創造紀エヴァンゲリオン ―外来意識の介入― 作:最上 イズモ
第三新東京市。
ビル群の隙間を、焦げた風が吹き抜けていく。
警報は途切れることなく街に反響し、
地下から伝わる低い振動が足元を揺らしていた。
使徒の出現を告げる気配が、空気そのものを張り詰めさせている。
初号機、零号機、弐号機が迎撃位置に展開する。
紫の巨体の胸部で、
シンジ――いや、イズモは短く息を吐いた。
作品として知っていた世界。
だが、今ここで受ける圧力は、
画面越しのそれとは比較にならない。
シンジ(イズモ)「俺が攻撃する」
シンジ(イズモ)「二人は援護に回ってくれ」
アスカ「はあ?」
アスカ「あんた、いつも一人で突っ込むじゃない」
シンジ(イズモ)「策はある」
シンジ(イズモ)「説明してる時間がない」
シンジ(イズモ)「帰ってきたら、全部話す」
一瞬の沈黙。
アスカは歯を食いしばり、
視線を逸らしたあと、まっすぐに戻す。
アスカ「……わかった」
アスカ「でも、絶対よ」
アスカ「絶対に、帰ってきなさい」
怒りと同じだけの不安が、声に混じっていた。
初号機背部のブースターが唸る。
紫の巨体は地面を蹴り、
黒い残像を引きながら上空へ跳躍した。
雲を突き抜けた先で、
巨大な影が進路を塞ぐ。
使徒。
歪んだ球体のような本体がゆっくりと開き、
内部の闇が、波のように広がっていく。
空間が引き伸ばされ、
視界そのものが歪んだ。
ミサト〈無線〉「シンジ君、離脱して!」
ミサト〈無線〉「それ、危険すぎる!」
アスカ〈無線〉「バカ!」
アスカ〈無線〉「正面から行くなって言ったでしょ!」
警告は、届かなかった。
初号機は黒い奔流に呑み込まれ、
光と質量が引き裂かれる感覚だけが残る。
シンジ(イズモ)「二十四時間後に、また会おう」
シンジ(イズモ)「I’ll be back」
通信が途切れ、
空には静寂だけが落ちた。
使徒内部。
闇とも光ともつかない空間。
上下も距離も意味を失い、
初号機の外殻だけが、淡く脈動している。
シンジ(イズモ)「カエデ」
シンジ(イズモ)「二十三時間二十分後に起こして」
シンジ(イズモ)「それと……暴走リミッター解除」
カエデ「了解しました」
意識が沈み、
次の瞬間、白い空間が広がった。
シンジ(イズモ)「……ここは」
薄い靄の奥から、
一人の女性が現れる。
穏やかな微笑み。
ユイ「あなたは……シンジではないわね」
シンジ(イズモ)「最上イズモです」
ユイ「そう」
ユイ「よろしく」
シンジ(イズモ)「あなたの息子さんなら」
シンジ(イズモ)「たぶん、自分の体の中で寝てます」
ユイは、ほんのわずかに目を細めた。
ユイ「なぜ、入れ替わったの」
シンジ(イズモ)「このループで」
シンジ(イズモ)「サードインパクトを起こさないため、だと思います」
ユイ「……」
シンジ(イズモ)
「数えきれないループで“神事”になった彼が」
「この力を、俺に渡したんでしょう」
ユイは静かに頷いた。
ユイ「だいたい、理解したわ」
短い沈黙。
シンジ(イズモ)「お願いがあります」
ユイ「何かしら」
シンジ(イズモ)「暴走してください」
ユイ「……理由は」
シンジ(イズモ)
「この使徒を倒せるのは」
「あなたしかいない」
ユイは、迷わなかった。
ユイ「わかったわ」
ネルフ本部。
時間だけが無情に過ぎ、
指令室には焦燥が溜まっていく。
アスカ「もう十二時間よ」
アスカ「何も、動かないじゃない」
リツコ「二十四時間経過後」
リツコ「戻らなければ、N2を使用する」
リツコ「ディラックの海に一秒干渉して」
リツコ「ポジトロンで撃つ」
ミサト「それで……」
ミサト「シンジ君は助かるの?」
リツコ「……初号機回収が最優先よ」
乾いた音。
ミサトの平手が、リツコの頬を打った。
ミサト「あんた、よくそんなこと言えるわね」
ミサト「シンジ君の命は、どうでもいいの?」
リツコは答えない。
ミサト「司令も……あんたも……」
ミサト「初号機ばっかり……」
言葉は、そこで途切れた。
使徒内部。
シンジ(イズモ)「……そろそろだ」
ユイ「ええ」
ユイ「始めましょう」
初号機の体表を紫電が走る。
装甲が割れ、
内側から光が溢れ出す。
次の瞬間、
使徒内部の世界そのものが裂け、
圧倒的な力が解き放たれた。
外界では、
黒い球体が赤い亀裂を走らせ、破裂する。
光の残滓だけが、空に散った。
地上。
アスカ「……帰ってきた」
ミサト「シンジ君!」
初号機が地面に降り立ち、
胸部装甲が静かに開く。
シンジ(イズモ)「作戦、言ってなかったな」
アスカ「いいわよ」
アスカ「帰ってきた。それで十分」
リツコが歩み寄り、初号機を見上げる。
リツコ「珍しいわね」
リツコ「暴走リミッター、あるはずでしょう」
シンジ(イズモ)
「解除しました」
「時空を歪めるなら、ブラックホールか暴走しかないので」
リツコ「……ゼーレの査問がある」
リツコ「行きなさい」
シンジ(イズモ)「はいはい」
ゼーレ会議室。
赤い柱状モニターが並ぶ、重苦しい空間。
キール「君が、碇シンジだね」
シンジ(イズモ)「ええ」
キール「今回の戦闘で」
キール「使徒から、何か得たかね」
シンジ(イズモ)「使徒ではなく、エヴァから」
キール「……どういう意味だ」
シンジ(イズモ)
「エヴァは人造人間です」
「意識があって、当然でしょう」
キール「……」
シンジ(イズモ)「中の意識と、会話した」
シンジ(イズモ)「それだけです」
キール「……わかった」
キール「下がりたまえ」
数日後。
青い火花が散り、金属片が机に転がる。
シンジ(イズモ)「高出力レーザーのリロード時間……」
シンジ(イズモ)「さらに短縮」
指先は、止まらない。
戦いが続く世界で、
彼はもう一度、静かに準備を始めていた。
突然襲来する使徒、さらに使徒に瞬殺される弐号機零号機
さらにf型装備でも歯が立たない果たして使徒を壊滅させれるか?
次回創造紀エヴァンゲリオン完全拒絶そして壊滅次回もサービスしちゃうよ