TF:軌跡を辿った者達   作:ペペロンチーノ伯爵

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chapter3『亡霊の声』

『パイロット、準備はよろしいですか?』

 

「…………やろうか」

 

一閃、レーザービームを躱し、クルーシブルはパニッシュとの距離を詰める。

エグゾブレードを横凪ぎに振り払い、寸で躱したパニッシュのレーザービーム兵器を切り飛ばし、フェーズアウトで亜空間に脱出する。

 

≪ッ……フェーズアウトだ!ベア!お前の方に行くぞ!!≫

 

≪分かってる……ッ!≫

 

ゲイツの予想は当たっており、フェーズアウトから帰還したクルーシブルはイメラの背後に回り、エグゾブレードを振り落とそうと掲げる。

 

(ッッッ…………旋回が間に合わねぇ……!!)

 

否、パニッシュは既にクルーシブルに標準を合わせており、あとは引き金を引くだけだったがその刹那、画面のノイズと共にパニッシュの動きが鈍くなる。

 

「なんだ……!?」

 

『脚部と頭部にアークステータス反応、推定アークグレネード。ディスプレイの再構成、完了』

 

回復した画面の先では、片腕が切り落とされ、コックピットにエグゾブレードを刺し込まれるイメラが目の前に居た。

 

「ッ……なん…………!!!」

(撃つのが……遅れた…………)

 

そして次に映ったのは、コックピット外のディスプレイに張り付く黒い亡霊の姿。

 

「ッッ……………………!!!」

(こいつ!!フェーズアウトの間にタイタンから脱出してたのか……!!)

 

亡霊はパニッシュからバッテリーを引き抜き、ファイヤースターをディスプレイに投げてパニッシュから離れる。

 

≪貴様ァァァア!!!!!!!≫

 

「………………」

 

がむしゃらに腕を振り回すパニッシュの拳がグレイブスに直撃する寸前でその両腕はクルーシブルのエグゾブレードが切り落とした。

そして蹴り飛ばされ、クルーシブルが止めの一撃を加えようと近付いたその時、パニッシュの腹部が急激な閃光を放つ。

 

「む、ニュークリアイジェクトー」

 

核爆発にも引けをとらないタイタン専用の自爆兵装『ニュークリアイジェクト』はフロストヘイブンの1/3を炎で包み、放射能で汚染した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はぁ……はぁ…フゥー……」

 

ステルスイジェクトでパニッシュから緊急脱出していたゲイツは爆風から逃れ、生き延びた。

 

「…………奴は………………ッ!」

 

パニッシュの爆発地点まで戻ると、クルーシブルのコックピットからグレイブスが降りてくるのが見えた。

タイタンはかなりのダメージを負っているが、パイロットのグレイブスは全くの無傷だった。

 

「…………亡霊……」

 

「……………………ゴーストはこの世に存在しない」

 

辺りを沈黙が覆い、聞こえるのはヘルメットから掻き鳴るガイガーカウンターのメーターが振り切れるほどの放射音。

気候が激化し、猛吹雪が二人を包み込み、二つの蒼光が激しい銃撃音と残光を残しながら交わる。

猛吹雪で視界がままならない中、グレイブスとゲイツは互いの武器を撃ち放ちながら衝突する。

 

「クソッタレの亡霊がァ……!!」

 

「……………………」

 

ゲイツの右手から放たれるウィングマンの大口径弾を躱し、クルーシブルの内部保管庫から取り出したマスティフを構えたがゲイツは銃口を蹴り上げ、マスティフを奪い捨てる。

だがその動作をわざと誘発させたグレイブスはマスティフをすぐさま手放し、データナイフをゲイツの右腕に突き刺す。

 

「あガッ…………ッッッ!!」

 

膝を蹴り落とすと同時に右腕の骨を折り曲げてそのまま手首をデータナイフで抉り、切り落とした。

そして彼女の脚を払い転かし、横転したゲイツの首に容赦なくナイフを突き刺す。

 

「ゴフ………カヒュ……ゥゥウ………」

 

「………………」

 

未だにゲイツから尋常ならざる殺意を感じるが、戦闘能力は消えた。

そしてデータナイフを引き抜こうとするグレイブスの右腕を無力に掴む。

 

「………………」

 

グレイブスの無線がオープン回線の通信を傍受する。

 

「……くそ………なぜ……だ………ゴフ……ゴフ!………私達は………間違っていたのか……?」

 

「………いや」

 

「………………っ」

 

「お前達は正しい、だがその結果がこれだっただけの話し……何も間違っていない」

 

データナイフを首から引き抜き、既に生き絶えたゲイツの死体をそこに残してグレイブスはクルーシブルの元に戻った。

 

「大丈夫かクルーシブル」

 

≪………ご無事でしたか……パイロット・グレイブス≫

 

「機体損失は?」

 

≪60%の損失ダメージを確認……ヴォーテックスシールドが破損、ブーストシステムにも深刻なダメージ……ですが脱出地点までの走破は可能です≫

 

「十分だ、行くぞクルーシブル」

 

タイタンに乗り込み、グレイブスは損失具合を確認しながらなるべく負担を掛けないように脱出地点まで向かい、設置されたワープホールシステムに自壊プロトコルを組み込んでから起動し、ゴースト本部のタイタン整備場にジャンプする。

クルーシブルの各所をエンジニアロックセットアップに繋ぎ、固定してからコックピットを開いてクルーシブルから飛び降りた。

 

「随分と無茶したなグレイブス、もっと大切にしてくれよ?」

 

「あぁ………今回はかなり危なかった、クルーシブルを治してやってくれ」

 

「任せときな、新品モデル同様のピカピカツルツルにしてやるよ」

 

≪よろしくお願いします各エンジニア、ですが脚部の予備ブースターにアダルト雑誌のポスターをペイントするのは止めてくれますか?≫

 

「おい………」

 

「ハッハッハ!!ちょっとしたユーモアさグレイブス、構わんだろ?」

 

「……まぁ作戦に支障が出ないなら構わんさ」

 

頭を抱えて呆れ果てても、エンジニア達の遊び心を否定しなかった。

 

≪パイロット、妥協してはいけませんよ≫

 

「この機械神たちに何を言っても無駄だクルーシブル、コイツらは止まらん」

 

整備場から出て自室に戻るため誰ともすれ違わない静かな廊下を歩いていると、何処から現れるのか気付けばケイドが隣で歩いていた。

 

「………なんの用だケイド?」

 

「これからティナちゃんの見舞いに行こうぜグレイブス、彼女もお前の事を気にかけてるぞ」

 

「データナイフを預ける、この中に入ってる情報をイェソドに渡してくれ」

 

「おう………行かないのか?」

 

「……少し確認したいことがあるからな」

 

そう言って素っ気なく自室に入るグレイブスを見ながらケイドは口を尖らせる。

 

 

ー≪集中治療室≫ー

 

 

冷たく大きいベッドの上で、ティナはボーッと天井を眺めながら考えに耽っていた。

 

「………」

(………何も…出来なかった)

 

今回の作戦で死者は出なかった、それはとても喜ばしいことだ、戦場で誰も死なないのは……。

だが自分は何かしただろうか?リーパーも、ストーカーすら倒せず、守られたばかりでなく脚を引っ張る始末。

 

「……………情けないなぁ……」

 

そう呟いた時、治療室の扉が開かれる。

 

「よっ!」

 

「………ケイドさん」

 

ケイドはパイプ椅子を引いてベッドの隣に置いて腰を下ろす。

 

「脚の傷は大丈夫かい?」

 

「はい、ケイドさんのお陰で早く治療が終わりそうです」

 

「そいつぁよかった」

 

「………あの、ケイドさん……」

 

そこで言葉は止まり、ティナは歯切れが悪そうに沈黙した。

 

「…………グレイブスの事か?」

 

「あ……はい、私……グレイブスさんに失望されてしまってはないでしょうか……?」

 

彼女の声は段々とか細く、悲しげに不安を告げていた。

女の子を不安にさせるのは嫌いだが、女の子に嘘を付くのはもっと嫌いだ。

 

「失望されてる………だろうね、それもかなり」

 

「そうですか……そうですよね………………あの……私………」

 

「ん……?」

 

「すごく……すごく頑張ってパイロットになったんです、もともと私は高所恐怖症ですし、すごく速いのも苦手なんです………でも……」

 

「………………」

 

「周りには……『お前のような弱い女じゃパイロットになれない』って言われたり………それでも私は!!」

 

「お前の過去に価値など無い」

 

「ッッ……!」

 

「………グレイブス?」

 

いつの間にか、グレイブスさんが扉の前に立って私を見ていた。

ヘルメット越しから聞こえる顔の見えない声に感情は無く、とても冷たく無機質だった。

 

「あの…わ、私………」

 

「………」

 

グレイブスさんは無言でケイドさんの隣に立ち、ベッドで横になっている私のお腹の上にスマートピストルを置いた。

 

「え……あの………?」

 

「次は死ぬぞ、ティナ」

 

「っ………すいません」

 

「………ケイド」

 

「おん……?」

 

グレイブスはケイドの肩に手を乗せる。

 

「ティナが復帰次第、生き残る術を教えてやれ、やり方は問わない」

 

「………!!」

 

「だってよティナちゃん?どうする?」

 

「っはい!!是非!ご指導お願いします!!!」

 

グレイブスとケイドの二人は活気づいたティナを置いて治療室を後にする。

 

 

~三日後~

ー≪亜空間演習場≫ー

 

 

軽い偵察任務ならこなせるまでに回復したティナは任務終わりにケイドから呼び出され、演習場で彼と合流した。

 

「すみませんケイドさん、お待たせしました」

 

「いんや、時間ピッタリで大変結構だ。俺はグレイブスやイグニスみたいに神経質じゃないからな、ちょっと遅れたって死ななきゃOKさ」

 

「……はぁ」

 

さっそくケイドはティナを手招きしながらブースターを吹かし、ウォールランで壁を渡っていく。

 

「っ!」

 

ティナもそれに続いて追い掛けようとするが、明らかに以前とは比べ物にならないスピードで壁を翔る。

 

(速い……!スラスターを全開で回しても全く追い付かない………!)

 

「ッーっと、この辺でいいかな」

 

数秒遅れで到着したティナは狭い空間に降り立ち、前と後ろには乱雑に配置された壁がそびえ立っている。

 

「さて、俺がティナちゃんに教えるのは戦場での立ち回り方、つまりは死なない方法だ」

 

「死なない方法……ですか?」

 

「そうだ、あくまでも立ち回り、戦い方じゃない。グレイブスから言われててな、ティナちゃんが完璧に生存技術を身に付けたら………グレイブスが直々に戦闘を仕込んでくれるってよ」

 

「………っ」

(グレイブスさんが………直接………)

 

ティナの心情を知ってか知らずか、ケイドは畳み掛けるように口を開く。

 

「正直、この訓練は………」

 

「………?」

 

「ティナがグレイブスに殺されないようにする訓練なんだ」

 

「………え?」

 

「俺の訓練を合格すれば、その答えは得られる……さて、無駄話はここまでにして………始めようか?」

 

「………そうですね……ええ………よろしくお願いします!!」

 

 

~1時間後~

 

 

隣接する壁に飛び込み、落ち着いて脚を固定しようとした時、いきなりガラス繊維の壁に不穏な音と共に大きな亀裂が走った。

 

「ッッ!?」

 

スラスターを全開に開いたままのティナは空中で勢いを殺せず亀裂を突き破ってその先に見えるコンクリート材質の壁に衝突し、完全に速度を失って地面に落ちる。

 

「ッッ……!」

 

「おいおい………大丈夫かティナちゃん」

 

「………すみません……」

 

ケイドはティナを引き起こし、次の壁を指差す。

 

「さぁ次だ、今ので死んでるぞ?」

 

「はい……次、行きます!」

 

飛び出すティナを見ながら、ケイドは思った。

 

(間違いなく……この子は逸材になる…上達スピードは俺以上か、流石は主席パイロット)

 

ティナのそれはもはや才能だった、他人から得られる事すべてを即座に覚え、あっという間に自分の物にしてしまう彼女の才能には自分との差があるとケイドも認めざる終えない。

 

(一回でとはいかないが、どんな高度技術でも、ものの数回で習得する……いま教えているコレだってすぐにマスターしちまうだろうなぁ……)

 

それを感じているのはティナも同じだった、自惚れている訳ではない、だが着々と順調に技を覚えていく自分に自信が付いて来ていた。

 

「っ………」

(動けてる……思っていた以上に速く……軽く……!これならグレイブスさんにも認めてー)

 

そう思い掛けた時、ランダム配置のそれぞれ材質の違う壁がそびえ立つ分岐点に差し掛かった瞬間に彼女の横から黒光りするパイロットスーツが識別不能なスピードで跳び去った。

 

「あれは………」

(グレイブスさん……………もしかしたら…!)

 

ティナは何を思ったのか、途端に方向を変えて身体に乗らせた速度を残したままグレイブスの背中を追い掛け始めた。

 

「あら……おいおい……ったくしょうがねぇな」

 

ケイドは無線を起動し、ティナに接続する。

 

「聞こえるかティナちゃん?」

 

≪はい…!?≫

 

「自分の成長を見てもらいたいなら手伝ってやろう、ここから数キロ先にゴール地点をマークした、グレイブスにもその信号を送るからグレイブスと競争しな」

 

≪あ………これって進行方向と真逆じゃ…≫

 

「グレイブスには30秒後に信号を送る、ハンデだよティナちゃん、行ってこい!!」

 

グレイブスの背後に着いていこうとしたティナは後ろを振り返り、壁を走って逆走し始める。

 

(30秒も遠退いてからゴール地点まで………いくら何でも不可能です……こんなのは競争じゃないのでは?)

 

そう思いながら走り、ティナは指定されたゴールを目指す。

そして30秒後、グレイブスのHUDにケイドからのメッセージが届き、表示される。

 

『指定された目標地点に向かってくれ、エグゾブーストは禁止な、なるべく速く着いた方が良いかもな!』

 

ケイドのメッセージにティナの事は書いておらず、ただそこに来いと言うだけの余りにも無理のある文面だった。

 

「………………」

(………………仕方ない)

 

グレイブスはメッセージを閉じ、方向転換して壁を蹴り返す。

結果的に、先にゴール地点にたどり着いたのはティナだった、ティナは周りを見渡してグレイブスが居ないことを確認する。

 

「やっぱりいませんよね、いくら何でも………」

 

その通り、ティナが最も速く到着したが、その5秒後にグレイブスが壁を蹴り渡ってゴール地点に降り立った。

グレイブスがメッセージを受け取ったスタート地点とティナのスタート地点は雲泥の差で広がっていたが、最終的にゴールタイムの差は僅か5秒、グレイブスはティナの姿を発見し、首を傾げる。

 

「ん………?お前も居たのかティナ」

 

「え?あ、はい………」

 

「ケイドにここに来いと言われてな、その通りに来たんだが……」

 

するとそこに何処からともなくケイドが現れる。

 

「やっぱりグレイブスは速ぇな、追い付けねぇよ」

 

「無理に追ってくるなケイド、怪我をするぞ」

 

「そいつはティナちゃんに言ってくれ、お前の後ろを追おうとしてたんだからな」

 

「え!それはその………」

 

「………………」

 

グレイブスはしばらくティナを見つめ、彼女が残した残存記録をマップに表示する。

 

「………ふむ、走ってみろ」

 

「……え?」

 

「持てる全てを使って構わん、この空間を一週してみろ」

 

「……っ!はい!」

 

スラスターを全開に開き、草原に擬態した亜空間の床を駆け出し、スラスタージャンプで宙を飛び、壁に張り付いてウォールランの基準速度に達した瞬間に壁から離れて生い茂る草を薙ぎ倒しながらスライディングによる加速を身体に乗せる。

そしてスピードが落ちる前にスライディングの体勢から飛び上がってもう一つの壁に片手を付いてスラスターを吹かしながらのウォールランで更に更にと加速する。

だがグレイブスの一言でティナの動きはピタリと止まった。

 

ー『ダメだな』ー

 

「ッ………」

 

ティナはスピードを落とし、壁から離れてグレイブスの方に向き直る。

 

「加速が遅すぎるな」

 

「遅すぎる……ですか?」

 

恐る恐る聞き返すと、グレイブスはティナが走り始めた所からの残存記録をホログラムとして投影、実際のルートを同じように走らせる。

 

「お前が駆け出してから壁に張り付き、加速を付けようとするのに7秒、そこから次の加速まで5秒、最後のウォールランでの加速まで6秒、正直言って……相手がパイロットでなくてもお前を楽に殺せる」

 

「ッッ………」

 

「加速の乗せ方、立地の使い方、全てがチュートリアル、VRと変わらん」

 

「………………」

 

「だが仮にもパイロットの追跡を振り切ったとして、パイロットを相手にするという事は………タイタンを相手にするという事でもある。分かるな?」

 

「………………」

 

「俺達はナイトフォールだ、敵に正体を暴かれてはならない、いくら情報遮断シールドを持っているとはいえ至近距離でスキャンされれば認識が通ってしまう、イオンモデルなら4秒、ノーススターモデルなら遠距離でも2秒程度でスキャンされてしまうぞ?」

 

グレイブスの言葉は容赦なく、的確にティナの自信を潰していく物だった。

 

「忘れるなよティナ、お前が死ぬのは問題じゃない問題なのはお前がナイトフォールだとバレる事だ、それだけは避けなければならない。死ぬのは勝手に死ねばいい、だがお前一人の死がナイトフォールの全滅に繋がる、それを覚えておけ」

 

「………すみません………………」

 

全てを伝え終えると、ティナはその場に崩れ落ちてしまった。

グレイブスはそんなティナを見下ろしながら振り返り、ケイドの横を通り抜ける。

 

「グレイブスー」

 

「ティナを甘やかしてるなケイド?」

 

「ッ………」

 

「どんなに嘆いてもお前の妹は帰ってこない。重ねるなケイド……ティナを死なせたくないならお前も死ぬ気で彼女を仕上げろ、でなければタイタンの的になって弾け飛ぶ肉片になるぞ……お前の妹のように」

 

「あぁ………わかったよグレイブス………その為に衛生兵になったんだ、お前の要望通り、ティナを一人前にして見せるさ」

 

「それでは足りん、亡霊に辿り着かせろいいな?」

 

「………了解だぜ、ボス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー≪????≫ー

 

 

 

 

「………次の賞金首はコイツだ」

 

机の上に書類がばら蒔かれる。

その内の一枚を手に取り、記述されている文書に視線を向ける。

 

「………『ネームド』か」

 

男はボソリと呟き、添付された写真を見る。

 

「バンディットネームは『亡霊』懸賞金は30兆以上のヤマ……やるか?」

 

「こいつの情報が少なすぎる……だが……やってみる価値はあるな」

 

「そうこないとな……」

 

目の前に座る男は不気味に笑う。

 

「それで………?どうやって釣る?」

 

「賭けになるが……明日、奴は指定の場所に現れる……そうなるように仕組んだからな」

 

「………わかった………………やろうか」

 

「期待してるぜ、ミシェル?」

 

「亡霊狩りは初めてだ……楽しい狩りになるといいが………」

 

ミシェル、そう呼ばれた男の着ているパイロットスーツの全身を覆う程のギリー迷彩着から見え隠れする無数の遮断されたタイタン認証コードやドックタグからはその経験の深さが見てとれる。

これは決して自惚れている訳ではなく、歩み、撃ち、殺してきた者達の軌跡を背負い、次の狩り出掛ける狩人の誇りに似た何かだ。

 

 

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