお母さん、仔猫の事考え直してくれて良かったね、お姉ちゃん。」

 

ゆり「うん。」

 

りみ「喧嘩にもならなかったし、お姉ちゃんのお陰だね。」

 

ゆり「ごめんね、りみ。」

 

ゆりは悲しげな顔をしてりみに謝り始めた。

 

りみ「え?」

 

ゆり「ごめんね。」

 

りみ「何で謝るの、お姉ちゃん。」

 

ゆり「りみを勇者なんて大変なことに巻き込んじゃったから…。」

 

りみ「え…。」

 

ゆり「さっきの家の子、お母さんに泣いて反対してたでしょ?それで思ったの。りみを勇者部に入れろって大赦に命令された時、私、やめてって言えばよかった。さっきの子みたいに、泣いてでも…。」

 

りみ「……。」

 

ゆり「そしたら、もしかしたらりみは勇者にならなくて、普通に…。」

 

そこでりみの口から出た言葉は、ゆりの予想に反する言葉だった。

 

りみ「何言ってるの、お姉ちゃん!」

 

ゆり「っ!りみ…。」

 

りみ「お姉ちゃんは間違ってないよ。」

 

ゆり「でも……。」

 

りみ「それに私、嬉しいの。守られるだけじゃなくてお姉ちゃんと、みんなと一緒に戦えることが。」

 

ゆり「っ……。ありがとね、りみ。」

 

りみ「どういたしまして。」

 

ゆり「りみったらなんか偉くなったね(笑)。」

 

ゆり・りみ「「あははは!」」

 

ゆり「さてと、家に着いたらりみは楽器の練習ね。」

 

りみ「あっ。うぅぅ、そうだった……。が、頑張る!」

 

 

 

 

 

 

次の日の放課後。りみはまた1人教室でベースの練習をしていた。

 

りみ「うーーん。もう少しこうした方が良いのかなー?」

 

そこへ--

 

?「ねぇ、りみちゃん。」

 

 

 

 

 

 

その日の帰り--

 

りみ「あのね、お姉ちゃん。私やりたい事が出来たんだ。」

 

ゆり「ん?やりたい事?」

 

りみ「うん。」

 

 

ーーー

ーー

 

 

クラスメイトC「ねぇ、りみちゃん。」

 

話しかけてきたのはりみのクラスメイト達だった。

 

クラスメイトD「りみちゃん、楽器上手いね。」

 

りみ「そ、そうかな…?」

 

クラスメイトC「文化祭で演奏するんだよね?私絶対聞きに行くね。」

 

クラスメイトD「将来はバンドマン目指したら?」

 

クラスメイトC「あっ、そうしたら私ファン1号ー!」

 

りみ「バンドマンなんて大げさだよ…。でも楽器弾くのは嫌いじゃないかも……。」

 

クラスメイトC・D「「でしょー!りみちゃんならいけるって!」」

 

心なしかりみの顔には笑顔がこぼれていた。

 

 

ーー

ーーー

 

 

ゆり「何々?将来の夢でも出来たって事?だったらお姉ちゃんに教えてよ。」

 

りみ「うーーん……秘密。」

 

ゆり「あーー、酷い。誰にも言わないから。」

 

りみ「だーめ、恥ずかしいもん。」

 

ゆり「残念だなー。」

 

りみ「でも、いつか教えるね。」

 

ゆり「じゃあ、そのいつかが来るまで気長に待つよ。」

 

りみ「うん。」

 

 

 

 

 

 

カラオケ屋--

 

1人でベースを弾くりみ。テーブルの上にはノートパソコンが置いてあり。ベースの音源を録音しているのだった。

 

りみ(まだこれは、なんて言えない。やってみたい事が出来た。ただそれだけ。だけど、どんな理由でも良いんだ。頑張る理由があれば。)

 

画面にはバンドメンバーのオーディションサイト。

 

りみ(私はお姉ちゃんの後ろじゃなくて、一緒に並んで歩いて行ける。)

 

マウスを動かした時、手にカバンが当たってしまいカバンの中の荷物が散らばってしまう。

 

りみ「あっ……。先にこっちやんなきゃ…。」

 

 

 

 

 

 

一方その頃ゆりは家でスマホをいじっていた。

 

ゆり「私の理由は…。バーテックスのせいで死んだ親の仇…すごく個人的な事だしね……。」

 

その時、樹海化警報のアラームが鳴り響く--

 

 

 

遠くの空が割れて闇が広がっていく--

 

 

 

 

ゆり「っ!始まったの……?最悪の事態が…。」

 

 

 

 

七色の光が世界を埋め尽くしていった--

 

 

 

世界が樹海化する--

 

 

 

遠くに見える光の点は7つ--

 

 

 

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