創造紀エヴァンゲリオン ―外来意識の介入― 作:最上 イズモ
第3新東京市。
夜。
本来なら。
高層ビルの窓から漏れる光と、道路を走る車列が。
地下要塞都市とは思えないほど。
普通の街を作っている時間。
だが。
その夜。
街に。
日常はなかった。
警報。
赤い非常灯。
避難放送。
地上へ収容される建造物。
巨大な装甲板。
そして。
遠く。
何かが。
壊れる音。
アナウンス『使徒、第三新東京市防衛線へ侵入!』
アナウンス『第十八装甲層、突破!』
アナウンス『迎撃システム、応答なし!』
ミサト「速い……!」
発令所。
モニター。
使徒。
ゼルエル。
分厚い。
身体。
短い腕。
いや。
腕ではない。
紙のように薄い。
帯。
それが。
一度。
振られる。
画面。
白。
次の瞬間。
装甲板が。
切れる。
マヤ「第十九装甲層、消失!」
シゲル「ジオフロントまでの予想到達時間、六分!」
ミサト「零号機、弐号機!」
ミサト「先行!」
アスカ『了解!』
レイ『了解』
ミサト「初号機は!?」
マヤ「第七ケージ!」
マヤ「F型装備の最終接続中です!」
ミサト「間に合わせて!」
整備主任『やってる!!』
---
第七ケージ。
初号機。
装甲。
開放。
整備アーム。
動く。
整備員「背部接続!」
整備員「固定まだ!」
整備主任「右肩急げ!」
シンジ(イズモ)「あと何分!?」
整備主任「二分!」
シンジ(イズモ)「使徒は六分で入ってくる!」
整備主任「分かってる!」
火花。
工具。
ケーブル。
警報。
全部。
重なる。
カエデ「ゼルエル、防衛層を継続突破」
シンジ(イズモ)「……」
映像。
見る。
知っている。
知っている。
はず。
なのに。
シンジ(イズモ)「早すぎる」
カエデ「既知情報との差異ですか」
シンジ(イズモ)「うん」
原作では。
初号機。
動かなかった。
シンジが。
乗ることを拒否した。
でも。
今。
自分は。
ここにいる。
初号機も。
既に。
戦う準備をしている。
なら。
同じになる保証は。
ない。
整備主任「シンジ!」
シンジ(イズモ)「はい!」
整備主任「行ける!」
シンジ(イズモ)「完全じゃなくても?」
整備主任「完全になるまで待って街なくなるよりマシだ!」
シンジ(イズモ)「……確かに」
エントリープラグ。
乗る。
整備主任「それと!」
シンジ(イズモ)「?」
整備主任「今回は」
一拍。
整備主任「帰ってきてから壊せ!」
シンジ(イズモ)「努力します!」
整備主任「努力じゃなくて帰ってこい!」
シンジ(イズモ)「はい!」
---
地上。
弐号機。
発砲。
ガトリング。
曳光弾が。
夜空。
埋める。
アスカ「当たりなさいよ!!」
命中。
している。
確実に。
全弾。
使徒へ。
しかし。
光。
十字。
A.T.フィールド。
弾丸。
停止。
弾ける。
一発も。
届かない。
アスカ「……嘘」
再度。
射撃。
結果。
同じ。
アスカ「全然」
息。
乱れる。
アスカ「効いてない!」
零号機。
位置。
変える。
レイ「射線を変更する」
ライフル。
発射。
一発。
二発。
三発。
A.T.フィールド。
全拒絶。
レイ「有効打」
一拍。
レイ「確認できない」
アスカ「分かってるわよ!」
使徒。
前進。
止まらない。
アスカ「なら!」
弐号機。
ナイフ。
抜く。
レイ「待って」
アスカ「撃ってダメなら切る!」
踏み込む。
その時。
地面。
震える。
アスカ「?」
瓦礫。
奥。
紫。
巨大な。
影。
初号機。
F型。
追加装甲。
大型ブースター。
マスティマ。
通常より。
一回り。
太い。
シンジ(イズモ)『お待たせ』
アスカ「……」
一瞬。
安心。
その直後。
怒り。
アスカ「遅すぎるのよ!!」
シンジ(イズモ)『ごめん』
アスカ「ごめんじゃない!」
レイ「碇くん」
シンジ(イズモ)「綾波」
レイ「敵のA.T.フィールド」
説明。
途中。
使徒。
こちら。
向く。
カエデ「高エネルギー反応!」
シンジ(イズモ)「避け――」
光。
白。
巨大な。
刃。
街区。
横断。
初号機。
姿勢。
沈む。
シンジ(イズモ)「アスカ! 綾波!」
弐号機。
零号機。
同時。
吹き飛ぶ。
ビル。
粉砕。
道路。
抉れる。
爆風。
数ブロック。
一瞬。
消える。
アスカ「っ……!!」
警告。
真っ赤。
アスカ「左腕反応低下!」
レイ「零号機、機動能力低下」
ミサト『二人とも後退!』
アスカ「まだ!」
ミサト『後退して!』
アスカ「でも!」
シンジ(イズモ)「アスカ」
声。
低い。
アスカ。
止まる。
シンジ(イズモ)「下がって」
アスカ「……」
シンジ(イズモ)「これは」
ゼルエル。
見る。
シンジ(イズモ)「今までと違う」
初号機。
前へ。
一歩。
シンジ(イズモ)「完全拒絶タイプ」
カエデ「A.T.フィールド強度」
数値。
跳ねる。
カエデ「既知使徒最大値を更新」
シンジ(イズモ)「理屈通りに」
一歩。
シンジ(イズモ)「武器当てれば勝てる相手じゃない」
アスカ「……」
息。
荒い。
それでも。
少し。
後退。
アスカ「絶対」
シンジ(イズモ)「?」
アスカ「また一人で消えたりしないでよ」
シンジ(イズモ)「しない」
アスカ「この前も似たこと言った!」
シンジ(イズモ)「今回は」
使徒。
見る。
シンジ(イズモ)「逃げ道残してる」
カエデ「現時点では」
シンジ(イズモ)「余計なこと言わない」
アスカ「カエデが正しいじゃない!」
ゼルエル。
前進。
シンジ(イズモ)「行くよ」
カエデ「はい」
初号機。
加速。
背部。
ブースター。
点火。
一瞬。
消える。
次。
使徒。
目前。
シンジ(イズモ)「A.T.フィールド!」
初号機。
掌。
前。
透明。
圧力。
刃。
何枚も。
形成。
シンジ(イズモ)「叩き割る!」
一枚。
衝突。
光。
二枚。
亀裂。
三枚。
使徒の。
A.T.フィールド。
一層。
破損。
カエデ「第一層突破!」
シンジ(イズモ)「次!」
二層目。
圧力刃。
砕ける。
三層。
シンジ(イズモ)「多いな!」
カエデ「最低五層!」
シンジ(イズモ)「聞いてない!」
使徒。
腕。
振る。
シンジ(イズモ)「っ!」
初号機。
上体。
逸らす。
直後。
背後。
ビル。
上半分。
消える。
シンジ(イズモ)「当たったら終わる」
カエデ「同意します」
マスティマ。
展開。
シンジ(イズモ)「ガトリング!」
至近距離。
発射。
一層。
二層。
破る。
しかし。
残る。
シンジ(イズモ)「ミサイル!」
連射。
爆発。
炎。
煙。
その中。
使徒。
立つ。
シンジ(イズモ)「高周波ブレード!」
刃。
振る。
A.T.フィールド。
接触。
火花。
押す。
押す。
シンジ(イズモ)「……!」
ブレード。
折れる。
シンジ(イズモ)「嘘だろ」
カエデ「F型装備でも」
シンジ(イズモ)「足りない」
使徒。
光。
シンジ(イズモ)「回避!」
ブースター。
横。
初号機。
滑る。
光条。
肩。
掠める。
追加装甲。
一瞬。
消失。
整備主任『右肩!』
シンジ(イズモ)「今そこ気にしてる場合!?」
整備主任『こっちは気になるんだよ!』
シンジ(イズモ)「帰ったら直します!」
整備主任『絶対だぞ!!』
使徒。
また。
前。
シンジ(イズモ)「……」
息。
吐く。
シンジ(イズモ)「ここから」
画面。
見つめる。
シンジ(イズモ)「先」
原作。
知識。
F型。
マスティマ。
レーザー。
全部。
今まで。
準備した。
なのに。
届かない。
シンジ(イズモ)「計算の外だ」
カエデ「撤退を推奨します」
シンジ(イズモ)「撤退したら?」
カエデ「ネルフ本部への侵入確率」
表示。
カエデ「九二パーセント以上」
シンジ(イズモ)「だよね」
カエデ「それでも」
一拍。
カエデ「生存を優先するなら」
シンジ(イズモ)「分かってる」
手。
少し。
震える。
シンジ(イズモ)「怖い」
カエデ「はい」
シンジ(イズモ)「でも」
初号機。
見る。
前回。
レリエル。
ユイ。
シンジ(イズモ)「一回」
シンジ(イズモ)「できた」
カエデ「暴走」
シンジ(イズモ)「うん」
カエデ「今回も同様になる保証はありません」
シンジ(イズモ)「ない」
カエデ「危険です」
シンジ(イズモ)「知ってる」
一拍。
シンジ(イズモ)「カエデ」
カエデ「……はい」
シンジ(イズモ)「暴走リミッター」
少し。
息。
吸う。
シンジ(イズモ)「解除」
カエデ。
一秒。
答えない。
シンジ(イズモ)「カエデ?」
カエデ「最終確認」
カエデ「解除後」
カエデ「初号機の行動を制御できない可能性があります」
シンジ(イズモ)「許可する」
カエデ「……了解しました」
ロック。
解除。
一。
二。
三。
拘束。
外れる。
初号機。
震える。
シンジ(イズモ)「ユイさん」
小さく。
シンジ(イズモ)「お願いします」
瞬間。
全計器。
振り切れる。
カエデ「……!」
警告。
白。
数値。
異常。
初号機。
装甲。
軋む。
内側。
光。
溢れる。
シンジ(イズモ)「……?」
前回。
違う。
紫電。
ではない。
熱。
でもない。
まるで。
身体。
そのものが。
別の状態へ。
変わっていく。
初号機。
装甲。
白。
染まる。
カエデ「外装材質変化!」
シンジ(イズモ)「装甲じゃない」
カエデ「A.T.フィールド出力」
数値。
消える。
カエデ「測定不能」
シンジ(イズモ)「……違う」
息。
飲む。
シンジ(イズモ)「前と」
シンジ(イズモ)「質が違う」
ミサト『シンジ君!』
リツコ『何をしたの!?』
シンジ(イズモ)「暴走リミッター解除!」
リツコ『そんなの見れば分かる!』
リツコ『今の初号機は何!?』
シンジ(イズモ)「自分も分かりません!」
リツコ『あなたが分からないの!?』
シンジ(イズモ)「今回は!」
使徒。
光条。
発射。
白い。
初号機。
腕。
上げる。
A.T.フィールド。
一枚。
光条。
停止。
シンジ(イズモ)「……」
カエデ「完全防御」
シンジ(イズモ)「これなら」
初号機。
一歩。
シンジ(イズモ)「届く」
走る。
地面。
砕ける。
ゼルエル。
A.T.フィールド。
展開。
一層。
初号機。
掌。
触れる。
押す。
裂ける。
二層。
裂く。
三層。
四層。
五層。
素手。
こじ開ける。
アスカ『……何よ』
弐号機。
遠く。
見ている。
アスカ『あれ……』
シンジ(イズモ)「コア!」
白い初号機。
胸元。
照準。
新兵装。
パルスキャノン。
発射。
光。
命中。
しかし。
コア表面。
弾く。
シンジ(イズモ)「まだ駄目!?」
使徒。
腕。
初号機。
胴。
貫こうと。
伸びる。
初号機。
掴む。
そのまま。
握る。
使徒の腕。
潰れる。
シンジ(イズモ)「……」
自分でも。
怖い。
初号機の。
力。
シンジ(イズモ)「ユイさん」
返事。
ない。
でも。
止まらない。
初号機。
片腕。
使徒の胸。
突っ込む。
装甲。
肉。
A.T.。
全部。
無視。
指。
コア。
掴む。
シンジ(イズモ)「……取れる」
引く。
ゼルエル。
身体。
大きく。
震える。
コア。
引き剥がされる。
シンジ(イズモ)「これで」
握る。
白。
光。
柱。
夜空。
貫く。
数秒。
使徒。
崩壊。
音。
ない。
断末魔。
ない。
完全。
消失。
カエデ「敵性反応」
一拍。
カエデ「消失」
初号機。
立つ。
白。
光。
少しずつ。
消える。
紫。
戻る。
シンジ(イズモ)「……終わった」
カエデ「はい」
シンジ(イズモ)「……」
手。
震える。
シンジ(イズモ)「勝った」
カエデ「はい」
シンジ(イズモ)「でも」
初号機。
見る。
シンジ(イズモ)「あれ」
声。
小さい。
シンジ(イズモ)「何だったんだ……」
---
発令所。
静寂。
リツコ。
画面。
凝視。
マヤ「初号機」
マヤ「全数値、通常域へ復帰」
リツコ「ログ保存」
マヤ「既に」
リツコ「全部よ」
マヤ「はい」
ミサト「シンジ君は?」
マヤ「生命反応正常」
ミサト。
息。
吐く。
リツコ「……」
画面。
初号機。
リツコ「また」
小さく。
リツコ「知らないものが増えたわね」
冬月「初号機か」
リツコ「いいえ」
少し。
間。
リツコ「シンジ君もよ」
---
数日後。
第三新東京市。
高速道路跡。
ゼルエル戦で。
破壊された。
区画。
通行止め。
夕方。
風。
粉塵。
一人。
イズモ。
ガードレール。
座る。
シンジ(イズモ)「……」
手。
端末。
ゼルエル戦。
ログ。
初号機。
白化。
数値。
全部。
異常。
シンジ(イズモ)「再現できないな」
カエデ「再現を推奨しません」
シンジ(イズモ)「解析だけ」
カエデ「それでも」
シンジ(イズモ)「分かってる」
声。
後ろ。
カヲル「君は」
イズモ。
止まる。
カヲル「面白いことをするんだね」
振り返る。
少年。
白い髪。
赤い目。
穏やかな。
笑顔。
シンジ(イズモ)「……」
来た。
知っている。
その顔。
その声。
でも。
また。
現実。
シンジ(イズモ)「初めまして」
カヲル「初めまして」
少し。
笑う。
シンジ(イズモ)「渚カヲル君」
カヲル「……」
カヲル「僕の名前を?」
シンジ(イズモ)「知ってる」
カヲル「不思議だね」
一歩。
近づく。
カヲル「君とは」
じっと。
見る。
カヲル「初めて会ったはずなのに」
シンジ(イズモ)「自分としてはね」
カヲル「自分?」
シンジ(イズモ)「最上イズモ」
カヲル「……」
カヲル「碇シンジではない」
シンジ(イズモ)「うん」
あっさり。
認める。
カヲル「やはり」
シンジ(イズモ)「分かる?」
カヲル「魂が違う」
シンジ(イズモ)「便利だな」
カヲル「驚かないんだね」
シンジ(イズモ)「最近」
少し。
笑う。
シンジ(イズモ)「初号機の中で母親と話したから」
カヲル「……」
カヲル「それは」
少し。
目。
細める。
カヲル「かなり面白い話だ」
シンジ(イズモ)「面白いで済むかな」
風。
吹く。
カヲル「では」
カヲル「シンジ君は?」
シンジ(イズモ)「ここ」
胸。
軽く。
指す。
シンジ(イズモ)「多分」
カヲル「眠っている?」
シンジ(イズモ)「そうだと思う」
カヲル「君は」
一拍。
カヲル「彼の身体を奪ったわけではない?」
シンジ(イズモ)「違う」
シンジ(イズモ)「戻せるなら」
即答。
シンジ(イズモ)「戻す」
カヲル「……」
カヲル「君は何をしたい?」
イズモ。
夕日。
見る。
シンジ(イズモ)「サードインパクトを止める」
カヲル「それだけ?」
シンジ(イズモ)「それと」
街。
見る。
レイ。
アスカ。
ミサト。
整備班。
ケンスケ。
トウジ。
浮かぶ。
シンジ(イズモ)「できるだけ」
一拍。
シンジ(イズモ)「みんな生きたまま終わらせる」
カヲル「難しい願いだね」
シンジ(イズモ)「知ってる」
カヲル「奇跡が必要だ」
シンジ(イズモ)「奇跡は」
少し。
笑う。
シンジ(イズモ)「準備して起こすものらしいから」
カヲル「誰に教わったんだい?」
シンジ(イズモ)「最近」
シンジ(イズモ)「自分でそう思った」
カヲル。
笑う。
カヲル「君はシンジ君とは」
カヲル「ずいぶん違う」
シンジ(イズモ)「でも」
見る。
シンジ(イズモ)「彼として生きてる」
カヲル「……」
シンジ(イズモ)「だから」
声。
少し。
低く。
シンジ(イズモ)「一応言っとく」
カヲル「何かな」
シンジ(イズモ)「ターミナルドグマ」
一拍。
シンジ(イズモ)「入れないよ」
カヲル。
笑顔。
そのまま。
目だけ。
変わる。
カヲル「どうして?」
シンジ(イズモ)「対策した」
カヲル「僕が来る前に?」
シンジ(イズモ)「うん」
カヲル「……」
シンジ(イズモ)「ゼーレ対策も」
シンジ(イズモ)「だいたい済んでる」
カヲル「僕の役目も?」
シンジ(イズモ)「知ってる」
カヲル「なら」
一歩。
近い。
カヲル「僕を殺すかい?」
イズモ。
少し。
眉。
寄る。
シンジ(イズモ)「何で?」
カヲル「僕は使徒だ」
シンジ(イズモ)「知ってる」
カヲル「なら」
シンジ(イズモ)「今」
遮る。
シンジ(イズモ)「攻撃してない」
カヲル「……」
シンジ(イズモ)「だから」
シンジ(イズモ)「殺す理由ない」
カヲル「ネルフはそう考えない」
シンジ(イズモ)「ネルフには」
一拍。
シンジ(イズモ)「自分から説明する」
カヲル「信じてもらえる?」
シンジ(イズモ)「分からない」
カヲル「それでも?」
シンジ(イズモ)「うん」
カヲル「……」
少年。
静かに。
笑う。
カヲル「面白いね」
シンジ(イズモ)「最近それよく言われる」
カヲル「なら」
少し。
空。
見る。
カヲル「君の言う通りにしてみよう」
シンジ(イズモ)「ネルフにいて」
カヲル「分かったよ」
それは。
服従でも。
友情でも。
まだ。
ない。
ただ。
互いが。
互いを。
観測した。
最初の。
確認。
---
数日後。
ネルフ本部。
警報。
マヤ「高高度に使徒反応!」
ミサト「位置!」
マヤ「上空」
画面。
マヤ「十万メートル!」
アスカ「はぁ!?」
シゲル「軌道上で静止!」
シゲル「通常兵装、射程外!」
リツコ「また面倒なのが来たわね」
シンジ(イズモ)「……」
知っている。
アラエル。
アスカ。
見る。
嫌。
記憶。
シンジ(イズモ)「ミサトさん」
ミサト「何?」
シンジ(イズモ)「アスカ」
アスカ「何よ」
シンジ(イズモ)「今回は」
少し。
迷う。
シンジ(イズモ)「本当に無茶しないで」
アスカ「何よ急に」
シンジ(イズモ)「精神攻撃来る」
アスカ「……」
ミサト「確定?」
シンジ(イズモ)「かなり」
ミサト「なら」
即座。
ミサト「レイ先行」
ミサト「アスカはバックアップ」
アスカ「はぁ!?」
ミサト「シンジ君」
一拍。
ミサト「待機」
アスカ「なんでこいつだけ!」
ミサト「前回の初号機」
リツコ「まだ調査中よ」
アスカ「でも!」
シンジ(イズモ)「……」
少し。
考える。
シンジ(イズモ)「エヴァじゃなきゃ」
全員。
見る。
シンジ(イズモ)「いいんですよね」
ミサト「……」
嫌な。
予感。
ミサト「何する気?」
シンジ(イズモ)「ちょっと」
シンジ(イズモ)「作ってたものが」
リツコ「ちょっと?」
シンジ(イズモ)「あります」
リツコ「あなたの『ちょっと』信用できないのよ」
シンジ(イズモ)「今回はネルフシステム触ってません」
リツコ「今回は!?」
シンジ(イズモ)「カエデ」
カエデ「了解」
地上。
隔壁。
開く。
道路。
割れる。
マヤ「……?」
巨大。
機械。
せり上がる。
脚。
四本。
流線形。
巨大な。
砲身。
シゲル「何だあれ……」
整備主任〈通信〉「本当に持ち出すのかよ!」
シンジ(イズモ)「そのために作った!」
整備主任『試射三回しかしてねえぞ!』
シンジ(イズモ)「三回成功してる!」
整備主任『怖えよ!』
巨大。
四十メートル級。
自走。
ポジトロン兵器。
メタルギアレイを思わせる。
脚部。
レックスのような。
長大な。
レールガン。
リツコ「……」
頭。
抱える。
リツコ「いつ作ったの」
シンジ(イズモ)「レーザーのリロード短縮してた時」
ミサト「そんなもの作ってたの!?」
シンジ(イズモ)「途中から大きくなって」
リツコ「工作のノリで巨大兵器作らないで!!」
シンジ(イズモ)「でも今使えます」
リツコ「それが一番腹立つ!」
アラエル。
上空。
光。
伸びる。
レイ「接触」
零号機。
A.T.フィールド。
光。
弾く。
しかし。
角度。
変わる。
弐号機。
捉える。
アスカ「……え?」
光。
接触。
アスカ「っ――!」
呼吸。
止まる。
映像。
乱れる。
アスカ「何……」
声。
震える。
アスカ「何よこれ……!」
ミサト「アスカ!」
シンジ(イズモ)「来た!」
カエデ「精神汚染波形!」
シンジ(イズモ)「aの10から5!」
ミサト「了解!」
兵装ビル。
五番。
展開。
シンジ(イズモ)「アスカ!」
通信。
ノイズ。
アスカ「……」
シンジ(イズモ)「兵装ビルに入って!」
アスカ「無理……」
シンジ(イズモ)「アスカ!」
アスカ「頭の中に……!」
シンジ(イズモ)「聞いて!」
強く。
シンジ(イズモ)「そこに逃げろ!」
アスカ「……」
シンジ(イズモ)「対A.T.仕様にしてある!」
アスカ「……なんで」
シンジ(イズモ)「こういう時のため!」
アスカ「……」
弐号機。
動く。
一歩。
二歩。
光。
追う。
ビル。
内部。
飛び込む。
特殊装甲。
展開。
光。
弱まる。
アスカ「……っ」
呼吸。
戻らない。
でも。
まだ。
動ける。
シンジ(イズモ)「よし」
カエデ「精神汚染低下」
シンジ(イズモ)「照準」
巨大兵器。
脚。
固定。
レールガン。
上。
向く。
ポジトロン。
チャージ。
カエデ「射程」
シンジ(イズモ)「足りる?」
カエデ「単独ではA.T.フィールド突破不能」
シンジ(イズモ)「やっぱり」
ミサト『どうするの!?』
シンジ(イズモ)「弐号機」
アスカ『……』
シンジ(イズモ)「アスカ」
返事。
ない。
シンジ(イズモ)「聞こえる?」
アスカ『……聞こえてるわよ』
弱い。
シンジ(イズモ)「ポジトロン」
アスカ『……』
シンジ(イズモ)「合わせてほしい」
アスカ『今の私に?』
シンジ(イズモ)「うん」
アスカ『……』
シンジ(イズモ)「無理なら」
一拍。
シンジ(イズモ)「自分だけでやる」
アスカ『……』
少し。
沈黙。
アスカ『バカ』
シンジ(イズモ)「?」
アスカ『そういう言い方』
息。
整える。
アスカ『ムカつくのよ』
弐号機。
立つ。
アスカ『合わせる』
シンジ(イズモ)「いける?」
アスカ『誰に聞いてんの』
シンジ(イズモ)「……了解」
二門。
照準。
上空。
アラエル。
ロック。
カエデ「チャージ四〇」
マヤ『弐号機側四三!』
シンジ(イズモ)「同期」
アスカ『分かってる』
カエデ「七〇」
マヤ『七一!』
光。
また。
兵装ビル。
直撃。
装甲。
亀裂。
シンジ(イズモ)「アスカ!」
ビル。
一部。
粉砕。
弐号機。
露出。
光。
再び。
触れる。
アスカ「っ――!」
呼吸。
壊れる。
シンジ(イズモ)「やめる!」
アスカ「やめない!」
シンジ(イズモ)「でも!」
アスカ「言ったでしょ!」
声。
震える。
でも。
強い。
アスカ「信じるわ!」
シンジ(イズモ)「……」
アスカ「あんたを!」
一瞬。
以前。
イスラフェル。
〇・〇一秒。
一緒に。
動いた。
記憶。
シンジ(イズモ)「……分かった」
カエデ「チャージ九八」
マヤ『弐号機九八!』
カエデ「一〇〇」
マヤ「チャージ完了!」
静か。
シンジ(イズモ)「アスカ」
アスカ『いつでも』
シンジ(イズモ)「行くよ」
アスカ『来なさい!』
発射。
二条。
光。
夜。
いや。
上空。
裂く。
ポジトロン。
レールガン。
ほぼ。
同一軸。
重なる。
アラエル。
A.T.フィールド。
一枚。
砕ける。
二枚。
三枚。
光。
止まらない。
中心。
到達。
一瞬。
空。
白。
完全。
無音。
そして。
爆光。
カエデ「敵性反応」
数秒。
カエデ「消失」
マヤ『使徒反応消滅!』
発令所。
歓声。
でも。
イズモ。
すぐ。
通信。
開く。
シンジ(イズモ)「アスカ?」
返事。
ない。
シンジ(イズモ)「アスカ」
一秒。
二秒。
アスカ『……聞こえてる』
シンジ(イズモ)「大丈夫?」
アスカ『大丈夫なわけ』
一拍。
アスカ『ないでしょ……』
シンジ(イズモ)「……ごめん」
アスカ『なんであんたが謝るのよ』
シンジ(イズモ)「分からない」
アスカ『……バカ』
シンジ(イズモ)「うん」
アスカ『……でも』
弱い。
声。
アスカ『倒した』
シンジ(イズモ)「倒した」
アスカ『私も』
シンジ(イズモ)「うん」
アスカ『……なら』
少し。
息。
吐く。
アスカ『今日は、それでいい』
---
戦闘後。
医療区画。
アスカ。
ベッド。
身体。
外傷。
ほぼ。
ない。
精神。
疲労。
大。
イズモ。
扉。
開ける。
シンジ(イズモ)「入っていい?」
アスカ「もう入ってるじゃない」
シンジ(イズモ)「じゃ帰る?」
アスカ「帰ったら殺す」
シンジ(イズモ)「どっち」
アスカ「座りなさい」
シンジ(イズモ)「はい」
椅子。
座る。
少し。
沈黙。
アスカ「……」
シンジ(イズモ)「……」
アスカ「見られた」
シンジ(イズモ)「?」
アスカ「頭の中」
拳。
握る。
アスカ「全部」
シンジ(イズモ)「……」
アスカ「嫌なもの」
アスカ「見たくないもの」
アスカ「思い出したくないもの」
アスカ「全部」
イズモ。
何も。
言わない。
アスカ「何か言いなさいよ」
シンジ(イズモ)「何言えばいいか」
アスカ「……」
シンジ(イズモ)「分からない」
アスカ「役立たず」
シンジ(イズモ)「ごめん」
アスカ「でも」
少し。
顔。
逸らす。
アスカ「変に慰められるよりマシ」
シンジ(イズモ)「じゃ」
一拍。
シンジ(イズモ)「ここいる」
アスカ「……」
シンジ(イズモ)「何も言わずに」
アスカ「……好きにすれば」
数分。
会話。
ない。
でも。
イズモ。
立たない。
アスカ。
追い出さない。
しばらくして。
アスカ「シンジ」
シンジ(イズモ)「ん?」
アスカ「さっき」
一拍。
アスカ「あんたを信じるって言ったの」
シンジ(イズモ)「うん」
アスカ「忘れなさい」
シンジ(イズモ)「無理」
アスカ「なんでよ!」
シンジ(イズモ)「嬉しかったから」
アスカ「……」
布団。
頭まで。
被る。
アスカ「帰れ!!」
シンジ(イズモ)「はい」
立つ。
扉。
シンジ(イズモ)「おやすみ」
布団。
中。
小さい。
声。
アスカ「……おやすみ」
---
第七ケージ。
その夜。
イズモ。
巨大兵器。
ログ。
見る。
整備主任「……」
後ろ。
シンジ(イズモ)「何です?」
整備主任「結局来たな」
シンジ(イズモ)「ちょっとだけ」
整備主任「医務室からそのまま来ただろ」
シンジ(イズモ)「……」
整備主任「帰れ」
シンジ(イズモ)「これの出力ログだけ」
整備主任「明日」
シンジ(イズモ)「でも」
整備主任「明日!」
シンジ(イズモ)「はい」
端末。
閉じる。
歩く。
初号機。
見る。
ゼルエル。
白い。
初号機。
カヲル。
アラエル。
全部。
頭。
残る。
知っている未来。
変わっている。
少しずつ。
確実に。
そして。
変えた結果。
別の危険も。
生まれている。
カエデ「不安ですか」
シンジ(イズモ)「かなり」
カエデ「それでも続けますか」
シンジ(イズモ)「……うん」
足。
止める。
シンジ(イズモ)「でも」
少し。
笑う。
シンジ(イズモ)「前より」
シンジ(イズモ)「一人でやらなくなった気がする」
カエデ「アスカ」
シンジ(イズモ)「綾波」
カエデ「整備班」
シンジ(イズモ)「ミサトさん」
カエデ「私」
シンジ(イズモ)「もちろん」
カエデ「では」
一拍。
カエデ「今日は帰宅してください」
シンジ(イズモ)「そこに着地する?」
カエデ「はい」
整備主任「カエデちゃんの言う通り!」
シンジ(イズモ)「分かりましたよ!」
ケージ。
笑い。
少し。
響く。
世界は。
まだ。
壊れていない。
完全拒絶する使徒も。
心を暴く使徒も。
倒した。
けれど。
本当に。
壊さなければならないものは。
これから。
姿を。
現す。
イズモは。
まだ。
それを。
知っていた。
知っているからこそ。
次は。
一人で。
抱え込まないようにしようと。
ほんの少しだけ。
思い始めていた。
意識不明のアスカさらに
まだ凍結が解除されない初号機、だが使徒襲来、
さらに零号機が侵食されたところで凍結解除
果たして使徒をどう攻略するのか?
次回創造紀エヴァンゲリオン子宮の天使
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