戸山香澄は勇者である   作:悠@ゆー

85 / 326
防人のみんなは巫女以外は誰かしら勇者と関わりがあるのです。つまりは日菜も……。

臆病と勇気は紙一重、何を以って勇者と呼ぶか。それが大事です。




潜入!花咲川の勇者達

 

 

神世紀300年6月--

 

花音は電車で揺られながらある所へ向かっていた。花音は同好会が解散された理由について部長から聞かされ考えたのだ--

 

勇者に選ばれた人達は一体どんな人達なのかと。

 

花音は午後の授業をサボって花咲川中学へとやって来た。ここに選ばれた5人の勇者達がいると部長に事前に聞いていたからである。ちょうど放課後になった頃なのか花咲川の生徒達が次々と校門から出て行くところだった。花音は1人の女子生徒に恐る恐る聞いてみる。

 

花音「あの……牛込ゆり様が何処にいらっしゃるかご存知でしょうか…?そ、それか…戸山香澄様、山吹沙綾様、牛込りみ様、市ヶ谷有咲様でも…。」

 

若干声が震えながら尋ねるが、

 

生徒「ああ、もしかして"勇者部"の人達の事?」

 

花音「……へ?」

 

まるで友達感覚の様なあっさりとした女子生徒の回答に花音は拍子抜けした。

 

生徒「あの人達、いつも色んな所を回ってるから何処にいるかは分からないわねー。とりあえず、部室でも行ってみたらどう?」

 

女子生徒は花音に部室の場所を教えて去って行った。

 

 

--

 

 

勇者部部室前--

 

花音は教えられた部室へ辿り着き、細心の注意を払いながら中を覗き込んだ。部室の内部は縦に長い構造になっていて、棚に遮られて奥までは見えないが、奥から複数人の声が聞こえてきた。

 

?「今日も依頼が盛りだくさんだよ。しっかりと解決していきましょう。」

 

?「「「はいっ!!」」」

 

?「とりあえず監視しなきゃなんねーから、手伝ってやるかー。」

 

?「そんな事言って、大分有咲ちゃんも馴染んできたんじゃない?」

 

有咲「ち、ちげーーーーし!!!」

 

?「じゃは最初は、園芸部の花壇の整備の手伝いね。これは香澄ちゃんとりみに行ってもらおうかしら。」

 

香澄「戸山香澄了解しました!」

 

りみ「頑張るよ、お姉ちゃん。」

 

ゆり「次、図書委員会からの依頼ね。貸出記録をデータにまとめる手伝いだよ。これは沙綾ちゃんにお願いするね。」

 

沙綾「分かりました。」

 

ゆり「最後に、一般生徒からだね。登校中に仔猫を拾ったけど逃げ出して現在行方不明に。これは一先ず探し出して、その後に里親を探すか考えようか。この依頼は残った私と有咲ちゃんでやるね」

 

有咲「げっ……。」

 

ゆり「部長として、新人に色々と教えないとね。」

 

有咲「しかたねー。」

 

その後、5人の勇者達はそれぞれの依頼場所へ向かうために入り口の方へと向かってきた。

 

花音(あれが勇者様……確かに見た目は普通の人たちと何ら変わらない……。とりあえず離れないと。)

 

花音はドアから離れ、廊下の曲がり角へと再び身を隠す。そして花音はそれぞれの勇者達の動向を隠れて追ってみたのだった。

 

 

---

 

 

中庭--

 

香澄とりみは中庭で園芸部の人たちに話しかける。

 

香澄「勇者部の戸山香澄です!よろしくお願いします!!」

 

りみ「同じく、牛込りみです。お願いします。」

 

花音は離れた木陰に隠れ、双眼鏡で2人を観察していた。

 

花音(一体何してるんだろう…。はっ、まさか園芸部は勇者様のしもべで、勇者様達の食料を作る為に過酷な労働環境で働かされているんじゃ……!!)

 

花音はそう思ったが、明らかに園芸部員達は朗らかに勇者達に対応している。

 

園芸部員「手伝ってくれてありがとう。じゃあ早速草むしりからお願い出来るかな?」

 

香澄・りみ「「はいっ!!」」

 

2人は元気よく頷き、花壇の草むしりを始めた。

 

花音(な、なんかむしろ勇者様の方が働かされてるような…。この学校では園芸部員は勇者様よりもヒエラルキーが上なの……!?)

 

花音は心の中で驚愕する。

 

 

---

 

 

図書室--

 

次に花音は図書室へとやって来て、ドアの隙間から中を覗き込んだ。そこにいたのは車椅子に乗っている勇者、山吹沙綾だった。

 

花音(きっとあの足はバーテックスとの戦いで不自由になったんだ…。)

 

花音は生唾を飲み込む。沙綾はパソコンのキーボードを叩き真剣に作業に取り組んでいる。そこへ、図書委員らしき人が貸出カードの束を持ってやって来た。

 

図書委員「山吹さん。次はこれをお願いね。学年の男女毎に分けてあるから。」

 

沙綾「分かりました。」

 

沙綾は笑顔で頷き先ほどよりスピードを上げてキーボードを叩き始めた。

 

花音(こ、この学校では図書委員も勇者様よりも立場が上なの!?)

 

花音の頭の中は混乱してきた。

 

 

---

 

 

花音は残る2人の勇者を探すために校内を歩いていた。2人が受けた依頼が捜索だった為、花音は2人を探すのに苦労していたのだった。

 

 

--

 

 

しばらく歩き回り、やっと花音はゆりと有咲を見つける。2人は女子生徒と話しているところであった。

 

ゆり「学校の中で仔猫を見かけなかった?」

 

生徒「仔猫?うーん、見てないなぁ。」

 

ゆり「そっか。ありがとう。もし見かけたら教えて。」

 

その女子生徒も勇者に対してフランクに接している。流石にここまでくれば花音でも理解が出来た。

 

花音(勇者様って……普通の人なんだね……。見た目も私達と全然変わらないし、他の人達とも対等に接してる…"勇者部"っていうのは所謂ボランティアサークルの様なものなんだな。)

 

2人は廊下を話しながら廊下を歩いていた。

 

有咲「朝逃げた仔猫を、人力で探すってのは流石に無理があるんじゃねーか?もう学校の外に行ってるかもしれないぜ?」

 

ゆり「そうよだねー。町中に捜索範囲を広げるとなると人手も必要になるし。有咲ちゃん、何か良いアイデア無い?」

 

有咲「そうだなー。っと、その前に……!」

 

突然有咲は歩みを止め、ポケットからボールペンを取り出し、いきなり振り返ってボールペンを投擲したのだ。そのボールペンは花音が隠れてる曲がり角の壁に思いっきり突き刺さる。

 

花音「ふ、ふえぇぇぇっ!!!」

 

花音は思わず尻餅をついてしまう。

 

有咲「あんた、部室の前でも私達を見張ってたな?何が目的だ?」

 

有咲が花音の目の前にやって来て、彼女を見下ろしながら問い詰めた。

 

花音(き、気付かれてた……っ!?)

 

花音は有咲の威圧的な視線と口調にすっかり怯えてしまい、声が出ず、足も震えて動く事が出来なかった。だが、そこへ、

 

ゆり「こらっ、人を脅かさないの。それにボールペンを壁に刺しちゃダメでしょ。」

 

ゆりが有咲の頭に軽いチョップを入れる。

 

有咲「痛ってー。」

 

花音は結局2人に捕まり部室へと連れて行かれる事となった。

 

 

---

 

 

勇者部部室--

 

花音が2人に連れられ部室へ来た時、ちょうどそれぞれの手伝いが終わったのか、香澄と沙綾、りみも部室へと戻って来ていた。花音は勇者達の前で正座をする。抵抗の意思が無い事を示す為だ。

 

香澄「あれ?この子は新入部員?あっ、もしかして有咲の妹だ!」

 

有咲「んな訳あるか。」

 

香澄の的外れな言葉に有咲が突っ込んだ。

 

沙綾「他校の人じゃない?制服が違うし。」

 

沙綾は制服から花音が花咲川の生徒ではない事を指摘した。

 

花音「は、はい……私は松原花音と言います。勇者部の噂を聞きつけて、どんな人達なのかなと思って訪ねて来たんです…。」

 

ゆり「おおっ!遂に勇者部が他校にまで知られるようになったんだね!沙綾ちゃんのホームページのお陰でネット界隈じゃ有名だったけど、まさかここまでとはっ!」

 

ゆりはテンションが上がる。

 

香澄「花音ちゃん。私達は人の為になる事を勇んでやる部、つまり勇者部なんだ!」

 

有咲「香澄、勇者部の名前を聞いてわざわざここまで来たんだからそれくらい知ってるだろ。」

 

香澄「あっ、そういえばそうだねー。さっすが有咲!」

 

実際のところ花音は勇者部の活動を知らなかったが、香澄のお陰で理解する事が出来た。花音が推測したものとほぼ合っていた。

 

沙綾「ところで松原さん。わざわざ他校から訪ねて来たって事は、何か依頼があるんですか?」

 

沙綾の質問に花音は言葉を詰まらせる。依頼など無く、ただの興味本位でここに来ただけなのだから。だが、正直に無いと言えば。みんなから総ツッコミを受けるだろう。花音は考え咄嗟に思いついた事を口に出した。

 

花音「えっと……わ、私、昔から物凄く臆病で…だから、少しだけでいいから勇気が持てるようになりたいんです。」

 

確かに咄嗟に思いついた言葉だ。だからこそ、そこには花音の純粋な願いが込められていたのだった。

 

香澄「勇気を持ちたい…ゆり先輩!これはまさに勇者部に相応しい依頼じゃないですか!力になってあげましょう!!」

 

香澄はゆりに意気込んだ。

 

ゆり「分かった。」

 

ゆりはチョークを持ち、黒板に内容を書き出した。

 

ゆり「香澄ちゃんと沙綾ちゃん、りみの依頼は早く終わったし、私と有咲ちゃんの依頼も依頼者と相談して明日から街中を探す事になったからまだ時間は残ってる。でも、そういう精神的な部分ってどうすればいいのかな。」

 

沙綾「こういうのは心理学かな…ちょっとパソコンで調べてみます。」

 

そう言って沙綾はパソコンに向かった。

 

 

--

 

 

しばらくして、

 

沙綾「臆病を治す方法が書いてある本を見つけたから図書室で探してきます。」

 

香澄「あっ、さーや、私も手伝うよ。」

 

香澄が沙綾の車椅子を押して図書室へと向かった。

 

花音「あ、ありがとうございます。」

 

勇者部の勢いに呆気にとられつつ花音は頭をさげた。

 

花音(この人達は何でこんなに真面目に考えてるんだろう…。)

 

花音の臆病さなんて彼女達には何も関係が無いはずなのに。解決したところで報酬が貰える訳でも無いのに。花音はそれが分からなかった。

 

 

--

 

 

それから更にしばらくした後--

 

花音「えっと…これで勇気は持てたと思います。では、もう帰らないといけない時間なので!」

 

あまり長居しすぎてボロが出るといけないも考えた花音は退散しようとした。その時だった--

 

 

花音「あれ…猫?」

 

花音が指差した方向に1匹の仔猫がいた。

 

ゆり「ああっ!あれは依頼の迷い仔猫!松原さん、お手柄だよ!!」

 

そう言うとゆりは部室を飛び出し、他のみんなもそれに続く。

 

香澄「花音ちゃん!私たちも行こう!!」

 

花音「えっ?は、はいっ!」

 

香澄に連れられ花音も着いて行った。

 

 

---

 

 

屋上--

 

勇者部と花音は屋上に来ていた。

 

花音(何で私着いて来ちゃったんだろう…。)

 

仔猫は屋上の縁で寝そべっていた。

 

香澄「私が捕まえて来ます!」

 

香澄は屋上の柵を乗り越え、仔猫に近付く。

 

沙綾「香澄、気を付けて!」

 

香澄「大丈夫だよ、さーや。仔猫を驚かさない様にゆっくりと…。」

 

仔猫は香澄の接近に気が付くが、場所が場所なので逃げられず、抵抗もせずに香澄に捕まえられた。香澄は仔猫をりみへと渡す。

 

香澄「これで依頼完了。後は…。」

 

 

 

その時、急に強い風が吹いた--

 

 

 

バランスを崩す香澄--

 

 

 

咄嗟に動いたのは花音だった--

 

 

花音は香澄を助けようと、柵から身を乗り出して香澄の手を掴むが、一緒にバランスを崩して落下してしまう--

 

地面に着くまでの数秒がとても長く感じた。

 

花音(私、何やってるんだろう…。)

 

自分でも何故こんな事をしたのか分からなかった。

 

花音(仔猫を見つけて、ここに来た原因を作ったのが自分だったから?自分の悩みの為に一生懸命になってくれた彼女達に恩を感じたから?どっちにしても、全然私らしく無いな……っ!)

 

花音は落下しながら、香澄に強く抱きついた。何故か、彼女の近くにいる事が1番生きられる可能性が高いと感じたからだった--

 

 

--

 

 

花音「うっ……。」

 

花音が目を覚ました時、隣には意識を失っている香澄が倒れていた。花音は自分の体を確かめる。少しだけ肩が痛いだけで、それ以上の怪我は無かった。香澄も無事だった。

 

花音「よ、良かったー!私、生きてる!!」

 

花音は涙を浮かべながら声をあげた。

 

香澄「うっ……痛たたたっ。」

 

香澄も目を覚ます。

 

花音「戸山さん!私達生きてますよ!!」

 

香澄「ほんとだ…何で!?」

 

あの高さから落ちれば普通は死んでしまう。良くても重傷は免れない。この状況は奇跡としか言い表せない状況だった。花音はふと地面に着く瞬間を思い出す。

 

花音(あの時…戸山さんの周りに小さな牛の様な生き物と薄い膜の様なものが現れた感じがしたような…。私、戸山さんを守るバリアのお陰で助かったの……かな?)

 

花音と香澄の頭上には青々と茂った大きな樹木があった。落下中にこの枝葉に当たって、衝撃が無くなったのだろう。

 

花音「と、とにかく、生きてて良かったよ〜!」

 

他の勇者部員もすぐに駆けつけて来て、花音達は念の為に保健室へ連れていかれた。4人は目に涙を浮かべながら無事を喜んだ。

 

花音(戸山さんは…みんなに愛されているんだな。)

 

そんな光景を見ながら花音は思うのだった。

 

香澄「花音ちゃん、ありがとう!私を助けようとしてくれて。」

 

香澄は笑顔で言うが、

 

花音「でも、私は何の役にも立たなかったし……。」

 

花音は謙遜する。

 

香澄「ねえ、花音ちゃん。花音ちゃんは勇気が持てないって言ってたけど、そんな事無いと思うよ!!だってすっごく危ないのに私の事を助けようとしてくれたもん!これって勇気が無かったら出来ない事だよ!!」

 

花音「それは…勇者とかじゃなくて反射的に体が動いたっていうか…。」

 

香澄「それが勇気じゃないかな?」

 

花音「えっ?」

 

香澄「えっと、何て言うか…。」

 

しどろもどろの香澄にゆりが説明を加える。

 

ゆり「松原さん。私達も勇気なんてものは持った事は無いの。」

 

花音「で、でも……。」

 

花音は知っている。彼女達はバーテックスという化け物と戦っている事を。

 

ゆり「危険や苦痛を怖がるのは誰だって当然だよ。それを怖がらない人は、勇敢では無くて、人間として何かが壊れてるだけ。勇気がある人は"いざって時に頑張れる人"。でも、そういう人は頑張る時に勇気があるから頑張る!って思ったりはしない。いつの間にか頑張ってて、それを周りの人が見てあの人は勇敢だなって思ってるだけ。当の本人は自分が勇気があるって思ったりしてないの。これってさっきの松原さんと同じじゃないかな?」

 

花音「そう…かな…?でも、私は本当に臆病だし……。」

 

そんな花音の手を香澄が握る。

 

香澄「私だって臆病だよ。でも、もし友達が困ってたら、危なくても助けようとすると思うんだ。さっきの花音ちゃんみたいに。」

 

花音「勇者が……臆病?」

 

花音には良く分からなかった。

 

沙綾「香澄を助けてくれて本当にありがとうね。それでね、松原さん。私も思うんだけど、臆病な事と勇気がある事は両立すると思うんです。臆病であり、勇気がある人。松原さんはそういう人に私は見えますよ。」

 

沙綾もそこへ付け加えて感謝を伝えた。そうして花音は花咲川中学を後にした。彼女達は本当に何処にでも居る普通の少女たちと同じにしか見えず、国家の最重要任務を背負う者達には到底見えなかったのだった。

 

 

---

 

 

花音「こんな感じだったかな。確かに千聖ちゃんの言う通り、勇者様も私たちと見た目も中身も変わらなかったよ。だけど…。」

 

花音は自分の手を見つめる。あの日香澄に握られた手。彼女に触れられた時、花音はなんだか不思議な温かさを感じたのだ。

 

花音「でも、なんだか良い人達だったのは感じたよ。今でも臆病と勇敢は両立するっていうのは分からないけどね…。」

 

花音がそう言うと、彩が微笑んだ。

 

彩「勇者様が言った事は、花音ちゃんを的確に表してると思うよ。花音ちゃんは臆病で、勇敢だよ。そうでなきゃ前の御役目の時だって、"射手型"から部隊を守る事は出来なかったもん。」

 

一方で千聖は花音の話を聞いて、やはり納得出来ない思いを抱いていた。

 

千聖(そうよ、有咲ちゃんも他の勇者も、私たちとなんら変わらないのに…私とは何が違うの……。)

 

勇者とは何なのか、何故自分が選ばれなかったのか。千聖は未だに分からなかったのだった。

 

 

---

 

 

寮、千聖の部屋--

 

その夜、千聖は考えていた。

 

千聖(私達が調査に赴く場所は次第に結界から離れていく…。)

 

結界から離れると当然任務に掛かる時間も長くなってくる。時間が伸びるとそれだけ襲われる危険性が増していき、防人達の危険も増していくのだ。

 

千聖(今後、あの"射手型"の様な敵が出てくる事も充分考えられる…。)

 

どうすれば犠牲者を出さずにやって来れるか。この任務はいつまで続くのか。自分達の任務は世界を守る事の役に立っているのか。そして、花音の話も思い出す。勇者は普通の人と変わらない。千聖と何も変わらない。なら、何故千聖は勇者に選ばれなかったのか。そんな事が千聖の頭の中で延々と反芻されていた。そんな時だった。部屋のドアがノックされて、遠慮がちに花音が入ってきたのである。

 

千聖「どうしたの、花音?」

 

花音「なんか私が勇者の話をしてた時、千聖ちゃんが難しい顔をしてたから。」

 

千聖「そう…。私は今でも納得出来ないのよ。有咲ちゃんが何故勇者に選ばれたのかを。」

 

花音以外の人にだったら千聖はこんな風に自分の心情を話したりはしなかっただろう。それだけ千聖は花音に心を開いているのだった。

 

花音「あのね、千聖ちゃん。」

 

千聖「何?」

 

花音「私にとっては、千聖ちゃんも勇者なんだよ!市ヶ谷さんや戸山さんにも全然負けてないんだからね!!」

 

訴える様に言う花音に、千聖は一瞬目を丸くした。

 

千聖「花音、煽ててない?」

 

花音「……正直それもある…かも。」

 

千聖「かーのーんー……。」

 

千聖は呆れてしまう。

 

花音「確かに煽ててるのもあるけど、本心でもあるんだよ!本当に千聖ちゃんは私にとっての勇者なんだから!!」

 

千聖「煽ててるって言われた後にそう言われても、嬉しくないわ…まったく。」

 

千聖は苦笑する。本心は少しだけ嬉しかったのだ。打算があったとしても千聖の事を勇者だと言ってくれる花音は千聖にとって特別な存在なのは確かだった。

 

花音「ありがとう、千聖ちゃん!!やっぱり千聖ちゃんは勇者だよ〜!」

 

千聖「まったく、調子が良いんだから。」

 

傍から見れば2人の関係は理解しがたいだろう。しかし、もしかしたらそこには友情と呼べるものがあるかもしれない。

 

 

---

 

 

そして千聖達防人の努力によって、彼女達の任務は調査から次の段階に移行する事となった--

 

 

 

彼女達に与えられた新たな任務は--

 

 

 

彩を壁の外へと出す過酷な任務となる--

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。