≪指令ナンバー8974≫(機密文書099-)
詳細:『フロンティア AD-89=第79戦闘地区からナイトフォールへ救援信号を探知、信号の発信元を特定。
所属:
ナイトフォール本部より、救援信号を受理、作戦遂行の命令を送信』
作戦概要:『今回の作戦遂行分隊はナイトフォール・ゴーストチームに決定。
作戦内容はMilitia軍の援護、及び、その敵対組織であるIMCの適時制圧となっております、作戦開始は2時間後、速やかにゴーストチームのパイロットは作戦準備を開始してください。尚、作戦地域上空にインパルスが発生しているので大規模な時空間ワープホールタイタンフォールが使用出来ません。よって作戦地域へはパイロットストライクによる投下を行います』
作戦遂行分隊名:ナイトフォール・ゴーストチーム
ゴーストチーム分隊長:パイロット・グレイブス
作戦展開地点:外洋惑星・フロンティア
作戦名:オペレーション・タクス
ー作戦実行ー
≪パイロット、健闘を祈ります≫
~救援信号発信から二時間後~
フロンティア
ー『AD-89=第79戦闘地区』ー
「ハァ……ハァ…………ふぅー…」
ミリシア軍は窮地に立たされ、IMCに戦局を圧倒されていた。
ミリシア軍のパイロットであるアイゼンは空になったオルタネーターのマガジンを投げ捨て、膝に巻いたポーチから新たに取り出して装填する。
「クソ…………さぁどうする…」
(残りの弾も少なくなってきた……空はインパルスが発生していてタイタンが呼べない、敵はすぐそこまで迫ってきている……)
IMCの歩兵だけなら負ける気がしない、何人居ようと一人で全滅させれる自信はある。
だが問題なのは、こちらがパイロット一人に対して向こうは10人以上いることだ。
(俺もパイロットになって20年になる……同じパイロットでも二~三人なら行けるが、10以上はお手上げだ)
アイゼン以外のパイロットは全て殺され、残りの歩兵80名と共に洞窟の中で身を隠していたが。
洞窟の中に一本の投擲物がアイゼンの足元に突き刺さった。
「ッー!!!!」
(しまった!!パルスブレードか!!!)
オレンジ色の波紋を洞窟中に広がらせるパルスブレードを抜き、地面に叩きつけてへし折った。
だがもう既に遅い、視線を上げると、正面からウォールラン、壁を走る音が聞こえてくる。
「総員戦闘準備!!敵が攻めて来るぞ!!!」
怒号を叫び、洞窟の天井を蹴って姿を見せたIMCパイロットにグリップルを撃ち込み、引き回して壁に激突させ、次に現れた敵パイロットへファイヤースターを投げつけて全身を溶かし尽くす。
敵の銃弾をスライディングで躱しながらグリップルを壁に撃ち、立体的に地形を走りながら片手に構えたオルタネータを撃ち続ける。
だが、敵パイロットはアイゼンの威嚇を無視して洞窟の奥に向かって行く。
「クソ!まずい……!!」
振り返り、取り逃したパイロットを追おうとしたその時、目の前に立ち塞がったパイロットに身体を掴まれる。
「離せッ……この……ッ!?」
拘束を振りほどき、膝を蹴り崩して拳を顔面に振り落とそうとした瞬間、アイゼンの目の前をアークスターが通過して二人の前に刺さった。
組み合っていたもう一人のパイロットはフェーズシフトで亜空間へと飛んだが、アイゼンに逃げる術はない。
手裏剣のような刀身から高圧電流が流れ、アイゼンの全身は過重電圧で機能を停止し、壁からずり落ちて地面へと衝突。
「クソ…………クソ…………しくじったか…………」
骨身に流れる電流を感じながら歯軋りを立てるアイゼンの目の前に敵パイロットが現れ、片手に握られたRE-45マシンピストルをアイゼンに向けて構えた。
(部隊が……殺られる……クソ…………殺られる…………!!)
引き金が引かれる寸前、アイゼンに止めを刺そうとしていた敵パイロットのヘルメットが首ごと弾け跳ぶ、
「ッ……?」
≪コード17-ミリシア軍機動戦闘員パイロットのアイゼン、まだ生きてるな?≫
専用回線から割り込んできた声の主は、激しい銃声と共に部隊が隠れている洞窟からその姿を表した。
ウォールランで素早く移動しながら敵パイロットを次々と撃ち落とし、フェーズシフトで亜空間へと飛んだ敵パイロットの位置を完全に把握して容易に仕留める。
≪ケイド、彼を保護しろ、アークスターを喰らったようだ≫
≪了解だグレイブス、全くだらしねぇ奴だな……っと!≫
先陣を切って進んで来たパイロットの後ろに続いている者の一人がアイゼンに近寄り、身体を起こして壁に背を着かせる。
「よし…後は回復を待って自分で逃げな、お前の部隊は全員無事だぜ」
「…………ナイトフォールか……?」
「その通り!、お前達の救援に来た、インパルスが晴れ次第ミリシアの輸送機が到着するからもう少しの辛抱だ」
≪そこまでだケイド、直にインパルスが晴れる、だがIMCのパイロット増援部隊がすぐそこまで迫ってきてる。やるぞ≫
「お、了解だグレイブス!すぐ行くぜ!」
≪グレイブス、こちらイグニス。マップハックの範囲内に敵が侵入した、直ぐにでもここに突入してくるぞ、数はパイロット35人だ≫
≪分かった、アール、トラップはどうだ?≫
≪順調だ……あとはイジェクトシステムを構築すれば……よし来た。このべっぴんさんは自信作だぜ≫
四人のパイロットは一ヶ所に集まり、その内のリーダー格と思われるパイロットがアイゼンの前に歩いてきた。
「……パイロット・アイゼン?インパルスが晴れ次第お前達を輸送機に乗せて帰す、俺達の仕事はそこまでだ、いいな?」
「ああ、助かる……ところで、君は?」
「ナイトフォールのゴースト、分隊長のグレイブスだ、後ろの連中に指示を任せたぞ」
「分かった……すまない、恩に切る」
部隊の所まで走って行くアイゼンを見送り、グレイブスはチームメンバーの元に戻る。
「指令部、こちらにゴーストチーム」
≪声帯認証を承認、こちら指令部、どうぞ≫
「お前ら準備はいいな?……」
「いつでも?」
「OKだ」
「さっさと片付けようぜ」
「指令部……作戦を開始する」
≪了解、作戦開始を確認…………健闘を祈ります、パイロット≫
刹那、アールのトラップが作動した音が洞窟内に響き渡る。
「お!来た来た来た!!!」
「総員戦闘準備、敵の無線を傍受、行くぞ……」
≪な……何だこれは!?≫
≪おい!どうなってやがる!?≫
≪分からねぇよ!仲間の大半がフェーズアウトしやがった!!≫
≪フェーズシフト帰還バイタルを持ってる奴は!?≫
≪飲まれた奴の中にはいない……今ごろはもう……≫
≪クソ!何だってんだ!!爆発したと思ったらみんな亜空間に飛ばされちまったぞ!!≫
≪おいまて!!敵パイロッー≫
「もう遅い…………」
ウィングマンの50㎜炸裂弾は動揺する敵パイロットの頭を次々と弾け飛ばし、腰に下げたフラットラインARのストッピングパワーは内部構造に組付けられたトーンオリジナルの
「よっしゃ行くぜ!!心臓発作に気を付けな!!」
先頭を切り抜けるグレイブスの横から飛び出してきたケイドが壁を蹴って宙を飛び、息苦しい洞窟の狭さから抜け出した満足感を浴びながら左手首に装着された端末を操作し、思い切り左手を握り締めた瞬間、ゴーストメンバー全員の動きが加速化する。
「ヒャッフー!!!バイタルオーバー作動だぜ!!!」
「助かるケイド、頼むイグニス」
「もうやってる……ステルスホログラフィー作動!」
メンバーの身体は光を透過する透明状態となり、透明になると同時にそれぞれ4体のデコイホログラムがバラバラに散開し始めた。
敵の動揺が解け、統率が取れ始めたその時。
「アール……!」
「待たせたな……フレイムボット起動!」
いつの間にか最前線にしゃがんでいたアールの足元に設置された消火器のようなポットはAIスコープで敵を視認すると二つの射出口からファイヤースターが放たれ、マーキングした敵パイロットを焼き焦がしてゆく。
「一丁上がり……だな」
「残党はこちらで始末した……ん、晴れたか」
素晴らしいタイミングで上空を覆ってきた電流の積乱雲が晴れ、安定した夜空が広がる。
それを見計らったかのように時空間ワープでミリシアの輸送機が出現し、アイゼン達も外に出てきていた。
「………………よし、全員乗ったか?」
「ああ、これで最後だ」
アイゼンが輸送機に乗り込んだのを確認し、いざ出発しようとしたその時。
「待て!離陸するな!!」
偵察兵のイグニスが輸送機を止めるよう促す。
「どうしたイグニス?」
「敵タイタンの反応を検知した、ノーススター1、イオン2、トーン4だ」
「次世代タイタンか……仕方ない、輸送機に乗せるまでが仕事だが……やるか」
「おい……どうするつもりだ?」
「イグニス、輸送機にステルスを」
「了解」
「アール、ここをイグニスと防衛しろ」
「サー、バッチリ守ってやる」
「ケイド、俺とお前でタイタンをやるぞ」
「待ってました!やってやろうぜ!!」
ウィングマンに弾を込めながらケイドの肩を叩き、目前に迫る敵タイタンを前に散開する。
トーンモデルのタイタンがグレイブスの存在に気付き、120㎜バリスティックライフルを撃ち出す。
グレイブスは複雑な回避運動でトーンの予測撃ちを躱し、ウォールランとパルクールを駆使して素早くトーンの背後に回り、背後のイオンにアークグレネードを投げつけながらタイタンの背中に張り付いてトーンの頭上にあるバッテリーを強引に抜きとり、ジャンプポットで空中に飛び上がって身を晒した。
空中で身動きが取れなくなった瞬間を見ていたイオンが右肩に装備したレーザーライフルの照準をグレイブスに合わせ、発射のスイッチを押した瞬間。
「……フェーズシフト」
放射されたレーザーがグレイブスに当たる瞬間、グレイブスはフェーズシフトで亜空間に飛び、活動限界3秒前にレーザーライフルを放ったイオンの背後に亜空間から帰還する、そして。
「行くぞ、タイタンフォール……!」
「俺のことも忘れんなよ!!カモン!!!!タイタンフォォォォォォル!!!!」
二人が唱えた瞬間、グレイブスを囲んでいたタイタンを叩き潰しながら二体のタイタンが上空から落下してきた。
グレイブスの近くに落ちたタイタンが敵のタイタンを視認すると、右腕に装備されたブレードを右手に
≪戦闘ストライクシステム、オート……これよりパイロットを追従します≫
AI音声を響かせながら、目の前のイオンが放ったレーザーライフルを躱し、右手に構えたブレードで胴体を切り飛ばす。
≪エグゾブレードを使用、パイロット、当機体に搭乗することを推奨します≫
「分かってる、俺に合わせろ」
グレイブスはエグゾブレードの刀身を駆け上がりながら搭乗口を開けた自分のタイタンに乗り込み、奪ったバッテリーを取り付ける。
≪グレイブス!先にベイルと暴れさせてもらうぜ!!≫
「好きにしろ、ノーススターは俺がやる」
『お帰りなさいパイロット、これより手動制御モードに切り替えます』
「ああ、やるぞクルーシブル」
『はい、パイロット、エグゾブレードをエグゾライフリングに変形、ライフリングモードを設定してください』
ノーススターの200㎜バリスティック弾をエグゾブレードで叩き落とし、エグゾブレードの刀身を引っ込めて代わりに刀身から長い銃口が覗く。
「ライフリングモードをスナイパーに、弾は800㎜アーク針弾」
『承認、変形終了』
ライフルに変形したエグゾライフリングを構え、飛び上がろうとするノーススターモデルの搭乗部を一発でぶち貫く。
『弾薬をリロード、エグゾライフリングをブレードに変形』
「こっちは片付いた……そっちはどうだ?」
≪蹂躙完了!終わったぜ!≫
「よし、合図を送る」
イグニスとアールにシグナルを送り通信を開く。
「これより帰途する、お前達もタイタンを要請しろ」
『パイロット、指令部から合流地点が送信されました』
「了解、これより合流地点に向かう。行くぞお前たち」