創造紀エヴァンゲリオン ―外来意識の介入―   作:最上 イズモ

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完全拒絶そして壊滅

第3新東京市の夜は、

使徒の出現と同時に終わりを告げていた。

 

黒雲を裂くように警報が鳴り響き、

崩れた高層ビルの残骸が赤い非常灯に照らされている。

瓦礫の迷路を縫うように、

零号機と弐号機が前進していた。

 

アスカ「シンジは何をやってるのよ」

アスカ「まだ来ないじゃない」

 

レイ「状況が不明です」

 

弐号機のガトリングが火を噴き、

曳光弾が夜空に線を刻む。

零号機の射撃が重なるが、

すべては使徒ゼルエルの前で意味を持たなかった。

 

白い十字形の光。

ATフィールドが、

弾丸も熱量も拒絶する。

 

アスカ「……当たらない」

アスカ「全然、効いてない!」

 

レイ「有効打を確認できません」

 

低い振動。

足元の地面が、わずかに沈む。

 

瓦礫の影から、紫の巨体が姿を現した。

 

初号機。

 

シンジ(イズモ)「お待たせ」

 

通信越しの声は、

異様なほど落ち着いていた。

 

アスカ「遅すぎるのよ!」

 

シンジ(イズモ)「どうした」

 

レイ「敵のATフィールドが――」

 

説明は最後まで届かなかった。

 

ゼルエルの光条が放たれる。

刃のようなエネルギーが空間を切り裂き、

零号機と弐号機をまとめて薙ぎ払った。

 

爆風が街区を吹き飛ばし、

二体のエヴァが地面に叩きつけられる。

 

アスカ「……っ!」

レイ「機体損傷率、上昇」

 

その光景を見据え、

初号機の中でイズモは静かに息を吐いた。

 

シンジ(イズモ)「完全拒絶タイプ」

シンジ(イズモ)「理屈が通らない相手だ」

 

シンジ(イズモ)「行くよ、カエデ」

 

カエデ「はい」

 

初号機が加速する。

掌から放たれた透明な圧力刃が、

幾重にも重なったATフィールドを叩き割る。

 

だが、核心には届かない。

 

シンジ(イズモ)「……Fでも足りないか」

 

高周波ブレード。

マスティマ。

複合火力。

 

すべてを叩き込んでも、

ゼルエルは立ち続けていた。

 

嘲笑うように。

 

イズモの背中に、

冷たい汗が流れる。

 

シンジ(イズモ)「……ここから先は」

シンジ(イズモ)「計算の外だ」

 

シンジ(イズモ)「カエデ」

シンジ(イズモ)「暴走リミッター解除」

 

カエデ「了解しました」

 

初号機の装甲が軋み、

裂け目から白い光が噴き出す。

 

咆哮にも似た振動。

機体表面が、液体のように揺らめいた。

 

シンジ(イズモ)「……違う」

シンジ(イズモ)「前と、質が違う」

 

カエデ「解析不能」

カエデ「全数値が逸脱しています」

 

それでも。

 

シンジ(イズモ)「……これなら、届く」

 

白く変質した初号機が突進する。

ATフィールドを素手でこじ開け、

コアへ掌を突き出す。

 

パルスキャノン。

弾かれる。

 

次の瞬間、

初号機は腕を突っ込み、

力任せにコアを引き剥がした。

 

白い光柱。

 

ゼルエルは、

断末魔すら残さず崩壊した。

 

戦闘は、終わった。

 

数日後。

廃墟と化した高速道路。

 

夕日が沈みかけ、

影だけが長く伸びている。

 

一人の少年が、そこに立っていた。

 

カヲル「初めまして、かな」

 

シンジ(イズモ)「初めまして」

シンジ(イズモ)「渚カヲル君」

シンジ(イズモ)「――いや、シンジとしては何度目だろうね」

 

カヲル「君は、碇シンジではない」

 

シンジ(イズモ)「最上イズモだ」

シンジ(イズモ)「彼として生きて」

シンジ(イズモ)「サードインパクトを止める」

 

風が吹き、

粉塵が二人の間を流れる。

 

シンジ(イズモ)「一応言っておく」

シンジ(イズモ)「ターミナルドグマには入れない」

 

カヲル「なるほど」

 

シンジ(イズモ)「ゼーレ対策も済んでる」

シンジ(イズモ)「君は、ネルフにいればいい」

 

カヲル「……わかったよ」

 

それは合意ではなく、

確認だった。

 

ネルフ本部。

 

マヤ「対象、上空十万で静止」

マヤ「現行兵装では攻撃不能です」

 

ミサト「レイ先行」

ミサト「アスカはバックアップ」

ミサト「シンジ君は待機」

 

アスカ「なんであいつだけ!」

 

ミサト「前回の戦闘、調査中なの」

 

その横で、

イズモが淡々と口を開く。

 

シンジ(イズモ)「エヴァじゃなきゃいいんだよね」

 

ミサト「……そうね」

 

シンジ(イズモ)「カエデ」

 

カエデ「了解しました」

 

瓦礫の地面が割れる。

巨大な影が、ゆっくりとせり上がった。

 

超大型自走ポジトロンライフル。

メタルギアレイの流線形に、

レックスのレールガンを融合した四十メートル級兵器。

 

使徒の精神汚染光線が弐号機を捉える。

 

アスカの呼吸が乱れる。

 

シンジ(イズモ)「aの10から5!」

ミサト「了解!」

 

シンジ(イズモ)「アスカ、兵装ビルに隠れて!」

 

そのビルは、

密かに対ATフィールド仕様へ改造されていた。

 

アスカ「……わかった」

 

シンジ(イズモ)「出力が足りない」

シンジ(イズモ)「ポジトロン、同時発射を」

 

アスカ「……合わせる」

 

だが、

使徒の光がビルを粉砕する。

 

シンジ(イズモ)「アスカ!」

 

アスカ「信じるわ!」

アスカ「あんたを!」

 

マヤ「チャージ完了!」

 

シンジ(イズモ)「行くよ」

 

アスカ「いつでも!」

 

夜空を裂く、二条の光。

 

ポジトロンの奔流とレールガンが重なり、

使徒を貫いた。

 

白い爆光。

 

脅威は、完全に消滅した。




意識不明のアスカさらに
まだ凍結が解除されない初号機、だが使徒襲来、
さらに零号機が侵食されたところで凍結解除
果たして使徒をどう攻略するのか?
次回創造紀エヴァンゲリオン子宮の天使
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