捻デレられなかった少年は陽だまりとなった彼女と共に行く 作:七竹真
《陽乃side》
「・・・よ、よかったぁ!!」
私がそうやって言って抱き着いた彼は少し痛そうな顔をしながらも抱き返してくれた。というよりは、なんか私が雪乃ちゃんを撫でていいるのとはまた別の優しい撫で方に思えた。なんていうんだろうか。落ち着くっていうか、妹として見られてるっていうか。なんかちょっとムカつく~!その思いを察したのかどうか彼は、私から手を離した。
「あ、や・・・その、
照れて赤くなったその頬を掻きながら謝ってきた顔に私は不覚にもカワイイと思ってしまった。いわゆるギャップ萌えというやつなのだろうか。別に、かっこいいと思ってた彼の別の一面が見れてよかったとかじゃないから!
「い、いや、こっちこそゴメン///」
たぶんそう言った私の顔も赤く染まっていたと思う。
「えっと、その大丈夫だったか・・・?」
「左腕に右足、肋骨とかもろもろ合わせて全治3か月でしょ?大丈夫なわけないじゃん!まあ、奇跡的なくらい軽傷っては言ってたけどさ…。」
まったく、自分の現状見たらわかるじゃん!
「や、俺じゃなくてえっと・・・、君のことなんだけど…。」
「わ、私!?私は大丈夫だよ、八幡君!」
「そうか、よかった。」
彼の返事と共に時が止まる。話す話題がない。ただそれだけの事なのになぜか私にはもどかしく思えた。普段私の周りには話す人がたくさんいる。だからこそなのかもしれない。
5分いや10分にも思われた時間はもっと短かったかもしれない。徐に彼は口を開いた。
「・・・なぁ、俺の名前知ってたけどさ、君の名前はなんていうんだ?」
「私?私は雪ノ下陽乃だよ。よろしくね。」
「ハルノ、か。春っていう言葉が雪ノ下さ「陽乃」」
しばらくの間沈黙が流れる。
「雪n「陽乃」」
「ゆ「陽乃」」
「・・・・・・ハルノ・・・ちゃんの体を表してていいな。」
陽乃ちゃんか。その何ともない名前呼びがこそばゆい。冷めたはずの紅潮がぶり返してきているのが分かった。
「うん、それでよし!もしかして八幡君は春夏秋冬の方のハルだと思ってる?私のハルは太陽の陽だよ。」
「すまん、勘違いしてた。」
「別にいいよ。私は八幡君の漢字知ってたし。」
私なりのせい一杯の照れ隠しである。ちゃんと伝えなかった私が悪いし助けてもらったのにこの態度っていうわけにはいかないからだ。
「八幡君、ありがとね。私を助けてくれて。」
「あーいや、まーそのなんだ、陽乃ちゃんが無事でよかったから気にすんな。」
「これはそのお礼!」
そう言って私は彼に近づくと―――――――――
《八幡side》
「八幡君、ありがとね。私を助けてくれて。」
突然改まったように陽乃ちゃんは言ってきた。
「あーいや、まーそのなんだ、陽乃ちゃんが無事でよかったから気にすんな。」
自分でも歯が浮くような台詞っていうのはわかってる。だからこそ言った後に後悔した。
「これはそのお礼!」
そういって彼女は柔らかくそして温かいものを俺の頬に付けてきた。
それがキスだと分かった時には、陽乃は再度顔を紅潮させていた。その時の俺もきっと彼女と同じように赤くなっていたのであろう。