創造紀エヴァンゲリオン ―外来意識の介入― 作:最上 イズモ
ネルフ本部・地下深層指令室。
重苦しい照明の下、巨大なホログラムスクリーンが起動し、
静止していた空気を切り裂いた。
第三新東京市防衛の中枢。
人類最後の砦。
そこに集う者たちは、すでに理解している。
これは“来る”のではなく、“始まっている”のだと。
シゲル「第六サーチ衛星より目標映像受信。モニターに回します!」
スクリーンに映し出されたのは、
地表を抉り取った巨大なクレーター。
爆心地は円状に溶け、
周囲の地形は一瞬で消失している。
ミサト「……やっぱりね」
ミサト「ATフィールドを質量兵器として使ってる」
ミサト「下手な爆弾より、よっぽど性質が悪いわ」
その声に焦りはない。
確信だけがあった。
リツコ「初弾は太平洋に着弾」
リツコ「二時間後の落下予想地点は朝鮮半島」
リツコ「以降の弾道は……補正されてる」
リツコ「偶然じゃない。完全に狙われてる」
シゲル「N2爆雷、全弾無効化確認」
シゲル「効果、ゼロです」
リツコ「でしょうね」
リツコ「使徒が本気で投げてきてる“隕石級AT投擲”」
リツコ「防衛という概念そのものを、壊しに来てる」
マヤ「……使徒のジャミングで、衛星通信が遮断されました!」
一瞬、指令室の空気が凍る。
リツコ「――来るわ」
リツコ「次は、速い」
ミサト「エヴァの配置は?」
マヤ「全機、発進準備完了です!」
第三新東京市・地上。
ビル群の合間に展開する迎撃エリア。
警報が鳴り響く中、
三体のエヴァンゲリオンが待機していた。
アスカ「まったく、無茶言ってくれるわね」
アスカ「“正面から受け止めろ”なんて」
アスカ「正気の作戦とは思えないんだけど」
ミサト〈無線〉「まずは位置の特定を――」
シンジ(イズモ)「カエデ、探知モード起動」
カエデ「了解しました。コア反応スキャン、開始します」
イズモは静かに目を閉じる。
この世界を、彼は知っている。
物語として。
だが、
現実として立つと、重さがまるで違った。
シンジ(イズモ)「……上空三万メートル」
シンジ(イズモ)「ほぼ、真上だ」
ミサト〈無線〉「待って」
ミサト〈無線〉「どうしてそんなに早く――」
シンジ(イズモ)「この前の改修で、アンチジャミングを積んだ」
シンジ(イズモ)「外部センサーじゃない」
シンジ(イズモ)「内部演算で拾ってる」
シゲル〈無線〉「距離二万五千! 急速接近中!」
ミサト〈無線〉「全エヴァ、スタート!」
シンジ(イズモ)「……F型装備、実地テストだ」
初号機背部のブースターが展開し、
青白い光が噴き上がる。
追加装甲が展開し、
機体の輪郭が一回り膨らむ。
シゲル〈無線〉「残り一万!」
シンジ(イズモ)「飛ぶぞ」
初号機が大地を蹴り、
衝撃波を残して急上昇する。
ATフィールド最大出力。
落下してくる“それ”へ、正面からぶつかった。
赤く輝くコア。
質量と速度は、本来受け止められるものではない。
それでも初号機は、
力ずくで進路を歪めた。
アスカ「遅いわよ、バカシンジ!」
零号機、弐号機が続く。
三機のATフィールドが重なり、
落下エネルギーを拘束する。
アスカ「プロレッシブナイフ!」
刃が突き立ち、
コアが砕けた。
銀色の閃光。
使徒は、空中で崩壊した。
戦闘後。
沈黙が戻った街の上で、
エヴァは立ち尽くしている。
シンジ(イズモ)「綾波」
シンジ(イズモ)「今度の日曜、空いてる?」
レイ「テストはないわ」
シンジ(イズモ)「じゃあ、買い物に行こう」
レイ「……今あるもので十分よ」
シンジ(イズモ)「それでも」
シンジ(イズモ)「少し、外を見た方がいい」
一拍。
レイ「……わかったわ」
日曜日。
ショッピングモール。
人の声、光、動き。
レイは戸惑いながら、イズモの隣を歩く。
服を選び、
鏡の前で立ち止まり、
迷う。
それ自体が、彼女には新しい行為だった。
レイ「……かわいい」
手に取ったのは、小さなぬいぐるみ。
シンジ(イズモ)「似合ってる」
シンジ(イズモ)「綾波らしい」
レイ「……うん」
袋が増えるにつれ、
レイの表情は、ほんのわずかに緩んでいく。
レイ「今日は……ありがとう」
シンジ(イズモ)「その顔が見られたなら、十分だ」
シンジ(イズモ)「なあ」
シンジ(イズモ)「父さんに許可を取ったら、うちに来ないか」
レイ「……理由は?」
シンジ(イズモ)「最低限の生活をさせたい」
シンジ(イズモ)「今の環境は、良くない」
レイ「……精神衛生?」
シンジ(イズモ)「そう」
シンジ(イズモ)「このままだと、ミサトさんみたいになる」
レイ「……それは、嫌」
翌日・司令室。
シンジ(イズモ)「父さん」
シンジ(イズモ)「綾波と一緒に住んでいい?」
ゲンドウ「理由は」
シンジ(イズモ)「最低限、人としての生活をさせたい」
沈黙。
ゲンドウ「…………よかろう」
それは承諾ではなく、
管理上の許可だった。
引っ越し後。
段ボール一つ。
簡素なベッド。
それが、レイの全てだった。
シンジ(イズモ)「改めて、よろしく」
レイ「よろしく」
カエデ「よろしくお願いします」
小さな部屋に、
静かに温度が生まれる。
それはかつて、
綾波レイの世界には存在しなかった
生活の気配だった。
ダミープラグのデータ入力に襲来する使徒だがイズモは果たして使徒を壊滅することができるか?次回創造紀エヴァンゲリオン使徒侵入不可